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Vector Optics/Owlset VEOT-RS08 小型サーマルサイトの先行レビュー

記事作成日:2025年11月18日

サーマルイメージャーやデジタルナイトビジョン製品などと発売しているOwlset製品の最新小型サーマルサイト、『Vector Optics/Owlset VEOT-RS08』のサンプル品をつぼみトレードカンパニー様よりお借りしたので、先行レビューという形で紹介していきます。
尚、OwlsetはVector Opticsのサブブランドになります。

今回お借りしている物はサンプル品という事もあり、パッケージは無印の簡素な物で付属品も製品のみとなっています。
実際の製品版とはパッケージや内容物が異なる可能性がありますのでその点はご了承ください。
また、販売価格に関しては現在調整中との事で、未定となっています。

本製品は熱源を映像化するサーマルイメージャー(サーマルカメラ/サーモグラフィーカメラ)と呼ばれる製品になります。

私たちが普段見ている可視光域の波長や、ナイトビジョンなどで可視化出来る近赤外線域の波長ではなく、より波長が長い遠赤外線域の波長をセンサーで検出し、そのデータを元に映像化を行う機器になります。

これにより、明るかろうが暗かろうが、何なら霧や雨などで視界不良が発生している状況でも物体(熱源)を視認する事が出来るというのがこのサーマルイメージャーの特徴かつ強みで、例えば協力な可視光ライトで照らされたとしても標的を見失う事はありません。

本製品は非常に小型なハウジングサイズで、ハンドガンに取り付ける事も可能な大きさ・重さになっているのが特徴になります。

まずは基本スペックから。

  • センサー解像度:256x192px
  • NETD(分解能):≦25mK
  • 素子ピッチ:12μm
  • 動作波長:8〜14μm
  • フレームレート:50Hz
  • 焦点距離:13mm
  • FOV:13.5°x10.1°
  • フォーカス距離:5m〜∞(固定フォーカス)
  • キャリブレーション距離:10〜25m
  • 最大検出距離:対人/614m、車両/1625m
  • 認識検出距離:対人/153m、車両/343m
  • スクリーン性能:360x320px 1.41インチ OLED タッチパネル
  • 倍率:1x or 2x(デジタルズーム)
  • 録画機能:JPEG/MP4(音声無し)
  • 録画メモリサイズ:16GB
  • バッテリー:16280 リチウムイオン二次電池
  • 入力端子:USB Type-C(5V)
  • 稼働時間:3.5時間
  • 本体サイズ:50x38x44mm
  • 重量:≦113g(バッテリー無し)
  • 防水/防塵、耐衝撃性能など:IP67、ESD 4KV、≧600G
  • 動作可能温度:-20〜60℃

分解能自体は低くはないものの、センサー解像度は低めでFOVも狭いのであらゆる用途に対応出来る、汎用的な製品というよりもかなり限られた状況で使える製品といった感じです。

ただ、その分解能の高さ故に最大検出距離は人サイズで614m、車両サイズで1625mもあるのが特徴です。(ただし、最大検出距離というのは1ドットでも写る距離という事なので、614m先の熱源が人であると認識する事は不可能)

また、フレームレートも50Hzと十分に滑らかな描画を可能にしているので、手持ち運用も特に問題は無いスペックがあります。

それと、本製品はWiFi搭載モデル・非搭載モデルの2種類が発売される可能性があるとの事で、もしかしたらWiFi搭載モデルに関してはスマホアプリなどとの連携が出来るかも知れません。(この辺りの詳細は確定情報ではありません)
尚、今回お借りしているサンプル品に関してはWiFiは搭載されていません。

外観について

ではVEOT-RS08の外観を見ていきます。

尚、ハウジング上部にはサンプル品故にMACアドレスが記載されていたので、一応モザイク処理をしています。

外観はこんな感じで、箱型のデザインをしています。
ハウジングの材質はA7075-T6となっており、軽量かつ頑丈なハウジングとなっています。

本体重量はバッテリー(16280)込みで140gです。

対物レンズはこんな感じで、コーティングが施された曲面の大きなゲルマニウムレンズが付いています。
レンズ固定部の内側にはねじ切りが施されているので、キルフラッシュなどを取り付ける事は出来そうですが、対応品が発売されるかは不明。
尚、ゲルマニウムレンズは光を透過しないのでレンズの奥は視認できません。

