光造形式3Dプリンター『ELEGOO MARS』を買ってみました(初期設定〜サンプルデータ出力) | エボログ

光造形式3Dプリンター『ELEGOO MARS』を買ってみました(初期設定〜サンプルデータ出力)

2020年9月8日

ELEGOO MARS UV』という光造形式の3Dプリンターを買ってみました。
今まで3DプリントはDMM.makeのサービスを使っていたのですが、DMM.makeを使う程でも無い物や、試作をやる時とかに部屋に置いておくと便利だと思ったので買ってみました。

この機種を選択した理由は下記

  • 安い(23999円に1200円クーポンが付いているので22799円で買える)
  • 結構綺麗に出力出来るっぽい
  • オートキャリブレーションが付いており、セットアップが楽
  • 純正のレジンの種類やカラバリが豊富で、水洗い可能なレジンがある
  • 修繕パーツがAmazonで売られており、手軽に購入出来る
  • 造形可能なサイズが試作する文には十分(115x65x150mm)

といった感じです。
ちなみにもうワンサイズ大きなELEGOO MARS PROという物もありますが、今回はお試し的な感じも大きいのと、設置場所の問題で小さい方を選びました。

また、3Dプリンタ本体にはレジンが付属しないので、一緒に水洗い可能なUVレジン、『ELEGOO 光造形3Dプリンター用 UVレジン 405nm 500g 水洗い樹脂 光硬化可能樹脂 LCD 3Dプリンター向け (黒)』も買っておきました。
レジンの紹介は後述します。

という訳で、ELEGOO MARSを開封するとこんな感じで3Dプリンタ本体と英語表記の図解入り説明書、ToolKitと書かれた工具類が入っている箱が入っています。

ToolKitの中には色々な物が入っていました。

  • ゴム手袋(6枚)
  • 計量カップ
  • AC電源
  • プラットフォームを45度傾ける樹脂パーツ
  • ろ紙(10枚)
  • USBメモリ
  • 樹脂ヘラ
  • 金属ヘラ
  • ニッパー
  • 六角レンチ、予備ネジ類

中々充実した内容です。

ELEGOO MARS本体はこんな感じ。
フィルムを剥がして紫外線をカットする蓋を外すと中に衝撃吸収材が入っており、そこにプラットフォームやレジントレイが入っています。

ELEGOO MARSの裏面にはデータ転送用のUSB端子と電源端子、電源スイッチが付いており、底部には冷却FANが付いています。
冷却FANの奥にはLCDディスプレイの冷却用と思われるヒートシンクが確認出来ます。

電源を入れるとこんな感じでタッチパネルディスプレイにメニューが表示されます。
また、この時点で冷却ファンがフル回転しています(回転数の制御はされていない感じ?)。

まずは初期設定です。
設定方法は非常に簡単で、説明書どおりに進めれば大丈夫です。

まずはプラットフォームのキャリブレーションを行います。
まず、プラットフォームを上げるために移動量を10mmに設定し、上矢印を押し続け、プラットフォームが取り付けやすい位置まで上げます。

続いてプラットフォームを取り付けて前側と右側に付いているネジを緩めます。
プラットフォームがスルスル動かせる位に緩めたらOKです。

続いて、LCDディスプレイの上に紙を1枚敷いてから写真左側赤丸のボタンを押します。
これで自動的にプラットフォームが下がり、キャリブレーションされます。

このキャリブレーションがボタン1つで出来るのが安い製品だと無かったりするらしいんですよね。

プラットフォームが停止したら先程緩めたネジを締め込み、その後プラットフォームを上げてUVレジンのトレイを取り付けたら設定完了です。

その後、UVライトの点灯チェックを行いました。

問題無さそうだったので付属のUSBメモリを差し込みます。

USBメモリを差し込みメニューの「Print」を押すとファイルエクスプローラーが表示され、USBメモリ内のファイルを参照する事が出来ます。
USBメモリにはPDF化された説明書やPCにインストールするユーティリティソフト、3Dプリント可能なサンプルデータが入っているので、サンプルデータ選択します。

