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ARES KAC STONER LMGをリコイル付きのファスガン専用機にしました

記事作成日:2025年1月6日

開封レビュー記事と分解レビューを行ったARES KAC STONER LMGですが、ファスガン専用機として弄っていきます。
尚、元々この銃はやりたい事があって購入したので、その「やりたい事」を実現する事を第一に組み立てていきます。

今回やりたいファスガン専用機カスタムの概要

やりたい事というのは『バレル内にリコイルウェイトを組み込む』という事です。

意味がわからないかも知れませんが、ざっくりこういう構成になります。
ピストンでリコイルウェイトを打撃し、リコイルウェイトの先端に付いているピストンヘッドでエアーを圧縮、マズル先端の小さな穴からエアーを放出するという構造です。
ファスガン専用機なので、銃口から空気が流れれば良いので、BB弾を発射するという事は考える必要が無いですからね。

今回組もうと思っている構成の概要

ピストンとリコイルウェイトを連動させない構造にしているのには、メンテナンス性を高めるのと、あまりにピストンを重くしすぎるとメカボックスへの負担が増える懸念があった為です。

この構造にする事でリコイルウェイトがファイアリングピンのような動きをするので、発射機能の一部である撃発機構に扱われる可能性が懸念されますが、流石に8.5mmという太さの真鍮丸棒をファイアリングピン扱いするのは無理があるだろうというのと、構造上発射機能の一部であるバレルに当たるパーツが存在しなくなるので、規制回避は出来ているかなと思い、この仕様で組んでみる事にしました。

この仕様がうまくいけたら非常に少ない工数で、よほど特殊なバレルの構造になっていない限り、ほぼ全ての電動ガンにリコイルユニットを組み込む事が出来そうですし、リコイルユニットの形状さえ工夫すればBB弾を発射したい時はチャンバー+インナーバレルを装着、ファスガンで使いたい時はリコイルユニットに交換という2Way運用も可能になりそうなので、まずはその検証をする為に組んでいく事にします。

2Way運用時に考えているファスガン専用リコイルユニットの概要

この仕様であれば、インナーバレルを外してリコイルユニットを組み込むだけで済むと思います。(それを想定したピストンの設計にしておく必要はありますが…)
また、ノズルに対してまっすぐリコイルユニットの棒を差し込む必要があるので、バレルを前側から挿入する電動ガンである必要があります。

尚、今回は完全にBB弾の発射を考慮していない、ファスガン専用機として組んでいきます。
まずは専用機で実用的な物になるかが問題ですからね…。

バレル回りのカスタム

という訳で、まずはバレル回りから弄っていきます。

今回、アウターバレルをシリンダー兼リコイルウェイトにしつつ、ファスガンのデバイスで空気圧の検知が出来るように弄っていく必要があります。
そして、構造上銃口はリコイルウェイトのリターンスプリングを入れる為に塞ぐ必要があります。

そこで考えたのがアウターバレルの先端にねじ切りをして、イモネジを仕込むという方法です。
アウターバレルの内径は大体9mm程度の大きさなので、そのままM10のネジ山を作り、M10x8mmのイモネジを買ってきてねじ込みました。

M10のネジ山を作る
M10x8mmのイモネジ
銃口にイモネジを取り付ける

取り付け自体は問題無さそうだったので、イモネジに穴を開けてエアーが出るようにしました。
ちょっとミスってズレた位置に穴が開いちゃいましたが、まあこれでも良いでしょう。

続いて、インナーバレルの変わりに組み込む為の真鍮丸棒を用意します。
サイズはインナーバレルの外形と同じ8.5mm、長さは390mmで重さは186g
これがアウターバレルの中で前後に動き、リコイルウェイトの役割を担います。

このリコイルウェイトを定位置に戻す役割を担う為には部屋に転がっていた外径8.6mmのスプリング(恐らくGBBハンドガン用のリコイルスプリング)を使う事にしました。
また、ピストン代わりに電動ガン用のノズル(これはARES KAC STONER LMG純正の樹脂ノズル)を使ってみました。
一応、ダンパー代わりにゴム丸板を貼り付けています。

尚、ノズルを使用したのは筒状に飛び出している部分がスプリングガイドの役割を担ってくれるからです。
ちなみに、当初ピストンヘッドは3Dプリントで作るつもりでした。

軽く動かしてみた感じ特に問題は無さそうだったのですが、樹脂製だと破損してしまう可能性があったので、強度を高める為にアルミ製の物+真ん中にパテを詰めた物に変更しました。

アルミ製ノズルに変更した状態で500発程度撃ってみましたが、特に問題は無さそうでした。

また、アウターバレルのガタ取り用にチャンバー部分には電動ガンのスプリングを少し切った物を入れています。(ちょうどよいサイズだったので…)

