Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2 SCRD-23 レッド/グリーン ドットサイトのレビュー
記事作成日:2021年8月20日
つぼみトレードカンパニー様よりVector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2 SCRD-23をお借りしたのでレビューします。
内容物はこんな感じ。
説明書類(英語)、保証書、ドットサイト本体、六角レンチ、樹脂製コインドライバー、クリーニングクロスです。
こちらのドットサイトはつぼみアームズでの販売価格が6500円と同社製品の中でも低価格帯に属する製品なので、その点を踏まえてレビューしていきます。
Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2本体はこんな感じのリフレックスサイト(オープンドットサイト)で、大型のサンシェードが特徴的です。
上下はこんな感じ。
マウントは20mmレールに対応しています。
サンシェード側面には穴が空いており、サンシェードとしての機能は落ちてしまっている印象があります。
その代わりレンズを明るくする事が出来ると思います。
ドレインホールとして機能する穴をサンシェードに空けているドットサイトもありますが、この製品は穴の位置的にそういう目的では無さそうです。
輝度調整ボタンは左側面に付いています。
シンプルなボタンで、Rが赤、Gが緑の電源+輝度調節ボタンになっています。
ボタンを押すとその色が点灯、ボタンを押す度に輝度が上がり、最大輝度の状態で押すと最低輝度になります。
尚、輝度は5段階あります。
消灯させるにはボタンを長押しします。
輝度調整ボタンの横にはウィンテージダイヤルが付いており、六角レンチを使って調整します。
エレベーテーションダイヤルは上部にあり、こちらも六角レンチを使って調整する仕様です。
ダイヤルはカチカチとしっかりしたクリック感があり、上下左右共に最大60MOAの調整幅があります。(1クリック辺りの稼働量は不明)
このドットサイトはマウント部とレンズ部に分かれており、エレベーテーションダイヤルやウィンテージダイヤルを回すとレンズ部の傾きが変わります。
下写真の隙間が可動部です。
ウィンテージダイヤルを回すと赤矢印の部分が左右に動き、これもレンズ自体が動きます。
安価なドットサイトだと設計が甘いせいでエレベーテーションダイヤルを動かしてもレティクルが動かなかったり、調整機構が壊れてしまうという事が度々あるのですが、この構造だとそういった物理的な破損のリスクが少ないという利点があります。
逆にデメリットとして、レティクルの精度が落ちたり衝撃に弱いという問題もあったりしますが、安価なモデルである事を考えると妥当な選択肢のような気もします。
マウントはQDレバー式になっており、ワンタッチで着脱出来ます。
操作性はNovelArmsのマグニファイアやCOMBAT T1などに搭載されているQDレバーと同じ感じです。
QDレバーの上には電池の蓋が付いているので、付属の樹脂製コインドライバーを使って外します。
電池はLR754(AG5/LR48)を3本使います。
尚、電池は付属しないので別途用意しないといけないのですが、CR2032やCR1632などと違って一般的なサイズでは無いので注意が必要です。
尚、試してみたら2本でも点灯させる事が可能でしたが、若干輝度が低くなりました。(電池2本での最大輝度は電池3本の最大輝度-1位になる)
後ろ側には2本の突起が付いており、アイアンサイトとの高ささえ合うならリアサイトとして使えるように(?)なっています。
そういう為の物なのか単なるデザインなのかはよく分からないんですが、AR15系のアイアンサイトよりも少し低いですね。
尚、ドットサイト自体の高さはAbsolute Co-Witnessのようです。
Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2はレティクルの切り替えが可能なドットサイトで、4種類のレティクルが実装されています。
写真のノブを回す事で、レティクルを切り替える事が出来ます。
レティクルの形状はノブに印刷されているので、分かりやすいですね。
レンズコーティングとレティクルについて
Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2のレンズは安価なモデルでありがちな、ミラーコートになっています。
視界は若干スモークがかっています。
このミラーコートは安価なだけではなく赤と緑どちらのレティクルでも綺麗に映るという利点があります。
