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Silverback Airsoft Desert Tech MDR-Xの内部カスタム(11.1V対応、ロングノズル化、ノズル絞り、AOE調整)

記事作成日:2023年2月21日

先日分解したSilverback Airsoft製電動ガン、Desert Tech MDR-Xの内部を弄っていきます。

今回の調整ではとりあえず下記の事をやろうと思っています。

  • 11.1Vでも安定してフルオートを使えるようにする
  • 80m/s前半という低めの初速を10m/s程度上げる
  • ノズルを延長させ、BB弾の停止弾位置を安定させる
  • シム調整とモーターのガタツキ(振動)を低減

とりあえず初めて弄る仕様の製品なのでパーツの変更は極力少なめにしようと思い、なるべく純正パーツを残して調整していく事にしました。

純正構成で調整した後、暫く動かしてみて問題を見つけていこうと思います。
多分色々と問題が出てくると思うので、問題と原因を追求する前にパーツ交換してしまうのは勿体ないです。

ただ、一応参考までに「問題が起きそうなパーツ」として気づいた点は説明を入れていくつもりです。

バレル周りの調整

という訳で、まずはバレル周りから弄っていきます。
純正のインナーバレルは420mmとかなり長い物が組み込まれており、個人的にあんまり好きじゃない長さなので短くしました。

しっかりレストして撃つならこの長さでも全然良いのですが、サバゲーで使うとなると個人的には扱いづらい長さです。

また、今回は調整時にピストンスプリングも硬めの物にしようと思っているので、初速調整の為にも短いバレルへの交換が必要になります。

今回用意したインナーバレルは275mmの真鍮製インナーバレルで内径は恐らく6.05mm位だと思います。
HOP窓やバレルクリップ用の溝の位置、マズルのテーパー処理などは純正バレルと同形状の物を選んでいます。

HOPパッキンやチャンバー周りは特に変更を加える予定は無かったのですが、色々なHOP量での動作テストをしていた所、HOP突如初速が4m/s程度低下するようになり、バラしてみた所HOPパッキンが切れていました。

恐らくコの字状のHOP窓の角に押し付けられた際に切れてしまったのだと思います。
純正バレルのHOP窓も同じ形状なので、同じことが起きるような気がします。

なのでHOP窓の前後を斜めに削り、HOPを強くかけた時の負荷を減らす事にしました。

切れたHOPパッキンは使えないので、余っていた同社製のフラットHOPパッキン(SRSやHTI用として販売されている物)を使ってみる事にしました。
これ、普通の電動ガンだと相性問題が激しくて結構使いづらいので実質SRSやHTIなどの同社製ボルトアクションライフル専用HOPパッキンのような気がします。

MDR-Xにもこれに似たHOPパッキンが組み込まれているのですが、見比べてみると結構色々と異なっている箇所がありました。

そもそも同じ黄色の70度なのですが硬さが全然違っています。
また、HOPパッキン自体の厚みや口のサイズも微妙に違っており、MDR-X用のHOPパッキンの方が薄く、口部分がルーズになっていました。

MRD-XでこのHOPパッキンを使おうとすると外径の太さと口の細さの両方が相まってBB弾が通らない位に口が絞られてしまったので少しHOPパッキンを削り、内径を広げました。

何故加工をしてまでSIlverbackのHOPパッキンを使うのに拘ったのかと言うと、MDR-Xは給弾ルートの真上がHOPパッキンの口になっており、口の長さが長かったり肉薄のHOPパッキンを使うと上がってきた弾に口が折り曲げられ、給弾時に巻き込んでしまう可能性が高かった為です。

また、MDR-XのHOPパッキンもそうですがSilverbackのHOPパッキンは口が肉厚なのだけではなく内側にテーパーが掛かっているような形状になっており、一般的な電動ガン用のHOPパッキンとは形状が違っています。

ざっくりこんな感じの差がある

MDR-Xの太いノズルの叩き込みによってHOPパッキンに口にはかなりの負荷が掛かると思われるので、SIlverbackのHOPパッキンの方が良いかなと思いました。

という訳で、これでバレル周りの調整は完了です。
バレルを短くして、HOPパッキンを交換しただけですね。(HOPパッキンは変えるつもり無かった)

尚、今回は高圧なエアーで打ち出す想定なのでHOPクッションを取り付けませんでしたが、柔らかいスプリングを使ったセッティングで行くならHOPアジャスターを加工してHOPクッションを取り付けられるようにしつつ、硬度50度などの柔らかいHOPパッキンを使って組んだ方が良い気がします。

シリンダー周りの調整

まずピストンのAOEがメチャクチャだったので、AOE調整をしたかったです。
ピストン周りの構造がSYSTEMA PTW(トレポン)と同じなので、トレポンのAOE調節と同じ方法で調整する事にしました。

G.A.W. SYSTEMA PTW用 AOEショックアブソーバーを取り付けたPTWのピストンヘッド

という訳で、MDR-Xには以前マイトリーで購入していたハネナイト ピストン用ダンパーの3mmを使う事にしました。
正直、MDR-Xの場合はもうちょっと厚みが合っても良いかも知れません。

また、AOE調整によってピストンの停止位置が後ろ側にズレるので、ラックギアを削りました。
本来はラックギアを外して加工した方が良いのですが、簡単には外れ無さそうだったので付けたまま削りました。

尚、ピストンを普通の電動ガン用の樹脂ピストンに交換するかはちょっと悩みました。
アルミピストンは動作時の摩擦によってシリンダーに付いているレールを削って駄目にする可能性があるので良くはないのですが、とりあえず純正構成のまま使って様子を見ようと思ったので純正ピストンのまま使う事にしました。

