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コンパクトでシンプルなAEG用電磁弁ユニット、Backdraft Innovations Phoenix HPA Ver2 M4用を買ってみた

記事作成日:2025年1月22日

現在、Over kill@苺屋さんにて予約が行われているBackdraft Innovations Phoenix HPAですが、こちらの先行入荷分を買ってみました。
いわゆる、電動ガンのメカボックス内に組み込むタイプの電磁弁ユニットです。

今回購入したのはVer2のM4用です。
同社のノズルのバリエーションは多数存在しますが、現状コンプリート品として存在するのはVer2 M4とVer3 AKのみです。

尚、同社のオプションパーツとして様々なサイズのノズルが用意されています。

Backdraft Innovations Phoenix HPA | Over kill@苺屋https://komonono.cart.fc2.com/ca0/312/p-r-s/

内容物と各パーツの概要について

内容物はこんな感じで、電磁弁ユニット本体とケーブル・ホース類、FCU、トリガーボード、カプラーです。
カプラーはBackdraft Innovations純正の物とは別に、Over kill@苺屋さんの予約特典であるサンプロジェクト製カプラー(PISCO)対応のプラグも付属しています。

Backdraft Innovations Phoenix HPA本体はこんな感じ。
よくあるガスタンク、ノズル、ソレノイドバルブが一体型のユニットになっているタイプで、ソレノイド用の配線が下側に伸びています。

ノズルはPOM製でしっかりした強度があり、ツルツルした表面になっています。
ノズルは後退待機仕様で、ガスルートの開放と同時にノズルが前進、給弾を行います。

FCUとトリガーボードはこんな感じ。
共に非常にコンパクトです。

トリガーボードはこんな感じで、トリガー用のスイッチとセレクタープレート用のスイッチが1個ずつ付いているだけの非常にシンプルな構成。
チップ類は一切無く、スイッチが付いているだけなので、別のボードを自作してVer2以外のメカボックスに組み込んだりする事も容易に出来そうですし、このトリガーボードも使用されていないスイッチ用の接点っぽい物が2つ存在しています。

FCUはこんな感じで、熱収縮チューブ+グルーガンによって基板の主要部が覆われて居るので確認は出来ませんが、FETやダイオード、マイコン的な物が配置されている物と思われます。

また、FCUには小型なボリュームが2つ付いており、小さなマイナスドライバーで回す事で、ガスの放出量(放出時間)とフルオートの発射サイクルを調節する事が出来るようになっています。
DWELLと書かれているボリュームがガスの放出量(放出時間)調整、DELAYと書かれているボリュームのがフルオートの発射サイクル調節です。

ホースとプラグはそれぞれこんな感じ。
ホースは6mmホース、プラグはBackdraft Innovations Phoenix HPA純正の物が金色の海外でよくある大型なプラグが付属品となります。
今回はOver kill@苺屋さんの予約特典であるサンプロジェクト製カプラー対応(PISCO規格)のプラグ(銀色のプラグ)も付属しているので、今回はこちらのプラグを使用してレビューしていきます。

信号線はこんな感じで、配線は編まれており、末端にはトリガーボード、FCU、バッテリー用のコネクタが付いています。
尚、バッテリー用コネクタはコンパクト電動ガン用LiPoバッテリーとかで採用されている、JST BECコネクターになっています。

ケーブルの全体
バッテリーコネクタとFCU用のコネクタ
HPA側とトリガーボードに繋ぐコネクタ

配線自体は結構長いので、ストックチューブ内に通したりも出来ますね。
というか、ストックチューブに配線を伸ばす為の長さになっているような気がします。

HPAの内部について

電磁弁ユニットを分解して内部構造を見ていきます。
まず、パーツ構成としてはシリンダーを兼ねている『ノズル部』とガスルートの開閉を行う『ソレノイドバルブ部』に大きく分ける事が出来ます。

ソレノイドバルブはこんな感じで、電磁石が内蔵されていると思われるガワと、ガスルートの開閉をする為に動くバルブ本体の2つのパーツで構成されています。
バルブには気密を保つ為にウレタンっぽい材質の茶色いゴムパッキンとリターンスプリングが付いています。

ノズル部はこんな感じで、POM製ノズルに気密を取る為のOリング、リターンスプリングが付いています。

このノズル外周はガスタンクになっており、ガスタンクに蓄えられたガスがソレノイドバルブが動く事でノズルに流れ込むという構造になっています。
上の穴がガスルート、中央の穴がソレノイドバルブによって通常は塞がれている穴で、ノズルの内側に繋がっています。

まあ、この構造はAEG用HPAユニットの多くで採用されている構造なので、特に目新しい物では無いですが、見た感じWolverine Airsoft製のHPAユニットに比べるとガスタンクのサイズが小さいような気がします。