リコイルウェイトの動きはこんな感じ。
6.5cm程度動きます。

無負荷状態
前進させた状態

これでフロント側の加工は完了です。

このスプリングのおかげでバレルに非常に強いテンションが掛かる事になるので、アウターバレルのガタツキがある程度抑えられます。

メカボックス側のカスタムについて

続いて、メカボックス側を弄っていきます。
こちら側は基本的には普通の電動ガンのカスタムと変わらない調整をやります。

まずは軸受をメカボックスに固定します。
ARESの電動ガンは基本的に軸受けがユルユルなので、接着は必須です。
いつも通り、ロックタイト638で接着しています。

その後、ギアを組み込んでいきます。
尚、当初は11.1V運用で100:300のヘリカルギアを組み込みサイクルを落とす構成を考えていたのですが、本製品のモーターの回転数があまりに低く、11.1Vを使っても全然サイクルが上がる感じがしなかったので純正ギア(18:1)を使っています。

シム調整が出来たら一旦グリスアップをしてモーターを取り付けてギア単体での動作テストを行いました。

尚、調整中に気付いたのですが、モーターの前後位置調整用のネジを締め込み過ぎるとメカボックスとピニオンギアが接触してしまうので、本製品はあんまり調整用のネジには頼らずベベルギアとピニオンギアの当たり具合を調整した方が良いと思います。

続いて、ピストンを用意します。
今回、ピストンでリコイルウェイトを打撃する構造なので、ピストンヘッドは金属製が必須になるのと、200g弱のリコイルウェイトをスムーズに動かす為にある程度の重さも必要になると思い、重量を稼ぐ為に下記パーツを用意してきました。

  • 明日香縫製 AS 213 PW 電動ガン用ピストンウェイト ロングタイプ
  • ZC フルティース 14枚歯ピストン
  • ZC アルミピストンヘッド

といった感じの、ピストンが重くなる組み合わせになっています。
とは言え、今回は全部余り物のパーツで揃えたのでこの組み合わせになりましたが、もっと重くしても良いかも知れません。

また、この後スラストベアリングも追加しており、ピストン重量は40g程度の重さになっています。

シリンダーヘッドも加工します。
純正のシリンダーヘッドを加工して内径9mmの真鍮パイプを埋め込みました。
このパイプはリコイルウェイトをシリンダー内部につなぐ為の、地味に重要なパーツになります。

また、リコイルウェイトの打撃によってある程度ピストンスピードが減速するにしろ、かなり強い打撃がシリンダーヘッドに加わるので、ゴム板も2枚に増やしています。
AOE調整にもなりますからね。

シリンダーは加速シリンダーを前後逆にして取り付け、ピストンを常に最速で前進させられるようにしました。

これで駆動系・吸気系の調整は概ね完了。
AOEはそんなに詰めてないですが、ラックギアの加工が要らないギリギリ位な感じにしました。(ラックギアの加工面倒なので、これくらいのAOEにする事が多い)

次にトリガースイッチをオムロン製の物に変更しました。
おなじみのOMRON V-16-1 A5です。
スイッチのレイアウトは裏面に記載されています。

長い接点部を切って短くしつつ、スイッチ押下時に通電するような配置ではんだ付けします。

後はトリガー回りのパーツを取り付けてメカボックス内の調整も完了。
尚、メインスプリングは東京マルイ M4用純正比110%程度の硬さの物を選んでいます。
メインスプリングが硬ければ硬いほどリコイルも強くなる気がするのですが、ARESのメカボックスであまりに硬いスプリングを使ってしまうと、メカボックスを壊してしまったりスプリングガイドを壊してしまったりするので、控えめにしています。

その後何度か行った動作検証の中で、シリンダーヘッドに取り付けているパイプがピストンの打撃を受けてズレる事が分かったので、テープを巻いてこういう形に変更しました。
これでアウターバレルに取り付けているスプリングのテンションをパイプに掛ける事が出来るようになります。

組み上げるとこんな感じになります。

マガジンについて

マガジンはバッテリー収納スペースでしか無いので、今回中に組み込まれている給弾機構を外しただけです。
バッテリーコネクタはXT30にしています。

完成形について

という訳で、これでARES KAC STONER LMGのファスガン専用機カスタムは完了です。
バレルをワンタッチで着脱出来るので、リコイルウェイト回りのダメージのチェック、メンテナンスも容易に行えるのが、素体として本製品を選んだ理由だったんですよね。

ちなみにですが、今回は主要部品に大掛かりな加工もしていない為、一応ある程度のパーツを交換する事で普通の電動ガンに戻す事も出来ます。

動作の様子はこんな感じ。
見ての通り、結構ガツガツしたリコイルがあります。

発射サイクルは音声データから確認するに秒間14発のようです。

尚、バッテリーは11.1V 1200mAh 45-90Cを使用しています。
この電圧、Cレートでもこれくらいの発射サイクルにしかならないので、個人的には都合が良かったです。

肝心のエアー量ですが、かなり微量です。
これで検知出来るかは正直試してみないと何とも言えないんですが、これに近いエアー量のファスガン専用機をクラウン ELEX9で作っており、検知出来ていたので何とかなるかな…と思っています。(ELEX9の時よりかはエアー量と圧力がある気がする)

とりあえず試作機としては十分な物が出来たと思うので、次回ファスガンに行く際にとりあえず持っていってセンサーが反応するかどうかは確認しようと思っています。
構造的にかなり無茶な事をやっているので、何発位で壊れるのかも気になる所ですし…。