E&C 329E COLT M653 電動ガンの分解レビュー
記事作成日:2022年7月27日
先日開封レビューを行ったE&C 329E COLT M653を分解していきます。
いつもどおり、基本的に内部の分解が主になります。
という訳で、まずはハンドガードを外して配線をアウターバレルに固定している結束バンドを切除、その後ピボットピンを外してアッパーレシーバーを前側にスライドさせます。
これで上下レシーバーを分離、バレル・チャンバーASSYを抜く事が出来ます。
尚、ピボットピンは抜けないようにネジが付いているタイプなので、ネジを外してから抜く必要があります。
インナーバレル・チャンバー周り
E&C 329E COLT M653に入っていたチャンバーは無段階でHOP調節が出来るProWinライクなドラム式樹脂チャンバーです。
分解に関しては特に問題になるような箇所は有りませんが、一般的に真鍮で出来ているチャンバーシールリングが樹脂製になっています。
HOPクッションは細めのシリコンチューブ。
HOPアームの窪みのサイズに対して若干小さいサイズの物が組み込まれていました。
HOPパッキンは若干溶けてインナーバレルに張り付いていました。(中華あるある)
ペリペリペリとシールを剥がすような感じで外してみた所、結構固めなパッキンで、HOPの凸はシンプルな形状をしていました。
正直このパッキンはもう駄目ですね…。
まだちょっと弾性が残っていますがひび割れを起こしかけています。
インナーバレルは真鍮製で長さは363mm。
HOPパッキンを外した部分のインナーバレルは茶色く変色しています。
HOP窓形状は若干前後がハの字に開いているタイプで口の所にはそれなりにバリが出ていましたが、ちょっと整えてあげれば普通に使えるバレルのような気がします。
ロアレシーバー外装の分解、メカボックスの取り外し
続いてロアレシーバー側の分解を行っていきます。
まずはストックを外すにあたってストックチューブの蓋を外し、内側に入っているネジを抜きます。
尚、ストックチューブの蓋はネジ固定+圧入されているような感じで抜くのが地味に面倒でした。
続いて、グリップを外します。
まずグリップ底蓋のネジを外すのですが、これがタップネジで、しかも前側のネジは切られて短くなっていました。
タップネジを許すな。
本当、グリップの底蓋がタップネジの製品大嫌いなので、弄る時にグリップごと交換しようと思います。
とりあえずグリップ底蓋を外してモーターを取り出します。
ちなみに、ネジロック剤でガチガチに固定されていたモーター位置調整用のネジはヒートガンで炙って外しました。
モーターはラベルなしの銀色モーター。
トルクはあんまり無さそうな中華製電動ガンにありがちなモーターで、ピニオンギアはD型でした。
机モーター以上、EG1000以下という感じで、使い物にならない物ではありませんが、7.4Vで回すとちょっともっさり感が否めないモーターです。
グリップ内側のネジを外してメカボックスからグリップを取り外します。
ネジは2本止め仕様でした。
続いて、ボルトリリースボタンを外します。
E&C 329E COLT M653のボルトリリースボタンはライブで、反対側に付いているボルトキャッチ用のパーツまでアームが伸びています。
ボルトリリースボタンを外すにはまず、ボタンのピンを抜き、その後ボルトキャッチ用のアームを指で押し下げながらボルトリリースボタンを引っこ抜けば外す事が出来ます。
ボルトキャッチ機能付きのスタンダード電動ガンはだいたいこの構造だと思います。
次にマガジンキャッチを外します。
まあ、これはボタン側にネジが付いている普通の電動ガンタイプです。
後はテイクダウンピンとトリガーピンを抜く事で、メカボックスを外す事が出来るようになります。
メカボックス内部の分解
E&C 329E COLT M653はVer2亜種系で、前配線になっています。
軸受は8mmのボールベアリングで、メカボックス右側にはEBBのユニットをはめ込む為のような溝(APSのEBBに似ている)が付いていますが、この銃はEBBではありません。
前側に伸びている配線はメカボックス側に設けられている溝に埋め込まれています。
エッジが鋭利で、ちょっと皮膜が破れているのが気になるところ…。
という訳で、メカボックスの分解を進めます。
まず、ボルトキャッチのアームを外します。
このアームの形状はAPSの物と似ていますね。
続いて、ピストンスプリングを外します。
このメカボックスはQDスプリングガイドになっているので、メカボックスを開かなくてもピストンスプリングを外す事が出来ます。
尚、このメカボックスは外側から逆転防止ラッチを解除出来るので、スプリングガイドを外す前に逆転防止ラッチを解除しておいた方が良いでしょう。
QDスプリングガイドはシャフト長めの金属製で、十字の突起でロックする仕様になっています。
メカボックスを閉じているネジはトルクスネジで、T10とT9の2種類があります。
皿ネジ(長いネジ)がT10、鍋ネジ(短いネジ)がT9のようです。
メカボックスの中身はこんな感じで、びっくりするくらいギアグリスが塗られていません。