サーマル製品は遠赤外線域の波長を捉える必要があるという製品の仕様上、レンズ保護に悩まされる事が多いです。

光学サイトのレンズガードで一般的なアクリルやポリカーボネートのレンズガードは遠赤外線を透過しない為、使えません。(何も映らなくなります)
ガラスも同様です。

もし自作以外の方法でレンズ保護を行うなら、専用キルフラッシュやゲルマニウムレンズガードの登場を待った方が良いでしょう。

ハウジング左側面には▲▼と入っている2つのラバー製ボタンとバッテリー収納スペースが付いています。
ボタンの仕様については後述します。
バッテリー収納蓋の下には製品名が記載されたシールが貼られていますが、恐らくこのあたりは製品版では刻印になるんじゃないかと思います。

バッテリーは16280 リチウムイオン二次電池を使用します。
付属するのか別売なのかは未定との事ですが、このサイズのリチウムイオン電池はかなり特殊なので注意が必要です。

調べた限り海外通販(AlibabaやAliExpressなどの中国系ECサイト)を使わない限り入手性はかなり悪そうです。

尚、推奨はフラットトップの16280です。
ボタントップでも取り付けは可能かも知れませんが、スプリングを大きく圧縮してしまい戻らなくなってしまう可能性があるので、出来ればフラットトップの方が良いと思います。
※フラットトップというのは+側が飛び出していないタイプの製品です。

16280はCR123Aタイプと紹介されている事もありますが、全然大きさが違っているので注意が必要です。

左から16280(フラットトップ)、CR123A、16340(ボタントップ)
16280を入れた状態
CR123Aを入れると大きく飛び出し、蓋が閉められない

ハウジング右側はこんな感じで、Owlsetのロゴと「THERMAL SIGHT」と記載されています。
また、USB Type-Cコネクタが付いています。
このUSB Type-Cはバッテリーの充電と内蔵メモリのデータ転送に使用します。

本製品はモニターを見るタイプの製品なので対物レンズは付いておらず、スクリーンが付いています。
このスクリーンの上部には輝度センサーが付いており、自動輝度調節に使用されます。

フットプリントと対応マウントについて

本製品はAimpoint ACROシリーズと互換性のあるフットプリント、VODフットプリントが採用されています。

尚、製品版ではどういう内容物になっているのかは不明ですが、もしマウントベースが付属せず20mmレールに取り付けたい場合は別途ACRO用かVOD用の20mmマウントベースを購入する必要があります。

左から順に、ACRO P2(レプリカ)、SCRD-75、VEOT-RS08です。

Aimpoint ACRO用マウントベースに取り付けるとこんな感じになります。

左右はマウントから大きく飛び出しますが前後はAimpoint ACROとほぼ同じサイズなのでマウント内に概ね収まっています。

ハンドガンのスライドに取り付けた際について

東京マルイ G17 Gen5 MOSに取り付ける事も出来ます。(WII TECH製のAimpoint ACROマウントベースを使用しています)
こう見るとかなり大きいですが、サーマル製品という事を考えると結構コンパクトである事が分かると思います。

撃つとこんな感じ。
140gの物がスライドに載っている事もあり、温度が低い状況(室温20度だと)作動性の高い本製品でも結構もっさりした動きになります。
ただ、それでもしっかり動いてはいますね。

起動と画面表示について

▲ボタンを長押しする事で起動します。
起動するとOwlsetのロゴとプログレスバーが表示されます。
起動には12秒ほど時間がかかり、完了するとサーマルイメージャーのスクリーンが表示されます。

画面上には左上に日時、右上に表示倍率とバッテリー残量、右下にキャリブレーション設定の状態が表示されています。
レティクル表示をONにしている場合、レティクルが表示されます。

バッテリー表示は全部で4段階+充電中の表示があります。
尚、充電は電源ON/OFF共に行えますが、インジケーターなどは無いので電源OFF状態だと充電状況が分からないです。

