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NOVUS製 1P87タイプ プリズムドットサイト(コリメーターサイト) PDS-1のレビュー

記事作成日:2023年8月9日

三山商事株式会社様より『NOVUS PRISM DOT SIGHT PDS-1』をお送り頂いたので、レビューしていきます。

こちらの製品はロシア製ドットサイトである「1P87」を模した製品で、「ロシア版ホロサイト」と呼称される事もあるようです。

ただし、構造的にはEoTechを始め一部のメーカーから発売されているホログラフィック投影方式ではなくレティクルをコリメーターレンズを通す事で焦点距離を調整し、プリズムで屈折させて別の所に投影させるという特殊な投影方式を採用した製品になります。(投影位置が変わってもレティクルが大きくなりすぎなくなる)
まあ、簡単にいうと複雑な構造になっているドットサイトです。
また、「コリメーターサイト」という言い方自体古い言い回しのようで、今ではドットサイトとの区別は特に行われていない気がします。(コリメーターサイトと呼び分けず、ドットサイトと呼ぶのが一般的)

製品の発表や小売店での予約開始から結構時間が経ちましたが、製造元から「長らくお待たせしましたが、ようやく発売予定が見えてきまして、初回分は8月の第1週に工場出荷される見込みです。」とのご連絡を頂きました。

主なカタログスペックは下記の通り

  • レティクル:2MOA+60MOAサークル
  • バッテリー:単3電池/1.5V
  • 輝度調節範囲:5段階+NVモード4段階
  • バッテリーライフ:輝度5で7,600時間
  • 対物レンズ径:25mm
  • レンズ/コーティング:強化ガラス、乱反射防止、曇り止め、
  • ハウジング材質:A6061-T6
  • 表面仕上:マットブラック塗装
  • レティクル調整範囲:±60MOA
  • 1クリック辺りのレティクル稼働量:1/4MRAD
  • 耐水性:IPX8
  • 耐衝撃性:1000G
  • 保管可能温度:-35度〜75度
  • 使用可能温度:-25度〜50度

尚、内部構造や光学設計は実物を忠実に再現した上で小改良を加えているとの事です。
詳細は省きますが、パーツ構造は実物のままに、鏡胴内の乱反射を抑える改修などを加えたり、電気系統を現行の技術を駆使した改良が加えられています。
それにより、

  • オートスリープ&オートアウェイク実装
  • 基板全体の省電力設計

という事を実現しています。

結果的に実物と比べ待機時間は10倍以上延び、点灯可能時間も最大10倍の違いが出ており、実物のバッテリーの持ち時間は100時間単位ですが、PDS-01は1000時間単位となっています。(メーカー側でバッテリー容量と実消費電力で換算)

付属品の紹介

内容物はこんな感じで、ドットサイト本体と調整工具、説明書、カタログ、クリーニングクロス、ラバーパッチです。

説明書は日本語表記がされており、基本的な操作方法や注意書きなど一通りの事が記載されています。

付属の工具はNOVUS製品おなじみの物で、ドライバービットはマイナスドライバーが付いています。

NOVUS PDS-1本体の外観レビュー

という訳で、NOVUS PDS-1本体を見ていきます。
「ホロサイト」と呼ばれる所以はこの形状でしょうかね。

色は少し光沢感のある硬そうな塗装が施されており、ロシア製光学サイトらしい質感があり良い感じです。
尚、ボディの表面処理はアルマイトを施した上でエポキシ塗装が施されているとの事です。

左右はこんな感じ。

では細部を見ていきます。
ドットサイト前側にはバッテリー収納スペースとエレベーテーションダイヤル・ウィンテージダイヤルが配置されており、1クリックあたりの稼働量がロシア語で記載されています。

バッテリーはキャップを開けて単3電池を1本入れます。

エレベーテーションダイヤル・ウィンテージダイヤルはかなり特徴的なレイアウト・デザインとなっています。
エレベーテーションダイヤルは正面に付いており、ウィンテージダイヤルは右側面に付いています。
回転による移動方向は本体に表記されていますが、ロシア語なのでよく分からないですが「В」がUP、「Н」がDOWN、「П」がRIGHT、「Л」がLEFTとなっているようです。

