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MWSベースで作られたM16A2の給弾周りが不調なので修理、調整しました

記事作成日:2023年10月17日

友人が社外パーツモリモリのMWSベースM16A2を組んだのですがノズルの調子が悪く、

  • ノズルが戻らない
  • 給弾されない
  • ボルト閉鎖不良を起こす

などの問題が起きていたので自分の方で預かって修理する事にしました。

という訳で、こちらがMWSベースのM16A2です。
外装パーツも内部パーツも東京マルイ純正パーツが全く残っておらず、一部の外装パーツに実パ(リプロ品)も使用しているかなり気合の入ったM16A2です。

外装すごく良いのに弾が出ないのは勿体ない…。

ボルトを引くとこんな感じで本来はリターンスプリングによって戻るはずのノズルが飛び出したまま戻りません。
指で押すと一応引っ込むのですがかなり固く、何かに引っかかってるか噛み込んでるような状態でした。

とりあえずボルトを取り外して状態を確認していきます。
尚、ボルトはT8製が使われていました。

ローディングノズルで起きている問題と修正について

ノズルを引っ張るとこんな感じでボルト単体の状態でもノズルは飛び出したまま固定されてしまい、指でグッと押し込むと引っ込む状態です。
リターンスプリングが一切機能していないような状態です。

尚、ローディングノズルの問題はこれだけではなくノズルの下側が大きく変形してしまっています。
うまく給弾出来ない状態で無理にボルト閉鎖を行った結果、大きく変形してしまったようです。

とりあえずT8のボルトキャリアーを分解します。

ピストンカップのオイルが切れているとか、最悪千切れているとかめくれてるとか考えたのですが、特にそういう事は無さそう。
ボルト側の穴の歪みも無さそうでした。

では何が原因なのかと言うと、ピストンカップのサイズが大きすぎてそもそもボルトに入らないような状態でした。
どうやら本来なら入らないサイズのピストンカップが無理やり押し込まれている状態でした。

カップピストンを歪ませながら入れる必要があり、写真の位置で既に抵抗が強い

そりゃリターンスプリングが機能しない訳ですよ…。

ピストンカップはガス圧によって広がるのでスカスカ過ぎるのも良くないですがキツ過ぎるのは尚良くないですからね…。

とりあえず調整程度ではどうにもならないレベルで大きかったので、ピストンカップを外して、IRON Airsoft製のMWS用ピストンカップに交換しました。
ローディングノズルは専用品ですが、ピストンカップは汎用品のようで良かったです。

ピストンカップにもT8の刻印入り
左がT8のピストンカップ、右がIRONのピストンカップ
IRON製のピストンカップに交換

これでノズルの動きは改善されました。
それにしてもこんな寸法差があるとは…。
もしかしたら塗布されているオイルとピストンカップの相性が悪く、膨張してしまったのかも知れませんが…。

続いて、変形したノズルの修理です。
ノズルは歪んでいるだけではなく削れてしまっていたり凹んでしまっていたりしていたので、単に歪みを治すだけでは給弾不良は改善しなさそうだったので、ティッシュペーパーと瞬間接着剤を使って凹んでいる部分を盛る事にしました。

とりあえず大げさに盛った後、ヤスリやカッターナイフを使って削って形を整えます。

しかし、これだと駄目でした。
ローディングノズルが既に弱い衝撃でも曲がってしまう癖が付いてしまっていたので、マガジンを挿し込んだ衝撃程度で再び曲がってしまいました。

その為、穴を開けてピンを入れて接着剤で固める事にしました。
これでノズルの変形は解消されました。

まあ、応急処置なのでちゃんとしたノズルに交換した方が良いとは思いますが、一旦はこれで良いでしょう。

また、ノズル周りを触っていた時にダミーロッキングラグの動きも渋い事に気づいたので、こちらも調整する事にしました。
ローディングと同様に引っ込んだら戻らないんですよね…。

