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T字レティクルのロングアイレリーフショートスコープ Discovery HD 1-6X24 IR(DS-HD 99307)のレビュー

記事作成日:2019年10月18日

TAC-ZombieGear様からのご依頼で、Discovery Optics製のショートスコープ『Discovery HD 1-6X24 IR』を紹介します。

Discovery Opticsのカタログも同梱されていました。
こちらは同社の説明やスコープ、アクセサリーの紹介を行っている冊子でした。

スコープ本体の内容物はこんな感じ。
マウントリング、レンズカバー、取扱説明書、クリーニングクロス、スペックシートが付属します。

Discovery HD 1-6X24 IRをYahoo!ストアで購入するhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/tac-zombiegear/hd1624ir.html

付属のマウントリングは10mmマウントベース用の物でした。
10mmマウントベース用のマウントリングは多くのエアソフトガンにおいてあまり主流とは言えない種類のマウントリングになります。

エアライフルやハンティングライフルなどでは今でも10mmレールが採用されている製品があるようですが、エアソフトガンにおいては20mmレールが一般的でしょう。

こちら、TAC-ZombieGear様より次ロットからは20mmレール用のマウントリングが付属するとのご連絡を頂いたので、今後購入される方はあまり気にする必要は無いと思います。

マウントリングの上下にはスコープに傷が付かないようにする為のテープが貼られています。

付属のレンズカバーはこんな感じ。
ロゴなどが入っている訳ではなく、シンプルなラバー製のカバーです。

スコープ本体を見ていく前に、まずはカタログスペックの紹介から。

倍率:1〜6X24
レンズ名:HDレンズ
対物レンズ径:24mm
チューブ径:30mm
レティクル:SFP IR-MOA
イルミネーションの有無:有り
全長:270mm
重量:485g
フォーカス調整:固定値 (10ヤード〜)
100ヤードでの視野:119.4度(1倍)〜19.8度(6倍)
アイレリーフ:95mm(1倍)〜92mm(6倍)
ひとみ径:24mm(1倍)〜4mm(6倍)
クリック値:1/2MOA
最大エレベーテーション量:50MOA
最大ウィンテージ量:50MOA
レンズコーティング:フルマルチ グリーンコーティング
ニトロゲン封入:有り
耐衝撃:有り(.30-06、.308、AR15)
防水:有り
曇り止め:有り

スペックだけ見ているとまあ普通のショートスコープな感じがします。
という訳で、そんなDiscovery HD 1-6X24 IRの細部を見ていきます。

Discovery HD 1-6X24 IRはこのような形状をしたショートスコープです。
相変わらずデザインがTangent Thetaのソレですよね…。

まあ、Tangent Thetaはショートスコープ出してないと思うんですが…。

反対側はこんな感じ。

対物レンズ側はこんな感じで、シンプルな感じ。
ただ、個人的には内側に埋め込まれているナットが銀色なのが気になりました。

ここをこんな色にして、乱反射とか大丈夫なんでしょうか…。

ハウジング部側面にはDiscoveryのエンブレムが付いており、ここが輝度調節ノブになっています。
輝度は1〜6段階で調節が可能で、電源のON/OFFが交互に配置されているタイプになります。

対応する電池はCR2032。
電池は付属しないので、別途用意する必要があります。

エレベーテーションノブとウィンテージノブはそれぞれキャップなどは無く、直接回せるタイプになっています。

こういう仕様のノブなので、もちろんロック機構も存在。
ノブを回す時はまず、ノブを引っ張ってロックを解除する必要があります。
写真右の状態でノブを回す事が出来ます。

1クリックで1/2MOAレティクルが可動、最大で50MOA動かす事が出来ます。
カチカチと、しっかりしたクリック感があります。

ハウジング底部にはよくシリアルNOなどが書かれていたりするのですが、そういった物は無く、ニトロゲン封入時に締められたと思われるネジがあるだけです。

パワーノブはこんな感じ。
最もTangent Theta感が出ている場所だと思います。

倍率切り替えは1〜2倍の間隔が非常に広く、90度もあります。
そして、3、4、5、6と倍率が上がるにつれて間隔が狭くなっています。

側面には「HD」と、レンズの名前が入っています。
ちなみに同社製品は基本的にここにレンズの名前が記載されている気がします。

視度調節ノブ(ディオプター)はこんな感じ。

レンズコーティングとレティクルについて

Discovery HD 1-6X24 IRのレンズコーティングはカタログスペックに掲載されている通り、フルマルチ グリーンコーティングです。
実際に対物レンズ、接眼レンズ共に緑色の反射があり、角度によっては青、紫などの色も確認出来ました。

レンズフチが少しいびつな形になってるのは接着剤が漏れてるせいでしょうか…。
中央付近は曇りや傷も無く、綺麗な状態でした。

レティクルはこんな感じのT時レティクルで、中央にドットがありその下側にミルドットが付いています。

実際に覗くとこんな感じ。
こちらは等倍の状態になります。

アイレリーフはロングアイレリーフを謳ってるだけあって実測で10cm程度はあり、等倍の状態であれば11cm位離しても問題が無い程度の長さがありました。
そして、最近のショートスコープでは安価な物でも当たり前になってきている気がしますが、フチが薄いです。

