
小さくなった1倍パラゴン、VectorOptics Paragon 1×18 X-Micro(SCPS-M10)のレビュー
記事作成日:2025年3月11日
つぼみトレードカンパニー様からのご依頼でVectorOptics Paragon 1×18 X-Micro(SCPS-M10)のレビューを行います。
本製品は同社製1倍プリズムサイト、Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01を小型・軽量化したモデルでSCPS-M01と比べてアイボックスが更に広くなっているのも特徴の製品となります。


ベクターオプティクス Vector Optics Paragon 1x18 X-Micro SCPS-M10【2024年モデル】パラゴンマイクロプリズムサイト
付属品の紹介
内容物はこんな感じで、プリズムサイト本体とライザープレート、ライザープレート用のネジ4本、調整工具、説明書類、クリーニングクロス、保証書となります。


付属のドライバーはこのような形で、両端がトルクスドライバーとマイナスドライバーになっています。
トルクスドライバーはマウントベースの着脱に使用し、マイナスドライバーはゼロイン調節に使用します。

サイト本体の外観紹介
という訳で、Paragon 1×18 X-Micro SCPS-M10の外観を見ていきます。


全体的に丸みを帯びた形状になっており、雰囲気としてはTrijicon MROみたいな感じです。(大きさはMROより少し小さい)
T1系ドットサイト(HOLOSUN HS403A)と比較しても本製品の小ささが分かると思います。


重量も183g(電池入り)と結構軽いです。

対物レンズ側はこんな感じで、側面にスリットが入っており、上側は若干サンシェード/レインガードのような感じで飛び出しています。

電池ボックスはハウジング左側に付いており、若干飛び出しています。
上面にはVector Opticsの金色エンブレムが埋め込まれています。


バッテリーはCR2032電池を1つ使用します。(電池は付属しないので、別途用意する必要があります)
尚、本製品はプリズムサイトなので電池が無くてもレティクルの表示は可能です。
電池はレティクルを発光させるのに使用します。


上面には+、-ボタンが付いています。
ボタンはラバーで覆われており、しっかりとしたクリック感と程よい硬さがあります。

ボタンの操作は下記の通り
- +単押し:電源ON/輝度UP
- -単押し:電源ON/輝度DOWN
- +長押し:イルミネーションの色変更(赤・緑切り替え)
- -長押し:電源OFF
右側面はこんな感じで、輝度調節ボタン脇にVector Opticsのロゴと、対物レンズ側に1×18と文字が印字されています。

エレベーションダイヤルとウィンテージダイヤルはそれぞれこんな感じ。
1クリックあたり1MOA動き、最大で上下左右に100MOA動かす事が出来ます。


ダイヤルはマイナスドライバー及び付属のドライバーを使って回す事が可能です。
カチカチとした程よいクリック感があるダイヤルで、緩すぎず硬すぎずな感じです。

接眼レンズ側はこんな感じ。
ディオプターが付いており、限界まで回すとかなり飛び出します。


マウントベースはこんな感じで、側面からネジ止めする仕様のハイマウントが付いています。
本マウントの高さはAbsolute Co-Witness(約1.4インチ)となっています。


こちらのマウントはピカティニーレール用の物になるので、溝が特殊なピッチの製品に関しては取り付ける事が出来ないので注意が必要です。

マウントベースをハウジングから外すとこんな感じ。
SCPS-M10のフットプリントはAimpoint micro T1/T2系と互換がありますが、ハウジングの高さはmicro T1/T2系と異なる為、例えばmicro T1/T2用の1.4インチマウントベースと組み合わせても1.4インチの高さになる訳では無いので注意が必要です。

また、マウントベースの前後・左右の長も異なっているので、既存のmicro T1/T2マウントベースと組み合わせるとマウントベースの前後左右が少し飛び出して見た目がちょっと微妙な感じになります。
見た目の話なので、実用上の問題は無いです。



付属のライザープレートを挟み込む事でマウントの高さをLower 1/3 Co-Witness(約1.5インチ)にする事が可能です。
尚、ライザープレートを使用する場合は付属の長いネジが必要になります。


ライザープレートを取り付けるとこんな感じ。


レンズコーティングとレティクルについて
対物レンズ、接眼レンズ共にグリーンマルチコートが施されています。
対物レンズ側はしっかり緑〜黄緑系ですが、接眼レンズは若干青っぽさもあります。


内部にはプリズムの構造が確認出来ます。


覗いた時の様子はこんな感じ。
アイレリーフは実測で100〜160mm程度あり、170、180mm程度離すとようやく少しケラれ始めるという状態でした。

近づけた状態と離した状態はそれぞれこんな感じ。
それぞれ20mm程度まで近づけた状態と300mm程度まで離した状態です。


イルミネーションを点灯させるとこんな感じ。
色は赤と緑に選択が可能ですが、緑色の方は少しにじみがあったり輝度を下げても妙に明るかったりとちょっと気になる所がありました。


銃に取り付けた際の見え方について
という訳で、M4系の銃のトップレールにSCPS-M10を取り付けてみました。
尚、ストックを2ポジション程度伸ばした状態で適切に覗ける位置にサイトを置いており、サイトの高さを分かりやすくする為にアイアンサイトも展開しています。
まずはライザープレート無しの状態から。
アイアンサイトとプリズムサイトの中央が一致する高さになっている事が分かります。
※赤線がアイアンサイトの位置


続いて、ライザープレートを取り付けた状態での見え方。
アイアンサイトよりも少し高い位置にプリズムサイトの中央が配置されます。


レンズの歪みとパララックス計測
最後にいつものレンズの歪みやパララックス検証を行っていきます。
まず、2.5mの距離から普通に覗くとこんな感じで、歪みは全く確認出来ません。
この距離で歪みが気にならないという事は、かなり像の精度が高そうです。

視野角もかなり自然な感じで、両目照準時にも違和感の無い見た目です。
アイボックスの広さも相まって、ドットサイトに近い感覚でサイティングする事が出来ると思います。
視点を上下左右に動かすとこんな感じ。
ケラレ方が上下左右で若干異なるので、厳密な比較が出来ていませんが、アイボックスのギリギリで覗いても基準の円からレティクルが飛び出すような事は無く、歪みもそれなりに抑えられていると思います。

という訳で、VectorOptics Paragon 1×18 X-Micro(SCPS-M10)のレビューは以上になります。

アイボックスの広さとその割に歪みが少ないというのはかなり大きなメリットになるのでは無いでしょうか。
ちょっと残念だったのは発光レティクルの緑色があんまり綺麗では無いという点ですが、本来赤色の発光レティクル用に調整されている仕様の製品だと思うので、緑色のレティクルで本領発揮が出来ないのは仕方がないかなとも思います。(赤レティクル、緑レティクルで適切なレンズコーティングは変わる)
それ以外は特段光学サイトとして不満の無い製品になっていると思います。
つぼみアームズでの販売価格が22,200円(2025年3月現在)と、かなり安価な価格の割には良く出来ている製品だと感じました。
ベクターオプティクス Vector Optics Paragon 1x18 X-Micro SCPS-M10【2024年モデル】パラゴンマイクロプリズムサイト