InfiRay製サーマルイメージャRH25 Pfalcon640+(Model PFN640+)を購入しました
記事作成日:2023年9月4日
InfiRay RH25 Pfalcon640+(Model PFN640+)というサーマルイメージャー(サーマルビジョン)を購入しました。
1年ほど前から「解像度の高いサーマルビジョンがほしいなぁ」と思っており、色々と調べていました。
そんな中で先々月に廃校ファスガンゲームに行った際にiRay RH25 Pfalcon640+を見せて頂き「これスゲェ!」と感動して購入を決意、お金を貯めて購入しました。
ちなみに新品のRH25だと国内最安(698,000円)だった南蛮堂で購入しています。
iRay Japanの公式通販だと948,000円もするんですよね…。(他の小売店でも安くてもだいたい80万円台)
尚、iRay RH25 Pfalcon640+の特徴をざっくり紹介するとクリップオンとヘッドマウント、手持ちでの使用に対応しているサーマルイメージャーで、センサーサイズは640×512/12umとTrijicon IR-PATROLやN-Vision Optics NOX18などのハイエンド製品とほぼ同じで高解像度なセンサーが搭載されています。
これにより1倍であっても対人認識距離が590m、対車認識距離が1000mとかなり先にある熱源を認識する事が出来る性能を持っています。
また、ディスプレイ解像度も0.39インチの1024x768pxディスプレイが搭載されており、リフレッシュレートも50Hzとかなり綺麗で滑らかな表示が可能となっています。
もっともデジタル製品ってカタログスペックだとよく分からないというか、たまに「本当にこの性能あるの?」と疑問に感じるレベルの物も多数存在するので現物を見て確認しないと安心出来ないんですがね…。
という訳で、iRay RH25 Pfalcon640+のレビューを行っていきます。
化粧箱は何の刻印も無いシンプルな黒箱で側面に製品名とPNコード、シリアルナンバーが記載されているシールが貼られているだけです。
箱を開けるとウレタンスポンジ入りのソフトケースと小箱が入っています。
ソフトケースには RH25 Pfalcon640+とオプションパーツが入っており、小箱にはヘルメットマウントが入っています。
付属品について
内容物はこんな感じでかなり色々付いてきます。
RH25 Pfalcon640+本体(バッテリー、アイキャップ付き)とショートサイズのアイキャップ、18700バッテリー用のキャップ、20mmレール用マウント、ヘッドマウント用レール、ヘッドマウント、USBケーブル、ACアダプター、充電器、USBorBNC端子ケーブル、クリーニングクロス、六角レンチといった感じ。
説明書などは付属していませんが、こちらから閲覧が可能です。
とりあえずRH25 Pfalcon640+本体以外の付属品を紹介していきます。
充電器は様々なリチウムイオン電池に対応している充電器で、入力は5V/2A、SYSMAX Innovations Co., Ltd.製の充電器です。
充電器に接続する為のUSBケーブルはUSB-A→micro USB、ACアダプターはiRayのロゴ入りの物ですがコンセントの端子が日本用では無いタイプなので使えません。
RH25に繋ぐケーブルはこんな感じで、片側はRH25に接続する為の端子になっており、もう片側はUSB-AとBNCに分岐しています。
USB-A側はPCに繋ぐ事で内蔵メモリにアクセスする事が出来るほかバッテリーの充電も行えます。
BNC側はテレビに繋ぐ事で映像の外部出力が出来る様になるようです。(試してはいません)
マウントはこんな感じで2種類の物が付属しています。
1つは20mmレールに取り付ける為の物、もう1つはヘルメットマウントです。
ヘルメットマウント用として専用のレールも付属します。
20mmレール用マウントはこんな感じ。
リコイルの衝撃を吸収するダンパーが付いている製品で、中にスプリングが仕込まれています。
ヘルメットマウントを使う為のレールプレートはこんな感じ。
このプレートをRH25に取り付けて、ヘルメットマウントにスライドさせて取り付ける感じです。
ヘルメットマウントはこんな感じでかなり独特な形状の物になります。
ヘルメットマウントは跳ね上げる事が出来る他、上下左右に動かす事が出来ます。
マウントの跳ね上げはボタン操作が必要な上に角度調整は出来ません。
ショートサイズのアイキャップはこんな感じ。
どうやらスコープなどと併用(クリップオン)して使う時に使ったり、ヘルメットマウントを使う時にこのアイキャップを取り付けるようです。
iRay RH25 Pfalcon640+の外観レビュー
という訳で、iRay RH25 Pfalcon640+本体を見ていきます。
単眼タイプの製品で筐体が全てアルミで出来ている事もあり、結構ずっしりしています。
尚、実際の重量は355gです。
対物レンズ側はこんな感じ。
接眼レンズとバッテリーケースの間にレンズが付いています。
何かしらのセンサーでしょうか…。
バッテリーは18650か18700のリチウムイオン電池を1本使用します。
本体に付いているキャップは18650用のキャップで、予め中に電池が入っていました。
付属の18650電池はSpiderFIre製の3.7V 2400mAhの物でした。
バッテリー残量がほとんど無かったのでとりあえず充電しておきました。
尚、電池の挿入方向はバッテリーケース内側にシールが貼られています。
対物レンズはこんな感じ。
真っ黒のゲルマニウムレンズが付いています。
尚、接眼レンズはピント調整機能も付いており、回す事で飛び出します。
横に逃したレンズキャップと電池キャップが邪魔してちょっと回しづらいです。
