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Vector Optics製小型チューブドットサイト、SCRAPPER 1×20 MICRO(SCRD-69)のレビュー 

記事作成日:2024年4月24日

Vector Optics SCRAPPER 1×20 MICRO(SCRD-69)のレビュー記事をつぼみアームズ様よりご依頼頂いたので、レビューしていきます。

こちらの製品は最近ちょっとずつ増えている小型なチューブサイトで、最近自分がレビューした製品だと『HOLOSUN SCRS RD MRS』と良く似たサイズ感の製品になります。

ベクターオプティクス ドットサイト スクラッパーマイクロ Vector Optics Scrapper 1x20 MICRO Ultra Compact Red Dot Sight SCRD-69 【2023年モデル】https://tsubomi-arms.net/shopdetail/000000005258/

観音開きなパッケージは中央に封印シールが貼られており、開封済みか未開封かの確認が一目で分かるようになっています。

内容物について

内容物はこの通り、ドットサイト本体(ハイマウントベース付き)とローマウントベース、説明書・保証書、L字レンチ2本、クリーニングクロスです。

L字レンチはそれぞれトルクスと-になっています。

SCRAPPER 1×20 MICROの外観レビュー

という訳で、Vector Optics SCRAPPER 1×20 MICRO本体を見ていきます。
本製品は予めハイマウントベースが付いており、デザイン自体はSCRAPPER 1×22(SCRD-45)をギュッと潰したような感じで、同社のSCRAPPERシリーズのデザインを踏襲している感じです。

尚、こちらの製品はハウジングが7075-T6 アルミニウム合金で出来ており、表面処理はマットブラックアルマイトとなっています。
ハードアルマイトでは有りませんが、安っぽい質感では無いですね。

レンズ部の飛び出し量もかなり少なく、対物レンズ側は若干(1.3mm)飛び出しているだけです。
本体にレンズガードを取り付けたい場合は接着するしか無いでしょう。

ハウジング右側面にはVector Opticsのロゴが入っています。

右側面にはバッテリーボックスが付いており、蓋にはVector Opticsのエンブレムと、その周囲には1×20というレンズサイズ、3MOA Dotというレティクルサイズ、Motion Senserという動きを検知した自動消灯機能、IP67という防水規格が記載されています。
尚、バッテリーボックスの飛び出し量も結構少ないです。

バッテリーはCR2032を1つ使用します。
電池は同梱されていないので別途用意する必要があります。

輝度調節ボタンはハウジング上部に+と-のボタンが付いています。
ボタンはラバーで出来ており、カチカチとしたクリック感があります。
尚、消灯は-ボタン長押しです。

エレベーテーションダイヤルとウィンテージダイヤルはそれぞれこんな感じ。
カバーなどは無くマイナスドライバーを使って回す仕様で、1クリックで1MOA、最大で45MOA動かす事が出来ます。

接眼レンズ側は対物レンズ側のような出っ張りが一切無く、フラットな感じになっています。

マウントベースはハイマウント(Lower1/3 Co-witness)が付いています。
20mmレールに取り付ける事が可能で、マウント底部のネジを締め込んでクランプする仕様で、側面と前後が肉抜きされているデザインになっています。

ローマウントベースとマウントベースの交換について

Vector Optics SCRAPPER 1×20 MICRO(SCRD-69)にはローマウントベースも付属しています。

マウントベースは底部から4本のネジで固定されており、これらのネジを外す事でドットサイトとマウントベースを分離させる事が出来ます。

特殊なサイズなので独自規格のマウントベースかと思いきや、Aimpoint T1/T2互換です。
ネジ穴の位置だけではなく中央の窪みの位置など、一通りの寸法が同じです。

ただし、前後の長さが短い為、普通のT1/T2用マウントベースと組み合わせると、マウントベース前後とドットサイトに段差が生まれます。
見た目を気にしなければマウントベースの選択肢は豊富ですね。

