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新作TANGOシリーズショートスコープ、SIG SAUER TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)を買ってみた

記事作成日:2022年1月11日

2021年末頃に発売された、TANGOシリーズ新作でワンピースマウントリングやバトラーキャップが同梱されている『SIG SAUER TANGO-MSR LPVO 1-6×24 RIFLESCOPE with 30mm Aluminum 1.535″ ALPHA-MSR Cantilevered Mount』を買ってみました。
モデル名はSOT61000、レティクル形状はSIG製品おなじみのBDCレティクルに十字を追加したBDC6です。

こちらのスコープはSIG SAUERの中でもイマイチ位置づけがよく分からないMSRシリーズの製品になります。

MSRはModern Sporting Rifleの略で、その名の通りシューティングスポーツ向けの製品なので軍用グレードとされるハイエンド機種ではない事は間違い無さそうなのですが、じゃあそれが同社製の別製品と比較してどう違うのかがいまいち分からない…。

TANGO-MSRの定価が499.99ドル(デザートカウボーイでの販売価格は52,800円)です。
同じショートスコープのタクティカルラインだとTANGO4が549.99ドル、TANGO6が1399.99ドル(現行モデルは更に上位モデルの6Tしか無いので、1,429.99ドル)なので、TANGOシリーズの中では一番下のグレードになるかと思われます。
しかもワンピースマウントリングやバトラーキャップなどのアクセサリーも同梱されていますからね。
スコープ単体の値段を考えると割と安価な製品になるのではないかと思われます。

2022年1月現時点でのTANGOシリーズショートスコープ一覧

内容物はスコープ本体とマウントリング、電池(CR23032)、六角L字レンチ、説明書、SIG SAUERロゴ入りクリーニングクロス、SIG SAUERロゴステッカーです。

説明書はスコープの基本的な操作やレティクルの使い方について記載されています。

付属のCR2032は個人的に馴染みのある物が入っていました。
1個単価30円くらいで買えたので、よく当ブログのレビューでも登場しているノーブランドCR2032です。
中華光学機器を買ったときとかによく付属してたりしますね。

SIG SAUER TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)と付属するマウントリングはこんな感じ。
スコープもマウントリングも黒色。文字は白彫りレーザー刻印です。

付属の30mm Aluminum 1.535″ ALPHA-MSR Cantilevered Mountについて

こちらのマウントリングはSIG SAUERのマウントリングシリーズである「ALPHA」の名前が入っているものの、現状単品販売はされていないマウントリングなので、価格からグレードを予測する事は出来ないのですが、質感からしてハイグレード品では無さそうな感じです。

形状の雰囲気はALPHA3に近いですが…。

マウントの重量は167g。
ワンピースマウントリングとしては比較的軽めの製品だと思います。

マウントは20mmレール(ピカティニーレール)に対応、側面のノブを締め込んで固定する仕様です。

色々な所に白彫り刻印が施されています。

上面に25in-lbと締め込みトルクが記載
左にP/Nとチューブ径、高さ、ノブの締め込みトルクが記載
右にSIG SAUERロゴ

こんなにデカデカと締め込みトルクが記載されているマウントリングも珍しい気がします…。

マウントリングの取り付けに関しては記事後半で行うので、先にスコープ本体を見ていきます。

SIG SAUER TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)について

SIG SAUER TANGO-MSR本体はこんな感じで、予め接眼レンズ・対物レンズにバトラーキャップが付いている状態になっています。
色はマットな黒色で、各部の白堀り刻印が目立つデザインになっています。(TANGOシリーズの黒ボディ製品と同じ仕様)

バトラーキャップを展開するとチューブに対して水平になる角度まで開く事が出来ます。
視界の邪魔になりにくいので、良い仕様ですね。

バトラーキャップの外側には何の記載も無くシンプルな形ですが、キャップ内側にSIGロゴが入っています。

対物レンズ側
接眼レンズ側

バトラーキャップを外すとこんな感じになります。

ちなみに、スコープのサイズ自体は他のTANGOシリーズショートスコープと同じらしく、バトラーキャップとかはTANGO6でも使う事が出来ました。

対物レンズ側はこんな感じで安価なモデルですがしっかりSIG SAUER TANGOらしさが出ています。
内側にはねじ切りなどは付いません。

チューブ前側側面には白いラインが引いてあります。
これはTANGO6Tから実装されたチューブのセンターラインで、これを基準にマウントリングを取り付けると水平出ししなくても良いという便利なラインです。

