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ELCAN Specter DR 1-4x DFOV14-C1 FDEのレビュー

記事作成日:2019年9月10日

ELCAN Specter DR 1-4x DFOV14-C1 FDEを、サバゲーで何度もご一緒させて頂いている@Seven_color_inkさんからお借りしたのでレビューしていきます。
Specter DRは地味に色々な種類があるのですが、こちらは5.56mm弾用の民生版で、倍率が1倍と4倍のモデル(モデル名:DFOV14-C1)になります。

キルフラッシュが付いている状態でお借りしています。

反対側はこんな感じ。

物凄く有名な光学サイトの1つだと思いますが、簡単に説明するとRaytheon社製の倍率切り替えに対応したプリズムサイトです。
一般的なプリズムサイトは倍率固定な製品が多いのですが、ELCAN Specter DRは中でプリズムを回転させる事で倍率を切り替えるというトンデモ技術によって倍率切り替えを実現しています。

Specter DR by ELCAN

Specter DRのレプリカは様々な価格帯で色々なメーカーから発売されていますが、この倍率切り替えを完全に再現出来ている製品は無いというのが凄い所だと思います。
レプリカELCANを使った事がある、見たことがある人なら分かると思いますが、レプリカ品ではそもそも倍率変更の方法が違ったり(そのせいで形も違ったり)、倍率を切り替えるとゼロインが狂ったりと何かしらの欠陥を抱えています。

外観やレンズの明るさなどに関してはかなり実物に近い製品は出てるんですがねぇ…。

という訳で、実物ELCAN SPECTER DRの細部を見ていきます。

まず、キルフラッシュは対物レンズにねじ込まれる形で固定されており、外すとこんな感じになります。

キルフラッシュは独特な網目の形をしており、長方形みたいな形状をしています。

キルフラッシュに付いているバトラーキャップは360度回転させる事が出来、左右、上下といった具合に好きな方向に向ける事が可能になっています。
尚、キャップの回転は無段階ではなく「カコッカコッ」と軽いテンションが掛かっています。

エレベーテーションダイヤルとウィンテージダイヤルはかなり独特な仕様になっており、レティクルを動かすのではなくチューブ(ハウジング?)そのものを動かす方式です。
左右の調節は接眼レンズ前側、上下の調節は本体中腹下にあるダイヤルでそれぞれ行います。

A.R.M.S.社製のQDマウントが付いており、こちらは20mmピカティニーレールに対応しています。

マウントの裏面やQDレバーの動きはこんな感じ。

チューブの上部にはフロントサイトとリアサイト(バックアップサイト)が付いており、万が一光学サイトが破損してしまったり、光学サイトを使用する事が出来ない状況になった際のサイティングも出来るようになっています。

尚、これらのアイアンサイトはネジ止めされており、左右に位置を変える事も可能です。

倍率切り替えは本体中腹部のレバーを使って行います。
レバーを押し下げながらスライドさせる事で、倍率を切り替える事が出来ます。

この倍率を切り替えた際のレンズの動きが面白いのですが、そこに関しては後述します。

本体側面には輝度調節ダイヤルが付いており、中が電池ケースになっています。
対応する電池はCR2032リチウム電池です。

この輝度調節ダイヤルが少し独特で、丸がレティクル中央のみ点灯、+がレティクル全体の点灯になっています。
それぞれ記号が大きくなればなるほど輝度が高いという意味になっています。

接眼レンズ側はこんな感じで、視度調節ノブがありません。
Trijicon ACOGと同様、視力に応じたピント調節を行う事が出来ないので、視力が悪い人にとっては扱い辛い光学サイトです。

Specter DRのレンズと倍率切り替えについて

まず、対物レンズですが、物凄く大きいです。
そして、1倍と4倍で対物レンズの奥に見える物が違っているのが分かると思います。
コーティングはマルチコートですね。

これがELCAN Specter DRの醍醐味ですね。
レバーを動かすと中のレンズが90度回転し、1倍用のレンズから4倍用レンズに切り替わるのです。

レプリカでもレンズが回転するというギミックを再現出来ている製品はあるのですが、その場合レティクル切り替えを行うとゼロインがズレてしまうんですよね…。

その為「1倍でゼロインすると4倍が使えない、4倍でゼロインすると1倍で使えない」という倍率切り替え対応の光学サイトとしては致命的な欠陥を持っており、これを克服するには実物ELCANを買うしか無いのです。
「どこ方向にどの程度ズレるのかが分かってれば問題ない」という意見もありますが…。

