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BROWNELLS Retro AR15 キャリングハンドル 4倍スコープのレビュー

記事作成日:2022年7月21日

Colt製AR15用キャリングハンドルスコープ、『BROWNELLS Retro AR15 CARRY HANDLE 4X SCOPE』を買いました。

こちらは当時の製造メーカーにBROWNELLS社ができるだけ当時の仕様に親しい物を作るように依頼して作成した、スコープのようですが、一応扱いはBROWNELLSオリジナル製品となっています。
いわゆるリプロ品的な感じの物ですね。

当時Colt AR15用4倍スコープを作っていたメーカーはタスコ・ジャパン(前期)とHAKKO(後期)なのですが、タスコ・ジャパンは既に倒産(会社としてはサイトロン・ジャパンとして存続)、HAKKOは今はNovelArmsとJOL(Japan Optics LTD)に分かれています。
これらのメーカーに依頼して作成したのか、それともメーカーではなくそもそもの製造工場に依頼したのかは不明ですが、一応『Manufactured in Japan with high quality internals and lenses』と書かれている事から、日本製のようです。

内容物はスコープ本体とクリーニングクロス、説明書と非常にシンプル。

説明書の内容も非常にシンプルで、取り付け方と使い方が完結に書かれています。
独特なゼロイン調整方法や、視度調節に関する注意書きもありますね。

BROWNELLS Retro AR15 キャリングハンドル 4倍スコープの外観レビュー

スコープ本体はこんな感じ。
完全再現という訳では無さそうで、外側から見える範囲でもちらほらオリジナルのColt AR15用スコープと違っている所があります。

材質はボディやマウントはアルミ、取り付け用のナット部分はスチールのようです。

対物レンズ側はこんな感じで乱反射防止の溝も無く非常にシンプル。
チューブ径は35mmですが、レンズ径は20mmと小さめな物が付いています。

対物レンズ下部にはJapan Telescopes Inspection Institute(JTII)のステッカーが貼られています。
NOは105。

これについて色々調べていたのですが、結果としてこれといった情報が無く正確なメーカーは分かりませんでした。
かなり昔からあるステッカーなので、かなり古くからある光学機器製造工場のステッカーのようで、番号が工場に対応している説(対応していない説もある)とか、そもそもこのシールに日本製である保証は無い説とか、工場やメーカーとは関係の無い、第三者機関のシール説とか、色々な説が見つかりました。

まあメーカー(BROWNELLS)が言うには、1970年代のColt AR15光学系を製造した会社に、当時の仕様に近い物を製造するように依頼したとの事なので、それを信じるかどうか?という話しです。
これに関しては、商品ページのQ&A欄にもいくつか質問が投げられており、アメリカの方でも懐疑的な人は居るようです。

このタイプのスコープは色々なメーカーから出てますからね…。

対物レンズ側、上部にはBROWNELLSのRetroロゴと倍率の表記が入っています。
尚、Colt製の方はここにColtのロゴが入ります。

マウントはこんな感じで板バネでキャリングハンドルの下から抑える仕様となっています。
キャリングハンドルに固定する専用の規格になっているので、それ以外で使う事は出来ません。
ネジ穴を新造したりすればTrijiconのマウントベースが使えたりするとは思いますが…。

また、キャリングハンドル自体の寸法差があるので、綺麗に取り付ける事が出来ない場合もあるので、その場合はシムを足したり、テープを貼ったり、最悪の場合削るなどして調整する必要があります。

マウント部にはアイアンサイトを覗くための穴が設けられており、スコープをキャリングハンドルに取り付けた状態でもアイアンサイトを使う事が出来るようになっています。
遠距離はスコープ、近距離はアイアンサイトという使い分けが出来ますね。

エレベーテーションノブはこんな感じの見た目をしています。
直接手で回す事ができる大型のノブ(ドロップ弾道補正機能:BDC クリックアジャスト エレベーション タレット)が付いています。
こちらの目盛りは100ヤード刻みの数値になっており、1to2が100〜200ヤード用、3が300ヤード用、4が400ヤード用、5が500ヤード用と5段階で調節が可能な他、1to2よりもマイナス方向に1目盛り、5よりもプラス方向に1目盛り分動かす事が出来ます。
尚、このドロップ弾道設定の弾薬は5.56x45mm弾(.223レミントン弾)の55グレイン及び62グレインに対応しています。

ダイヤルの中にプランジャーが仕込まれており、クリック感があります。
細かく回す事は出来ず、目盛りごとに一気に動きます。

例えば、1to2から回すと次は3の所で止まります。

3の次は4、4の次は5といった感じ。
100ヤードでゼロインした後、標的の距離を計測し、このノブを回して合わせる仕様ですね。

尚、5の次と同様に1to2の前まで回す事が出来るのですが、これが何ヤードなのかは不明でした。
特に明記されていない気がします…。

ではゼロインするにはどうすれば良いかと言うと、このノブの中央についているキャップを外して内側に付いているエレベーテーションノブを回します。
このノブにはV字のような窪みが付いていますが、5.56x45mm弾のリムを使って回す仕様になっています。
クリック感は無く、無段階でスルスル回ります。

