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Ver2メカボックス用強化トリガースプリング『STDちゅぷりんぐ』の量産サンプルのレビュー

記事作成日:2019年4月3日

ちゅんちゅん工房製品の通常電動ガン、Ver2メカボックス用強化トリガースプリング『STDちゅぷりんぐ』こと『スタンダード用ハードトリゲイスプリング┌(┌( ・8・ )┐』のサンプルをお借りしたのでレビューしていきます。

尚、この強化トリガースプリングは以前レビューした物の量産サンプルです。
基本的な設計、硬さなどはこのプロトタイプと同様で、製造工場が変更、材質も変わっています。

一応硬さはプロトタイプと同じになっているようなので純正比140%の設定で作られているはず…です。
というか、プロトタイプレビューしたのってもう1年も前だったんですねぇ…。

という訳で、これらが量産サンプルです。
実は3種類存在し、通常基準の物(マルイ純正基準)、スプリングの角度を15度増やしたもの、角度を15度減らした物になります。

線形や材質は全て同じですが、このようにバネの角度に差があります。

試してみてどれが良いかも見て欲しいとの事でしたので、組み込みやすさや引いた時の重さなどの検証を行ったのですが、結局通常の角度で量産される事になりそうです。

というのも、まず+15度は組み込むのがものすごく大変でした。
トリガーをねじ込むような感じで無理矢理挿入する必要があり、無事に組み込んでも「これ、セーフティ掛かってるのか分からないな…?」と思う位の重さがありました。
人差し指の筋トレには使えるでしょう。

-15度は逆に組み込みは楽なのですがトリガー引いた時に「ちょっと軽いな…これは個人的に満足出来ない」という感想を抱きました。

組み込みのし易さと、引いた時に感じられる十分な重さを考えると、通常の角度が一番無難かなと思ったので、ちゅんちゅん工房の中の人にはそのように伝えております。

STDちゅぷりんぐの特性について

このカスタムトリガースプリングは基本的に「トリガーを重くしたい人」向けのパーツになります。
例えば電子トリガーを組んだ事によって軽くなったトリガープルを、もっと重くしたい人向けの製品になります。

尚、副次的効果として「バンプファイアの防止」「ガク引き抑制」もあります。

と言う訳で、基本的には電子トリガーを組んでいる人の為のカスタムパーツと考えて頂いて良いと思います。

STDちゅぷりんぐを組み込む際の注意点

STDちゅぷりんぐを組み込む際にはいくつか注意が必要です。

  • 原則、ポン付けできません。トリガーへの加工が必要です。
  • 通常のスプリングよりも組み込みが難しいです。FCUなどを付けている場合は破損させない為にも慎重に取り付ける事を推奨、出来れば一旦FCUを外して練習した方が良いです。
  • トリガーストロークを絞った場合でしっかりした重さを感じられるようになっているので、フルストロークの物理スイッチとかに組むと、ただ疲れるだけで、快適さはありません。FCUと組み合わせる事を推奨します。

まずは多くの人が困るであろう、トリガーへの加工方法について説明します。

STDちゅぷりんぐは、通常のトリガースプリングよりも線径が太く、そのまま取り付けようとすると、スプリングがトリガーから飛び出してしまいます。

このままではメカボックスとトリガーが接触し、必要以上にトリガーが重くなったり、そもそもメカボックスを閉じる事が出来なくなってしまいます。

その為、トリガーを加工してスプリングがトリガーに収まるようにしてやる必要があります。
下の写真の状態でも「もうちょっと加工した方が良いかな…」くらいです。

本当の推奨はこれくらいですね。
ここまでやればメカボックスとトリガースプリングが変に擦れる事はありません。

この加工方法はトリガーによってまちまちです。
今回紹介するのは「VFC」「G&G」「RetroArms」の3種類です。

まず、VFCは単にトリガースプリングが逃げる為の溝を用意するだけで大丈夫です。
深さは0.5以上1mm未満で良いと思います。
リューターの切削ホイール(金属用)を使って削ればすぐ終わります。

続いて、G&GのETU搭載機のトリガーですが、これは割と加工が面倒です。
まず、トリガースプリングを逃がすための溝を設けるのはVFCと同じなのですが、さらにスプリングを通す為の穴を広げ、シャフトの外形を細くする必要があります。
切削ホイールに加えて金属用の超硬ビットが必要になります。

また、ETUのトリガー基板にも少し加工が必要です。
単なる樹脂カバーの部分なので、あまり気にする事はありません。
カッターナイフやヤスリでサクサク削れば良いと思います。

最後にRetroArmsのトリガーですが、私が試した中ではこれが一番楽でした。
切削ホイールを使って軽く溝を作ってやればいいです。
VFCよりも浅くて大丈夫です。材質もアルミですし、サクッと削ればOK。

