
Wolverine/EMG TTI JW4 Dracarys Gen-12 MTWの分解レビュー
記事作成日:2025年8月12日
Over Kill@苺屋さんからのご依頼で、開封レビュー記事を書いたWolverine製の8発動時発射 HPAショットガン、『Wolverine/EMG TTI JW4 Dracarys Gen-12 MTW』を分解していきます。

尚、本製品のパーツには一部インチネジが使われているので分解の際にはインチドライバーもあると良いかも知れません。
一応、ミリ規格やトルクスのドライバーでも回せましたが…。
自分が分解したパーツでインチネジが使われている箇所は、
- ハンドガード(ミリ規格でも近似サイズなら回せる)
- HOPダイヤル(ミリ規格でも近似サイズなら回せる)
- マグウェル(トルクスで無理やり回せる)
- グリップ(トルクスで無理やり回せる)
の4箇所でした。
テイクダウン
という訳で、まずはアッパーとロアーを分離させます。
テイクダウンピンを外し、ちょっとだけ開けます。
この状態でソケットロックボタンを押しながらソケットをグッと押し込みます。


これでソケットがロアレシーバーから抜けるので、後は普通にピポッドピンの方も外してアッパーとロアーを分離させます。


アッパーレシーバー側の分解とハンドガードの取り外し
Wolverine/EMG TTI JW4 Dracarys Gen-12 MTWのアッパーレシーバーはこんな感じ。

MTWのアッパーレシーバーにはFCUと接続する為の接点が付いているのが特徴です。
配線を固定するのに使われている銀色のナベネジが接点です。

尚、分解にあたってボルトハンドルを外しておいたのですが、ボルトの分解をしないなら別に外す必要は無いです。

という訳で、まずはハンドガードを外していきます。
ハンドガードは左右に付いている4本x2のネジで固定されているのとHOP調節ネジがハンドガードを貫通する形でチャンバーまで伸びているので、ハンドガードを外す際にはHOP調節ネジを外す必要があります。


ハンドガード側に残っているアウターバレル+マズル部にはバレルスペーサーが埋め込まれており、このスペーサーのせいでそのままではバレル長を伸ばす事が出来なくなっています。
スペーサーの内部が段付きになっており、途中からインナーバレルの外形よりも細くなっているんですよね。


インナーバレルのオプションパーツもOver Kill@苺屋さんの方で用意する予定があるとの事です。
もしインナーバレルを伸ばす事ができればより集弾性を上げる事が出来るでしょう。
また、ハンドガード先端部に残っているアウターバレル+マズル部は、かなり硬く固定されているので簡単には外せそうにありませんでした。
引っ掛けるような部分も無く、力を加える事が出来ないんですよね…。

もしかしたらネジロック剤も併用している可能性があるので、ヒートガンで炙るなりする必要があるかも知れません。
ハンドガードに付いているアウターバレルを外したい場合はOver Kill@苺屋さんにご相談下さい。
尚、ハンドガードを取り外すとHOP調節用のプランジャーが外れます。

ハンドガードを外す事でアウターバレルとバレル基部を確認する事が出来ます。
AR15レシーバーと異なり、バレルナットなどは付いておらず、アッパーレシーバーにアウターバレルの基部がねじ込まれている仕様になっています。
尚、アウターバレルは樹脂で出来ています。



続いて、バレル・チャンバーを取り外すのですが、本製品のバレルは電磁弁ユニットと一体型になっているので、電磁弁ユニットごと取り外す必要があります。
まず、接点が付いているプラスチックの板をレシーバーから取り外し、レシーバー内側に収め、内部パーツと一緒に抜き取れる状態にします。
もしくはこのタイミングでケーブルを引っ張ってコネクタから外してしまっても良いと思います。
※ケーブルを引っ張る際はまっすぐ後ろ側に引っ張る必要があります。



尚、端子として使われているネジは外さない方が良いです。
配線がネジと一緒にネジ穴にねじ込まれている仕様上、着脱を繰り返すと断線してしまう可能性があるので、あまり触らない方が良いでしょう。
その後、インナーバレルを引っ張れば電磁弁ユニットを抜く事が出来ます。

