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T字型のBDCレティクルが特徴の高コスパ系ショートスコープ、Discovery Optics HD 1-4x24IRのレビュー

記事作成日:2019年11月14日

Discovery Optics製のショートスコープ、『HD 1-4x24IR』をつぼみトレードカンパニー様よりお借りしたので、レビューしていきます。

ご依頼頂いて書いたレビュー記事ですが、あまり気にせずいつも通り、良いこと悪いことを色々と書いていきます。
(当ブログの方針をご理解の上、承諾頂いております)

こちらの製品は1〜4倍の可変倍率ショートスコープで、販売価格が16,900円といわゆる低価格帯ショートスコープの位置づけの製品になります。
チューブ径は30mm、対物レンズ径は24mm、長さ263mm、重量492gと至って普通のスペックの製品です。


注)投稿日から1年半ほど前に書いた記事です。
2019年11月現在では当製品はつぼみトレードカンパニー様では取り扱いはありません。ご了承ください。


Discovery Optics HD 1-4x24IRの内容物と外観レビュー

本商品の内容物はスコープ本体とレンズキャップ、クリーニングクロス、「Discovery」と書かれた厚紙、取扱説明書です。

取扱説明書にはスコープの基本的な使い方(レティクルの見方やゼロインの方法等)が記載されています。
「Discovery」と書かれた厚紙は裏面はスペックシートになっています。

付属のキャップはゴム製の非常にシンプルな物です。

スコープ本体はこんな感じ。
形状的には至って普通のショートスコープですね。

尚、当スコープをつぼみトレードカンパニー様にてご購入頂くと、対応するマウントリングが付属致します。
『HD 1-4x24IR』は、30mmチューブを採用している製品の為、30mm用のマウントリングが付属しています。

マウントリングは至って普通の20mmレイル用マウントリングになります。
単品で買うと2000円位はするので、かなりオトクですね。

マウントリングの内側には滑り止めやスコープ本体に傷がつかないようにする為の布が貼られています。

続いて、細部を見ていきます。

対物レンズ側のチューブの内側にはねじ切りが設けられており、キルフラッシュやロングフード等を取り付ける事が出来そうな気がします。(対応製品があるかは不明)
尚、チューブの内径は約27.6mmでした。

光量調節ダイヤルにはDiscoveryのエンブレムが入っており、ダイヤルを回すとロゴも一緒に回ります。

使用電池はCR2032電池になります。

イルミネーションの色は赤と緑があり、それぞれ5段階で調節する事が出来ます。

エレベーテーションダイヤルとウィンテージダイヤルにはカバーが付いています。
このカバーが中々オシャレ、というかDiscoveryの製品ってこういう細かい所の装飾が特徴的ですね。

カバーを外すとこんな感じ。
カバーだけじゃなくてダイヤルもなんかカッコいいので、カバーを外して使うのもアリかもしれません。

ダイヤルは1クリック1/2MOA、エレベーテーション・ウィンテージ共に最大50MOAの可動範囲があります。
カチカチとしっかりしたクリック感があるダイヤルです。

パワーノブの滑り止めも斜めにカットされた、オシャレな装飾が施されています。

ノブには1、1.5、2、2.5、3、4と倍率の表記が付いており、反時計回りに回すと倍率が上がります。
2倍の所辺りに突起が付いており、個人的にはここに突起が付いているデザインが結構好きで、非常に使い勝手が良いんです…(これは単に好みの問題ですけど)

接眼レンズ側はこんな感じ。
上部には『Discovery Optics HD 1-4x24IR』と製品名が、側面には『HD』とレンズの名前が付いています。

Discovery Optics HD 1-4x24IRのレンズとレティクル、パララックスを見ていきます。

接眼レンズと対物レンズは共にフルマルチコート。
安価なスコープではあるものの、コーティングはかなり綺麗です。

最近の中華低価格スコープも侮れないですねぇ…。

等倍での見え方はこんな感じ。
非常に視野が広く、縁が薄いのが特徴ですが、像は若干黄みがかっています。

尚、レティクルは上方向に線が入っていない、T字型をしたBDCレティクルです。

この価格帯のスコープは一般的にシンプルな十字レティクルである事が多いのですが、このスコープはこのような一風変わったレティクル形状になっています。
また、レティクルの線が非常に細いので、ターゲットと被って視認性を下げてしまう問題が軽減されているのが特徴です。

イルミネーションを点灯させるとこんな感じで、光るのは中央の小さなドットのみです。
また、この価格帯のスコープの宿命なのかもしれませんが、レティクルの明るさは屋外で使うには少々不足気味な印象があります。

明るい屋外ではイルミネーションレティクルを使うのを諦めて、暗くなってきた時や屋内でレティクルを見失わない為に点灯させるような使い方が良いのかもしれません。

また、レティクルは若干キラキラと反射があり、チューブ内の乱反射もあります。
この辺りは同価格帯の製品でも同じような問題があるので、特別大きなデメリットという感じでは無いでしょう。

