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コンパスワークが楽しめるウォークラリーイベント、房総ファスガン レポート

記事作成日:2023年11月13日

先日千葉県某私有地にて開催されたファスガンイベントにカメラマンとして参加してきました。

イベント概要

私有地につき正確な場所は非公開となっていますが、縦約1.7キロ、幅約700m、最大高低差約200mというかなり広大なエリアで行われたイベントで、主にファスガンを用いたサバイバルゲームというよりもウォークラリーイベントという側面が強いゲームでした。

2チームに分かれて行うゲームですが、事前に敵チームの規模(人数、装備など)、スタート地点などは一切公開されずミッション(行動内容)に関しても随時運営から連絡が行われる為、臨機応変な対応が必要になるというゲーム内容となっていました。

運営からはグリッド線が引かれた地形図が事前に配布され、分隊間通信用の特小無線機と運営との通信用にデジタル簡易無線が貸し出されています。
尚、通常のファスガンイベントでのデジタル簡易無線はファスガンのデバイスがおかしくなる可能性がある為使用禁止ですが今回は特例で、緊急用のデバイスリセット用のツールを配布して運用しています。
また、フィールド全域が携帯電話が圏外になるエリアでスマホは使えない為、基本的には地形図とコンパスを使った現在位置の把握が必須になります。

地図を見ながら作戦会議を行う様子

地形図の読み方とコンパスの使い方は事前知識として必須条件かつ、山を歩く為の知識と装備、体力も必要になるイベントでした。

また、それぞれのチームはフィールドへの入場タイミングもスタート地点も大きく異なっているため、参加者は本当に何も敵の情報が分からない状態なので、進行がかなり特殊なファスガンイベントです。

尚、運営からは開始前にミッションの詳細が記載されている封筒が配られ、状況中に運営から「◯の封筒を開けてください」と指示が出たら該当する封筒を開け、ミッションの内容を確認して行動するというケースもあります。

ミッションが記載された書類が入っている封筒を渡す運営
作戦会議を行う参加者

その為、参加者は様々な状況に臨機応変に対応出来るように編成と事前に行動パターンを打ち合わせ、行動する必要があります。

ゲーム時間は想定で12時間程、全員集合しての休憩などは無く、各分隊の判断で休めるタイミングで休みます。
寒く暗い山の中を行動する事になるので、それ相応の装備(防寒対策や野営を行える装備)と携行食、水分などの携行は必須、整備されていない山の中を行動する事になるのでそれなりの登山経験も必要です。

山の中を歩く場合は基本的には道なき道を進みます。
ルート開拓をしているうちに方向を見失う事もあるので、ちょくちょくコンパスで自分がどっちの方角に進んでいるのか、どの程度移動したのかなどを確認して、修正していく必要があります。

状況中の様子

また、冒頭でも述べましたが敵のスタート地点も展開状況も、更には人数すら分からないので、全方位を警戒する必要があります。

斜面の上を警戒しながら前進
森の中は360度の警戒が必要となる

尚、状況にもよりますが敵を発見しても即座に戦闘になる訳ではなく、一旦本部に問い合わせて攻撃可否の判断を仰ぐ必要があります。
また、戦闘中に死亡になった場合の行動は状況によって変わります。

  • その場に留まる
  • 死亡者用の合流地点を決めておき、そこまで移動して待機
  • 変わらず小隊に着いて行く

そして基本的に死亡者の復活はありません。
ゲームの進行状況やミッション内容、著しい戦力差が生まれてしまった場合など、状況に応じて運営判断で復活させる事はありますが、よくあるファスガンゲームのように一定時間で復活したり、自由に復活出来る復活リモコンなどはありません

谷に降りる時も、どこが安全地帯なのかが分からないので、上で警戒する要員を残しておきながら他のメンバーが下るというシチュエーションもありました。

2人が崖の上で周囲を警戒
ルート確保の為に下に降りる先行するメンバー

冬なので日没が早く、森の中という事もあり17時ごろにはかなり薄暗くなってきました。
ライトが欲しくなる状況ですが、ライトは敵に位置をバラす原因になるので、使い所は考える必要があります。
この辺りの判断も適切に行う必要があります。(本当に危険な状況下であればライトを付けた方が良い)