ヴィンテージダイヤルはこんな感じ。
こちらには外側から回す事ダイヤルは付いておらず、調整ダイヤルのカバーが付いているだけです。

カバーを外して、5.56mm弾のリムを使ってノブを回します。
こちらも無段階で回す事が出来ます。

尚、Coltのスコープにはヴィンテージダイヤルの反対側に大きなマイナス鍋ネジが付いているのですが、BROWNELLSのスコープにはそれがありません。(写真赤矢印部)
当時と同じ工場だったとしても、設計は変わっているのかも知れません。

参考:https://coltfirearmscollector.com/All_scope_htm-pages/Colt_3x20_and_4x20_AR-15_optics.htm

接眼レンズ側には視度調節ノブが付いており、二重のリングが付いています。
外側が視度調節ノブ、ハウジング側が視度調節ノブをロックする為のリングです。
内側のリングを緩めた後、視度調節を行い、内側のリングを締め込み視度調節ノブを固定します。

接眼レンズ側の下部にはJAPAN-AOと入っています。
AOが何を意味するのかは不明。

レンズコーティングとレティクルについて

接眼レンズ、対物レンズはこんな感じ。
モノコートではなくマルチコートになっていますが、今主流のグリーンマルチコートではなく一昔前な感じがする青〜緑系の色味です。

当時のレンズコーティングをしっかり見た事がある訳では無いので、何とも言えないのですが、まだマルチコートは無く、青〜紫色っぽいモノコートだと思います。
時代で当時のコーティングを再現する事が出来なかった(機材や材料が無い?無駄にコストが掛かる?)のかも知れないですね。

レティクルはこんな感じで、中央が細くなっているシンプルな十字。
像の色味は若干黄色掛かっています。

アイレリーフ、アイボックスはかなり短く、アイレリーフは実測で6.5cm程度しかありませんし、ちょっとでも視点を動かすとケラレてしまう程度にはアイボックスは狭いです。
まあ、キャリングハンドルの上に乗せる設計上、長いアイレリーフは必要無いでしょうけど、ちゃんと真っ直ぐ定位置から覗き込まないといけないです。

キャリングハンドルに取り付けてみた

という訳で、こちらのスコープをG&P SMG 9mmのキャリングハンドルに取り付けてみました。
何の問題も無く、ノブを締め込めばガッチリ固定する事が出来ました。

もちろん、スコープを取り付けた状態でもアイアンサイトを使う事が出来ます。

屋外で覗いてみました

4倍の倍率があると屋内で確認できる事も限られてくるので、屋外で覗きました。
場所はいつもの河川敷。
約250m先の木をターゲットにしています。

覗いてみるとこんな感じ。
屋内で見ていた時と同様に若干黄ばんだ像になっています。
高コントラスト系というよりも、単に像が黄ばんでいるだけといった印象です。

ただ、像の歪みも無く自然な感じ且つピントが合っている範囲が広めなので使い勝手の良いスコープだと思います。
とは言え、4倍という高めの倍率で固定されているので、近くても30mは距離が無いと使いづらいでしょうけど…。

パララックス計測

続いて、撮影地点から約23m先の杭を使ってパララックス計測を行ってみます。
レティクルを杭の先端に合わせて視点を上下左右に動かしてみます。

23mの距離だとちょっとぼやけて見える

アイボックスがかなり狭いので、ほぼズレはありませんね。
というか、パララックスがほぼ無いのはアイボックスが狭いスコープの利点でもあります。

もっとも、アイボックス広いのにパララックスが少ないスコープも最近は主流になってきていますが…。

BDC クリックアジャスト エレベーション タレットを使ってみた

BDC クリックアジャスト エレベーション タレットを動かした時の様子を見てみます。

撮影地点から約100m先に赤色の旗が置いてあったので、これにレティクルを合わせています。
写真の状態はダイヤルを1to2の所に合わせているので、100〜200ヤード用の設定です。

目盛り1to2

この状態からノブを3に動かします。
そうするとレティクルが若干下がり、旗の下の方に十字の中心が合います。

目盛り3

長距離を狙う場合は着弾点が下がっていくので、こうやって合わせるようです。
尚、弾道の変化は弾頭重量や炸薬量によって変わるので、弾が変わると意味がなくなります。
このスコープは5.56x45mm弾(.223レミントン弾)の55グレイン及び62グレインに対応しています。

ノブを4、5に動かすとそれぞれこんな感じでどんどん下の方に動いていきます。

目盛り4
目盛り5

これを見て分かる通り、BDCレティクルと同じ使い方が出来るようになっています。
もっとも、ノブの操作無しで使えるBDCレティクルの方が便利ですが、そういうレティクルが開発される前はレティクル自体を動かしていたんですねぇ〜。

もっとも、BDCレティクルに近い物(距離に応じた照準が描かれているレティクル)は戦車砲や野砲の照準器にも使われているので、厳密には似たような物は昔からあったと思いますが、訓練コスト的にダイヤルを動かす仕様の方が良かったとかなんでしょうか…。

実際昔のスコープってシンプルな十字や、あってもサークル。
なんならドットサイトみたいな点しか描かれていない物が多い気がします。


という訳で、BROWNELLS Retro AR15 CARRY HANDLE 4X SCOPEのレビューは以上になります。
キャリングハンドルスコープは色々なメーカーから出ていますが、恐らくColt製の実物を除けば一番グレードが高い製品だと思います。

アメリカの方でも流通がかなり多いのか、調べてみるとColt製よりも検索にヒットします。

一部界隈で流行りのモダンレトロなAR15を作るなら、こういうのを乗せるのもアリな気がします。
自分もそれをやりたくて、この製品を買いましたしね…。