HPAユニットの組み立てについて

まずはHPAにホースをつなぎます。
ホースは写真のように前側に向ける事も出来ますし、後ろ側に向ける事も出来ます。
何なら、横に向けたりとか、自由な方向に向ける事が出来ます。

ホースの先端にサンプロジェクト製カプラー対応のプラグを差し込みます。
一応、サンプロジェクト製カプラーへの取り付けも試してみましたが、ロックもちゃんと行われました。
このあたりは特に問題無さそうです。

続いて、ケーブルをトリガーボードとFCUを繋げていきます。
コネクタは全部異なっており、挿さる所にしか挿さらないので困る事は無いと思います。

バッテリーを繋ぐとこんな感じ。
今回は7.4V 300mAhのLiPoバッテリーを繋げました。

動作の様子について

一旦この状態で動作させてみます。
というか、電磁弁って組み込んでしまうと全く動きを見る事が出来ないので、この状態で動作させないと「こういう感じで動きます」というのが説明出来ないんですよね…。

まずは出荷状態での動作の様子から。
どうやら、セレクタープレート検知スイッチが押されるとフルオート、押されていないとセミオートのようです。

電子的なセーフティ状態は存在しないので、SAFE状態にするには物理的な物を組み込む必要があります。(普通にVer2メカボックスに組み込むなら、Ver2メカボックス用の物理セーフティが使える)

ガスの放出量(放出時間)を弄るとこんな感じ。
ここを回す事でソレノイドバルブが開放される時間が変わり、長くすると長時間開放され、短くすると直ぐにガスカットされるようになります。
燃費と初速に直結する機能ですが、あまりに絞りすぎると弾が出なくなる可能性がありますし、最大放出量で初速調整とかをやっておかないといけないので、基本的に調整中は最大状態にしておくのが良いと思います。

最後にフルオートのサイクルの調整です。
この調整はソレノイドバルブの再開放タイミングまでの時間を調整する物で、セミオートの動作には影響を及ぼさない物になります。
最大速度にするとほぼ常時開放しているような状態になり、えげつない速度でガスを消費する上にノズルの動きも速すぎてまともに給弾出来なくなると思います。
逆に速度を落とす事でガスタンク及びガスボンベの冷えを抑え、安定した動作をさせやすいので、調整中は一番遅い状態にしておくのが良いと思います。

電動ガンへの組み込みについて

という訳で、こちらのHPAユニットを組み込んでいきます。
今回の素体はG&P SMG 9mm GP293です。
実は別の事をやろうとして分解したまま放置していた物ですが、それを後回しにして本HPAを組み込んでいく事にします。
また、組み込まれているバレルがルーズバレルかつ短めな為、電磁弁を素組しても初速の問題が起きにくい構成という理由もあります。

電動ガンのメカボックス内には色々なパーツが存在しますが、本製品を組み込む際に使用するのは下記のパーツのみです。

  • メカボックスのガワ
  • セレクタープレート
  • 物理トリガーセーフティ
  • トリガー、トリガースプリング

また、ストックを固定するのにピストンスプリングガイドが必要な場合はピストンスプリングガイドも必要になります。

まず、メカボックスにトリガーボードを取り付けます。
トリガーボードは非常にコンパクトで、メカボックス毎の相性は受けにくい形のように思えます。

ただし若干固定が頼り無く、ネジを締め込んだ状態でも少し動いたりするのでガッチリ固定する為にプリント基板にプラ板を貼り付けたりして大きさを調節してメカボックスにフィットするサイズにした方が良い気がします。

このタイミングでセレクタープレートがちゃんと検知スイッチを押す事が出来ているかを確認しておきます。
これを怠るとフルオートが撃てなくなりますからね。

尚、物理セーフティは手元に無かったので今回は取り付けていません。
セレクターレバーをSAFEに入れてもトリガーが引けてしまう状態になるので、普通に使うならちゃんと組み込んだ方が良いです。(今回は検証用に組み込んでいるだけなので、セーフティ無しで組み込んでいきます)

続いて、トリガーを組み込みます。
トリガーは一般的な電動ガン用トリガーであれば無加工で使う事が出来ます。

ただし、素組み状態だとトリガーとスイッチの間に結構大きな遊び(赤矢印部)があるので、トリガーストロークを詰めたい人はトリガーストロークの調節が可能なトリガーを使うか、トリガーにプラ板を貼り付けて初期位置を変えるか、自分のようにメカボックスにイモネジを組み込んで調整するのが良いと思います。

スイッチが押されるまでに結構隙間がある
イモネジを締め込んでストローク調整
(このギミックは以前弄った際に加工して追加している物)