ダイヤルはカチカチとしたクリック感があり、金色の部分だけが回ります。

輝度調節ノブは右側面に付いています。
輝度は1〜9段階、ノブの両端は「-」となっており、ここが消灯状態になっています。

1〜9の輝度のうち1〜4が低輝度モード(NVモード)となっており、5〜9が可視光モードとなっていますが、輝度4は暗闇であれば肉眼で目視出来る明るさがありました。

底面はこんな感じで、側面のナットを締め込む事で20mmレールに取り付ける仕様になっています。

また、底部にシリアルNOが記載されています。

レンズについて

続いてレンズを見ていきます。
構造的な物も実物を再現している事もあり、かなり特徴的なレンズ構成となっています。

レティクル投影用に斜めに組み込まれている非常に分厚いレンズが確認できます。
この斜めに組み込まれているレンズは非常に分厚く、ハウジングに接着されています。

レンズの反射は緑色。
光の当て方や角度によっては薄い青色に見える時もあります。

また、レンズの下側にはプリズムと思われる物を確認する事が出来ます。

覗いた時の様子とレティクルについて

覗いてみると、覗き込む角度によって見え方が変わります。
赤っぽい反射が見えるのは撮影用の証明の反射ですが、上から覗いた時は青っぽく、下から覗いた時はクリアに見えます。

真っ直ぐ見た時
斜め上から見た時
斜め下から見た時

尚、レンズは実物よりも透明度の高い物が採用されており非常綺麗です。

レティクルはこんな感じで、BDC付きのサークルレティクルです。
BDC用の点は3つ付いており、それぞれ2MOAのサイズになっています。

尚、レティクル点灯中であっても正面からは一切光が見えません。
写真は最大輝度でレティクルを点灯させている状態で、正面から撮影した様子です。

4段階あるNVモードはそれぞれ下記のような感じでした。

  • 輝度1:完全な暗闇の状態でちょうど良い輝度でしっかり見える明るさ
  • 輝度2:視界数十メートル程度の暗い環境や月明かりが出ている屋外でちょうど良く見える程度の明るさ
  • 輝度3:ちらほら外灯が出ている環境、NVが無くても歩く事が出来る程度の明るさの環境で丁度よい程度の明るさ
  • 輝度4:NV越しでは無くとも暗い環境であれば裸眼で視認する事が出来る明るさ

こちらの写真は真っ暗にした屋内で輝度1の状態で覗いた時の様子です。
NVは第3世代の増幅管(OMNI7)が入っているPVS14で、ノイズの量から暗さが分かると思います。

逆に可視光モードであれば明るい屋外で覗いてもしっかりレティクルを視認する事が出来る明るさがありました。

レンズの歪みとパララックス計測

いつものパララックス計測を行います。
2.5m先のディスプレイを覗き視点を上下左右に動かしてどの程度レティクルがズレるかを見ていきます。

という訳で、これがディスプレイを覗いた時の様子です。
レンズは非常に綺麗で歪みの無い像である事が分かると思います。

視点を上下左右に動かすとこんな感じ。
上下のズレは許容範囲内、左右は少しだけ中央の円から飛び出すようです。
これに関してはレンズが広いので仕方がないでしょうね…。

尚、上方向に関してはレティクルの欠けが発生します。
レンズの構造上の仕様です。

動画でも撮影してみました。

サイズ感について

PDS-1の大きさはEoTech 552とよく似ています。
こういうサイズ感とデザイン性が似ている事からもロシア版ホロサイトと呼ばれたりするのかも知れないですね。

銃に取り付けた際の見え方について

PDS-1をAR15系製品のトップレールに取り付けるとこんな感じ。

高さはアイアンサイトよりも少し高い、1/3 Lower Co Witnessに近い高さとなっています。

AK12に取り付けるとこんな感じ。

こんな感じで結構高めの位置になります。


という訳で、NOVUS製 1P87タイプ プリズムドットサイト(コリメーターサイト) PDS-1のレビューは以上になります。
形だけではなく構造まで再現するNOVUSの拘りを感じる1製品でした。