こういう時に便利なのはナイトビジョンです。
とは言え、ナイトビジョンを使っていてもかなり暗く、足場も非常に悪い斜面を登ったり降りたりする事になるので、足元や障害物の識別、前を歩いている味方の位置確認を最優先にする必要があります。
滑落はもちろん滑ったり転けたりして怪我をするのが一番良くないですし、はぐれてしまうのはもっと良くないです。

滑るような足場では無いか、転がり落ちそうな石は無いか、捕まっている木の幹が安全か(腐ってないか)、ツタは丈夫かなど、色々な事に気を配りながら進んでいきます。

もっとも、常に山道を歩く訳でもなく、普通に車両が通れる整備された道路も存在しますが、山道を迂回して進もうとすると基本的には相当足場の悪い獣道を歩く事になります。
場所によっては有志の人が設置したロープがある場所もありますが、そうじゃない所もあるといった感じですね。

また、長距離の索敵を行う場合はサーマルイメージャーもかなり強力だと感じました。
敵味方が入り乱れており互いの状況も把握出来ていない状況とは異なり、味方の現在位置は正確に把握できているので、そこ以外に居る人と思われる熱源は全て敵です。

見通しの良い所で見渡してみるとこんな感じで、確認する事が出来ました。

また、高解像度なサーマルイメージャーであれば300m、400m先の熱源も容易に捉える事が出来るので、攻撃できないシチュエーションであっても「あっちに敵がいる」という情報を班内で共有する事が出来ます。

約350m先の草むらに居る
約380m先の通りに居る
約500m先を2倍率で見た様子。
崖の上に居る

流石にこの距離になるかなり小さな点で表示されるので、探すのは少し大変です。
また、動物か人かの区別はつかないので、確定情報にはならないかもしれません。

また、移動の様子を確認する事ができれば移動ルートを予測する事も出来るので、次の行動を決める判断材料になります。

道を左から右に歩いている様子
斜面を登ろうとしている様子

真っ暗闇でナイトビジョンでも全然よく見えない状況下や草木に隠れて迷彩服の効果も相まって視認出来ないような状況でも、サーマルイメージャーであればハッキリ認識する事が出来ますね。

暗すぎてNVだとほぼ何も見えない森の中を移動する人
草木に溶け込んでいる人

ミッションによっては移動と索敵だけではなく要人救出(パッケージの確保)という内容の物もありました。

点滅しているLEDランタンを持って見通しの良い場所に立っている要人

運営本部の様子

そんなゲームの中、1時間に1回の定時連絡を受けて各チームの現在位置を把握、次にどういう指示を出すのかを決めるのが運営本部です。

運営本部

運営本部には各班に配られている特小無線機とデジタル簡易無線がチャンネルを合わせた状態で置かれています。
尚、特小無線機は運営本部まで電波が届かない事が多いので、基本的にデジタル簡易無線を使って各班との通信を行います。

運営本部には全域の地形図と行動パターンに応じた資料が揃っており、それを元にミッション内容を調整していきます。

連絡が途絶えた分隊があると、分隊と通信が行えそうなポイントに移動して通信を行ったりもしていました。
特小無線機は多くの参加者が持って行動をしているので、緊急事は特小無線とデジタル簡易無線の両方を使って通信を行います。

マップを確認しながら通信を試みる運営

という訳で、ゲーム全体の様子はこんな所です。

状況終了後

そして、最後に分散して行動している班員全員が集まり、どういう行動を取ったのかを確認し合います。
この時、敵チーム同士が初めて顔合わせをする瞬間でもあります。

基本的に行動ルートや通信の時間等を全て記録に取っているので、確認作業は比較的スムーズに行えていたと思います。
運営側も入って色々な話しをしました。

オマケ1

野生動物もちらほら確認できました。
日が落ちてからはとにかく至る所で動物の鳴き声が響き渡り、特に鹿の鳴き声がかなり独特で、サーマルイメージャー越しでも何回か群れを確認する事が出来ました。

参加者によってはイノシシも確認出来たそうです。

オマケ2

参加者が携行食を食べている中、運営はバーベキューをしていました。
まあ、バーベキューも通信は飛んでくるので仕事をサボってる訳では無いのでご了承ください…。