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VCW製SYSTAEMA PTW/トレポン用高精度精密チャンバー、P-Chamber(PrecisionChamber)のレビュー

記事作成日:2022年11月7日

個人的にも非常に楽しみにしていたVCW P-Chamberが先日、遂に発売されました。
BOOTHでの販売の他一部の販売店にも流通しているようですし、現状在庫切れになってしまっていますが年内の再販予定があるとの事です。

今回はこのP-ChamberをVivi’s Custom Works様よりレビュー依頼を頂き、製品をご提供頂いたのでレビューしていきます。

Vivi's Custom WorksのBOOTHを見るhttps://viviscustomworks.booth.pm/

VCW P-Chamberの概要と特徴

VCW P-Chamber(PrecisionChamber)はSYSTEMA PTW(トレポン)用のカスタムチャンバーで、電動ガン用の外形8.5mmのインナーバレルと電動ガン用のHOPパッキンを使用する事が出来る製品になります。

材質はチャンバー本体がA7075(超々ジュラルミン)、色は黒色で硬質アルマイト処理になります。
インナーバレルの固定に使われるコレットスリーブは真鍮製です。
付属の専用ノズルはSU303(オーステナイト系ステンレス)になります。

トレポンで電動ガン用のインナーバレルやHOPパッキンを使えるようにするチャンバーは過去色々なメーカーから発売されてはいましたが、どれもこれも廃盤になってしまっているんですよね…。

そんな中、開発が報告された当製品は、個人的にも発売前からかなり気になっていた製品ではあります。
というか、ご依頼が無くても普通に買ってレビューするつもりでいました。

尚、過去に発売されていた電動ガン用のHOPパッキンが使えるチャンバー共通の問題(というか寸法上の仕様?)としてHOPパキンとの相性問題が大きいというのがあります。
電動ガンのHOPパッキンって同じように見えて結構メーカーごとの寸法差がありますからね…。

VCW P-ChamberではMapleLeafのHOPパッキンが使えるように少し大きめに設計しているそうです。
例えば過去に使ったことがあるG.A.W. Mチャンバーでは寸法がタイトすぎてHOPパッキンの選択肢が少なくて色々遊びづらいというのが個人的に不満に感じていた要素ではあるので、これは非常にありがたい仕様です。

ただし、ルーズな設計にしている分HOPパッキンの寸法が想定よりも小さい場合は気密が取りづらくなる場合があり、そういう場合はバレルクリップを少し削ってインナーバレルを深く差し込めるようにしつつ、コレットで締め付けて固定するという方法で解消する必要があります。

MapleLeafのパッキンが使えるということは大抵のパッキンに対応しているとは思うので、今回はHOPパッキンの相性に関しては手持ちのHOPパッキンの中で極端に厚みのある2種類の製品で試してみました。
今回試してみたのはスタンダード電動ガンでも肉厚過ぎ+硬すぎで使うのが難しいG&G Cold Resistant HOP Up RubberとLayLax エアシールチャンバーパッキン ハードです。

共にスタンダード電動ガンのチャンバーでもかなりルーズな製品じゃないと取り付ける事が出来ない程の厚みがある製品なのですが、流石にここまで分厚いと取り付ける事は出来ないようでした。
分厚くてもある程度柔らかければ差し込めるとは思うのですが、共にかなり硬度の高い製品ですからね…。

MapleLeafのHOPパッキンが取り付けられる程度にはなっているとの事なので、大抵のHOPパッキンは使えると思いますが、何でも使える万能チャンバーという訳では無いのでここは注意が必要かも知れません。

HOPパッキンの相性問題を回避する為の形状の工夫はノズル側にもあり、HOPパッキンの口の厚みの誤差をノズルの押し込みで解消する仕様になっており、ツバの部分に深めのテーパーが施され、ノズルを深く押し込む事が出来るようになっています。

深めのテーパーが施されているP-Chamber専用ノズル(右側)

また、HOP窓のサイズも長掛けHOPに対応出来るように長さ7mmの穴が空いています。

このように、色々なHOPパッキンやHOPクッションを組み込む事が出来る設計になっているのが、VCW P-Chamberの特徴になります。

VCW P-Chamberの内容物と各部の詳細

内容物はこんな感じで、チャンバー本体は仮組みされた状態、細かいパーツは外された状で入っています。
部品点数は全部で13個、現状補修パーツの販売はありませんが、今後BOOTHで販売予定との事です。

仮組みされているチャンバー本体をバラしていきます。

まずはチャンバー前側のナットとコレットスリーブを外します。
このパーツでバレルの位置を確実に固定しつつセンター出しをする仕様となっています。

チャンバー本体は二分割になっており、前側のスリーブを外すとこのようにスリーブ、HOPダイヤル、給弾ルート側に分離させる事が出来ます。

HOPダイヤルはこんな感じで無段階調節が出来ます。
見た感じかなり大きくHOPアームを動かす事が出来るようです。
また、最大HOPまで回した状態で更に回すとHOP最低に行かないように回転止めも付いていますね。