確認してみると、ローディングノズル側のパーティングラインが大きく飛び出していたり、ロッキングラグ側の寸法もおかしかったので、削って調整しました。

HOPダイヤルの修理

また、問題が起きているのはノズルだけではありませんでした。
どうやらHOPアジャスターが外れてしまっており、垂れ下がっています。

という訳でフロント周りも分解し、HOPダイヤルを取り外しました。

付いていたHOPダイヤル部はこんな感じ。
どうやらHOPダイヤルに引っかる部分の突起が折れているようです。

友人に確認した所、「HOPダイヤルが動かなくてドライバーでこじったから、その時に折れたのかも?」との事でした。

実際このHOPダイヤルは異様に硬く、分解した状態でもダイヤルを動かすのは一苦労な状態でした。

HOPダイヤルが異様に硬い原因はプランジャーで、プランジャーが収まる溝のサイズに対してプランジャーの外形がビタビタ過ぎて取り付けも圧入するような状態になっていました。
その為、プランジャーとして全く機能していなかったです。

なので、プランジャーを取り外して代わりに金属ベアリングを取り付けました。
これでダイヤルはある程度スムーズに回るようになりましたし、程よいテンションは掛かっている状態なので振動で緩む事も無さそうです。

また、折れてしまったHOPアジャスターをどうしようか悩んでいたのですが、ちょうど手元に程よいサイズのロールピンがあったので、適度な長さに切ってアジャスターに穴を開けて圧入+接着剤で固定しました。

とりあえずこれでHOP調節は出来るようになりましたし、HOPアジャスターが垂れる事も無いでしょう。

また、HOPの具合を確認した所最大HOP状態でも全然HOPの突起が出ていなかったので、HOPアジャスターにシリコンチューブを切った物を被せてかさ増しをしました。

組み上げて一旦動作確認。
HOP調節も指で出来ましたし、ちゃんとHOPの突起も飛び出してくれます。
また、ボルト・ノズルの動きも問題無くなりました。

とりあえずこれで損傷箇所や動作不良箇所は修正出来たものの、給弾不良の問題は解決せずあれこれ細部を確認していった所マガジンとの相性問題がある事も分かりました。

給弾不良の根本的な問題解決

というのも東京マルイ MWS用マガジンでは給弾不良が起き、IRON AirsoftやT8のマガジンではスムーズに給弾する事が出来たのです。
友人は東京マルイのマガジンを使用するので、東京マルイのマガジンが使えるように調整していきます。

原因はリップの高さです。
東京マルイ MWS用マガジンと社外製のMWS互換マガジンとではリップの高さが若干異なっています。

どうやらこのレシーバーや給弾ルートは社外製のMWS互換マガジン用に設計されているようで、東京マルイ MWS用マガジンを使うとリップと給弾ルートの間でBB弾が引っかかってしまうようです。

エジェクションポートからリップの位置を確認するとこの通り、高さが大きく異なっている事が分かると思います。

東京マルイ製マガジン
IRON Airsoft製マガジン

マガジンのリップの位置を変更するのは困難なので、マガジンのリップが低くても給弾ルートで引っかからないように給弾ルートを加工しました。
スロープ部分のくぼみを深くして、低い位置のリップからでも給弾出来るようにしました。

これでフルロードのマガジンからでもボルトストップが掛かるまでスムーズに給弾する事が出来るようになり、給弾不良の問題は解決しました。
結局根本的にはここが原因でしたね…。

恐らくスロープ手前でBB弾が引っかかり、そこにローディングが乗り上げてしまい変形したのだと思われます。

という訳で、後はHOP-UPの具合を外で撃って試すだけです。

また、ローディングノズルは応急処置をしている状態なのでちゃんとしたノズルに交換した方が良い気もしますが、とりあえずこの状態で使ってみて壊れない事の確認が取れてから交換した方が良いでしょう。
補修パーツのノズルは売られているようですが、ノズルも安くはないのでね…。