エボログ

VFC MP5 GBBのCO2対応に関するデータが概ね揃いました。が…

記事作成日:2017年1月20日

『国内でも安全に海外製のCO2銃を使う方法』
こんな情報、無いに等しいので「何をすれば初速が下がるのか」「何をすれば初速が安定するのか」というのがとにかく大変でした。

単純に初速を下げるだけであればバレルカットで2cmとか3cmとかまで切り詰めれば良いのですが、そんな事をしたら命中精度に大きな影響を及ぼしますし、初速の安定性も低下してしまいます。

ルーズバレルを使うという方法も正直CO2の圧力だと初速を低下させる為に使うとしても限界がありますし、どのみちバレル長は非常に短くなってしまいます。

更に、初速を落とす方法としてパッキンやノズルからわざとガスを漏れさせるという方法もあるのですが、そんな事したら初速の安定性が保てなくなりますし、無駄にガスを消費する事になってしまい、勿体無いです。

私が求めるのは「必要最低限のガスによって弾が飛び出し、それ以外のガスは全てボルトを動かすのに使う」という物です。

そんな要求の元、色々と検証を続けていたVFC MP5 GBBですがようやく初速の安定性と安全な初速の両方を維持出来るセッティングにたどり着きました。

いやー。長かった…。
そして、大量のCO2カートリッジが犠牲になりました。
多分50本は調整の為だけに消費されています。

インナーバレルとチャンバー

という訳で、まずはインナーバレルとチャンバーです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

インナーバレルはOPTION NO.1 MAPLE LEAFのクレイジージェットインナーバレルです。
様々なインナーバレルを試した結果、このインナーバレルが最もCO2との相性が良いです。
今回使ったのは長さ113mmのものです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

このクレイジージェットインナーバレルの何がCO2と相性が良いかと言うと、Cover Jet System(CJS)と呼ばれる機構です。
img_1

CO2のガス圧はとにかく高いです。
そこら辺の流速チューンとは比べ物にならない程高い圧力のエアーが放出されます。それも一瞬で。

当然、高圧なエアーであればあるほど、乱気流も強くなるのでそれを防ぐためにエアーを整流させる必要があります。
でないと弾がインナーバレルから飛び出した時点でブレます。

テーパーの角度が浅ければ浅いほど、強い乱気流が発生しますからね…。
CJSはマズルから放出されたエアーを整えてくれる効果を持っているので、このブレが少なくなります。

同様の効果を得る事が出来る段付きテーパー(写真下)や、超長いテーパーを作る事が出来ればそれでも良いと思います。

加工が面倒くさいので私は試していませんが…。

チャンバーパッキンも同じくメイプルリーフの製品です。
硬さは70度。正直CO2銃のパッキンは硬ければ硬い方が良いと思っています。
パッキンが柔らかいと初速が全く安定しませんし、HOPの回転もうまく掛からず初速の割には全然飛ばない弾になります。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

蛇足ながら、APS Dragonfly BSPにこのメイプルリーフのチャンバーを組み込むと”あかん事に”なります。
CO2銃の本気を見せてくれるチャンバーパッキンだと私は思っています。

硬さはもちろん、HOPの掛け方も良いんですよね。
まあ、これは私の好みなので何が良いのかはあまり深くは言いませんが、流速ポンやE&L M4でも同じような形状のHOPを自作して使っています。

シリンダーバルブ(ロケットバルブ)

VFC MP5の調整で一番時間が掛かったのはロケットバルブの加工ですね…
これは盛って削ってを繰り返した結果、最終的に下記のような内容で落ち着きました。

  • ガスが流れる穴は、太さ0.7mmのピンポンチがギリギリ通る程度の広さ
  • エアーの流れを安定させる為に、入り口と出口になめらかなテーパーをかける
  • ロケットバルブ内側の気流を安定させる為にエッジを丸く削る

ですね。
「二度と手作業でやるか」と思える程の手間が掛かりました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして、このロケットバルブをいかに速く閉鎖し、ガスの流れを切り替えるかというのも重要になります。
そこで使ったのはストライクアームズのシリンダーバルブスプリング ソフト(赤色)です。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

純正のバルブスプリングに比べると少し長いですが、とにかく線径が細くて柔らかいです。
フニャフニャです。

このバルブスプリングを組み込む事で最速でバルブを閉鎖する事が出来るようになりました。
つまり、それ以外のガスは全てシリンダー側。つまりリボルトを動かす為のパワーになります。

リコイルスプリングやボルト等

これは正直、初速に大きな影響はありません。
あっても誤差レベルです。
「いかにして強いリコイルになるか」だけ考えれば良いと思います。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

単純にリコイルと強くしたければリコイルバッファーとボルトを重くし、硬いリコイルスプリングを入れるだけです。
ただ、これだと前後に振られるような違和感のあるリコイルになってしまい、撃ってて気持ちよく無かったので、リコイルバッファーは軽めでボルトだけ重くしました。
リコイルスプリングもそんなに硬い物は入れないようにし、後退時の速度が上がるようにしました。

こればかりは撃ちながら自分の好みのリコイルを追求する必要があるので、多種多様なバネとボルト周りのパーツを買い揃えて調整する必要があります。

最終的な初速

これらの事(主にインナーバレルとシリンダーバルブの調整)を行った結果、初速は90m/s台後半で落ち着きました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

1マガジン連続で撃って、最大初速は94.91m/s。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最低は81m/sという結果になりました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

プラマイ10m/s以上出ていますが、基本的には90m/s前後で安定し、たまに少し高めや低めの初速が出る程度です。
何マガジンか撃って検証しましたが、今までいじってきた中では一番安定して動いてくれています…。

「よし!このセッティングなら行けると思って、温めたマガジンや冷えたマガジンや、各HOP量での初速等を計測して問題無い事を確認していた時に問題が発生しました。

床に転がってるカートリッジの本数が10本を超えた辺りで突然初速が上がり始めたのです。
分解してみるとこの有様ですよ…。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

あんなに丹精込めて作ったシリンダーバルブが見事なまでに砕け散っています。
赤いインクのような物はストライクアームズのスプリングで使われている塗料でしょう。

恐らく、ストライクアームズの柔らかいスプリングを組み込んだ事により、今まで以上に強い衝撃がシリンダーバルブに加わった為に割れてしまったのだと思われます。

海外でよくスチール削りだしとか、えげつない硬さのシリンダーバルブが使われている理由が何となく分かった気がします。
高圧ガスで打ち出すと樹脂のシリンダーバルブは割れる。

ああ…。
VFC MP5の安定化も一瞬(10マガジン位)で終わってしまったなぁ…。

まあ、とりあえずレシピは出来ましたし、まだシリンダーバルブは新品のが2個、ノズル周りのパーツは1個残ってるのでまだ直そうと思えば直せますが、とりあえず私のモチベーションが上がるまでは放置になりそうです。
再発防止策も考えてから修理しないといけないですしね…。


オートボット・ホップラバー&Cクリップ 70°Amazonで購入する