このようにたった3種類ですら必要な加工方法が異なります。
カスタムトリガーなどを含めるとものすごい数のトリガーが存在するので、その製品に合った加工を行う必要があります。

さらに、この加工を行ったら簡単に組み込める…という訳ではありません。
トリガーを取り付け、メカボックスを閉じる作業も1つの難所です。

とにかくトリガースプリングが堅いので簡単にトリガーが吹っ飛びます。
このようにSTDちゅぷりんぐの付加をメカボックスが閉じ終わるまで指で押さえておくのは結構疲れます…。

RetroArmsのメカボックスとトリガーの組み合わせであれば、RetroArms側でトリガーが吹っ飛ばないように対策しているので安心して組み込めるのですが、一般的なVer2メカボックスだとトリガー吹っ飛び対策を考える必要があります。

そこでお勧めなのがAirtech Studios Gearbox Installation Tool Anti-reversal and Trigger locking Clipです。

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このツールでトリガーを押さえておく事で吹っ飛びのリスクが大幅に低減されます。

FCU搭載機種だとトリガーが吹っ飛んで基板を破壊…なんて事になったらシャレにならないですからね。
ここは慎重にやりましょう。

STDちゅぷりんぐを組み込んだ時の重さについて

とりあえず、とにかく重いです。
どの程度重くなるかを測る為に、トリガープルゲージで測ってみました。
トリガーの中央付近(普段人差し指が置かれる場所辺り)に引っかけ、10回計測を行い、最大と最低、平均を出しました。

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まずはG&G ETUメカボックスから。
ETUは物理スイッチが付いているので、スイッチが押された感触が感じられた時の重量を計測しています。
ノーマルトリガースプリングは最大0.88kg、最低0.64kg(平均0.78kg)。
チュプリングは最大2.37kg、最低1.73kg(平均1.97kg)。

G&G ETUメカボは普通の物理スイッチ並にトリガーストロークが長いという事もあり、非常にトリガーが重く感じられます。
2kgもあったんですね…。

続いて、VFC SIG MCX。
私のSIG MCXはかなりトリガーを切り詰めており、ストローク量はほんの数ミリしか無いのですが、たったこれだけのトリガーストロークでもしっかりした重さを感じる事が出来ます。

無負荷状態とトリガーを限界まで引いたときの写真を重ねています

実はこういうセッティングでもしっかり重さを感じられるスプリングが欲しくて、私が硬さのオーダーをしたんですけどね…。

このMCXには陽炎2型B改が入っており、光センサーによる検知の為、センサーが検知されたタイミング(モーターが動いたタイミング)の重量を計測しています。
ノーマルトリガースプリングは最大0.51kg、最低0.37kg(平均0.48kg)。
チュプリングは最大1.09kg、最低0.85kg(平均0.94kg)。

これですよこれ、この重量…!
これぞ待ち望んでいたトリガープル(1kg)です…。

もっとも、個人的にはシア感があればもっと重くても良いんですけどね…。
電動ガンのトリガーだとこれくらいの重さが丁度良い気がします。

これらの結果から分かる通り、「めちゃくちゃ速いセミ連射をしたい!」という人には向かない可能性があります。
トリガーの戻が速いので連射に向いてそうな印象もありますが、引くときの重さが結構あるので、連射すると指が疲れます。

しっかり銃を構え、ちゃんとグリップを握って、ガクビキしないようにちゃんと指の腹でトリガーを引くように意識する必要がある製品です。

もっとも、トリガーストロークを短くしたセッティングしていたり、肉体的に人差し指に自信がある人ならトリガーの戻る速度を活かした連射が出来ると思いますが…。

また、冒頭でも述べましたがバンプファイアのような暴発を抑える事が出来たりします。
ギリギリまでトリガーを詰めていくと1発しか撃ってないつもりなのに銃の振動で2発撃っちゃうとかありますからね。
FCU側のプログラムで対策する事も出来ますが、STDチュプリングを入れる事で駆動時に発生する振動程度や軽く指が触れた程度では、びくともしないようなトリガーになります。

これで通常トリガースプリングのふにゃふにゃから解放されます。
本当、あの柔らかいトリガーだけが電子トリガー化(特に光センサーの機種)におけるボトルネックでした…。


という訳で、STDちゅぷりんぐのレビューは以上になります。

現在、量産の準備中で近日中には量産される予定です。 販売はもう少々お待ちください…。

GAW ウェブショップにて取り扱いが開始されました。
ちゅんちゅん工房 ちゅぷりんぐSTD Ver.2用

最後に、重いトリガーはイイゾ…