新登場の黄色レティクル ドットサイト HOLOSUN HE503R-GDのレビュー
記事作成日:2019年6月3日
つぼみアームズ様より、HOLOSUNの2019年新作ドットサイト、『HOLOSUN HE503R-GD』をお借りしたので、レビューしていきます。
内容物はドットサイト本体、レンズカバー、ローマウントベース、トルクスレンチ、クリーニングクロス、電池(CR2032)、取扱説明書といつもの感じ。
取扱説明書にはドットサイトの使い方や注意点などが一通り書かれていますが、英語です。
日本語化されたマニュアルはつぼみアームズ様のウェブサイト上からダウンロードしてください。
こちらのドットサイトはHOLOSUNがSHOTSHOW2019で発表した新レティクル『ゴールドレティクル』を採用した製品になります。
また、レティクルだけではなく外観も新しくなっているので、当記事では従来品との比較もやっていきます。
ドットサイト本体並びに附属のレンズカバーはこんな感じ。
レンズカバーに関しては従来品と同じですが、本体の見た目が結構変わっています。
この形状は「Rシリーズ」と呼ばれるHOLOSUNの新シリーズになります。
今までのモデルからの大きな変化としては、回転式の輝度調節ノブ(レオ・スタット・ダイヤル)になっている事でしょうか。
また、これはRシリーズ全てそうかは不明ですが、HE503R-GDに関しては表面の塗装が変わったのか、アルマイトのような光沢を放っています。
HOLOSUNのドットサイトは今までマットな黒色、ものによってはザラザラとした肌触りだったりしていたのですが、このHE503R-GDに関してはツルテカ系です。
HOLOSUN製品といえば、輝度調節がボタン式なのが特徴の1つだったのですが、このHE503R-GDでは従来品だとボタンが付いていた上面には何も付いていません。
あっさりしてます。
というか何だか、ますますAimpoint micro T2の形に似てきた気が…。
また、チューブ部分の形状も非常に独特で、表面が波打ってます。
外観がこうなっているだけで内側は筒ですがね…。
また、HOLOSUNの「O」の中心のドットが黄色くなっています。
これは他のHOLOSUNシリーズでも使われている表現で、赤色レティクルモデルは赤色のドット、緑色レティクルモデルは緑色のドットになっています。
HE503R-GDは黄色レティクルなので黄色なんでしょうね。
先述しましたが、HE503R-GDの輝度調節は本体側面に付いているレオ・スタット・ダイヤルで行います。
輝度は12段階で調節する事が可能で、1と2がNVモード、3〜12が通常のモードとなっており、一方方向にしか回す事が出来ません。
例えば0から最大輝度である12に切り替えようとすると、1、2、3、4…と、順番に回していく必要があります。
尚、「12」の後ろにこのようなアイコンが付いています。
これはレティクル切り替え用のスイッチ的な物になります。
詳しい使い方は後述します。
このダイヤルは電池ボックスも兼ねています。
蓋には滑り止めの凹凸が付いていないので、手で回す事は困難なのでコインドライバーを使うと良いでしょう。
対応する電池はCR2032です。
尚、本体を傷つけたくない場合は樹脂製のドライバーを用意すると良いです。
専用品だとノーベルアームズから安価な物が出ていますし、実物に拘るならAimpointから出ています。
エレベーテーションダイヤルとウィンテージダイヤルはそれぞれキャップが付いており、キャップを外して調節します。
キャップ自体が調整器具の役割を果たす設計になっており、蓋の内側にはどちら方向に回せばよいかの記載があります。
反時計回りに回す事でエレベーテーションだと着弾点UP、ウィンテージだと着弾点を右にずらす事が出来ます。
レティクルの稼働量は1クリックで0.5MOA、最大で±50MOA動かす事が出来ます。
付属マウントについて
ドットサイトに付いているマウントはハイマウントですが、ローマウントも付属します。
尚、マウントは従来のHOLOSUNと同様にT1互換ですが、従来のHOLOSUN製ドットサイトと若干形状が異なっており、一般的なT1マウントに形が近づきました。(詳しくは後述)
M4系の銃(東京マルイ M4 MWS)に取り付けるとこんな感じになります。
それにしても、光沢感凄いなぁ…。
ドットサイトの高さはいわゆる「Lower 1/3 Co-Witness」。
アイアンサイトの位置がドットサイトの中心より少し下に来る高さになります。
レンズコーティングと見え方について
では、レンズコーティングやサイトの見え方を紹介します。
