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2022年新レティクルバージョンのTrijicon ACOG TA44-C-400390を買いました

記事作成日:2022年12月19日

2022年のショットショーで発表されたTrijicon ACOG TA44の新レティクルバージョン、『TA44-C-400390(Trijicon 1.5x16S Compact ACOG Scope)』を購入しました。
TA44はTrijicon ACOGシリーズの中で最も低倍率かつコンパクトな製品で、倍率は1.5倍、対物レンズ径は16mmになります。

付属品の紹介

TA44-C-400390はマウントベースが付属している製品で、新型のTrijicon純正マウント(AC12041:Trijicon Compact ACOG Mount with Trijicon Q-LOC Technology)が付属しています。
その他の付属品としてはScopecoat製カバー、レンズペン、ロゴステッカー、コンパクトACOGシリーズ用マニュアル、保証書です。

Scopecoat製カバーはTrijiconのロゴ入りで、TA44よりも少し大きいので恐らくTA45やTA47、TA50などのコンパクトACOG系共用の製品だと思います。

付属のレンズペンはこんな感じで特にTrijicon要素はありません。
昔はTrijiconっぽい赤色のアクセントカラーが入ったりしていたのですが、少し前からこの仕様になったようです。
側面のMade in Chinaの辺りにでもTrijiconロゴは入れてくれないんでしょうかね…。
これなら同じOEM品であるHAKUBAのレンズペンの方がカッコいい気がします。

Trijicon要素皆無のレンズペン(Trijicon TA56)
HAKUBAのレンズペン

Trijicon TA44-C-400390本体のレビュー

Trijicon TA44-C-400390は昔から存在するTrijicon ACOGシリーズですが、今回購入した製品は2022年に発売された新レティクル+新マウントベース搭載バージョンになります。
レティクルが異なっているだけで刻印などに違いはあるものの基本的な外観は以前の物と同じです。

対物レンズ側はこんな感じで斜めにカットされており、光や雨水が入り込むのを防ぐ設計になっており、内側には乱反射防止の段差が付いています。
この辺りはACOG系共通の仕様ですね。
ちなみに、ここのアルマイト処理が残念な感じになっており、部分的に青白っぽくなっていました。

他物レンズ側のフチは斜めになっている
乱反射防止の段差部分のアルマイトが綺麗じゃない

側面にはシリアルNOとデータマトリックス、製品名、トリチウムに関する記載やパテント、聖書の一節の番号(Trijicon製品おなじみのやつ)が印字されています。
第一ヨハネ1:7『しかし、神が光の中にいますように、わたしたちも光の中を歩くならば、わたしたちは互に交わりをもち、そして、御子イエスの血が、すべての罪からわたしたちをきよめるのである。』との事です。

対物レンズ側上部にはガラスで保護された集光ファイバーが付いています。
明る環境下ではこの集光ファイバーで光を集めてレティクルを発光させます。

ガラスなので一定以上の衝撃や経年劣化で割れる可能性があるので扱いには注意が必要です。

エレベーテーションノブとウィンテージノブはキャップで保護されています。
このキャップは紛失防止のワイヤーで本体に繋がっています。

ノブを回すと上下左右共に1クリックで1/2MOA動きます。
最大の稼働量はカタログスペック上不明です。
ちなみに、これらのノブもセレーション部のアルマイトが綺麗に掛かっていない箇所があり、ちょっと気になる見た目になっていました。

エレベーテーションノブ
ウィンテージノブ

ハウジングのつなぎ目にはシリアルNOが入っており、反対側にはTrijicon ACOG MADE IN USAの文字が整形で入っており、倍率と対物レンズの表記である1.5×16の文字がレーザーで入っています。
恐らく接眼レンズ側のハウジングが他の一部ACOG製品と共用になっているのだと思います。

接眼レンズ側はこんな感じで、ACOGシリーズ共通仕様として視度調節ノブがありません。
視力が悪い場合はメガネやコンタクトレンズなどで補正してあげないと綺麗に覗く事が出来ないので注意が必要です。

マウントベース(AC12041)について

Trijicon TA44-C-400390に付属するマウントベースはTrijicon Compact ACOG Mount with Trijicon Q-LOC Technology(AC12041)という2022年に発売された新型マウントです。

マウントはピカティニーレール(MIL-STD-1913)に取り付ける仕様になっているので、特殊な規格のレールには取り付ける事が出来ない可能性があるので注意が必要です。

QDマウント?と呼んで良いのか分からないですが、かなり独特な操作方法です。
ノブを緩めた状態でノブを押すとマウントが開き、レールに取り付ける事が出来るようになります。

ノブを緩めた状態
ノブを押すとマウントが開く

レールに取り付けた後、ノブを締め込む事で完全にロックされます。

レールに取り付けた状態
ノブを締め込む事で完全にロックされる

尚、これはACOGシリーズ共通仕様なのですが、マウント基部はM16シリーズのキャリングハンドルと同じ寸法になっています。
キャリングハンドルに取り付けた状態でもアイアンサイトが使えるように穴も空いています。