ハウジング左側面にSIGロゴが入っており、銀色に輝いています。
ここがイルミネーション用の電池キャップになっています。
このキャップを開けて中にCR2032電池を入れます(電池は付属の物ではなく自分の方で別途用意した物を使用)

輝度調整は11段階で、NVモードは無し。

エレベーテーションダイヤルとヴィンテージダイヤルにはキャップが付いており、外す事でダイヤルにアクセスする事が出来ます。

エレベーテーションダイヤルとヴィンテージダイヤルはそれぞれこんな感じ。
1クリックで0.5MOA動き、最大で100MOA動かす事が出来ます。

ダイヤルはカチカチとしっかりしたクリック感があり、操作性は悪くありません。

ハウジング下部にシリアルナンバーと生産国の記述などがあります。
デザインはオレゴン州のSIG SAUER(SIG SAUER USA)、組み立て(生産)が中国です。

パワーノブはスルーレバー付きでグリップ力が非常に高い鋭いチェッカリングが付いています。
現在の倍率を示す部分には緑色の集光アクリルが1本付いています。

この緑色の集光アクリルの視認性が高くて良いんですよねぇ。

パワーノブに付いているスルーレバーはネジ固定なので簡単に外す事が出来ます。
倍率切り替えの操作中に緩んできたので、ネジロック剤で固定してしまった方が良い気がします。

このパワーノブは180度回転する仕様で、倍率の表記は1、1.5、2、3、4、5、6と入っています。
中間の倍率として白線のみ1倍と1.5倍の間、2倍と3倍の間に1本ずつ入っています。

接眼レンズ側の側面にはSIG SAUERのロゴが入っています。

視度調整ノブはこんな感じ。
塗装か下地処理の違いによる物かは不明ですが、チューブ側と若干色味が違いますが、材質は同じアルミのようです。

視度調節ノブは写真のような具合に動きます。

レンズコーティングとレティクルについて

TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)のレンズは対物レンズ、接眼レンズ共にシンプルなグリーン系マルチコートが施されています。

覗いた時の様子はこんな感じ。
このスコープに採用されているBDC6レティクルはドロップ弾道用のレティクルに加えて、移動するターゲットを狙う為の三角形の形をしたレティクルが左右についており、更に外周に太い十字レティクルが配置されています。

1倍率の状態

アイレリーフは90mm〜140mm程度と比較的長めで広め。
アイボックスはそこまで広くは無いですが、ショートスコープとして使い勝手が悪くない程度の十分な広さはあります。

倍率を上げると若干アイレリーフが短くなり、像が暗くなります。
大体0.5倍刻みでアイレリーフの最長距離が10mmちょい程度短くなっていき、3倍以降ではアイレリーフが90mm〜110mm程度になります。
また、像の明るさに関しては6倍まで上げた場合、屋内の明るさ程度では明らかな暗さを感じます。

3倍率の状態
6倍率の状態

あと、写真でも分かる通り接眼レンズ側の反射が少々目立ちますね…。
こうなるのは屋内での撮影という理由もありますが、コーティングの性能によっても変わってくるので、まあそういうコーティングなんだろうなと思われます。

イルミネーションを点灯させるとこんな感じで、中央のホースシューのみ光ります。
最低輝度だと屋内でうっすら赤色が見える輝度、最大輝度は眩しく輝いており、チューブ内の反射によってフチも赤く光っています。

輝度1(最低輝度)
輝度11(最大輝度)

尚、最大輝度にした場合チューブ内の発光が凄いです。
かなり光が漏れている感じ。

屋内では輝度7が丁度よい明るさに感じました。
丁度よい明るさにすれば滲みも少ない、綺麗なイルミネーションである事が分かります。

像の歪みとパララックスについて

TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)の像の歪みとパララックスを見ていきます。
距離はいつも通り、2.5m。ターゲット中央の円は20mmで、10mm刻みのグリッドを引いてあります。

まずパット見て分かる事は魚眼レンズ系の多少の歪みがある事と、中央とレンズ周囲でピントの合い方が異なる事です。(中央はピンとが合ってるものの、周囲が滲んでいる)
個人的にはこの歪みはちょっと気になるレベルではあるものの、この価格帯だとこれくらいは仕方がないかなという印象です。

遠くを覗いている分にはだいたい大丈夫なんですが、市街地系フィールドなどの狭い所で使う時に酔いやすいタイプの像です。

この状態で視点を上下左右に動かしてパララックスの具合を見ていきます。
パララックスはかなり控えめで、上下左右全てにおいて5mm程度しかレティクルが動いていません。
ただ、像の歪みはまっすぐ覗くよりも大きめになっています。