尚、本製品はモニターを直接見る方式の製品なのでアイレリーフのような物はありません。
モニターにピントを合わせる必要があるので、マグニファイアとの組み合わせも現実的ではありません。

無理やりにでもやろうとするなら、3倍マグニファイアであればマグニファイアとVEOT-RS08の間を4〜5m程度は空ける必要があります。(それでギリギリピントが合います)

画面の操作方法、基本設定について

VEOT-RS08のモニターはタッチパネルになっており、上下左右のスワイプで設定を行ったり画面表示を切り替えたりする事が出来ます。

画面上で上方向にスワイプする事でカラーモードの変更、下方向にスワイプする事で1倍と2倍の切り替え、右方向にスワイプする事でレティクルの切り替え、左方向にスワイプする事でメニューの表示が行えます。
また、ダブルタップをする事で撮影モードの切り替え(静止画・動画)が行えます。

メニューから設定可能な項目を紹介します。

尚、メニューの操作もスワイプで行うのでちょっと特殊です。

  • 上下スワイプ:メニューの移動
  • 右スワイプ:選択、決定
  • 左スワイプ:戻る、キャンセル

カラーパレットの変更

まずはカラーパレットの変更。
これはセンサーから取得したデータを映像化するにあたって、どういう色にするかという設定です。

  • ホワイトホット(熱い所が白色、冷たい所が黒色)
  • ブラックホット(熱い所が黒色、冷たい所が白色)
  • ファイアホット(特に熱い所が赤色、それ以外がホワイトホットと同じ)
  • レインボー(熱い所から順に赤色、黄色、緑色、水色、青色となる)
  • アイアンレッド(暖色系の配色)
  • クールカラー(寒色系の配色)

の6種類のモードがあります。
それぞれのモードの見た目は下記の通りです。(距離3mでメガネをかけた人を撮影)

ズーム

倍率の変更もメニューから行えますが、これは先述の通りスワイプ操作だけでワンタッチで切り替える事も出来るのでわざわざメニューから操作をする必要は無いと思います。

尚、本製品のズーム機能はデジタルズームになります。
その為、2倍にしても鮮明な映像が見れる訳では無いのでご注意下さい。
単純に映像がそのまま拡大されるだけなので、ジャギります。

1倍率の状態と2倍率の状態

撮影モード

起動中に▼ボタンを押すと撮影をする事が出来るのですが、この時の撮影モードを静止画か動画かを選ぶ事が出来ます。
静止画だとJPEGが、動画だとMP4(音声無し)が内蔵メモリに保存されます。

これも画面ダブルタップで切り替えれる設定なので、わざわざメニューから操作する必要は無いと思います。

尚、解像度は静止画・動画共に360x320pxで、UIなども含む状態になっているので画面キャプチャを行っているようです。

キャプチャした静止画

画面の明るさ

画面の明るさはAUTOと1〜5の5段階で選ぶ事が出来ます。
最低輝度である輝度1の状態でも結構明るく、薄暗い環境だと眩しい位の明るさがあります。
バックライトを完全消灯するような事は出来なさそうです。

暗所で使うと暗順応が失われる程度には明るい上に、モニターの明かりが顔に反射するので夜戦での使用、特に隠密には向いていないですね。

画面のコントラスト

画面のコントラストは1〜10の10段階で選ぶ事が出来ます。

この設定は好みが分かれそうですが、10にすると温度差がくっきりとし、識別はしやすくなりますが画面のノイズは増えます。
1にするとノイズは少ないですが、僅かな温度差が分かりにくくなります。

左から順にコントラスト1、5、10

キャリブレーション

オートキャリブレーションかマニュアルキャリブレーションかを選択する事が出来ます。
キャリブレーション実行時には「カチャッ」とシャッターが閉じる音が鳴り、その間画面が固まります。(1秒程度)

オートキャリブレーションを選択すると、一定間隔でキャリブレーションが実行されるようになります。
計測してみた所、オートキャリブレーションはおおよそ1分に1回程度の頻度で行われている感じでした。

