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等倍プリズムサイトとドットサイトの違いについて

記事作成日:2021年12月3日

度々質問される事があるので、等倍プリズムサイトとドットサイトの違いについて記事にしようと思います。
今回比較するのは『Primary Arms SLx 1X マイプロプリズム ACSS CQBレティクル』と『Primary Arms SLx MD-25 マイクロ レッドドット ACSS CQBレティクル』です。
共にACSS CQBレティクルを採用している製品になります。

まず、基礎的な話から。
等倍プリズムサイトとドットサイトは光学サイトとしての構造が全く異なっています。

等倍プリズムサイトはどちらかと言うとスコープに近く、複数枚のレンズ、プリズムを組み合わせて構成されています。
レティクルはガラスに印刷されています。(多分等倍プリズムでワイヤーレティクルの製品は無い気がします)

一方、ドットサイトはハーフミラーレンズに発光モジュールから放たれた光(レティクル)を投影する方式で、最低限のレンズ構成は1枚のみです。
チューブ型などは接眼レンズ側に1枚レンズが付いていたり、対物レンズ(ハーフミラーレンズ)を保護する為のレンズが付いている製品もあります。

プリズムサイトは物理的なレティクルが存在しますが、ドットサイトにはそれがありません。
その為、プリズムサイトは電池が無い状態でも使う事が可能となっています。
※ドットサイトでもトリチウムや集光ファイバー、太陽光発電などによって電池不要な製品も存在します

電源OFF状態のプリズムサイトのレティクルは黒色

等倍プリズムもドットサイトも共に「等倍」と呼ばれる、倍率の付いていない製品となります(若干の歪みによる倍率を付いているような見え方は一旦無視します)。

ただ、同じ「等倍」でも結構違いがあるので、それを紹介していきます。

覗き方について

まず、プリズムサイトにはアイレリーフが存在する為、一定の距離から覗かないといけません。
例えばSLx1 Micro Prismだと140mm前後の距離が最適なアイレリーフとなるので、写真の位置辺りに配置する必要があります。

一方、ドットサイトは使い勝手を度外視すればどの距離からでも覗く事は可能です。
ただし、ドットサイトのレティクルは遠くから覗けば覗くほど大きく見え、近くで覗けば覗いほど小さく見えるという特徴があります。

また、プリズムサイトにはアイボックスと呼ばれる「この角度内からじゃないと覗けない」という範囲が存在しますが、ドットサイトにはレティクルが見えなくなる範囲でならどこからでも覗く事が可能です。

同じ距離から同じ距離のターゲットを覗いた時の見え方(近距離編)

という訳で、同じ距離から同じ距離のターゲットを覗いた時の様子を比較します。
尚、サイトを覗く距離はプリズムサイトの方に合わせています。

約23m先の杭に照準を合わせている状態です。

大きな違いとしてはレンズ内の視野の広さです。
見比べると一目瞭然ですが、ドットサイトの倍以上の視野があるのが分かると思います。
その代わり、ターゲットがのサイズが小さく感じられます(実際小さいです)

これはドットサイトのフチに像が隠れてしまっているというのが原因となります。
なので、目にくっつけるような距離でドットサイトを覗くとプリズムサイトに近い見え方になります。

一方プリズムサイトの方は視野をちょうど良い感じに調整されている影響で、広い視野を実現しています。

同じ距離から同じ距離のターゲットを覗いた時の見え方(近距離編)

続いて、遠くのターゲットを覗いた時の様子です。
ターゲットとして使うのは250m先の木です。

レンズ内を拡大するとこんな感じ。

また、ドットサイトの位置を更に遠くするとレティクルはかなり大きくなります。

同じサイズのレティクルなのに、見た目上はここまでサイズに違いが生まれます。
ただ、像の大きさと比べてもらえると分かりやすいのですが、レティクルの大きさ自体は変わっていません。

ちょっと趣旨からはズレますが、これが光学サイトのレティクルの特徴ですね。
mmとかinchみたいな長さの単位ではなく、MOA、MIL、MIADなどの角度の単位になっているのはこういう事ですね。