スリーブと給弾側のパーツは定位置で保持されるように、台形の突起がスリーブの凹みにハマるようになっています。
この構造は良いですね。

位置出し用の突起
スリーブ側の凹みに突起がハマって定位置が出る仕様

Pチャンバーのユニークな機能の1つとして、HOPアームの支点を2箇所から選べるというのがあります。
このようにHOPアームとチャンバー側に穴が2つ空いており、支点を手前側にするか、奥側にするかを選べます。

前側の支点を使う事でHOPダイヤルを回した時のアームの稼働量が増え、強くHOPを押す事が出来ます。
後ろ側の支点を使う事でHOPダイヤルを回した時のアームの稼働量は少なくなり、HOPの微調整を行う事が出来るようになります。

前側の穴に合わせた状態
後ろ側の穴に合わせた状態

どっちが良いかはセッティングや好みによって代わると思うので、自分の好みの位置にすれば良いと思います。

給弾ルートにも工夫が施されており、二重給弾防止の為の凹み(弾止めの凹み)がしっかり入っているのと、給弾ルートが前後に長くなっています。
これによってマガジン側の弾上がりの差やチャンバーの微妙な前後位置による弾上がり問題を解消する事が出来ています。

正直、これはかなり欲しかった機能です。
場合によってはここのテーパー処理や弾止めの凹みを追加工で作ったりする事もあったので、最初からこういう構造になっているのはとてもありがたいです。

Pチャンバー付属のノズルは冒頭でも触れましたがノズル先端のテーパーが浅いのが特徴な他、チャンバーに差し込まれた時の停止位置を安定させる為のフランジやチャンバー側にもテーパーが施されており、確実にノズルをセンターで保持する事が出来る構造になっています。
これもユニークなポイントですね。

テーパー処理されているフランジ
赤矢印部分の段差にフランジが当たる

VCW P-Chamberの組み込みについて

今回、このPチャンバーを組み込むのは元々30mチャレンジ用にG.A.W. Mチャンバーを組んでいたトレポンです。
パーツの寄せ集めで作った物なので、素体がもうよく分からない事になっています。

今回はMチャンバーを置き換える形でPチャンバーを組み込んでいきます。
というわけで、まずはMチャンバーをバラします。

尚、インナーバレルはKM企画 TNバレル407mm、HOPパッキンはG.A.W. マルチフィット保持ぴったんです。

基本的にインナーバレル、HOPパッキン、HOPクッションも流用しようと思っていたのですが、HOPパッキンに関してはかなり変形していたので、交換する事にします。
0.43gをメインで使い、軽い弾も基本は0.28gを使ってましたからね…。
尚、HOPの突起の方は特に消耗は見受けられませんでした。

という訳で、G.A.W. マルチフィット保持ぴったんはまだ新品がいくつか持っているので、HOPパッキンを新品に交換します。

とりあえず普通に取り付けてみた所、若干のクリアランスがあったのとHOPパッキンが長くてバレルクリップの取り付けに問題があったので、ポリイミドテープを2巻きしつつ、HOPパッキンの先端を切る事にしました。

HOPパッキンがバレルクリップ取付部に飛び出している
ポリイミドテープを巻いて厚み調整

HOPパッキンの表面に薄くグリスを塗布してチャンバーに挿し込み、Pチャンバー付属のバレルクリップ(形状は一般的なM4系チャンバー互換)を取り付けます。

続いて、HOPアームを取り付けます。
まずHOPアーム用のリターンスプリングがズレないように少し粘度が高めのグリスを塗布してチャンバーに貼り付けます。
接着はしない方が良いと思います。

HOPクッションはおなじみのシリコンチューブです。
これは大きな劣化を感じなかったのでMチャンバーで使っていた物を流用しています。

次にHOPアームを取り付けます。
今回はHOP量の微調整を行いたかったので後ろ側の穴を使いました。
尚、HOPアームを取り付ける為のピンの圧入にはウォーターポンププライヤーを使いました。
HOPアームを取り付けたらHOPクッションやスプリングが外れないようにすぐにOリングを取り付けます。

ピンの圧入にはプライヤーを使用
HOPアームを取り付けたらすぐにOリングを取り付け

続いて、HOPダイヤルを取り付けます。
この際、滑りを良くする為にダイヤル内側にグリスを薄く塗布しておきます。
最終的にはOリングのテンションが掛かる事によってズレないようになるので、グリスを塗った事によってHOPダイヤルが緩みやすくなるような事は無いでしょう。
逆にグリスが無いと滑りが悪すぎてダイヤルが回しづらくなる可能性があります。

HOPダイヤルが付いたらスリーブを取り付け、上部のイモネジを締め込みます。

最後にコレットスリーブとナットを取り付け、モンキーレンチでナットを締め込みインナーバレルを確実に固定します。
この際、無理に強く締め込みすぎてインナーバレルがズレてしまわないように注意する必要があります。