マニュアルキャリブレーションは調整が入らない為カクつきは発生しませんが、寒暖差の激しい所を見たりしていると上手く表示出来なくなる事があります。

尚、オート・マニュアル問わず▼ボタン長押しでの手動キャリブレーションが可能です。

追跡

写っている熱源の中で特に熱い部分を強調表示する事が出来る機能です。
カメラの追従フォーカス機能みたいな感じで、熱源に四角い枠が表示され、物体を追う事が出来るようになります。

追従機能の動作はこんな感じで、画面上に黒色の四角形が表示され、被写体を追従します。
面白い機能ではありますが、四角形がかなり大きいので邪魔になる可能性もありそう。
ターゲットとの距離や用途に応じて使い分けた方が良さそうです。

また、リアルタイムで追従してくれる訳では無いので若干ずれが生じます。(約0.5秒間隔で更新されてる感じ)

レティクル

レティクルの設定は下層項目が多いです。
まず、レティクル形状は『OFF(非表示)』と1〜5の5種類

全体的にサイズは小さめで、それぞれ、

  • 小さなドット
  • ドット
  • ドット+上下左右の十字
  • ドット+サークル+十字
  • ドット+サークル

となっています。

レティクルカラーは赤色、黄色、緑色、白色、黒色の5色あります。

尚、レティクルの色反転機能が無い為、例えばホワイトホットの状態で白色のレティクルを使ったりするとレティクルの視認性が悪くなります。

メニューの『Freeze』を選択すると、その状態で画面が固まります。
イマイチ使い方の分からない機能ですが、その状態でレティクルの色や形を選んだり、ゼロインを行ったり出来るのでレティクル選びやゼロインで便利な機能なんでしょうか…。
これに関しては、使い道が分かりませんでした。

メニューの『Zoom』はその名の通り、画面の拡大機能です。
デジタルズームが行えます。

『X』、『Y』はそれぞれレティクルの移動量を示す物です。
一般的な光学サイトと異なり、サーマルサイトは画面上に映っているレティクルの位置が直接動きます。
本製品はX軸が-70〜+70、Y軸が-60〜+60の間で調節する事が可能で、1回スワイプする事に1ずつ増減します。

尚、移動量の1が何MOAなのかが不明なので、感覚で合わせる形になりそうですね。

一番下の「Zero」を選んで決定(左スワイプ)すると、レティクルの位置が0の位置に戻ります。(X軸、Y軸がリセットされる)

日付と時刻

日付と時刻の設定が可能です。
これは画面上に表示される日付と時刻を変更出来る他、録画したデータのファイル名や撮影時間などのEXIF情報に影響します。

自動オフ

一定時間が経過すると自動的に画面をOFFにするかの設定です。
OFF、5分、10分、20分、30分の中で選択が可能です。

こちらは加速度センサーを用いた制御ではなく、最後に画面を触ってからの経過時間のようで、「5分」と設定すれば使用している状態であっても5分が経過すると画面が消えてしまいます。

言語

表示言語の切り替え機能です。
全部で13言語に対応しており、中国語、英語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、日本語、韓国語、ポーランド語、スウェーデン語、フィンランド語、チェコ語に対応しています。

ピクセル補正

デッドピクセルの補正を行い、画面表示を改善する機能です。
ここだけUIが特殊で、メニュー選択後実行するかどうかをスワイプで決めます。

ドット欠けのような異常が無いなら使わなくて良い機能だと思います。

その他機能

他には『リセット』と『デバイス』の2つのメニューがあります。
リセットは全ての設定を初期化し、工場出荷状態に戻す機能です。

デバイスはデバイスのバージョン情報などを表示するモードです。

VEOT-RS08の画面操作の様子はこんな感じです。
スワイプというよりジェスチャーでの操作と言った方が正しい気がします。
正直、直感的な操作はちょっと難しいですね…。(アイコンタップとか出来れば良いんですが、そういう事は出来なさそう)

ボタンの操作について

VEOT-RS08のハウジングには▲▼の2つのボタンが付いています。
ドットサイトだと輝度調節ボタンになってたりするこちらのボタンですが、本製品は単押し・長押しでそれぞれ下記の機能が割り当てられています。

