Silverback Airsoft Desert Tech MDR-Xの分解レビュー
記事作成日:2023年2月17日
先日開封レビューを行い、シューティングレンジでも撃ってきたSilverback Airsoft Desert Tech MDR-Xを分解していきます。
この辺りまでは簡単に分解する事が出来るので、この状態から各部位を紹介していきます。
バレル周りの分解について
開封レビュー時でも紹介しましたが、Silverback Airsoft Desert Tech MDR-XのバレルASSYは実銃と同様に簡単に着脱できる仕様になっています。
Desert Techってこの構造好きですよね。
フラッシュハイダーは14mm逆ネジで固定されており、下部のイモネジを緩めてから回す事で外す事が出来ます。
ガスブロックはこんな感じで下部のピンで固定されていますが、軽く叩いた程度では抜け無さそうだったのでとりあえず外さずに進めます。
尚、ガスピストン部には追加工されたような穴が空いていました。
アウターバレルからインナーバレル+チャンバーを外すには左右のイモネジを緩めます。
緩めたらチャンバーを引っこ抜く出来ます。
アウターバレル左右のイモネジはチャンバーの写真赤矢印の窪みに入り込んでチャンバーを固定する仕様なのですが、チャンバー自体が樹脂製なのであまり強く締め込みすぎるのは良く無さそうな気がします。
組立時には気をつけた方が良いでしょう。
チャンバーを分解していきます。
まず、前側のパーツ(イモネジがはまる部分)を左右に開きます。
どうやらこのパーツがバレルクリップ的な役割を担っているようですね。
また、HOP調節ダイヤル用のプランジャーが左右に付いています。
続いてHOPダイヤルを外し、チャンバーを抜きます。
HOP調節ダイヤルにはプランジャーが入り込む窪みが付いています。
プランジャーを外しつつ、HOPダイヤルを緩まないようにするOリング的なのを仕込めば無段階調節にも出来そうですね。
開封レビュー時点ではHOPパッキンは水色の物(硬度50)が入っていると思っていたのですが、どうやらチャンバーの色が透過して水色に見えていただけのようで、黄色い物(硬度70)が入っていました。
同社製の電動ガン用HOPパッキンによく似ており、全体的にかなり肉厚なHOPパッキンです。
尚、こちらのHOPパッキンはMDR-X用のHOPパッキンとして単品販売がされている所を見ると以前から出ていた同社製の電動ガン用HOPパッキンとは異なる物なのかも知れません。
インナーバレルの長さは420mm。
形状は一般的な電動ガン用の真鍮製インナーバレルでマズル側は少し深めの45度テーパーが掛かっており、HOP窓形状は無難な四角形でした。
メカボックスの取り外しとメカボックスの外観紹介
メカボックスを取り外すにはまずトリガー基板から伸びている配線を外します。
FCUの前側にコネクタが刺さっているので、これを外します。
その後、ストック後部側に付いているパーツを外していきます。
テイクダウンピン的な物が付いているパーツを外した後、メカボックスを固定する為に付いているネジを外します。
MDR−Xのメカボックスは実質側面に付いている2本のネジだけで固定されています。
MDR-Xのメカボックスはこんな感じで非常に独特な形状をしており、専用メカボックスである事は明らかです。
シリンダーは加速シリンダーで斜め左右上に加速穴が空いています。
穴からシリンダーの厚みが分かると思いますが、非常に分厚いシリンダーです。
厚みを測ってみたら1.7mmほどありました。
シリンダーとギアボックスは2本のネジで固定されています。
このメカボックス、とにかくネジの本数が少ないので分解が楽です。
シリンダーとギアボックスのつなぎ目というか互いに接触する面はこんな感じです。
シリンダー底部からはラックギアがチラ見しており、ギアボックス側からはセクターギア、スパーギア、ベベルギアが全て確認出来ます。
ついでにトリガースイッチも外しました。
これはスイッチを固定しているネジ2本を外すだけで取り外す事が出来ます。
シリンダー周りについて
シリンダーとギアボックスに分離したので、まずはシリンダーから細部を見ていきます。
MDR-XのシリンダーはQDスプリングガイドが採用されており簡単にスプリング交換ができる仕様になっているのですが、スプリングガイドに空いている穴が三角形という独特な形状なので「専用工具必要か?」と一瞬思うのですが、5mmの六角レンチがそのまま使えます。
