M84テレスコープのレビュー
記事作成日:2020年9月25日
『M84telescopeの共同輸入プロジェクト』というものがあり、友人がそこでM84スコープを購入、借りる機会があったのでレビューしていきます。
私はこのプロジェクトについてよく知らないのですが、このM84は実銃用リプロ品との事です。
M84というスコープはM1ガーランドの狙撃銃バージョンである、M1Dに搭載されているライフルスコープで、自衛隊が64式小銃用に64式用照準眼鏡という名前でM84スコープを参考にニコンが作成した外見がよく似たスコープを取り付けていたようです。
M84と64式用照準眼鏡は各部の寸法や形状が若干違ってるみたいですね。
倍率は2.2倍固定。
第二次世界大戦時代のスコープなので、現代のスコープ基準で紹介しても意味が無いと思うので、当レビューでは単純にこのスコープの仕様を紹介していこうと思います。
まず手にとって真っ先に思ったのが「重っ!」という事。
細身のチューブで全体的に小柄なのに重量が523gもあります。
重い理由は素材。
ゴム系のパーツ以外の外装パーツは全てスチールで出来ています。
そりゃ重いわ。
あと、サビには気をつけないとですね。
では細部を見ていきます。
対物レンズ側はこんな感じで、レンズ(汚れなどから対物レンズを守る為の保護レンズと思われる)付きの筒に覆われています。
この筒状のパーツは側面、赤矢印部分で圧迫されており、引っ張ると伸ばす事が出来ます。
いわゆるロングフードに出来る訳ですね。
尚、フードを縮めた状態だと全長は約31cm、フードを伸ばした状態だと全長は34cm程度になります。
ハウジング部には「TELESCOPE M84」という製品名とシリアルNOが印刷されたプレートが付いています。
エレベーテーションノブとウィンテージノブにはカバーが付いており、開くとダイヤルにアクセス出来るようになります。
パチン!と良い音を立てて開閉されます。
エレベーテーションノブとウィンテージノブはそれぞれこんな感じで、エレベーテーションノブは基本0スタートで、着弾点を上げていく方向にしか回せません。
ウィンテージノブは左右に動かす事が出来ます。
基本的にはダイヤルを分解してゼロインを行い、ゼロイン後にダイヤルを0に合わせて戻す感じの使い方になると思います。
この辺りは現代におけるゼロリセット機能付きスコープと似た感じですね。
接眼レンズ側にはゴムで出来たフードが付いています。
日差しや雨などによる視界不良を低減させる為の物だと思います。
接眼レンズと対物レンズのコーティングはこんな感じで、紫色系のモノコート。いわゆる「マゼンダコート」と呼ばれるタイプのコーティングですね。
10年くらい前まではバリバリ現役だったコーティング(特に安価な製品)ですが、最近は安価な製品でも当たり前のようにグリーンマルチコートが施されており、あまり見かけなくなりましたね。
レティクルはこんな感じで独特な少し中央上が突き出したT字レティクルになっています。
レンズは少し黄み掛かっていますが、かなり綺麗なレンズでした。
対物レンズ径の割には明るさも十分だと思います。
ただ、上の写真を見て分かる通り、視界の周囲に僅かな隙間(漏れた光)が確認出来ます。
これは視点を動かすと動かした側の反対側が大きくなるので、少し気になる所ではあります。
尚、アイレリーフは10cm程度と普通に使いやすい長さがありますが、アイボックスはかなり狭いです。
基本的に真っ直ぐ覗き込まないとちゃんと見えないと思った方が良いでしょう。
ちなみに、このスコープを私が借りたのはレビュー記事を書く為だけではなく、「このスコープを1インチのマウントリングで使いたいからスペーサー作ってよ」って言われたからです。
このAmerican Defense製のオフセットワンピースマウントベースで使いたいみたいです。
M84スコープのチューブ径は22.2mmなので、これを1インチ(2.54cm)にする為のスペーサーを作りました。
American Defenseのマウントリングに合わせて作ってるので、このマウント専用品ですね。
スペーサーの形状はよくある30mmマウントリングを1インチに変更する奴と同じです。
という訳で、こんな感じになりました。
何か不思議な感じ。
とりあえず銃に乗せてみました。
違和感が凄い。
当人いわく、追って発売される64式小銃用のマウントベース待ちらしいです。
それまで普通の銃に乗せて使えるように、この変換が欲しかったそうな。