レンズコーティングと覗いた時の様子について

Vector Optics SCRAPPER 1×20 MICRO(SCRD-69)のレンズは3枚付いており、対物レンズの保護レンズとして緑色のコーティングが施されている物、レティクルを反射させる為のルビーコートが施されているハーフミラーレンズ、緑色のコーティングが施されている接眼レンズになります。
ハーフミラーレンズ以外は平らなレンズです。

覗いた時の様子はこんな感じ。
青みは結構薄いですが、上から下にかけてのグラデーションが確認出来ます。

レティクルを点灯させるとこんな感じ。
レティクルのサイズは3MOAです。

レティクルの輝度は十分に高く、明るい屋外でも十分な視認性がありました。
尚、最大輝度にしなくてもしっかり視認出来ている状態だったので、更に明るい真夏の炎天下のような状態でも十分使える明るさのように感じます。

レンズの歪みとパララックス計測

という訳で、いつも通り2m先のモニターを覗いて歪みのチェックを行いました。
結果、写真で見てもハッキリ分かるレベルの歪みが起きており、肉眼だとかなりの魚眼レンズ感がありました。
中央付近ですら少し歪みがあるので、結構気になります。

続いて視点を上下左右に動かしてパララックス量を調べてみます。
パララックス量は許容範囲内で、上方向に動かした場合はレティクルは殆ど動かないという結果になりました。
パララックス量が一定ではないという事はかなり湾曲具合に癖がありそうな構造ですね。

尚、レンズの歪みは視点を上下左右に動かした場合は更に歪みが気になりますね。

この製品を使う場合はレンズ内の像全体を俯瞰して見るのではなく、レティクル部分だけに集中して両目照準で使う事が必須になるような気がします。
まあ、これが本来のドットサイトの使い方と言えばそうなんですが…。

他社製品とのサイズ比較

Vector Optics SCRAPPER 1×20 MICRO(SCRD-69)と他メーカーの製品とで大きさを比較してみます。

という訳で、まずはAimpoint T1系サイズのHOLOSUN HS403Aと並べるとこんな感じ。
サイズ感としてはハウジングがギュッと潰されたような感じですね。

コンパクト系チューブサイト達を並べるとこんな感じ。
真ん中はHOLOSUN SCRS RD MRS、右はAimpoint ACRO P1(レプリカ)です。
デザインは大きく違っていますが、サイズ感はどれもほぼ同じ感じです

銃に取り付けた時の見た目について

銃に取り付けた場合の見え方はこんな感じ。

まずはハイマウントを取り付けた状態です。
Lower1/3 Co-witnessの高さなので、アイアンサイトよりも少し高い位置にドットサイトの中央が配置されます。

ローマウントの場合はM4系のレールに取り付けると下側にオフセットされているようなストックを使わない限り低すぎるので、AKのレールとかに付けると丁度良い感じの高さになります。


という訳で、Vector Optics製コンパクトチューブドットサイト、SCRAPPER 1×20 MICRO(SCRD-69)のレビューは以上になります。

このサイズのドットサイトは最近の流行りになってくるのでしょうかね。
Aimpoint ACRO P1/H1の登場後、本当に色々なメーカーからこの『ミニリフレックスサイトよりも少し大きいけどT1系よりかは小さいチューブ型ドットサイト』が登場している気がします。

Vector Optics SCRAPPER 1×20 MICROはレンズの歪みが非常に残念な所ではありますが、2万円前半という価格帯という事を踏まえると目を瞑る必要がある要素なのかなと思います。
実際このタイプの製品で2〜3万円程度の価格帯の物はソコソコ歪みのある製品が多いですし、仕方がないのかも知れません。

ベクターオプティクス ドットサイト スクラッパーマイクロ Vector Optics Scrapper 1x20 MICRO Ultra Compact Red Dot Sight SCRD-69 【2023年モデル】https://tsubomi-arms.net/shopdetail/000000005258/