接眼レンズ側はコーティングのせいなのかプリズムのせいなのか不明ですが、すごくカラフル。

Specter DRのレティクルとバックアップサイトについて

ELCAN Specter DRのレティクルは倍率を切り替えてもレティクルの大きさが変化しないSFPレティクルが採用されています。
レンズは若干黄色掛かったレンズで、かなりコントラストが高いです。

イメージ的にはTrijiconのスコープ・プリズムサイトに少し似てるかな?と感じました。

そして、ELCAN Specter DRの素晴らしい所は倍率を切り替えてもアイレリーフが変わらないという点だと思います。

尚、アイレリーフとアイボックスに関してはロングアイレリーフを謳っているショートスコープに比べると短いですが、プリズムサイトとしてはかなり長い方だと思います。

イルミネーションを点灯させるとこんな感じ。
これは中央のドット(2MOAらしい)のみ点灯させている状態です。

レティクル全体を点灯させるのは基本的には薄暗い環境下やNV越しだと思われます。
そのせいか、若干輝度が低い気がしました。

NV越しで見るとこんな感じ。
バッチリ光ってます。

ちなみに、こんな感じでPVS14をタンデムして見ています。

バックアップサイトで狙う際はこんな感じになります。

尚、キルフラッシュを取り付けた状態で見ると、モヤモヤとした感じで写り込んでしまいます。
特に等倍の時はこれが気になりますね…。

4倍の状態だと大きく視点を動かさない限りあまり気にはなりませんが、全体的に少し像が暗くなってしまいます。

Specter DRのパララックス計測

続いて、いつものパララックス計測を行います。
倍率は等倍で2.5m先のディスプレイを見ています。

と、ここで驚きなんですが恐ろしく等倍が等倍しています。
2.5mとは言わず1m程度の距離で両目照準しても何の違和感も無い暗いに等倍でで、歪みも無く、恐ろしい技術力を感じました。

この状態で視点を上下左右に動かします。
結果はバッチリ、個人的にしきい値として設けている円の中にしっかり収まっています。

バッチリですね。
というか、ELCANはプリズムサイトの割には結構アイボックス広いんですが、それでもしっかり収まっているのは流石といった感じ。

Specter DRを屋外で見てみました

という訳で、外で見てみました。
場所はいつもの河川敷ですが、いつも使っている撮影場所が使われていたので別の場所での撮影です。

ここから約240m先の木を中心にとらえています。
レンズ外側の風景とレンズの中の像を見比べて分かると思いますが、等倍の状態では全く違和感を感じません。

続いて、4倍に拡大した状態です。
これまた凄くて、1倍で見えていた物の中央がそのまま切り取られて全画面表示されたような感覚です。

一般的な倍率調節が可能なスコープと違って「像が切り替わる」という動きが斬新で面白いと感じました。

倍率切替時の動きはこんな感じです。
これ、本当に面白い…。何度も倍率切り替えて遊んでました。

動画では片手でカメラを手に持った状態という少し無茶をしているのに加えて、レンズ切り替えの動きが分かりやすいように少しゆっくり操作しているのですが、「パチン」と瞬時に切り替える事も可能です。
というか、実際に銃に取り付け、戦闘中に倍率を切り替えるならパチンと瞬時に倍率を切り替えるのが普通だと思います。

尚、レティクルの輝度ですが、真夏の炎天下で覗いていても4段階中3段階目で丁度よい感じでした。

最後に、キルフラッシュを付けた状態でも撮影してみました。
写真左が1倍、写真右が4倍の状態です。

やっぱり1倍だとだいぶ気になりますね…。

という訳で、ELCAN Specter DR、ますます欲しくなってきました…。
いけませんね、こういう光学サイトを借りて覗くのは…。

税関チャレンジとかヤフオク全裸待機してなくても民生モデルなら普通に買えますし…。