動画でも撮ってみました。

付属のマウントリングを取り付けていきます

ではSIG SAUER TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)に付属するマウントリング、30mm Aluminum 1.535″ ALPHA-MSR Cantilevered Mountを取り付けていきます。
まず、マウントリング上面のネジを全て外します。
これらのネジは全てT5のトルクスネジになっています。

後はスコープを乗せてチューブ側面の白線の位置を合わせるだけなんですが、なんかしっくり来なかったのでいつも通りの取り付け方にします。

まず、20mmレールで水平を取り、マウントリングを取り付け、水平を確認。
最後にスコープを乗せて水平を出した状態でマウントリングの上側を締め込みます。
尚、マウントリングに締め込みトルクが書かれているのですが、自分はトルクレンチを持っていないので何となくの感覚で締め込みます。(後日、ちゃんとしたトルクレンチで締め込みました)

スコープの水平を出す方法って色々あるんですが、なんだかんだ個人的にはこういうアナログな方法がしっくり来ます…。

スコープのセンターラインを見てみると、ちゃんとマウントリングの中央に来ているので、線で合わせても水平器使って合わせても結果は同じだったんでしょう…。

尚、見ての通りこちらのマウントリングは若干…とは言えないくらいの隙間が生まれるようです。
ノギスが差し込める程度の隙間だったので測ってみた所、0.7mm程度の隙間がありました。

マウントリングに隙間が生まれる事自体は物凄い悪い事では無いのですが、隙間が生まれる事を考慮してネジを順番に程よいトルクで締め込んでいかないとスコープ側を損傷させてしまう可能性があるので注意が必要です。

こういうケースもあるのでやっぱりトルクレンチ買っておこうかな…。

という訳で、マウントリングを取り付けたSIG SAUER TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)はこんな感じになりました。

上から見るとこんな感じ。

屋外で覗いてみた様子

いつも撮影で使っている河川敷で撮影してきました。
季節は冬、天候は晴れ。写真は全てイルミネーションを最大輝度で点灯させている状態です。

冬場の晴れの日で最大輝度が丁度よい事を考えると、真夏の炎天下だと輝度不足に感じるかも知れません。

約260m先の木を狙っています。
まずは1倍率から。
視野が広いものの、堤防の位置ズレや本来殆ど写り込まないはずの道路が写り込んでいる事を考えると、ギュッと像が圧縮されたような見え方になっている事が分かると思います。

倍率を上げていくと視野の違和感は大きく少なくなります。
また、屋内だと6倍ではかなり暗く感じられたのですが、屋外ではちょっと暗くなる程度で済んでいるので、明るい屋外であれば実用性に問題が起きるような明るさの低下は無いと思って良いでしょう。

遠くを見ていて像の色ブレについて、ちょっと気になったので、約25m先の白い杭を使ってよく見てみる事にしました。
分かりやすいように6倍率で見てみた所、大きなブレは無いものの、中央も外側も均等にブレていたようです。

パット見問題無さそうにも見えますが…
よく見ると杭の周囲が滲み、左側が赤色、右側が緑色にブレている事が分かる

まあ、これくらいの価格帯の製品だとこれくらいの色ブレは十分許容範囲内かなと思いますがね…。

サバゲーで使ってみた感想

先日、サバゲーに行った時にSIG MCXに乗せて使ってみたのですが、特段問題は無かったですね。
等倍の歪みは移動しながら覗いたりすると流石に気にはなりますが、普通に立ち止まって狙っている時はそんなに違和感はありませんでした。

また、倍率を上げる事で歪みの違和感もかなり低減されるので、普通に使える1〜6倍ショートスコープって感じです。
倍率を上げてもアイボックスが程よい広さがあるのも普通に使えると感じた大きな要素の1つですね。


という訳で、SIG SAUER TANGO-MSR 1-6×24(SOT61000)のレビューは以上になります。

SIG SAUERというブランド価値が加えられている事を念頭に置いておくと、マウントリング付きで499.99ドルという価格帯でこの性能は結構バランスの取れた、実用的な製品ではないかというのが個人的な印象です。
日本国内で4万円半ばくらいの価格で販売されているショートスコープといい勝負が出来そうな製品だと思います。

もちろん、気になる所もちらほらありますが、全体的には及第点かなといった印象です。