まず、対物レンズ側ですが、ルビーコートよりも更に色が濃い赤色に反射し、少し角度を変えると黄色や青色に変化します。
黄色いレティクルに合わせてレンズコーティングも変えている感じですね。
接眼レンズ側のコーティングは他のモデルと違いは無く、緑色に反射するコーティングです。
視界はこんな感じ。
写真左はターゲットにピントをあわせた状態、写真右はドットサイトのレンズにピントを合わせた状態です。
若干の青みがあるレンズです。
SHOTSHOW会場でも思いましたが、黄色レティクルモデルはHOLOSUNの他シリーズに比べると青みが強いようです。
また、視野は十分に広いですね。
micro T1/T2サイズの製品としては十分な視野の広さだと思います。
レティクルはサークル、ドット共にこんな感じ。
サークルは65MOA、ドットは2MOAです。
当たり前ですが、レティルが黄色ってなんだか新鮮ですね…。
レティクルの切り替えは輝度12の後ろに付いている◎印を使います。
この動画の通り、12→◎印→12と切り替える事でレティクルの変更が出来ます。
独特なレティクル切り替え方法ですが、従来のボタン長押しとかボタン同時押し(製品によって切替方法がバラバラ)に比べるとかなり分かりやすいですね。
レンズの歪みとパララックスの検証
いつもどおり、2.5m先のディスプレイを見てレンズの歪みやパララックスを見ていきます。
流石にレンズ周囲は若干の歪みがありますが、ほぼ気にならないレベル。
若干の青みが強い以外はレッドドットモデルと遜色ない感じですね。
この状態で視点を上下、左右に動かし、パララックス(視差)がどの程度あるのか見ていきます。
個人的に1つの基準値として設けている、中央の円(直径2cm)からドットがはみ出なければパララックス検証合格という基準です。
まあ、例のごとく合格ですね。
また、視点を動かした最の歪みもかなり抑えられていますね。
HOLOSUNはこの辺りが優秀な製品だと思っています。
割と視野が広いのに、歪みはかなり抑えられているのです。
屋外で見てみた感想
このゴールドレティクルですが、メーカー側は「屋内や曇り空などの薄暗い環境下で有効だが、砂漠地帯のような非常に明るい環境下では不向き」と言っていました。
では日本の、普通の昼間の屋外だとどう見えるのかを検証していきます。
尚、カメラはマニュアルで設定を行い、全て共通の設定で撮影しています。
また、ドットサイトの輝度は全て8です。(肉眼で見てちょうど良い輝度だった為)
まず、普通に草木が生えている所を見てみました。
日陰になっており薄暗い事もあってレティクルの視認性は非常に高いです。
続いて、明るい場所を見てみました。
白い構造物を見ると、レティクルの黄色の視認性が一気に落ちますね。
こういう感じの色味(灰色系)の場所は黄色レティクルが得意としてそうです。
レティクルの視認性は結構高め。
動画でも撮ってみました。
旧シリーズの赤レティクルと緑レティクルとの比較
では、旧シリーズと比較していきましょう。
今回比較対象として使ったのはHS503G-ACSS(赤レティクル)、HE503GU-GR(緑レティクル)と、共に503系のmicro T1/T2系ドットサイトです。
ちなみに、外装の新旧で言うと一番古いのがHS503G-ACSS、次にHE503GU-GR、そして当記事で紹介しているHE503R-GDが一番新しい形です。
まず、対物レンズのコーティングですがそれぞれこんな感じ。
明らかに緑が異色な感じを醸し出してますね…。
視界はこんな感じ。
赤色レティクルモデルに比べると、黄色レティクルモデルは青みが強いのが分かります。
尚、緑色レティクルモデルは照明の色温度の影響でやたらと紫色になっていますが、屋外で見ると普通赤レティクルモデルと大差無い透明度になります。
HOLOSUN HE503R-GDの総評
ゴールドレティクル、正直な所「イロモノ好き」にはオススメできますが、中々難しい製品のような気がしています…。
もう赤いレティクルばっかりで飽きてきた!ちょっと特殊な製品が欲しい!とか。
グリーンレティクルの時もそうでしたが、ものすごい長所は特に無いんですよ。
ただ、特定の条件下だと赤レティクルよりも視認性が高く、使い勝手が良いという感じです。
黄色レティクルが得意としている所は薄暗い場所なので、インドアや森林系フィールドをメインとしている人には向いているドットサイトなのかもしれません。
ただし、当記事で何度も書いている通り、レンズはHOLOSUNのほか製品に比べると青いです。
まあ、青いレンズの製品は悪いとかそういう訳では無いんですがね。
ゴールドレティクルの場合はこれくらいの青みが無いと、明るい環境下で使えないのかもしれません。
そこは注意が必要かもしれませんね。