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ショートスコープ用マグニファイア、TRYBE Optics Enhancer Scope Magnification Doublerを買ってみた

記事作成日:2021年1月2日

TRYBE Opticsというつい最近出来たメーカー(記事公開時点ではオフィシャルサイトがCOMING SOON状態)が作っている、ショートスコープ用のマグニファイアを買ってみました。

こちらの製品はショートスコープの対物レンズに取り付ける事により、倍率を2倍にする事が出来ます。
例えば1〜4倍の製品であれば2〜8倍に、1.5倍〜6倍の製品であれば3〜12倍の製品になります。

簡単に言うとショートスコープをライフルのスコープのような感じで使う事が出来る製品です。
イマイチどういう使い方が出来るのか分からない製品だったので、試しに買ってみました。

内容物はこんな感じ。
レンズ本体とマウント、説明書、工具類といった感じ。

レンズとマウントはこんな感じ。
この製品はドットサイトと組み合わせて使用するマグニファイア(ブースター)とは異なり、専用マウントをスコープの対物レンズに取り付けて使用する製品です。
その為、組み合わせる事が出来るスコープには制限があります。

どちらかと言うと、カメラレンズに取り付ける、テレコンバージョンレンズ(テレコンバーター)に近い製品ですね。

付属のマウントは30mm用と34mm用。
つまり、ライフルスコープのように対物レンズが大きな製品で使う事が出来ません。
対物レンズ側の外形がこれらのサイズである必要があります。

なお、30mmチューブ用のマウント内側には1インチ変換用のスペーサーが入っているので、1インチチューブの製品で使う事も可能です。

レンズ側はこんな感じ。
アルミボディで色は少し緑っぽい黒。

ねじ切りの近くに白い線が入っていますが、ここが上に来るように取り付けるという目印の線です。

このレンズにはマグニファイアにも付いている、バーティカル/ホリゾンタル・アジャスト・ダイヤルが付いています。
それぞれコインドライバーで回す事が可能(これを回す工具として1セント硬貨が付属します)

ダイヤルは共にクリック感が無く、無段階。
1メモリが4MOAで、カタログスペック上は+/-10MOA動かす事が出来ると書いていますが、実際はそれ以上にダイヤルを動かす事が出来るので、限界が何MOAなのか不明。

これらのダイヤルの対角にダイヤルをロックする為のイモネジが付いています。
これを緩める事で、バーティカル/ホリゾンタル・アジャスト・ダイヤルを回す事が出来るようになり、締め込むと両方のダイヤルがロックされます。

尚、フォーカス距離は25ヤード〜(約22.86m〜)で固定となります。
そういえばサイドフォーカス付きのスコープだとどういう感じになるんでしょうね…サイドフォーカスが付いているショートスコープは持ってないので試せないのです…。

レンズはこんな感じ。
写真左が対物レンズ、右が接眼レンズ…というか、スコープ側の対物レンズ側に来るレンズです。
青紫系のマルチコートのようで、EoTech G33のコーティングにちょっと似ているかな?といった印象。

レンズ単体だと若干暖色系のレンズのような印象がありました。

という訳で、こちらの製品をスコープに取り付けていきます。
取り付ける製品はPrimary Arms PLx8 1-8x24mm、チューブ径34mmの1〜8倍のショートスコープです。

まず、こちらの対物レンズ側のチューブにマウントを取り付けます。
尚、このマウントは内径が19mmと比較的細めなので、若干明るさに影響を及ぼす気がします。
とは言え、実際はこの先にレンズを取り付ける事になるので、問題にはならないでしょう。

このマウントにレンズをねじ込みます。
限界まで締め込むとちょうど白線の位置がピッタリ合った状態で固定されます。

全体像はこんな感じ。

という訳で、外で覗いてみました。
まずはマグニファイアを外した状態での1倍〜8倍です。
約250m先の木を狙っています。

続いて、マグニファイアを装着した状態です。
それぞれ2倍になっているので、左から2倍、8倍、16倍といった具合です。

見て分かる通り、対物レンズ側で倍率を上げている為、FFPレティクルの大きさに変化はありません。
例えばマグニファイア無しの8倍と、マグニファイア有りの8倍(ダイヤルは4倍)だとこんな感じで像の拡大率はほぼ同じですが、レティクルのサイズが違っている事が分かると思います。

左:マグニファイア無し、右:マグニファイア有り

レティクルのサイズに変化が生じるという事は、レティクルの目盛りは1/2にして計算すれば良いんでしょうかね…FFPだとややこしい事になりそう。

このように、単純にスコープの倍率を上げるという効果がありますが、それ以上に良い機能があります。
それが、バーティカル・アジャスト・ダイヤルの存在です。

ドットサイトと組み合わせて使う方のマグニファイアだと、レティクルの上下左右位置を調整する為の物ですが、この製品は対物レンズに取り付ける為、レティクルではなく視界自体を動かす事が出来るのです。

つまり、スコープ単体では見る事が出来ない所を見る事が出来るのです。
詳しく説明すると、例えばこの赤い旗を狙いたい場合、こういう風に照準を合わせると思います。

弾道がドロップする場合は、レティクルのBDCを使えば良いのですが、これくらいが限界です。

しかし、マグニファイア側のバーティカル・アジャスト・ダイヤルを回す事で、像そのものを動かす事が出来るので、レティクルを動かす事なく視界を動かす事が出来ます。

極端な話ですが、言ってしまえばこういう事が出来ます。
銃を射角を付けた状態で構えているのを横から見ている図です。
左側の灰色がスコープの対物レンズ、スコープの視野が青点線、赤丸が標的だと思って下さい。
射角を付けているので、標的がスコープの視野の外側にあります。
当たり前ですが、このままでは狙う事が出来ません。

マグニファイアのバーティカル・アジャスト・ダイヤルを回す事で、この射角を維持したまま、標的をスコープの視野内に持ってくる事が出来ます。

※説明用にかなり無茶苦茶なで表していますが、理屈はこういう事です

視野外の物を見るためには射角付けマウントが一番オーソドックスだと思いますが、これはレンズ自体を動かして見えるようにする感じですね。
中々強引な方法ですがね…。

本来はそういう為の物では無いとは思うのですが、Charlie TARACのような使い方が出来る訳ですね。
尚、これは長距離射撃用にスコープの視野を下方向に動かす事が出来る製品です。

Tacom HQ Charlie TARAC

という訳で、中々面白い光学機器を手に入れる事が出来ました。
今後どういう使い方が出来るか考えていこうと思うんですが、結構大幅に視界を動かす事が出来るので、重量弾を射角付けて撃つ時に使えるかな?と思っています。
実質、射角付けマウントと同じような使い方が出来る訳ですからね。

瞬時に倍率を変えたいなら普通にスルーレバーを操作した方が簡単ですし、ドットサイト用のマグニファイアとは大きく異る使い方になりそうな気がします。