▲ボタンの機能

  • 電源OFF状態で長押し:電源ON
  • 電源ON状態で長押し:シャットダウン
  • 電源ON状態でクリック:スリープ
  • スリープ状態でクリック:起動
  • メニュー表示中にクリック:戻る(左スワイプと同じ)

起動については先述の通り、スプラッシュ画面(ロゴ)とプログレスバーが表示され、12秒ほどで起動します。
スリープ機能は画面のON/OFFをする機能で、オートキャリブレーションなどは動いている事からセンサー類の機能は動いた状態になっているようです。

実際、スリープ状態で放置していると画面点灯状態に比べるとマシですが、徐々に本体が熱くなっていき、バッテリーが消耗します。

▼ボタンの機能

  • 電源ON状態でクリック:撮影(撮影モードは設定に依存する)
  • 電源ON状態で長押し:キャリブレーション
  • メニュー表示中にクリック:決定(右スワイプと同じ)

下側のボタンは電源ON状態でしか機能しません。
クリックで撮影(動画 or 静止画)、長押しでキャリブレーションが行えます。
このマニュアルキャリブレーションはオートキャリブレーション設定状態でも行えます。

サーマルイメージャー越しの見え方について

VEOT-RS08の見え方を紹介していきます。

尚、明るさはAUTO、コントラストは5、ホワイトホットで撮影しています。

サーマルイメージャーは冒頭でも触れた通り、温度差を捉えて映像化するという仕組みの製品です。
レティクルが表示される事から「光学サイト」という位置づけの製品になりますが、仕組みとしてはデジタルカメラの方が近いです。

温度差を映像化している為、普段見慣れている風景とは大きく異なる点が多く、例えばディスプレイを映すとこうなります。

画面上に映っている映像は表示されず、モニターには反射して映っている撮影者である私のシルエットと三脚が映っています。

また、バックライト用のLEDの部分の温度が高い事から、バックライトLEDの所が熱源として表示されています。

僅かな温度差があれば画面上に表示されるので、例えばヘッドホンとぬいぐるみを撮影するとこんな感じでシルエットが分かります。
これは壁面との温度差によって表示される物です。

サーマルイメージャーで撮影した物
カメラで撮影した物

また、ガラスやプラスチックなど、半透明な物でも熱は透過しない為、メガネをかけている人を撮影するとサングラスをかけているような感じに映ります。

また、熱を見ているので熱が残っていればそこに熱源が無くても映ります。
サーマルイメージャーの説明でよく用いられる方法ですが、例えば壁に手を置いて離すと、手が触れた場所に熱が移るのでサーマルイメージャーで視認する事が出来ます。
※これは分かりやすいようにファイアホット(レッドホット)で撮影。

という訳で、普段見ている「可視光」とは全然違う世界である事が分かると思います。

また、サーマルイメージャーはその特性上、奥行きがかなり分かりづらいです。
特に本製品は視野角も狭い為、より一層奥行きというか距離感が分かりづらくなっている印象があります。

長距離で見てみるとこんな感じになります。
100mの距離が離れていても人形の熱源は目立って表示されるので、そんなに遠くに居るという事が感覚的に分かり辛いです。

動画だとこんな感じになります。
移動していると分かりやすいですね。

尚、60m程度の距離(正確な距離は62m)であればどのような姿勢なのかも含めてしっかり視認する事が可能となっています。
各カラーパレットでの見え方はこんな感じです。
映っている人は3名(アキレス腱を伸ばす準備運動をしている人1名、座っている人2名)、車1台です。

また、10m程度の距離であればエンジンが掛かった状態の車のどこがどの程度熱くなっているのかなどもしっかり確認する事が可能でした。

ゼロインについて

サーマルサイトを使用する上で、注意しないといけないのはゼロインが非常にやり辛いという点です。

まず、ターゲットがしっかり熱源を持っていないと、狙う事自体が困難です。
そして、サーマルの画面だけを見ていると着弾点を視認する事はまず出来ないので、両目照準で頑張って着弾点を見るか、観測手が必要になります。
もちろん、エアソフトガンでは可能な『弾道を見ながらゼロイン』みたいな事も出来ません。

