各メーカーのピストンスプリング比較 SHS、ZC、ACE1ARMS M90、M100 計6種
記事作成日:2018年2月16日
「ピストンスプリングって、どれ買えば良いのか良くわからん!とりあえず色々買って試していこう!」という事、ありませんかね?
私は同じメーカーのスプリングを数種類一気に買って試すという事をよくやるんですが、毎回データとして残していないのでそれを何度も繰り返す羽目になっています。
ざっくり、ピストンスプリングを選ぶ際の指標としては下記の物があるかと思います。
- M80、M90(もしくは80%、90%や80SP、90SPなど)といった数値の表記
- 自由長(スプリングの長さ)
- 線径
- 素材、質感(焼入れしてるか?メッキコーティングか?など)
- ピッチ(等ピッチか不等ピッチか、ピッチは広いか狭いか)
M80、M90と行った数値の表記は後述します。(これが当記事における本題です)
自由長は割と好みが出ると思いますが、個人的にはそこまで長くない方が好きです。
通常電動ガン用のスプリングなら15cm〜17cm程度が好みです。
ただ、短すぎると今度はバネ鳴りが起きる可能性が高いので、そこは要注意です。
ちなみに、セッティング次第では次世代電動ガン用の非常に短いスプリングを、通常電動ガンに使う事も稀にあります。
線径は個人的にはあまり気にしていません。
基本的に固いスプリングの方が線径が太い傾向にあります。(もちろん、線径が太くて柔らかいという例外もありますが…)
素材や質感は「錆びてる」とかそのレベルじゃない限り、自分は一切気にしていません。
スプリングのへたりやすさに関係しているそうですが、結局のところ暫く使ってみないとスプリングのヘタリ具合とか分からないですし、そもそもそんなに長期間同じセッティングのまま銃を使い続ける事が無いので…。
ピッチは不等ピッチより等ピッチの方が好きです。
プリコック無しでハイサイクルの銃を作る時は不等ピッチを選ぶ事もありますが、基本的には等ピッチです。
まあ、これも人の好みだと思います…。
そして、ここからが本題。
M80とかM90みたいな数値です。
これは私の経験上、このような硬さを表しているような数値と実際の硬さはほぼ関係が無い思っています。
例えばM80よりM90の方が固いということは概ね合っているのですが、どの程度固いのかが分かりません。(M80よりM90の方が柔らかいケースも稀に存在)
例えば、メーカーが違えば同じ「M90」のスプリングでも硬さは全然違いますし、同じメーカーでM90、M100、M110と連続していても、M90を基準に1.2倍がM100、1.4倍がM110という風になっている訳でもありません。
更に「バレル長200mm推奨M90」とか「バレル長300mm推奨M90」といった訳の分からない表記をしている製品もあります。
一体あの数値って何なんですかね…。
また、「90%や100%」といったパーセント表記も見かけますが、あれも同じで何基準なんですかね…。
最初はマルイ基準なのかな?とも思ったりしていたのですが、90%でマルイより硬いスプリングはザラにあります…。
更に、「0.9Jスプリング」とかもありますが、何に組めば0.9Jになるんでしょうかね…。
マルイの電動ガンでもシリンダー容量やインナーバレル長によって差は出るでしょうし…。
そんなこんなでパッケージでは予測不能なスプリングの硬さに関するデータを個人的に集める事にしました。
まず、基準として使うのは東京マルイの通常電動ガン用ピストンスプリングです。
中古で売られていたピストンASSYから拝借した物なので、新品では無いのですが…。
東京マルイのピストンスプリングも数種類存在しますが、最も一般的なNo60というピストンASSYに付いているもので、長さは15.5cm程度の等ピッチです。
※錘の横を通す為に伸びている部分をカットしています。
続いて、スプリングの硬さを計測するのに使うのは測りです。
こちらにスプリングガイド、ピストン、スプリングの3点を置き、ゼロ表示にします。
そして、グググっとピストンスプリングを圧縮し、重量を見ます。
尚、限界まで押してしまうとピストンで測りを押してしまう可能性があるので、測りとピストンの間を5mm〜10mm程度開けるような感じで計測しています。
結果、マルイのピストンスプリングは約3.9kgの重さがある事が分かります。
これを100%として、他のピストンスプリングの硬さを紹介していきます。
このように、かなり強引な形で取っているデータなのであくまで「目安」程度に留めておいて下さい。