基板にグリスが付着しないようにする為なのかも知れませんが、それにしても少なすぎでスパーギアとセクターギアが噛み合う歯と、逆転防止ラッチにしかグリスは塗布されていませんでした。(しかもごく少量)
メカボックス右側なんて掃除の必要が無いレベルに全くグリスが付着していませんでした。
メカボックスの清掃は楽そうです。
E&Cの電子トリガーはセクターギアの磁気検知式で、セクターギアの窪みに磁石が埋め込まれており、トリガースイッチはマイクロスイッチとなっています。
基板の形状はBIGRRR DROP-IN MOSFET/PHOTON TRIGGER Ver2に非常によく似ています。
トリガーは普通の電動M4用で、セーフティもアームがトリガーの動きを妨げるだけの仕様になっています。
という訳で、メカボックス内のパーツを外していきます。
タペットプレートとノズルは樹脂製でバリが多く、ノズルもシリンダーヘッドに対してスカスカなのでお世辞にも精度が良いとは言えない物ですが、タペットプレートのL字部分はしっかり90度になっているので、ちょっと調整さえすればこのまま流用しても問題は無さそうな気がします。
シリンダーとシリンダーヘッドはこんな感じ。
シリンダーは後ろ側に穴が空いている加速シリンダー(シリンダー容量多め)で、真鍮製。
シリンダーヘッドは樹脂製で、ノズル部分が真鍮になっています。
尚、ギアには殆どグリスが塗られていませんでした、吸気系パーツにはしっかり粘度低めのグリスが塗布されていました。
ピストンは最後の1枚だけ金属製の15枚歯ピストン。
ピストンヘッドは小さな吸気穴が6個空いている後方吸気型の樹脂ピストンヘッドです。
ピストン内部にはスラストベアリングが入っており、ピストンヘッドを固定しているネジはタップネジでした。
まあ、特に言う事も無い無難な感じの仕様ですね。
尚、ノズル、タペットプレート、シリンダーヘッド、ピストンに使われている青色の樹脂は全て同じ材質のようで、軽く削ってみた感触的にFRPっぽい感じがします。
ギアは最近よく見かけるおなじみの粉末焼結ギア。
ARESやAPSなどの電子制御電動ガン同じで、セクターギアに付いている窪みに磁石が埋め込まれています。
尚、逆転防止ラッチのプリングが無駄に固くて、折れやすそうな印象がありました。
トリガーは至って普通の電動M4用ですが、トリガースプリングが大きく曲げられておりちょっとだけ組み込みやすくなっています。
セレクタープレートも汎用品で、スイッチ用の銅板が外されているような見た目をしていました。
トリガー周りのパーツを外した状態のトリガー基板はこんな感じ。
+側の配線の途中にダイオードが付いているようで、そこに熱収縮チューブが付いています。
また、トリガー検知用のマイクロスイッチに付いているヒンジはあらかじめ少し曲げられていました。
尚、ARESのようにメカボックスがこの基板に合わせて特殊な設計になっている訳ではなく、Ver2用のトリガースイッチ形状と互換がある形で基板が設計されているので、物理スイッチや社外製電子トリガーに交換する事も出来そうです。
基板を外してみた所、メカボックスとの間に絶縁用と思われる放熱シリコンゴムシートが付いていました。
尚、モーター側に伸びている配線を抑える為のパーツが付いていました。(結構便利なパーツ)
基板左上にE&C 5 2022.04.16 VER:3と製造年月日とバージョン入っています。
やっぱりBIGRRR DROP-IN MOSFET/PHOTON TRIGGER Ver.2によく似ています。(これらのFCUは5000円前後で購入可能)
反対側はこんな感じで、セレクター位置検知用のスイッチは1個しかありません。
こちらもBIGRRR DROP-IN MOSFET/PHOTON TRIGGER Ver.2と仕様がそっくりですね。
このスイッチが押されている状態がフルオートになるので、電子的にセーフティの状態は存在していません。
設定可能な項目や細かいパーツ構成、基板のレイアウトなどは違っているので完全同じ製品では無いですが、参考にしているか同じ工場が作っている可能性がありそうです。
正直、この設計はあんまり好きじゃないので交換すると思います。
しかも半田もあんまり綺麗じゃないですし…。
もしかしたら暫く様子見で使い続けるかも知れませんが、最終的には組立時に考えようと思います。
という訳で、E&C 329E COLT M653の分解レビューは以上になります。
今の時代は安価な電動ガンでも電子トリガー搭載が当たり前になりつつありますが、この内容で28000円(税抜)で購入する事が出来ると考えるとかなり凄い時代になったなぁ…と思います。
HOPパッキンがイマイチというのは中華製品らしい感じもしますが、それ以外は特段めちゃくちゃ悪いという感じも無かったですし、独自規格なパーツも殆ど無さそうなのでカスタムや調整も楽そうに感じました。
FCUの耐久性は未知数ですが、最低限HOPパッキンをマルイ純正にするだけでだいぶ良くなりそうな気がしますしね…。
とりあえず、交換したいパーツが分かったので、それらが届いたら調整と組み立てを進めていこうと思います。