個人的には観測手が「右上着弾」「ちょっと左に寄ってる」とか、ざっくりした事を言ってくれるだけでもかなり助かります。

尚、サーマルサイト用のゼロインターゲットとして「サーマルゼロターゲット」という製品があり、色々なメーカーから発売されています。
こういう専用のターゲットを使用したり、ホッカイロをターゲットに取り付けるという方法もあります。(後者の方がやってる人多いと思います)

サーマル用ターゲット
ホッカイロを熱源としてゼロインを行う

ターゲットさえちゃんと狙う事が出来れば、後は普通の光学サイトのゼロインと同じです。

エレベーション・ウィンテージダイヤルの操作みたいな直感的なインターフェイスでは無いのが面倒ですが、これに関しては何度もゼロインをして慣れるしか無いと思います…。

尚、ゼロインは先述の通り、『設定>レティクル』メニューからレティクルの表示位置を変更して行います。
移動はX座標、Y座標でそれぞれ行い、上下の1スワイプで1ずつ動きます。

左右のボタンを使って動かせればもうちょっと楽だと思うんですが、残念ながらボタンはメニューの移動か戻るボタンとしてしか使えないので、ゼロインはスワイプジェスチャーで行う必要があります。

尚、普通の光学サイトと異なり画面上のレティクルの位置が物理的に移動するので違和感がありますが、サーマル製品だとよくある仕様です。

内蔵メモリの見え方について

最後に、内蔵メモリに記録したデータの見方を紹介します。

VEOT-RS08の電源を入れた状態で本体に付いているUSB Type-CコネクタにUSBケーブルを接続し、PCに繋ぐ事で内蔵メモリに記録された画像や映像を確認する事が出来ます。

USBメモリなどと同じ外付けドライブとして認識し、写真はPhotoディレクトリ、動画はVideoディレクトリに格納されるので、スマホとかで見る事も出来ると思います

Photoディレクトリ
Videoディレクトリ

尚、内蔵メモリサイズは16GBのようですが録画に使える容量は14GB程度のようです。

ファスガンで使ってみた感想

先日開催された『うわまち廃病院 ファスガンゲーム』で2ゲーム試しに使ってみたので、屋外での検証がてら使ってみたのでその結果も紹介します。

尚、組み合わせはB&T Air APC9 AEGにREPTILIAタイプ 1.93インチ ACROマウントを使ってVector Optics/Owlset VEOT-RS08を取り付けています。

ゼロインについて

まず、当日のゼロインについてですが操作性は少し癖があるものの慣れればそんなに難しくはありませんでした。

ただ、今回試したセッティングのようなハイライズドな状態だと、レティクルを結構下方向に動かさないといけませんでした。
もしBB弾を使用する場合はHOP-UPを少し強めに掛けたりする事で多少はマシになるかも知れませんが、基本的にパララックスを抑えたセッティングで使うのが良いかも知れません。
また、今回はゼロイン用ターゲットまでの距離は35mでしたがこの距離に置かれたターゲットであればホッカイロなどの的となる熱源が無くても問題無くゼロインを行う事が出来ました。

温度差は殆ど無いと思うのですが、それでもうっすらターゲットが視認できる事から、分解能はかなり高い事が分かります。

モニターの視認性について

この日はディスプレイの輝度設定をオート(自動調光)にしていたのですが、これが中々優秀で、ちゃんと明るい所から屋内などの暗い所に移動したら瞬時に明るさを調節してくれ、見辛かったり眩しかったりといった事は感じませんでした。

ただし、反射に関して少し気になった事があります。
特に屋外で気になった点なのですが、太陽の位置によってモニターの反射が気になります。
VEOT-RS08はハーフグレアディスプレイ(半光沢ディスプレイ)になっている事もあり、そこまで激しく反射するような事は無いのですが、少し見づらいなと感じる事が度々ありました。

数センチ程度で良いのでサンシェードがあるとかなり改善する気がしますが、サンシェードを取り付けると明るさセンサーも影になってしまい、自動輝度調節がうまく動かなくなる可能性があるので、センサーを避ける形で取り付けるなど、考える必要があるでしょう。