また、実際に組み込んで、初速がどう変化するのか?というのをやってみたい気持ちはあるのですが、私が持っている電動ガンでDSG化されていない物のほとんどはマルイ純正のピストンスプリングで92m/sとか93m/sの初速を出しているものばかりで、一般的な社外製スプリングを組むと規定値(0.989J)を超えてしまい、まともなデータが取れないと思ったのでやりません。
まあ、基本的に『重いスプリング=高い初速が出る』と思ってもらって良いと思います。
という訳で、今回検証するのはこちらのピストンスプリング。
SHS、ZC、ACE1ARMSのM90とM100スプリングです。
全部袋から取り出してフダを付けておきます。
これやっておかないと訳がわからない事になりますので…。
まずは外観から。
上から順にACE1ARMS M90、SHS M90、ZC M90です。
長さは全て18cm程度と同じですね。
ACE1ARMSとSHSのスプリングは質感や不等ピッチの感じがとても良く似ていますが、中央のピッチが細かい部分が若干異なっているのが分かります。
ZCは等ピッチです。
続いて、M100系。
上から順にACE1ARMS M100、SHS M100、ZC M100です。
M100の方は長さに差が出ていました。
ACE1ARMSが18cmで、SHSがそれよりも僅かに長く、18.3cm程度。
ZCは16.8cmと、この中では一番短かったです。
また、全てのスプリングが不等ピッチで、ピッチが細かくなっている部分の位置も異なっています。
SHSとACE1ARMSはM90と同様とても良く似ていますが、異なるスプリングである事が分かります。
続いて、重量計測です。
ACE1ARMS M90
約5.5kg。
いきなりめっちゃ重いですねぇ…。
約141%の硬さです。
SHS M90
約5.9kg。
これまた重いですね。
約151%の硬さです。
ZC M90
約4.7kg。
東京マルイより少し固いスプリングのようです。
約120%の硬さです。
という訳で、ZC(120%) < ACE1ARMS(141%) < SHS(151%)といった硬さになりました。
この通り、同じ「M90スプリング」でも全然硬さが違うのです…。
いつも私はこれに悩まされています…。
続いて、M100系の重量を測っていきます。
ACE1 ARMS M100
約6.8kg。
だいぶ重くなりました。
約174%の硬さです。
SHS M100
約8.2kg。
バカジャネーノ?硬すぎだよ…。
約210%の硬さです。
ZC M100
約6.1kg。
SHSの8.2kgに比べるとかなり大人しい硬さです…。
約156%の硬さです。
という訳で、ZC(150%) < ACE1ARMS(174%) < SHS(210%)といった硬さになりました。
M90のスプリングレートよりもあからさまに硬さの差が出ました。
特にSHSはおかしい…。
手に取った瞬間に「本当にこれM100かよ、硬すぎだろ」と思うくらいに明らかに硬かったですが、実際に重量を測ってみるとそのさは歴然ですね。
一覧(硬さ順)だとこんな感じです。
- SHS M100(210%)
- ACE1ARMS M100(174%)
- ZC M100(156%)
- SHS M90(151%)
- ACE1ARNS M90(141%)
- ZC M90(120%)
- 東京マルイ純正(100%)
ZCは全体的に柔らかめで、SHSは硬め、その間にACE1ARMSがいるみたいな感じの結果になりました。
というか、ZCのM100とSHSのM90がほぼおなじ硬さとは…。
また、SHSの硬さの上がり具合は凄いですね。
ZCのM90とM100は約129%アップ、ACE1ARMSのM90とM100だと123%アップとほぼ同じくらい硬さが上がっているのですが、SHSのM90とM100になると約138%も硬さが変わっています。
という訳で、中々面白い結果になりました。
SHS硬すぎ…。
ちなみに、今回の記事では乗せていませんが、ZCはM80という”M90より柔らかそうな”スプリングも出しているのですが、実はM90よりM80の方が固いです。
ZCのM80は約5.2kg、比率にして約133%なので、丁度ZC M90と ZC M100の中間位の硬さなのです。
このように、スプリングレートを表していそうな数値が一概にスプリングの硬さとイコールではない事もあります…。
もっとも、この場合は「ただ単に業者がシールを貼り間違えただけなのでは???」と思ったりしているのですが…。
その為、ロットが変わると硬さも変わるかもしれません…。
データをスプレッドシートにまとめました
今後、新しいスプリングを買うたびにこういったデータは乗せていこうと思っているので、スプレッドシートにまとめる事にしました。
※こちらのデータは随時更新されるので、当ブログで掲載していないスプリングも追加されているかもしれません。