Trijicon TA44-C-400390をAR15に取り付けるとこんな感じになります。
本当、ドットサイトみたいなサイズ感です。

マウントの高さはAbsolute co witnessです。(アイアンサイトと同じ高さ)

レンズとレティクルについて

レンズは対物レンズ・接眼レンズ共にパープル系のマルチコートが施されています。

レンズの内側には乱反射防止用の凹凸やプリズムの構造体を確認する事が出来ます。

覗いた時の様子はこんな感じ。
アイレリーフは非常に長く、15cm程度の距離で丁度良く覗く事が出来るのでドットサイトに近い感覚で覗く事が出来ます。
倍率が付いたドットサイトみたいな感覚で、等倍〜1.5倍のショートスコープよりも視野は狭いですが覗きやすいです。

そして、このレティクルが新レティクルの『RTR 223 Reticle』です。
同時に発表されたRTR 9mm PCC Reticleの事も考えると、最近のシューティングマッチ用というか流行りに合わせたデザインのレティクルのように思えます。

中央に極小のドット(2MOA)があり、その周囲にホースシュー(18.1MOA)が付いています。
その下にはBDC(中心の点から最下部までが26.1MOA)が付いており、16インチバレルで.223レミントン弾の55グレイン フルメタルジャケット弾頭を使う場合における400ヤード〜700ヤードまでの指標が付いています。

また、フチの下部には極小の文字で1.5x 223 REM, 16″ 55gr. FMJと倍率と使用弾薬に関する表記が入っています。

パララックス・歪み計測

いつものパララックス計測を行っていきます。
2m先のディスプレイにグリッドを表示し、中央にある2cmの円の中央にレティクルを合わせます。

この状態で視点を上下左右に動かします。
2cmの円にはギリギリ収まるか収まらないかといった感じで、下方向への移動時に若干はみ出しました。
ただ、歪みは全くと行って良い程無いですね。

屋外で覗いたり、ゲームで使ってみたりしました

先日、ゲームに行ったついでにシューティングレンジで屋外で覗いた様子を撮影してきました。

場所はサバイバルゲームフィールド SAVASのシューティングレンジです。

25mのマンターゲットを狙うとこんな感じ。
1.5倍という倍率のおかげで肉眼よりかは少し拡大されて見える為細かい所をピンポイントで狙いやすい上に、非常に小さなドットがあるおかげでサイティング時の感覚的はドットサイトです。

実際に覗いた時の見た目
サイト内拡大

ただ、レティクルが非常に小さいので、65MOAサークルレティクルのような大きめのレティクルに慣れている人からすると使いづらく感じるかも知れません。

40m先のマンターゲットを狙うとこんな感じになります。
この距離になると小さめのレティクルじゃないと細かい所を狙うのが難しいですが、TA44なら全然ピンポイントで狙う事が出来ます。
また、HOP-UPの掛かり具合にもよりますがBDCを便利に使う事が出来る距離でもあります。

実際に覗いた時の見た目
サイト内拡大

実際にゲームで使ってみた感想としては、普段1.5倍という倍率を使わないので最初のうちは倍率の感覚に慣れる必要がありました。
ただ、慣れてみるとドットサイト以上スコープ未満な感じで割と便利に使える倍率のように感じられました。

像のコントラストも高く、肉眼よりも色がクッキリして見えるので索敵にも使えますし、ドットの小ささ故にターゲットがレティクルで隠れてしまうような事も起きません。

1点不満を挙げるなら、集光ファイバーによる発光が明るすぎて日向から木陰を狙うような状況では少々レティクルが眩しく感じられるという点でしょうか。
恐らく炎天下とかだとかなり明るいと思うので、様々なACOGユーザーがやっているように集光ファイバーを遮光テープなどで覆い隠す調整はした方が良いと思います。

尚、トリチウムによる発光はかなり控えめで真っ暗闇だとぼんやりレティクルが光る程度になっています。(少しでも光があると集光ファイバーによってレティクルが光る)
ドットサイトで言うとNVモードよりも気持ち明るいかな?程度の輝度です。


という訳で、Trijicon ACOG TA44-C-400390のレビューは以上になります。

ACOG TA44自体は前々から気になっていたモデルではあるものの、レティクルが無難でちょっと味気なかったので後回しにしていたのですが、ここ最近になってACSSレティクルモデルが出たりして「おっ?」と思っていた所で新型レティクルが発売されたので、「これはそのうち買おう」と思ってました。
それが手に入ったので良かったです。

元々友人が持っているTA44を見せた貰ったりはしていたので、光学性能自体は知っていたので、この製品を手に入れて気になったような箇所はありませんが、ちょっとアルマイトが綺麗じゃなかったりする点は気になっちゃいますね…。
まあ、私が神経質なだけで海外製品だとこれくらいは全然許容範囲内なんでしょうけど…。