続いて、UVレジンをトレイに入れます。
今回使うのはELEGOO製の水洗い可能なUVレジンで、色は黒色です。
樹脂製のボトルに入っているので、中身をレジントレイに流し込みます。

レジンは独特な臭いがありますが、シンナーみたいな刺激臭では無く個人的にはそこまで気にならないかな?と思いました。
とは言え、臭いは臭いなので、換気はしといた方が良いと思います。

レジンの準備が出来たら赤いケースを被せてスタートボタンを押して、印刷を行います。
印刷が開始されるとLCDディスプレイはこのような見た目になります。

後は印刷完了まで暫く待つだけです。
印刷中は冷却ファンの音に加えてプラットフォームが上下に動く際のモーター音が聞こえるようになります。
印刷中の音は55デシベル程度。
フル稼働中のエアコン位の音なので、そこまで煩くはないですね。

参考までに、これくらいの騒音は割と日常でありふれている程度の音のようですね。

参考:http://www.toho-seiki.com/info04_e.htm

印刷中のELEGOO MARSは、時間の経過と共に画面も更新されていきます。

尚、印刷中に一時停止ボタンを押す事でプラットフォームが上に上がり、印刷途中の構造物がどうなっているのかを確認する事が出来ます。
例えば印刷時間が10時間とか掛かる物で、開始1時間程度で印刷ミスを起こしていると10時間が無駄になってしまうので、途中で「ちゃんと印刷できてるかな?」と確認する為の機能ですね。

FDM方式の場合は印刷中の状態がそのまま視認出来ますが、液体を硬化させる光造形だと造形中の構造物がレジンの中に居るので印刷中の確認が出来ないんですよね。
なので、こういう機能があるのだと思われます。

後は印刷中にレジンが減ってきた場合に途中で補充する際に使うのも良いと思います。

USBメモリに入っているサンプルデータの印刷には4時間17分掛かりました。
印刷が完了したらディスプレイ上にダイアログが表示され、プラットフォームが自動的に上に上がります。

プラットフォームから剥がす前に余分なレジンを落とす為にこのようにプラットフォームを45度傾けて暫く放置すると良いみたいです。
この際、レジンが硬化しないように赤いカバーを被せた方が良いでしょう。

次にプラットフォームから造形物を剥がします。
金属ヘラだとプラットフォームを傷つけてしまうかと思ったので、樹脂ヘラを使いました。
特に苦労せず剥がす事が可能で、剥がした直後は表面がレジンでヌメヌメしているので水道水で洗い流します。

本来はIPAを使って洗浄するのですが、今回使っているのは水洗い可能な物なので、楽で良いですね。

暫く扇風機の近くで放置して乾かします。
本来はこの段階で紫外線照射器や太陽光を使って二次硬化させた方が良いのですが、この時はまだ紫外線照射器が届いておらず、時間も深夜2時半だったので乾燥させて終わりました。

表面の質感は薄くラバーコーティングされたような樹脂みたいな感じです。

出力されたサンプルの細部を見ていきます。
思いの外しっかり出力されており、曲面部に若干の積層痕が確認出来るものの文字も湾曲した構造物も綺麗に出力出来ていると思います。

内側に存在する細かい螺旋状の構造物も綺麗に出力出来ていますし、穴も歪み無く綺麗に出力出ていると思います。

平面に関しては得意なようで、若干の光沢が出る程の滑らかな平面になっています。

翌日、丁度晴れていたのでサンプルデータの片方を屋外で放置して時間は空いてしまいましたが二次硬化をしてみる事にしました。

二次硬化前と二次硬化後でどういう変化があったのかと言うと、ラバーコーティングされたような質感からカチカチの樹脂みたいな質感になり、若干あった光沢感が無くなりマットな質感になったのと、弾性が少なくなり明らかに固くなりました。