また、給弾ルートと、電磁弁ユニットの後ろに付いているスペーサーも取り外す事が出来ます。


ボルトは内側からネジ固定されているので、これらを取り外す事で分解する事が出来ますが、外しても特に確認出来る物は無さそうだったので外しません。


HPAエンジン(HAVOC)とバレル周りの分解
という訳で、本製品に搭載されている特殊な電磁弁ユニット、HAVOCと一体型になっているバレル周りを分解していきます。
このユニットは電磁弁、ガスルート、給弾ルート、チャンバー、インナーバレルが一体型になっているのが特徴です。

ユニット後部はこんな感じで、電磁弁本体がむき出しになっています。
ここにFCUに繋がる端子が繋がっています。

ちなみに、HOP-UPパーツもこのユニットに組み込まれており、最初の方に外したHOP調整ネジを取り付けるとこんな感じになります。
尚、このネジを締め込むと内側に組み込まれるゴムチューブが押され、HOPパッキンが押し出されるという構造になっているようです。


まずはインナーバレルから外していきます。
インナーバレルは前側左右に付いている2本のネジで固定されています。
ここには「DO NOT OVERTIGHTEN SCREWS!」と注意書きのシールが貼られている通り、締め込みすぎ注意です。
緩み止めに軽めのネジロック剤が塗布されていました。


この状態でインナーバレルを引っ張れば抜けるのですが、かなり硬いので慎重に抜く必要があります。
無理に引き抜くとHOPパッキンを損傷させかねないので慎重に…。

また、インナーバレルの上下にネジを締め込んだ時に付く傷が付いている事から、ネジで直接バレルを抑えているようです。
締め込みすぎ注意のシールは、締め込みすぎるとインナーバレルを変形させてしまうからでしょうね。
HOPパッキンを外すとこんな感じ。
気密を取るためと思われるOリングが3つも付いています。
1つはHOPパッキンの内側、2つは外側に付いています。

インナーバレルは電動ガン用の物に近いですが、HOP窓の脇にOリングを取り付ける為の溝が付いているのが特徴です。
バレル長は207mm程度、真鍮製です。


HOPパッキンはこんな感じで、電動ガン用のパッキンの口の部分を切ったような形をしています。
凸形状もシンプルな感じですが、硬度は少し高めな感じです。(60〜70度程度)



続いて、電磁弁側と給弾ルート側を分離させます。
中にはスプリングが組み込まれています。

電磁弁側はバルブが確認出来ます。
給弾ルート側は専用のナットで固定されており、専用工具が無いと分解する事が出来ない構造になっています。
また、見ての通りローディングノズルにあたる物はありません。


マガジンから給弾ルートに流れ込んだBB弾は、マガジンスプリングのテンションでHOPパッキンの手前まで誘導され、放出されたガス圧によって撃ち出されます。
その為、HOP量を0にするとBB弾が銃口から流れていってしまいますし、ガス圧が低いと8発のBB弾を発射する事が出来ません。
これはインナーバレルが付いている側から見た給弾ルートの写真です。
青色のパーツが給弾ルートで、真ん中に開いている四角い穴がガス放出孔だと思います。

尚、この給弾ルートを分解する場合は注意が必要で、組立時の位置合わせがかなりシビアなようです。
給弾ルートがズレて付いてしまったりすると給弾不良を発生させたり初速に影響が出る事もあるようなので、組み立てに自身が無いなら基本的には触らない方が良い部品な気がしますし、そもそも専用工具が無いと分解するのも困難だと思います。(カニ目レンチとかで無理やり開ける事も出来ますが…)
ロアレシーバー側の分解
続いて、ロアレシーバー側を分解していきます。
ロアレシーバー内側はこんな感じで、本来ハンマーやシアーなどが組み込まれている所に電子基板が入っています。