アイボックスに関してはそこまで凄く広い訳ではありませんが、比較的広め。
特性としてはLayLax SOLによく似ている気がします。

Discovery HD 1-6X24 IRの凄いところは倍率を上げてもアイレリーフの長さとフチの薄さが維持されるという事です。

流石に6倍まで上げると若干アイレリーフが短くなり、フチも太くなってしまいますが、6倍でも9〜10cm程度の距離で問題なく覗く事が出来ます。

尚、アイボックスに関しては1〜2倍はだいたい同じ感じの広さ、3倍で少し狭くなり、4〜5倍辺りからかなり狭くなります。

また、6倍の写真を見て頂けると分かると思いますが、6倍まで上げるとあからさまに像が暗くなります。
明るい屋外で使う分にはあまり気にならない変化かもしれませんが…。

イルミネーションを点灯させるとこんな感じで、レティクル中央の小さなドットのみ赤く点灯します。

尚、屋内で6段階中6段階目で丁度よい位の明るさで、5にすると急激に暗くなり、4以下だとよく見ないと赤く光っているかどうか分からない位の明るさでした。

像の歪みとパララックス計測

続いて、いつもの計測です。
2.5m先のディスプレイに表示されている格子を見て、歪みやパララックスの量を調べます。

等倍でこんな感じ。
歪みは皆無と言って良いでしょう。すごく綺麗に映っています。

しかし、ほんの僅かに倍率が付いている感じがします。
1.1倍とか1.2倍とか…完全な等倍という訳では無さそうです。

この状態で視点を上下左右に動かしてみた所、余裕で円の中に収まっていました。
像の歪みは多少ありますが、同スペックのショートスコープの中ではかなり少なめだと思います。

何か凄いぞ、このスコープ…。
よくある「安価なりの、価格相応な製品だな」と感じる物の場合、この計測時に像が歪んでたりレティクルがグイグイ円の外側に飛び出してしまう事が多いのですが、このDiscovery HD 1-6X24 IRはそういう事は無さそうです。

屋外で見てみた

という訳で、Discovery HD 1-6X24 IRを屋外で見てみました。
撮影場所は近所の河川敷。台風の影響で増水してるので普段眺めていたサッカーグラウンドやゴルフ場などは消滅しています。

一部木の上の方は残っているので、それを見ていく事にします。
今回の標的は上写真中央付近の木で、対象までの距離は約100mです。

イルミネーションは一応最大輝度で光らせてますが、見えませんね…。
光源の位置はほぼ順光で、まずは等倍から見ていきます。

2.5mの距離で全く歪みが確認出来なかった事もあって、全然問題なく、違和感の無い見え方だと思います。
ただ、若干肉眼に比べると色が浅い感じがします。

尚、像の右下にフレアが発生していますが、このフレアは肉眼でも視認する事が出来る物だったので、スコープのレンズによって起きているフレアのようです。
レンズコーティングの性能が現れている感じですね…。

また、対岸を見て頂けると分かると思うのですが、スコープの内側と外側で少しズレが生じています。
とは言え、この程度のズレなら両目照準していてもあまり気にならないんですが…。

続いて、倍率を上げて見ていきます。
ここでおや?と気になった事があるのですが、像が少しボヤケているというか、綺麗に光が収束していない感じを受けました。

ピントが合っていないというより、焦点が合っておらず光が少しズレて配置されているような感じ。
いわゆる『軸上色収差』や『倍率色収差』による物のような感じがします。
この辺りの減少についてはカメラ関係の解説サイトの情報が使えると思いますので、興味がある人は見てみてください。
https://aska-sg.net/shikumi/015-20051019.html

続いて、ほぼ逆光の状態で覗いてみました。
逆光でもフレアは発生しますね。

また、若干レティクルや像のチラツキも確認できたので、チューブ内部の乱反射も少しある感じです。

値段がこの浅い色の像、フレアの発生、焦点のズレなどに現れてる感じがしました。

とは言え、こんな現象は安価なスコープでは日常茶飯事なので特に気にする必要は無いと思いますが…。

Discovery HD 1-6X24 IRの総評(メリット、デメリット)

当スコープの総評ですが、コストパフォーマンスが抜群に優れたショートスコープ、ただしレンズ性能は価格相応といった感じです。

メリットとしては下記の通り

  • 1〜6倍という倍率比である
  • 倍率を上げても9〜10cm程度のアイレリーフは維持出来ている
  • 歪みの少ない(ほぼ認識出来ない)像
  • パララックスが少なく、視点を動かした際の歪みも少ない

デメリットとしては下記の通り

  • 像の色が浅く、コントラストが低い
  • 恐らく光の焦点がズレている
  • イルミネーションが暗く、炎天下ではほぼ視認できない
  • 光源の位置によってはレティクルのチラツキが発生する

といった感じでしょうか。

正直な所、デメリットとして挙げたものに関しては同価格帯の他の製品でも発生する事はありますし、どちらかと言うとメリットの方が大きいと思います。

完璧な製品とは言い切れませんが、サバイバルゲームのような遊びで使うには十分すぎる性能ではないか?と個人的には思いました。

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