ダイカストのメカボックスとか、数千発も使えばコンマ数ミリ削れてたりしますからね…。

MDR-Xのピストンも既に表面のアルマイトが削れている状態なのでシリンダーにもダメージが入ってそうな印象があり、嫌な予感しかしないんですがね…。
暫く使ってみてやっぱりダメそうだったらピストンは樹脂の物に交換しようと思います。

あと、ピストン内側の面取りが殆ど無くてスプリングが衝突しまくった痕跡があったので、面取りしました。

という訳で、ピストンはこんな感じになりました。
AOE調整をした程度で大きな仕様変更はしていません。

シリンダーに組み込むとこんな感じでピストンがかなり後ろに来ている事が分かります。
尚、最適なAOEになっているかは正直分かりにくいですがセクターギアを取り付けたギアボックスを重ねて確認する限り問題は無さそうな印象があったので、とりあえずこれで良いでしょう。

AOE調整によってラックギアがかなり後ろに下がっている。
ラックギアとの当たりが確認出来ない。
どうしても確認したい場合シリンダー側面を削っちゃても良いかも。

次に調整したのはシリンダーヘッドです。

まずシリンダーヘッドのゴムダンパーがシリンダーヘッドに引っかかっているだけの状態で、簡単に外れてしまう恐れがあったので接着しました。
尚、接着にはいつもゴム系の素材を貼り付けるのに使っているマルニのゴムのりを使いました。

簡単に外す事ができる
パッキンはシリンダーヘッドのフランジに引っかかっているだけ
マルニのゴムのりで貼り付け

どういう意図でこんな構造にしたのでしょうか…。

続いて、ノズルを延長させてBB弾の停弾位置を調整しました。
開封レビュー時点での検証でノズル長が足りていない事は分かっていたので、これは当初からやろうと思っていた事です。

毎度おなじみの真鍮パイプ+アルミパイプの組み合わせでノズルを絞りつつ延長させました。
私は色々な太さのパイプを組み合わせる事でカット以外の加工をせずに外径と内径に調整できるようにしているので、こういう2つの素材を混ぜて使う事もあります。
使ったパイプ(連結後)は外径4.5mm、内径3.2mmになっています。

ノズルは2.8mm延長
ノズルの内径は3.2mm

また、調整時に硬いスプリングを入れようと思っており、ノズルは絞ろうと思っていたのでこの方法はノズル延長と絞りが出来て一石二鳥みたいな感じです。

MDR-Xは単純にノズルを延長させるとノズルの後退量が足りなくなり給弾できなくなってしまうので、ノズルにくっついているワッシャーを外してノズルの後退量を増やす事にしました。

このワッシャーを外す事でノズルを構造上の限界まで後退させる事が出来ます。

この辺りの構造を見て思ったのは、もしかしてそのうち延長ノズルが公式からアップグレードパーツとして販売されるのでは…?という点。
SIlverback、発売後にしれっと不満点を解消するアップグレードパーツを売りますからね…。

続いて、ピストンスプリングを交換しました。
今回交換するのはちょっと硬めの等ピッチの物です。

MDR-X純正スプリングが約3.85kgなのに対し、今回組み込むスプリングは約4.98kgなので純正比約129%のスプリングとなっています。

国内向けMRD-X純正スプリング
交換するスプリング

ギアボックスの調整

続いてギアボックを調整していきます。
とは言えこちら側はあんまり手を加えるつもりが無かったので、普通に組み立てていきます。

まず軸受がちょっと緩かったのでロックタイト638で固定させ、シム調整を行い、グリスアップしました。
シムはいつも使っているYOKOMOのシムセットを使い、グリスはG.A.W. Gグリースを薄く塗布しています。

はめあい接着剤で軸受を固定
シム調整
グリスアップ

尚、この製品に逆転防止ラッチは要らないと思ったので外しています。
あんなに柔らかいスプリングを使っていてもオーバーランしないという事は相当強力なアクティブブレーキが付いているという事でもあるので、逆転防止ラッチが必要になる状況になる事は無いと思います。

モーターはちょっと手を加えました。
駆動時にモーターがプルプル震えるのが気になったので、モーターにポリイミドテープを貼り、ギアボックスのクリアランスを潰しました。
尚、放熱穴の部分はカッターナイフで穴を開けています。

モーターの前側にテープを貼る
メカボックスとのクリアランスを低減

モーターホルダーを取り付けて、動作テスト用スイッチを繋いでモーターを回し、シム調整の具合をチェックします。

特に問題無かったので、基板を取り付けて動作テストを行いましたが、こちらも問題はありませんでした。

ギアボックス周りはあっさり終わりました。

トリガーの調整

純正状態だとトリガーストロークが長いのでトリガーストロークを短くしつつ、スイッチの保護(気休め程度)をする為にシリコンの板をトリガーに貼り付けました。

これでだいぶトリガーのストローク量が短くなりました。

初速チェック

初速計測時はHITCALL 0.20g バイオBB弾を使い、バッテリーはBATON 11.1V 1100mAhを使いました。

結果、最大初速は91m/s半ば位で安定、発射サイクルは14.1RPSになりました。
フルオートのサイクルはもっと遅くて良かったのですが、まあ良いでしょう。


という訳で、Silverback Airsoft Desert Tech MDR-Xの内部カスタムは以上になります。
この状態で暫く使ってみて純正パーツの消耗具合を見ていく事にします。

もし何かしらトラブルが起きればその都度記事にしようと思っています。

初めての構造の銃はこれが楽しみですからね。
今回は予備でもう1丁用意してあるので、多少無茶しても精神的なダメージは少なめですし…。