基板はこんな感じ。
HPAユニットへの接点と繋がる所はスプリングになっており、脇に使用されていないコネクタが付いています。
また、最終弾検知スイッチとボルトリリースボタンのスイッチも確認出来ます。



ボルトリリースボタンのスイッチは常に押しっぱなし(ON)の状態になっています。
ボタンを押すとスイッチがOFFになります。


という訳で、ロアレシーバーに付いている外装パーツから外していきます。
まず、マグウェルアダプターを固定している3本のネジを外し、マグウェルを取り外します。(インチ工具が必要)

マグウェルアダプターを外した状態のロアレシーバーはこんな感じ。


続いて、グリップを外します。
グリップを固定するのに使用しているネジもインチネジでした。

グリップとレシーバー側の基部はこんな感じでグリップには電源を通す為の穴が開けられており、レシーバー側の基部も後ろ側が切除されています。
もしグリップを交換したいならこの穴を開ける加工が必要になりますね。
もしくは配線をグリップ内に伸ばさないようにレイアウトを変更するか…。


尚、グリップにはセレクターレバー用のプランジャースプリングが収まっています。
グリップを外す事でセレクターレバーがユルユルになるので、このタイミングで外しました。
セレクターレバーはシャフト部にレバー部がネジ止めされており、どちらを外しても取り外す事が出来ます。


続いて、ストックを外しました。
BCMのストックはボタンを押しながら棒を穴に差し込み、引っ張れば外せます。

ストックチューブはこんな感じ。
6ポジションのAR15用ストックが付いています。


このストックチューブは実物なんじゃないかと思います。
アメリカだとわざわざレプリカを作ったり用意するよりも安価なメーカーの実物バッファーチューブを使った方が安上がりになる場合があります。
ストックチューブナットを緩めてストックとエンドプレートを外します。
エンドプレートは2分割になっており、樹脂製のソケット固定部とワッシャーのような金属リングが付いています。


エンドプレートに付いているソケット固定部の動きはこんな感じ。
ボタンを押す事でロック機構が引っ込みます。


尚、Over Kill@苺屋さんの方で行っている、ホースをエンドプレートから出す仕様にカスタムする場合は、強度とホースの角度の都合でGBB用のQDエンドプレートに交換するそうです。
続いて、ボルトリリースボタンを外しました。
ボルトリリースボタンはピンを固定しているイモネジを緩めてからピンを抜くと外れます。


続いて、マガジンキャッチボタンを外しました。

基板(FCU)とトリガーの取り外し
最後にハンマーピンとトリガーピンを抜きます。
尚、基板はハンマーピンでのみ付いているので、基板を外すだけならハンマーピンを外すだけで良いです。


むしろトリガーも同時に外すとトリガースプリングが暴れるので先にハンマーピンだけ抜いて基板を取り外してからトリガーを外した方が良いと思います。
基板はこんな感じ。
左側にはスイッチやらコネクタ、色々な素子やらマイコンやらが付いています。
裏面は絶縁テープが貼られています。


トリガーはこんな感じで、かなり特徴的なデザインのトリガースプリングが付いています。
このトリガースプリング1つでトリガーピン・ハンマーピンを抑える構造になっているので、こういう特殊な形をしているのでしょう。

トリガー本体はこんな感じで、MTW系専用形状になっています。


トリガースプリングはこんな感じ。

基板やトリガーなどが外されたロアレシーバーはこんな感じ。

という訳で、Wolverine/EMG TTI JW4 Dracarys Gen-12 MTWの分解レビューは以上になります。
正直、至る所のパーツが専用品なのと簡単には分解出来ない箇所(給弾ルートなど)があるので、弄るにはそれなりの技術力と工具が必要になると思います。
今回は借り物なので、なるべく無茶しない形で分解を進めていきましたが、その範囲で弄れる内部と言えば、インナーバレル周りとHOP周り位な気がします。
もし分解やカスタムに関して気になる事があれば、Over Kill@苺屋さんにご相談頂くと良いと思います。
そういう相談にも対応もして貰えるそうです。

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