コレットはテーパーが深い方がチャンバー側
モンキーレンチでナットを回す

ナットを締め込んだらこんな感じでスリーブにナットがピッタリくっつきます。
コレットスリーブの向きが間違っていると大きく隙間が開くので、その際は向きを要確認です。

最後にチャンバーの後部(ノズル差込口側)にOリングを取り付けます。
このOリングはシリンダーヘッドに挿し込んだ時のセンター出しで使われます。

シリンダーヘッドの寸法もちょっと個体差ありますし、割と便利な機能。
ドンピシャな寸法で作ると組み合わせる事が出来ない同じSYSTEMA純正でもシリンダーヘッドが出てきたりしますからね…。

HOPはこんな感じでHOPほぼ無し(完全なノンHOPではない)の状態からものすごく大きく飛び出した所まで幅広いHOPを掛ける事が出来る状態になっていました。
いい感じですね。

最後に、インナーバレルの先端にOリングを取り付けてガタ取りを行います。
SYSTEMA PTWのインナーバレルは外径10mm、電動ガンのインナーバレルは外径8.5mmなのでSYSTEMA PTW用のアウターバレルを使う場合はこの調整は必須だと思います。

ちなみに、アウターバレルとの相性次第ではありますが『KM企画 ジュラコン中心だしスペーサー』を使っても良いと思います。

これでバレル・チャンバー周りの組み立て、調整は完了です。

続いて、ノズルを交換します。
これは特に難しい事は無く、単に元々付いていたノズルを外してPチャンバー付属のノズルに交換するだけです。
尚、ノズルはネジロック剤でガッチリ固定されている場合もあるので、その場合はヒートガンが必要になります。

ちなみに自分は度々ノズルを弄るので基本的にネジロック剤は塗布していませんが、こまめに緩みの確認はしています。

挿し込んで確認してみた所、前はあんまり気になっていなかったシリンダーのガタが気になったので、シリンダーにポリイミドテープを貼りました。
多分前弄った時のチェック確認漏れですね…。

若干上下左右にクリアランスがある事に気づいた
3箇所にテープを巻き、太さを微調整

という訳で、これでP-Chamberの組み立ては完了です。
ダイヤル式のHOP調節なので、エジェクションポートからHOPダイヤルを回す事が出来ます。
上に回すとHOPが強くなり、下に回すと弱くなります。

HOPダイヤルは結構固く、無段階調節可能なダイヤルではありますが振動などでHOPが変わってしまうような心配は無さそうです。

BB弾の停弾位置確認とマガジンの相性チェック、初速チェック

弾棒を使ってBB弾の停弾位置をチェックしました。
ノズル延長などの加工をせずとも程よい量のHOPを掛ける事でドンピシャの停弾位置になっていました。

これなら追加で調整は必要無さそうな気がします。

尚、気密に関しても問題無くしっかり気密が取れていました。

続いて、マガジンの相性チェックを行いました。
基本的にトレポンってマガジンとチャンバーの位置がドンピシャ出てないとうまいこと給弾出来なかったりするので、給弾が悪かったらチャンバーの位置調整をやるというのが定例行事になっていると思います。

しかしPチャンバーでは給弾問題を緩和させる構造になっているので、もしかしてチャンバーの位置出しは要らないのでは?と思い、とりあえず手持ちのトレポン用マガジンを使って相性チェックをしてみました。

検証したのは左から順にZ-SHOT P MAG 30連(実マグ加工、インナーはSYSTEMA)、MOVE Pマグ 20連(インナーはMAG?)、LANCER L5マガジン(実マグ加工、インナーはSYSTEMA)、Alpha Parts/Umarex H&K MR556/HK416/AR15 ポリマーマガジン、HEXMAG、A&K STW HK416マガジンです。

これらのマガジンで一通り試してみた所、全て問題なく給弾されました。
ちなみにMチャンバーの時はZ-SHOT P MAG 30連とMOVE Pマグ 20連しか全弾スムーズに給弾されなかったので、確実に給弾が改善されています。

初速はこんな感じで、HOP最低が一番初速が低く0.20gでの初速が88m/s。
HOPを強くしていくと初速が上がり、MAXが92m/s程度でした。
この辺りはMチャンバーの時と大きな違いはありませんでした。


という訳で、VCW製SYSTAEMA PTW/トレポン用高精度精密チャンバー、P-Chamber(PrecisionChamber)のレビューは以上になります。

とりあえずファーストインプレッション時点の評価はいい感じだと思います。
Mチャンバーよりも使い勝手は良くなっていますし、色々改善点も見受けられますし実際にその効果も体感出来ました。

今度またゲームに持っていって飛び具合を確認したり、シューティングレンジに持ち込んでグルーピング検証を行ってみようと思っています。

とりあえずショートスコープを付けてこんな感じの構成にしました。

Vivi's Custom WorksのBOOTHを見るhttps://viviscustomworks.booth.pm/