続いて、コネクタを繋いでHPAデバイスを取り付けます。

信号線が束になっている+熱収縮チューブで覆われているという構造上、結構固い上に長いので配線の取り回しに少し苦労します。
また、束になっている配線が結構分厚いので、メカボックス後部に伸ばす事が出来なかったので、グリップ側に伸ばす事にしました。

ケーブルが硬いので取り回しは少し大変
微妙にケーブルが通らない

正直、HPA専用機として使うつもりなら、がっつりメカボックスを加工しちゃった方が良いと思いますが、今回は普通の電動ガンに戻す予定があるのと、あくまでテスト用に組み込んだだけなので、メカボックスの加工は行いません。

長い配線を切って短くする事もせず、メカボックス内部に無理やり収めようとするとこんな感じに。
ピストンスプリングガイドも取り付けてメカボックスを閉じます。

一旦この状態でトリガーストロークの最終調整を行います。

結果、こんな感じになりました。
あまりにストロークを短くし過ぎると誤爆しやすかったので、これくらいにしておきました。

初期位置
スイッチが押された瞬間
トリガーを限界まで引いた状態

重ねるとこんな感じ。

メカボックスをレシーバーに取り付けて、グリップを取り付けます、
ホースと信号線を同時に通しても問題無くグリップを取り付ける事が出来ましたが、グリップを差し込む際にFCUは外す必要がありました。

ロアレシーバーが出来上がったら最終的な動作チェックを行い、問題無さそうだったので全部組み立てました。

尚、バッテリーとFCUはちゃんとグリップ内に収まります。
これでグリップからホースが飛び出しているだけの状態になります。

初速と発射サイクルと燃費について

最後に、初速と発射サイクルを測っていきます。
検証に使用したレギュレーターはサンプロジェクト SP-12000(ガスボンベはCO2 38gテトラボンベ)、BB弾は東京マルイ 0.20g 樹脂弾です。

尚、バレル回りは以前のセッティングのままで、インナーバレルはPDI 6.15mmの210mm、HOPパッキンはLayLax プロメテウス HOPテンショナー ブリッジタイプと東京マルイ製HOPパッキンをスリック化加工した物、チャンバーはAce1Arms ポリカーボネイトチャンバー(A-HCG2-M4P)です。

電動ガン用で使っていたチャンバーとの相性も特に無く、そのまま問題なく給弾・射撃を行う事が出来ました。

まずはセミオートにして放出時間を一番短くした状態と長くした状態の計測。
限界まで短くするとBB弾が発射されず、バレル内にBB弾が溜まってしまうような状態だったので、ギリギリ弾が撃ち出せる量にした状態を最短としています。

放出時間最短状態(最低初速)
放出時間最長状態(最大初速)

初速自体は基本的に1m/s以内に収まっており、かなり安定していました。
初速を上げるならバレルをタイトめにしたり、長くしたりとかをすれば良いと思います。

続いて、発射サイクルの変更を試してみました。
サイクル最低の状態で秒間11.7発、最大にすると給弾が出来なかったので給弾出来るギリギリを攻めた所17.7発でした。
ダイヤルを半分程度までしか動かしていない状態でこのサイクルなので、この数値は給弾の良い製品で行えばもっと上がると思います。(カタログスペック上だと秒間40発を超えるサイクルが出せる模様)
※フルオートの検証前に少しボンベを温めた事もあり少し初速が上がっています

なお、電磁弁で非常に高い発射サイクルを実現するにはそれ相応のガス圧が必要になる事もあるので、サンプロジェクトのような0.5MPaが上限の外部ソースユニットを使った場合、限界があると思います。

最後に燃費についてですが、放出時間最大の状態でセミオートのみの運用だと38gボンベで380発程度(1秒に1発ずつ射撃を行い、ガス圧が5気圧を切る状態になるまで射撃)でした。

しかし、フルオートを使うともっとも遅いサイクルであっても急激にガスタンクが冷えてしまい、燃費はかなり悪くなります。
それこそ100発撃てるかどうかレベルです。

同様にセミオートを連射しまくってもガスタンクの冷えにより、燃費は悪くなります。

その為、セミオート連射及びフルオート運用をするなら更に大きなボンベを使用するか、冷えに対する対策を取る必要があると思われます。
夏場とかは特に気にしなくて良いかも知れませんが…。


という訳で、コンパクトでシンプルなAEG用HPAデバイス、Backdraft Innovations Phoenix HPA Ver2 M4用のレビューは以上になります。

現在、二月下旬入荷予定で予約中なのでご興味のある方はこちらから是非。

なお、自分はこのHPAを別の銃に組もうと思っているので、それはまた後日記事にします。
メカボックスの大加工とトリガーボードを作ったりしないといけないので、時間が掛かると思います…。

Backdraft Innovations Phoenix HPA | Over kill@苺屋https://komonono.cart.fc2.com/ca0/312/p-r-s/