工業製品でたまに三角形のネジ頭の物ありますが、エアソフトガンで使われているのは初めて見ました。
スプリングガイドはこんな感じでスラストベアリング付きの金属製ガイド。
シャフトは結構長めでピストンに引っかかる部分はネジになっています。
ピストンスプリングは超フニャフニャの不等ピッチ。
自由長はソコソコあるもののこんな柔らかくて、しかもインナーバレルが長いのによく11.1Vのフルオートでピストンクラッシュしなかったですね…。(もっとも、動くだけで動作が安定せず、あまり良くなかったですが…)
スプリングガイド側の蓋を外そうとしたのですが、ガチガチに固定されてしまっているのか簡単には外せませんでした。
なので、先にシリンダーヘッド側を外してみようと試してみた所、モンキーレンチを使って軽くトルクを掛けるだけであっさり外れました。
MDR-Xのユニークな所はこのタペットプレートレスのノズルです。
代理店やショップでは「独自のタペットプレートレス構造」や「独自の給弾方式」とか紹介されていますが、どう見てもSYSTEMAが採用している給弾方式で、スタンダード電動ガンだと恐らくレボリューションメカボックスが初出だと思いますし、その後はWE KATANAが同じ方式のタペットプレートレスのノズルを採用しています。
最近カスタムパーツで見かけるようになった負圧駆動のノズルとか採用してたら更に面白みがあったのですが、2年前に発表された時点からこの給弾方法は決定していたので、まあ仕方がないですね。
個人的には見慣れた構造の方が弄りやすいので、これはこれで良いんですが…。
構造はこんな感じでノズルをピストンヘッドが加えこんで引っ張る方式です。
まあ、トレポンを触った事がある人ならおなじみの構造ですね。
シリンダーヘッドはこんな感じ。
分解するとこんな感じのパーツ構成で、パット見SYSTEMA PTWのノズルによく似ています。
ただし、採寸するまでもなく全く別物である事が分かります。
ノズルの太さ、長さ、シリンダーヘッドなど全てにおいてMDR-Xの方が一回りほど大きいです。
尚、シリンダーヘッドのノズルが通る穴にはOリングが設置されており、その周囲にはテーパーが掛かっていました。
ノズルのフランジも斜めに削られていたので、恐らくこのテーパーに沿ってノズルが収まる構造になっているのだと思われます。
尚、ノズルはHOPパッキンの口の大きさに対してかなり肉厚です。
Silverbackの電動ガン用HOPパッキンは普通のノズルと組み合わせると少しノズルを延長させてあげないと気密漏れを起こしてしまう場合がある程度には内径がゆるいので、そう考えると口が細い一般的な電動ガン用HOPパッキンに交換するのは相性問題が起こりそうな印象があります。
本当、この製品は色々独自パーツまみれですね…。
Silverback製品としては独自パーツまみれなのはおなじみの仕様ではありますが、それは電動ガンになっても変わらないようです。
ピストンはこんな感じでこちらもかなり特徴的な仕様だらけです。
ピストンヘッドは後方吸気のアルミ製で吸気穴が10個も空いています。
中央にはノズルを咥え込む為のOリング(赤色)が付いており、外側にはシリンダーの気密を取る為のOリング(緑色)が付いています。
また、Oリングの後ろには樹脂製のリングが付いています。
この樹脂リングはシリンダーヘッドがシリンダーに擦れて傷が付かないようにする為の物のようです。
尚、ピストンヘッドの直径は25mmもありました。
スタンダード電動ガンのシリンダーの内径が23.8mmなので、サイズが全く異なっている事が分かると思います。
SYSTEMA PTW(シリンダーヘッドの大きさ自体はスタンダード電動ガンと同じ)と比較しても大きさの違いは明らかです。
こういう専用パーツに関しても一通り補修パーツが販売されているのがSilverbackの良い所ですね。
長く使う予定があるなら手軽に手に入るうちに買っておくのが良いと思います。(補修パーツは度々在庫切れになったりしますので…)
ピストンのラックギアは16枚歯仕様の全金属歯で2枚目が完全に無くなっているタイプです。
ピストンASSYを分解するとこんな感じ。
ピストン内側に付いているピストンヘッドを固定するネジを外せばピストンヘッドを外す事が出来ます。
このネジ、ピストンヘッドに直接ネジ止めされているのですが、強度問題無いんでしょうかね…?