尚、レティクルはSFPなので倍率を上げてもレティクルの形状は変わりません。
また、倍率を上げてもあまり視界が狭くならない(縁が大きくならない)のが結構凄いと思います。

1倍はアイレリーフ・アイボックス共に非常に広く、アイレリーフに関しては2.5〜3倍位まではほぼ同じ感じで覗く事が出来ます。
流石に4倍ではアイレリーフ・アイボックス共に狭くなってしまいますし、縁も大きくなりますが、それでも覗きにくいような事はありません。

続いて、いつもどおり3m先のディスプレイを見て、像の歪みやパララックスを見ていきます。
尚、倍率は1倍でイルミネーションは消灯させています。

若干レンズの周囲は歪みますが、値段を考えると及第点な気がします。
むしろ頑張ってる方かと。
また、歪みの影響か1倍の状態でも1.1倍位に若干拡大されたような像になっています。

この状態で視点を上下左右に動かしてパララックスの量を見ていきます。
このスコープ、安いわりには物凄いアイボックスが広いんですよ…、そのせいかレティクルは物凄いズレます。

この手のショートスコープでよく使われる、等倍をダットサイトのように使い、サクッと構えてざっくりしたエイムで近距離のターゲットを撃つみたいな使い方であれば問題ないと思いますが、長距離を狙う場合には苦労しそうな気がします。
というか、ゼロインが合ってるのか不安になってきそうです。

あと、動画でも撮ってみました。
動画の方がレティクルがどのように動くのか、分かりやすいかもしれません。

この辺りの問題点も含めて、スコープとしての特性は、以前レビューしたサイトロンジャパンとLayLaxのコラボ ショートスコープ、『SOL』と良く似ていると思います。

パララックスに関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。
対象までの距離は全然違っていますが、同じような感じでレティクルがグイグイ動きます。

しかし、逆に言えばSOLレベルの製品が半額以上安い値段で購入出来るという事を考えると、非常にお買い得な商品だと思います。

SOLよりもイマイチな点としてはイルミネーションの明るさ位だと思います。
ぶっちゃけ、SOLよりも暗いですが、SOLも炎天下では使い物にならない明るさのレティクルなのでそこまで大きなデメリットにはならないような気がします。

屋外で覗いてみた様子

続いて、屋外でも覗いてみました。
イルミネーションは消灯状態です。(やっぱり、点灯させても意味なかったので…)

まず、約55m先の橋桁を覗いてみた様子です。
丁度水位計が付いていたので、なんとなく視野の広さとかが分かりやすいかなと思いました。

1倍がしっかり1倍になっているように見えるのが良いですね。
また、3mの距離での検証では歪みが気になっていましたが、流石にこの距離の対象を見てる分には何の問題も無いですね。

続いて、約400m先の横断幕を見てみます。
左側の写真はカメラで撮影したもの、右側が4倍にしたスコープで覗いた時の様子です。

接眼レンズ側の反射が割と激しく、モヤが掛かったような感じに見えます。
レンズの上部はもちろん、下部も少し白くモヤが掛かってしまっている感じですね。

状況だけ説明すると、カメラで撮影したからこうなったのではなく、肉眼でも同じようになり、更に1倍でも4倍でも遠くを見ると、こういう風に周囲が滲んだように見えます。
50mとか100mとかの距離ではこのような問題は起きず、大体200mを超えた辺りからこういう感じの見え方になるような気がします。

中央付近はくっきり見えてるので狙っている最中はあまり気にならないのですが、索敵のために周囲を見渡すような使い方をすると違和感を感じます。

また、像は明るいのですが、ちょっとコントラストは低めな印象。
この辺りは価格相応のレンズかな?といった印象ですね。

Discovery Optics HD 1-4x24IRの総評、どういう人にお勧めか?

今まで、高コストパフォーマンス系ショートスコープは色々と紹介してきましたが、どれも長所短所が現れる製品が多く、何かに秀でていると何かがダメダメだったりといった物が多いので「これが凄いお勧め!」と断言出来る製品が少なく、判断するのが難しいんですよね…。

とりあえず、このDiscovery Optics HD 1-4x24IRの特徴としては下記の通りとなります。

  • 特徴的なT字型のBDCレティクル
  • 異様なまでに広いアイボックス
  • 倍率を変えてもあまり視野が狭くならず、覗きやすさは大きく変わらない(4倍は流石に狭くなる)

といった所でしょうか。

レティクルやチューブ内の乱反射に関しては同価格帯というか、むしろ3万円程度の製品でも普通によく起こっている問題ですし、イルミネーションの暗さも同じような感じで低価格帯故の宿命みたいな印象があります。

そんな訳でこのショートスコープは『とにかく覗きやすくて安いショートスコープが欲しいけど、レティクルはシンプルな十字レティクルではなく、ミルドット付きのちょっと変わった形状が良い』という人向けの製品だと思います。