S&T CQB-R スポーツライン(STAEG361RBK)の内部カスタム、調整をしていきます
記事作成日:2022年2月16日
先日分解を行ったS&T製の電動ガン、CQB-R スポーツラインの内部を弄っていきます。
今回も「Twitterでアンケート取って買ってみた銃を弄るネタ」なので、基本的に純正パーツを流用する形で調整していこうと思っています。
尚、使用するパーツはすべてブレーキクリーナーを使ってグリスや汚れなどを除去した状態になります。
グリス類は簡単に落とすことが出来ました。
バレル・チャンバー周りの調整
まず、バレル・チャンバー周りを弄っていきます。
分解記事でも書きましたが、純正HOPパッキンは硬度高めの肉厚パッキンで、バリも大きく給弾口の形状もタイト気味であまり好みな感じでは無いので、これは交換しようと思います。
無難に東京マルイのパッキンを組みたかったのですが、試してみた所あまりにスカスカだったので今回はMAPLE LEAF MONSTER AEGの60度を使う事にしました。
在庫として持っていたのでさっさと消費したかったというのも理由としてありましたが…。
ただこのパッキンを組んでもまだスカスカ気味だったのでインナーバレルにアルミテープを貼って調整しました。
また、インナーバレルとチャンバーのクリアランスを調整する為にポリイミドテープも貼って調整しています。
これでインナーバレルとチャンバーのガタツキはかなり抑える事が出来ました。
尚、インナーバレルとチャンバー、クッションゴムなどに関しては特に問題が見当たらなかったのでS&T純正のままです。
最大HOP時はめちゃくちゃ大きく突起が出る状態になりますが、HOP最低状態ではほぼ突起が出ないので0.20g〜0.28gなど幅広い重量に対応出来るようになったと思います。
また、インナーバレルとアウターバレルのガタツキを抑える為にインナーバレルの先端部分にポリイミドテープを巻いて外径を調整しました。
アルミテープ未満の調整をするのにやっぱりポリイミドテープは結構便利ですね。
ピストン、シリンダー周りの調整
続いて、ピストンを弄っていきます。
こちらも基本的には純正のままで、スプリングのたわみを抑制する為にスラストベアリングのみ入れる事にしました。
尚、純正のスプリングガイドがかなり短いのでスラストベアリングを追加してもスプリングガイド側の調整は不要でした。
また、Oリングは純正だとシリンダーの内径に対してタイト過ぎて大きな抵抗があったのでG.A.W GRUS-Oリングでちょうどよいサイズの物に交換しました。
ピストンの重量はスラストベアリング分の6g増えて33gになりました。
これだけの重さがあればピストンスプリングが柔らかくても加速シリンダーを使って重量弾をしっかり飛ばす事が出来るでしょう。
今回、ピストン側にはAOE調整用のスペーサーを入れなかった理由は今回はシリンダーヘッド側にゴム板を貼って調整しようと思ったからです。
という訳で、シリンダーヘッドに厚さ2mmのゴムパッキンを貼り付けます。
接着に使ったのはマルニのゴムのり。
パンク修理に使われる物で、ゴムに対する粘着力が高く、硬化後も弾性が残り耐衝撃性に優れているのでこういう部品の接着に向いていると思います。
数年前に組んだ電動ガンでこのゴムのりを使いましたが、まだ剥がれていないようなので実用強度はあると思います。
2〜3時間程度放置すれば硬化します。
こんな感じになりました。
AOEの状態は後で確認するとして、ギア周りを弄っていきます。
ギア、FCU基板などの駆動系部品の調整
軸受はしっかり固定されておりギアのシャフトに対する内径も特に問題は無さそうだったので純正軸受をそのまま使います。
ギアも純正のまま使うので、そのままいつも通りシム調整を行いました。
かなりゆとりがあるおかげで0.5mmのシムを何枚も使いました。
海外製電動ガン弄ってると1mm厚のシムが欲しくなる事ありますよね…S&Tのメカボックスもそんなメカボックスでした。
シム調整後、一旦基板を取り付けてセクターギアとセンサー周りとのクリアランスを確認します。
たまに聞く話なんですが、このクリアランスを確認せずにセクターギアを回転させてしまい、基板に接触してセンサーを吹き飛ばしてしまうというケースがあるらしいですね。
続いて、トリガーストロークを調整しようとスイッチとトリガーをにらめっこしていました。
S&T CQB-Rのトリガーは構造的にプラ板を貼ったりして調整しようとすると、メカボックスを閉じた時にスイッチにトリガーが衝突してスイッチを破損させてしまう可能性があったので、メカボックスを閉じた後でトリガーストロークを変更出来るような仕様にする事にしました。
という訳で、トリガーが組み込まれるメカボックス右側下部に穴を開け、M3のタップを立て、イモネジを組み込みました。
イモネジを緩めた状態でメカボックスを閉じた後、イモネジを締め込んでトリガーの初期位置を変更する感じです。