動作させる度に結構強い力で引っ張られるハズなんですが…。
ピストンヘッドの裏面(ピストンに衝突する面)は結構傷が付いていました。
SYSTEMA PTWもそうですが、ラックギアにぶつかってここがよく削れるんですよね…。
ここまで専用品まみれのMDR-Xですが、ピストン自体はスタンダード電動ガンと互換がありそうです。
ギアボックスについて
ギアボックスをバラしていきます。
まずメカボックス側面に付いているFCUを固定するネジを3本外してFCUを取り外します。
いつもは基板のレイアウトとかを軽く紹介するのですが、この基板はエポキシ樹脂っぽい物でガチガチに固められており、磁気センサーとコンデンサー以外何も分かりませんでした。
FCUを外したギアボックスはこんな感じ。
ギアボックスからモーターを取り外していきます。
MDR-Xのモーターはステンレスの板を折り曲げて作られているモーターホルダーで保持されています。
このモーターホルダーはスタンダード電動ガンでおなじみのモーターの上下位置調整機能が付いており、ここにも三角形のネジ頭のネジが使われています。
モーターはこんな感じで、非常に大きなモータースプリングが付いています。
シャフトの長さはショートサイズ、ピニオンギアはイモネジ固定のD型です。
11.1Vで19000RPMという超低回転の28TPAというモーターとなっています。
エアフローしかり名前しかり、CHIHAIのモーターっぽいですねぇ…。
ブラシ形状はレイダウン型、コミュテーターと接する面はコの字型になっているタイプです。
続いて、ギアボックスを開けていきます。
ギアボックスは2本のネジを外せば開く事が出来ます。
軸受はギアボックスに固定されていないようですね。
ギアのレイアウトはほぼ横並びというこれまた独特な配置になっています。
この黒いパーツが逆転防止ラッチです。
開封レビューでも紹介しましたが、この逆転防止ラッチ必要なんですかね…?
カットオフが完全に制御されている印象を受けたのでオーバーランしてピストン後退状態で停止する事は無いと思うのですが…。
軸受は全てボールベアリングで、NSKマイクロプレシジョン製のフランジ付き10mm軸受です。
電動ガンで明確にMADE IN JAPANの製品が採用されている製品は初めて見た気がしますし、10mmというサイズもとても珍しいですね。
カットオフレバーとスプリングはこんな感じ。
ギアはこんな感じ。
ギア比は一般的な18:1ですがセクターギアのカットオフカムやタペットカムが付いておらず、カットオフ検知用の磁石が埋め込まれているという独特な形状のギアが採用されています。
尚、ベベルギアに付いている逆転防止ラッチの歯の枚数は6枚でした。
ギアの寸法自体は普通の電動ガン用と同じっぽいので、セクターギアに磁石を埋め込む事で他のギアも使えるようになると思います。
ARESのEFCS搭載メカボックスと同様に磁石の位置を調整してプリコックさせたりも出来そうですね。
残りの外装パーツを外していきます
最後に残りの外装パーツを外していきます。
メインディッシュである内部の分解は終わりましたし、外装パーツに関しては特に弄る余地が無いので別に分解する必要は無いんですがとりあえずやっておきます。
まず、当初外し方が分からなかったチークパッドは普通に爪を外す感じで引っ張れば外せました。
なので分解しなくても取り外す事は可能なようです。
続いて、コッキングハンドル周りを外しました。
この辺りは正しい分解方法がイマイチ分からないので、この手順が合ってるのかよく分からないです…。
コッキングハンドルを固定している2本のネジを外したら、シャフトを引っこ抜く事が出来ます。
続いて、レシーバー前側に付いているネジを外しつつ、チャンバー基部を外します。
この2つのパーツはお互いが引っかかっており同時に外す必要がありました。
最後に給弾ルートを外しました。
最後に外したパーツですが、別にこのパーツはどのタイミングでも外す事が出来ます。
続いてグリップを外しました。
グリップ内側に付いているネジを外せばグリップを取り外す事が出来ますが、基部の形状が特殊なのでAR15用グリップに交換できるとかそういう訳では無さそうです。
最後にトリガー周りもバラそうか悩んだのですが、弄れる箇所が無さそうな上にピンだらけで外分解が面倒くさそうだったのでここはバラさない事にしました。
一応調整できるとしたらセーフティの構造位でしょうか。
セレクターレバーのシャフトにイモネジが付いており、ここがバーに干渉する事でトリガーを引く事が出来なくなる仕様になっているので、ここを微調整する事でセーフティ状態の調整が可能です。
という訳で、Silverback Airsoft Desert Tech MDR-Xの分解レビューは以上になります。
ほぼ専用パーツなのであんまりカスタムできる余地が無いですが、調整したい箇所は色々出来ていているので気になっている箇所を弄りながら組み立てていこうと思います。
尚、SIlverbackは補修パーツの単品供給もしっかりしているメーカーなのでショップはもちろんAmazonでも手軽に購入する事が出来ます。
SRSやTAC41を弄ったり使っていた時もこれはかなり助かりました。