その為、本製品にように色切り替えが可能なドットサイトではミラーコートが採用されているケースが多いです。
覗き込むとこんな感じ(レティクル消灯状態)
こんな感じでレンズは結構薄暗いです。
これもミラーコート製品の特徴でもありますが、このレンズはレティクルの反射率が低い為、レンズ自体を暗くしてレティクルの視認性を上げているケースが多いです。
本製品もそのタイプだと思われます。
レティクルを点灯させるとこんな感じになります。
輝度が赤と緑で異なっており、緑の方が明るかったです。
屋内ではレッドドットが最大輝度-2位、緑が最大輝度-3位で丁度よい輝度でした。
少しドットは滲んでいますが、価格帯を考えると綺麗な方だと思います。
赤、緑の最大輝度はそれぞれこんな感じ。
赤は少しグローが強めに掛かる程度でしたが、緑の方は明るすぎて、カメラのレンズガードに反射したレティクルまで写り込んで、レティクルが2個表示されてるような見え方になっています。
尚、レティクルのバリエーションはこんな感じ。
写真左上からサークル・十字・ドット(サークル部、45度に切れ目あり)、ドット単体、十字+ドット、サークル+ドット(サークル部、上下左右に切れ目あり)となっています。
尚、レティクルをカメラで撮影すると分かるのですが、若干点滅しています。
この影響でドットサイトを覗きながら移動したりするとレティクルがチラつくように感じる事があります。
輝度を上げても点滅し続けています。(動画では最低輝度から最大輝度まで輝度を調整しています)
バッテリーパフォーマンスを高める為によくこういう仕様になっているドットサイトは多いですが、本製品も点滅する仕様のようですね。
レンズの歪みとパララックス計測
レンズは大きいですが歪みは控えめ。
ほんの僅かに倍率が付いているような歪みがありますが、十分許容範囲内だと思います。
視点を上下左右に動かすとこんな感じ。
上方向が苦手なのかフチに到達する前にレティクルが途切れ、円からはみ出しました。
下方向は問題なし、左右はちょっとはみ出している程度です。
こちら、箱出し状態のゼロ点で計測して上記のような状態になったのですが、本製品のゼロインがレンズ自体を動かすという仕様上、ゼロインした後だと結果が変わる可能性が大いにあります。
なので、正直この計測結果はあんまり参考にはならないですね…(そもそも構造的にレティクルの精度が低い)
屋外で覗いてみました
炎天下の屋外で覗いて、視認性などを確認してみました。
レティクルの輝度は最大輝度で一応視認可能ですが、赤レティクルの方は少し暗めで、暗いところを覗く分には問題無いですが明るいと視認性が落ちます。
一方緑の方はかなり視認性が高く、周辺が明るくても十分な視認性がありました。
屋内で見ていた時よりもレンズの暗さは控えめな感じがしましたが、それでも透明度は低めという印象があります。
とは言え、実用的な明るさではありますし、緑レティクルであればレティクルの視認性も高いので特に使用上の問題は無いかと思われます。
銃との組み合わせについて
最後に、銃に取り付けた際の見た目について紹介します。
Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2は大きめのリフレックスサイトという事もあり、AR15系などのアサルトライフルとの相性も良いです。
また、サブマシンガン系との相性も問題は無い、使い勝手の良いサイズのドットサイトだと思います。
ただし、高さがAbsolute Co-Witnessと少し低めなので、組み合わせる銃や構え方によってはライザープレートで高さを上げた方が覗きやすいと感じる事はあると思います。
Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2 SCRD-23の総評
という訳で、Vector Optics Ratchet 1x23x34 Gen2 SCRD-23のレビューは以上になります。
6500円という価格帯故に光学サイトとしてのスペックは低めではありますが、値段相応ではあるので特段大きな不満は無いと思います。
むしろ安価でも使い勝手を悪くしない色々な工夫が見受けられるのが個人的には高評価です。
- 物理破損の少ないレンズ側を動かすゼロイン調整機構
- ミラーコートのレンズでもレティクルの視認性を上げる為のスモーク処理と高輝度
- 高輝度でもバッテリーライフを維持する為の点滅処理
この辺りがポイントかなと思います。
正直高性能なドットサイトが欲しいならもっと値段の高い(せめて1万円以上のモデル)を買う必要がありますが、入門機種としては十分な性能を持っていると思います。