これなら組み立て後にトリガーを動かすのでスイッチを破損させてしまう心配がありません。
続いて、トリガーの初期位置を変更した事によりセーフティが効かなくなるので、セーフティー状態でトリガーにを削りました。
が、これだと全然駄目でもっと大幅に削る必要があり結局トリガー側も削りました。
最終的にトリガーをガッツリ削った後、トリガーに干渉するパーツにアルミ板を貼り付けていって調節していく事になりました…。
多分、この方法でトリガーストロークを弄るならトリガー側だけ削るのが良い気がします。
だいぶ無駄な加工をしてしまった…。
まあ、初めての構造で色々やろうとするとこういう事もあります…。
という訳で、ギアにグリスを塗布、一旦メカボックスを締めてグリップのみ取り付けて動作テストを行います。
この時点で異音は無いか、ギアはスムーズに回るかの確認とトリガーストロークの最終調整を行います。
残りのパーツ組み立て
ギア単体での動作チェックでは特に問題は無かったので、他のパーツを組み立てていきます。
シリンダーヘッドに貼ったゴム板のおかげでAOEはいい感じになりました。
ベストな状態という訳では無いですが、これくらいにしておくとラックギアの加工が不要なので楽です。
吸気系パーツを組み立てるにあたって、純正だとあまりに硬すぎてタペットプレートに高い負荷を与えると思われたタペットスプリングを変更、少し柔らかくしました。
という訳で、ピストン、シリンダー、ノズル周りと逆転防止ラッチを組み立ててメカボックスは完成です。
メカボックスを閉じた後にスプリングガイドとピストンスプリングを入れるのですが、この時ピストンスプリングは敢えて純正にしてみました。
というのも、箱出し状態で動かした時のバネ鳴りは自由長が短い事が原因なので、今回AOE調整を行ったりピストン内にスラストベアリングを入れたりした事でスプリングは多少圧縮された状態で収まる事になります。
これでバネ鳴りは低減出来るかな?と思ったので、純正スプリングのままにしてみました。
QDスプリングガイドですし、駄目だったら後から変えれば良いだけですしね。
こういう実験がやりやすいのも、QDスプリングガイドを採用しているメカボックスの大きな利点だと思います。
続いて、ロアレシーバーにメカボックスを組み込んだ時にイモネジとロアレシーバーが干渉してしまう事が分かったので、ロアレシーバーを少し加工しました。
後は普通に外装パーツを組み立てていくだけです。
特にトラブルは無く組み立てる事が出来ました。
初速は0.20g弾でこんな感じ。
思いの外初速が高めになりましたがまあ、安全マージンは取れているので問題無いでしょう。(暫く撃って更に上るようならスプリングを調整します)
この銃は7.4Vでも11.1Vでもどちらでも使う事が出来る状態(あまりに高Cレートな11.1Vだと怪しい)になっているので、7.4Vと11.1Vの両方で発射サイクルを計測してみました。
尚、使用したバッテリーは7.4Vは1100mAh 20C、11.1Vは900mAh 20Cです。
結果、7.4Vは秒間11発、11.1Vでは秒間17.7発でした。
7.4Vだと相変わらずもっさりですが、11.1Vを使えばかなり快適に動いてくれる感じでした。
当初モーターも変えようか悩んでたんですが、これなら11.1Vを使う前提でこの仕様のままでも良いかも知れないですね。
今回も基本純正パーツで組み上げました。
— エボログの中の人@3Dプリント楽しい (@Evolutor_web) February 13, 2022
11.1V使えば快適に動く電動ガンになったかな。 pic.twitter.com/xXW76Mpx4F
という訳で、S&T CQB-R スポーツライン(STAEG361RBK)の内部カスタムは以上になります。
今回変更したパーツは、HOPパッキンとタペットプレートのリターンスプリングだけって感じですね。
追加したパーツはピストンのスラストベアリングやAOE調整用のゴムパッキン程度で、後は調整用のシムとかテープとかネジとかその程度って感じです。
今回は命中精度に関わる部分にソコソコ手を加えたので、シューティングレンジで撃ってどの程度変化があるのかを見てみたい所ですね。
箱出し状態だと最低限使えるかな?という程度のレベルでしたからね…。
尚、箱出し状態で問題になっていた剛性の低さに関しては正直このままではどうしようも無いと思うので諦めました。
メタルレシーバーに変えたり、アウターバレルも一本物にしたりといろいろ手を加えないといけないのでね…。
そもそも剛性を気にして後からパーツ交換をするなら、最初からメタルフレームのモデルを買った方が良いでしょうね。(+1万円程でフルメタルモデルが買える)
あくまで初期費用を減らす為、コストパフォーマンスに全振りしているような製品を買いたい時の選択肢のような印象です。