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高い再現度に加えて意外と使えるスペックを持ったTrijicon VCOG レプリカ スコープをレビューしていきます

記事作成日:2018年9月12日

『ノーブランド VCOGタイプ スコープ』とかいう名前で販売されているTrijicon VCOGのレプリカスコープを買ってみました。
パッケージに「PPT」と入っており、これがメーカー名なのかは定かでは無いのですが、中華コピー光学サイトの中では比較的高いクオリティの製品を作っている所です。

ちなみに、実物は2,800ドル(約320,000円)、今回購入したレプリカは25,920円と、実に1/12の値段差があります。

外観はこんな感じで、Trijicon VCOGの形状をよく再現出来ていると思います。

横から見るとこんな感じ。
VCOGの形状自体は一般的なショートスコープに似ているのですが、マウントベースがスコープ本体に取り付けられているのが特徴です。

重量は697gと、実物(23.2oz/657.7g)よりも40g程度重いようです。

尚、Trijicon VCOGには使用弾薬やレティクル形状のバリエーション違いで全部で16種類存在し、外観やレティクル形状を見る限り『VC16-C-1600006』が最も近いモデルなのかな?と思いました。
ただし、現在のTrijiconの公式サイトを見る限り、このレプリカVCOGと全く同じレティクル形状は実物には存在しないようです。

その辺りも踏まえて細部を見ていこうと思います。

まず、対物レンズ側の刻印はしっかりTrijicon VCOG 1-6Xと入っています。
チューブの下に付いている電池ボックスの仕様も忠実に再現されていますが、ちょっとエンボスのエッジ部分が滑らか過ぎる気もします。

使用電池は単三電池1本です。
前側のキャップを外して側面の表記通りの向きに電池を挿入します。

尚、ハウジング側面にも電池が入れられそうな場所があり、実際にCR2032電池を入れる事が出来ますが、こちらはダミーです。
輝度調節ノブの設計を別の製品から流用した結果でしょうか…、実物のVCOGだとここに蓋は無いハズ…。

輝度は実物と同様、1〜6段階で調節が可能で、ONとOFFが交互になっているタイプのダイヤルを採用しています。
実物に比べると数字のフォントがちょっと小さいような気がします。

マウントは側面からノブを回して締め込むタイプで、下部に2本のマイナスネジが付いています。
実物だと『Trijicon TA51』という名前のマウントで、同社製のACOGやRX30/RX34の一部モデルでも使えます。

この2本のネジを外すとTrijicon ACOGと互換のある基部が確認出来ます。
こちらの基部の仕様が実物と同じかどうかは未検証です。

エレベーテーションノブとウィンテージノブはカバーが付いており、それぞれ紛失防止用のワイヤーで本体に固定されています。
カバーを外すと調整ノブにアクセスする事が出来ます。

ノブ上面の刻印までしっかり入っていますが、刻印の仕様が違ったり(ロゴの大きさが違うのに加えて、エレベーテーション・ウィンテージ共にウィンテージ用の刻印が印刷されている)、実物には存在しない専用工具を使って回すネジが2つ付いています。
ノブの動きは少し渋いですが、しっかりとしたクリック感があります。

パワーノブは実物同様、接眼レンズ側全体が回転するという珍しい仕様です。
倍率の表記は1、1.5、2、3、4、5、6となっており、倍率が上がるにつれて間隔が短くなっています。

また、ほんの僅かですが、パワーノブ全体がガタガタ動きます。
使っている分にはあまり気にはならないですが、ダイヤルを回した時に「グイッ」と動くのでちょっと気持ちが悪いです。

視度調節ノブはこんな感じ。
こちらは程よい硬さがありますがスムーズに動き、ガタツキもありません。

レンズは対物レンズ、接眼レンズ共に緑色に反射するコーティングが施されています。
いわゆるマルチコートですね。

最近の中華レプリカスコープは、レンズのコーティングも意外としっかりしていますね…。

レティクル、パララックス、歪みの具合を見ていきます

まずは単純に覗いた感じ。(イルミネーション消灯時)
像は全体的にほんの僅かに赤みがかった感じですが、視野は広く、縁も程よく薄いです。
レティクルも非常にくっきりしており、等倍での使い勝手も良さそう。

尚、イルミネーションを点灯させるとほんの僅かな変化ですが、更に視界が赤くなります。
写真左が消灯時、右が点灯時で、カメラのマニュアル設定を変えずに撮影しています。

外観の再現度の高さに加えて、この独特なFFPレティクルまでしっかり再現されているのがこのスコープのすごい所でしょう。
数字の表記までくっきりです。

尚、レティクル形状はVC16-C-1600006で採用されているSegmented Circle / Crosshairによく似ていますが、左右と下側のクロスヘアの末端部分が太くなかったり、BDCレティクルにドットが付いてなかったりと、ほんの僅かにレティクル形状が異なっている事が分かります。
とは言え、パット見そっくりです。

Trijicon公式サイトの製品ページから画像を拝借

それにしても、レティクル形状の再現度の高さとFFPなのは凄いですね。
しかも2万円台という価格でこれを実現しているのは凄まじいと思います。

また、意外だったのは6倍まで倍率を上げても視野があまり狭くならず、比較的薄い縁を保っていた事です。
確かに倍率を上げるとアイボックスやアイレリーフも狭くなってしまいますが、覗き方を変えないといけないほどの大きな変化は無く、1倍から6倍まで常に同じ構え方で覗く事が出来ました。

しかし、全てにおいて完璧とは言い切れず、レティクルはチューブ内の反射によってキラキラ反射しますし、歪みがある為に若干魚眼レンズのような感じに見えます。

特に1倍の状態ではかなり等倍に近いものの魚眼レンズっぽくなっているので中央付近と周囲で像の大きさが変わっています。
そのおかげで視野は広いです。

いつものパララックス検証をやっていきます。
距離は2.5m、ケラれるギリギリの所まで視点を動かします。

結果は2cmの円内から外れる事は無く、十分な精度である事が伺えます。
しかし、視点を動かした際に像はかなり歪みます。

動画で覗いた時の様子を撮ってみました。
ケラレ具合や倍率を変更した際のレティクルの拡大等をご確認頂けます。

Trijicon VCOG タイプスコープの総評

ちらほら粗は目立つものの、フル刻印でレティクル形状までここまで似せてきている事を考えるとこの価格は非常にお買い得なのでは無いでしょうか。
倍率変更時にレティクルのサイズが変わるFFPまで再現しているとなると、この程度のレンズの歪みとかあまり気にしなくて良いかもしれません。
この値段の製品にこれ以上を求めるのは酷かと…。

ぶっちゃけ、Vortex Viper PST(GEN2じゃなくて初代の方)よりも歪みは控えめだと思いますし、実用性に問題があるレベルの品質では無いでしょう。

Vortex Viper PSTのレビューは古い記事なので、今みたいなちゃんとした検証は出来ていませんが、2回ほどゲームで使ってあまりの歪みに耐えれなくなりそのまま手放しました。