追従性について

フレームレートが50Hzある事もあり、移動しながら狙うような事も特に問題無く行えます。
視野角の狭さ故、肉眼との距離感が合わないという事はありますが、これに関してはサーマルイメジャー全般に言える話なので、慣れれば問題はありません。

ゲームで使ってみた感想

実際に使ってみた様子ですが、例えばこのようなほぼ60mの距離で遠くの人影を視認、照準する事が出来ました。

このように、建物の壁から体を見せている様子がハッキリ分かります。
立っている状態なのか、屈んでいる状態なのか、頭はどこか、足は、腕はなどの体のシルエットを示す情報もしっかり認識可能な程度の性能があります。

頭に取り付けたアクションカメラ視点だとこんな感じです。
サーマルの映像も映っているので、実際にどのようにモニター越しに見えているかも分かりやすいかと思います。

上は明らかに体が見えている状態ですが、20m程度の距離であれば草むらの裏側に隠れている人影を探し出す事も可能です。
迷彩服を着ていれば瞬時に見つけ出す事は不可能に近い状態ですが、それでも体の動き(特に頭の動き)がよく分かります。

尚、これはサバイバルゲーム・ファスガンゲーム共に、レギュレーションよって「やっても良い」、「やってはいけない」というのが変わってくる運用方法、本製品はモニターを覗き込む事が出来る範囲であればどこかでも覗く事が出来るので、かなり無茶な姿勢で狙う事も可能です。

例えば、このように腕を伸ばした中だけをバリケードの外側に出した状態で安全な所からモニターを眺めて索敵を行ったり、なんならそのまま撃つ事も出来ます。

一応、ちゃんと狙ってはいるので、盲撃ちに該当するかどうかはかなり怪しい所ですが、銃口だけを出して撃つという行為には変わりなく、かなりグレーなラインの戦い方なので、やる場合はレギュレーションに準じているかの確認を取って行った方が良いですが、可能なら便利な使い方が出来ると思います。


という訳で、Vector Optics/Owlset VEOT-RS08のレビューは以上になります。

似たような小型サーマルとして、自分はTorreyPinesLogic T10-Sを持っていますが、それと比べると雲泥の性能差を感じました。
TorreyPinesLogic T10-Sとはセンサーサイズも処理性能も、画面解像度も全然違っているので比較対象にはならないですが…。
それにこれは10年以上前の製品ですからね…。

TorreyPinesLogic T10-Sの画面表示(10m程度の距離で撮影)

この製品は画面解像度もかなり低いので、人として認識出来るのはせいぜい20m程度が限度、それ以上離れたらまともに認識出来なくなりますので…。

逆にInfiRay RH25 Pfalcon640+(Model PFN640+)と比較してしまうと性能差を大きく感じますが、これに関してはセンサーサイズも処理性能も、画面解像度も全然違っている上に価格帯も全然違うので比較対象に出来ないですね…。

Pfalcon640+の映像
Pfalcon640+の映像

VEOT-RS08は、現行のサーマルイメージャーとしては、いわゆる普及価格帯のスペックである320解像度を少し下回るスペックなので、高性能な製品とは言えないですが、用途を限定すれば実用的な製品になるかと思います。

視野角が狭いという点は「怪しい所に向けて、ピンポイントの索敵を行う」、画面が明るい為日中での使用に留めるなどでしょうか。

FOVが狭い為、広範囲な索敵には向いていないですし、屋内など狭い空間で使うのにも少し厳しい所があります。
最低交戦距離が10m程度はある環境じゃないと使いづらいと思います。

一方、中距離においては結構使えると思います。
分解能の高さがあるので100m程度の距離であれば容易に索敵は可能で、仮に茂みに隠れていたとしても熱源を捉える事は出来るでしょう。

画面の明るさは少し問題になる事がありそうですが、どうしても気になるようであれば遮光テープや減光テープを貼るなどして、明るさを抑える事は出来ると思います。(テープを貼るとタッチが効かなくなると思うので、操作は出来なくなりますが…)