尚、サンプルデータを出力しただけだとかなりのレジンが余ります。

余ったレジンは付属のろ氏を使って計量カップに移します。
これで余分なゴミを取り除いた状態のレジンが計量カップに貯まるので、このレジンをボトルに戻せばレジンの再利用が可能です。

最後にプラットフォームやレジントレイを水洗いして乾かせばメンテナンスも完了です。
造形物の洗浄と同様に、普通のレジンだとこういう機材もIPAを使って洗浄するらしいのですが、今回は水洗い可能なレジンを使っているので水洗いで問題なく綺麗になりました。

対応するスライスアプリ『ChiTuBox』について

最後に、ChiTuBoxの紹介です。
こちらは付属のUSBメモリにも入っているユーティリティソフトで、3Dデータを3Dプリンタで印刷出来るような形に変換するスライスソフト(スライサー)と呼ばれる物です。

ソフトインストール後にまずは設定を行います。
インストール直後だと「Default」というプリンタが用意されていますが、「新しいプリンタを追加する」から今回使用する「ELEGOO MARS」を選択します。
写真右の通り、他のプリンタでも使える汎用的なソフトです。

こうするとプリンタ一覧の所に「ELEGOO MARS」が表示されます。
更に細かく設定する事が可能ですが、マシンのスペックは基本的にそのままで良いでしょう。

続いて、レジン樹脂の設定です。
使用するレジンに合わせて調整すれば良いと思いますが、基本的にはそのままで良いのかなと思ってます。

続いて、印刷の設定です。
これが一番需要な設定だと思います。
例えばレイヤーの高さを荒くすればする程印刷時間は短くなりますが、それだけ積層痕が目立つようになります。
また、露光時間に関してはレジンの特性に応じて変更する必要があります。(印刷時間を短くする為に使う事も可能)
ただし、これらの設定が不適切になると印刷ミスが起きやすくなります。

「内部密度」は中身をスカスカにするか充填するかの設定ですね。
インフィル構造にする事でレジンの消費量が減り、重量も軽くなりますが脆くなります。
この機能はまだ試せてないので、どの程度変わるのかは未検証です。

硬度な設定にはアンチエイリアシングのON、OFF切り替えがありますが、正直これの差がよく分からず…。
積層痕が目立たなくなるのかな?と思い試しましたが、ON/OFFで大きな違いが感じられませんでした。

尚、プロファイルから設定を選ぶ事が出来ます。
純正レジンを使うのであればこの中から選ぶのが手っ取り早くて良い気がします。

例えばFusion360で写真左側のようなデータを作ったとして、それをSTL方式で保存、ChiTuBoxにドラッグ&ドロップすると写真右のような感じで読み込まれます。

読み込まれたら初期設定で追加したプリンタ「ELEGOO MARS」を選択します。

この画面では構造物の角度や前後左右の位置調整、サポート材の追加が行えます。
サポート材は細かな設定が可能で、手動で追加する事も出来ますし、自動で追加させる事も出来ます。

サポート材の除去のしやすさや「なるべく見える部分にサポート材は配置したくない」など考慮する必要があるなら基本は手動でやった方が良い感じですね。

個人的には自動サポートである程度サポート材を作った後に手動で調整するのが楽だと思いました。

印刷前にスライスのプレビューを行う事が出来ます。
また、この時に造形物の重量や必要なレジンの量と値段、造形時間も表示されます。

スライスしたデータを保存すると、このようなファイルが生成されます。
小さな構造物ですが12MBものファイルサイズになりました。

このファイルをUSBメモリに入れて、プリンタに差し込めば印刷する事が出来ます。
非常に簡単ですね。

という訳で、一旦ELEGOO MARSの紹介は以上になります。
今は生成された造形物の耐久テストだったりどういう風にサポート材を配置すれば精度が上がるかとか造形しやすいかを検証している最中ですね。
ほぼ毎日何かしら出力してます。