尚、フォーカス距離は1m〜無限となっており、かなり近い距離の物にもピントを合わせる事が出来る仕様となっています。
対物レンズ側の横の方には穴が空いています。
特にここに取り付けるようなアクセサリーは付属してこなかったのですが、脱落防止ストラップを付けたりする為の穴でしょうか。
底部はこんな感じでマウントとシリアルNO、工場出荷時のテストを経ている旨のシールが貼られています。
尚、マウント基部がACOG用のそれによく似ていたので、Trijicon ACOGの純正マウントベースを使って組み合わせようとしてみたのですが、ネジ穴の位置が合っていない上に角度も違っていたので取り付ける事はできそうにありませんでした。
ちょっと幅や角度が違っている程度ならまだしも、ここまで違っていると非互換と思って良いでしょう。
本体側面には外部出力用のケーブルを挿すコネクタが付いています。
コネクタにはラバーのカバーが付いています。
コネクタにケーブルを挿すとこんな感じ。
向きが決まっているので白い印を合わせて挿す感じです。
本体上部には3つのボタンが付いており、割りと強めに押し込む必要があります。
この3つのボタンだけで全ての操作を行う為、かなり複雑な使い方をする必要があり、操作に慣れるのにそれなりに時間を要します。
ボタン単押しだけではなく長押しや同時押しなどのパターンがある他、表示しているメニューの状態によってそれぞれのボタンの操作方法が変わります。
その為直感的な操作を行う事は不可能で、ボタンを押した時の動きを覚える必要があります。
例えば電源ボタンは電源ON/OFFだけではなくメニューのカーソル移動に使いますし電源ボタンとメニューボタンの同時押しでディスプレイの消灯を行います。
また、メニューボタンは特に複雑で、単押しでメニューの選択、長押しでメニューを1階層上に戻るという動きをします。
カメラボタンは単押しで写真撮影、長押しで動画録画、録画中に長押しで録画停止ですがメニュー表示時はカーソルの移動で使いますまた、カメラボタンとメニューボタンの同時押しでキャリブレーションを行います。
後述しますが、正直多機能な製品の割にはボタン数が非常に少ないのでUIの操作性は悪いです。
自分は操作感を掴むのに5分、10分位格闘していました…。
アイキャップはこんな感じで長い物が付いています。
単に接眼レンズのフチにハマってるだけなので、簡単に外す事が出来ます。
尚、短いアイキャップを取り付けるとこんな感じになります。
接眼レンズ側の外周は視度調整ノブになっており、回して調整を行います。
接眼レンズは青色のコーティングが施されています。
レンズのサイズは結構小さく、18mm程度しかありません。
ヘルメットマウント装着時について
ヘルメットマウントにRH25を取り付けるには冒頭で紹介した専用のレールを付属のネジで固定します。
これをヘルメットマウントにスライドさせ、ネジを締め込んで固定します。
ネジでレールを圧迫して固定しているだけなので、正直かなり頼りない気がします。
振動で緩む可能性は全然ありますし、ちょっとでも緩めば脱落してしまうので脱落防止ワイヤーの取り付けは必須のような気がします。
ヘルメットに取り付けるとこんな感じ。
一般的なNVGシュラウドに取り付ける事が可能で、自分が持っているTEAM WENDY EXFIL LTPに付いているWilcox製のシュラウドにはガタツキ無く固定する事が出来ました。
もっとも、サーマルビジョンを使って歩くのは現実的では無いと思いますがね…。
暗闇を歩くのならナイトビジョンが最適でしょう。(もっと良いのはヘッドライトですが)
20mmレールマウントについて
20mmレールにRH25を取り付ける為のマウントもRH25下部にネジ止めして固定します。
RH25は単体でのレティクル表示が出来ますし、スコープと併用して使うクリップオンサーマルとして使用する事も出来ますが、マウントの高さを変える事は出来ないのでこの高さに合わせてマウントリングを選ぶ必要が出てきます。
手持ちのショートスコープに付いているマウントリングだとちょうどよい高さの物が無く、ダメそうでした。
自分が持っているマウントリングは1.4インチの高さの物が多いのですがそれだと低すぎて、高いマウントリングだと1.93インチの物しか無く、それだと若干高すぎました。
1.93インチの方ならギリギリ使える高さではありますが…。
ちなみに、一番高さがドンピシャだったのはPrimary Arms SLx1用の0.31インチライザープレートを取り付けたTrijicon ACOG TA44でした。
TA44自体が1.4インチ、ライザーが0.31インチなので1.71インチ位の高さがドンピシャって事ですね。
覗いた時の見え方について
RH25を覗いた時の見え方について紹介していきます。
まず、電源ボタンを長押した数秒後に製品のロゴが表示されます。
尚、ボタンをずっと押し続けてしまうと起動せず、電源ボタンを長押しした後離す事が重要です。
ロゴが表示されている間に本体から「カチャカチャ」という音が何度か鳴りますが、これはオートキャリブレーションの音です。
それが終わったら画面にこのようなUIが表示された状態でサーマルの映像が表示されます。
また、しばらく何も操作していないとこのUIは消えます。
尚、設定でUIを出しっぱなしにする事も出来ます。
とりあえず部屋にある熱源で分かりやすそうな物がエアコンだったのでエアコンを見てみました。
デフォルト設定がホワイトホット表示(暑い所が白、冷たい所が黒で表示される)だったので、そのままで覗いています。
このように本来見る事が出来ない温度差を見る事が出来る製品がサーマルイメージャーです。(その名の通りですが)
以後はRH25の撮影機能を使ってどのような見え方をするか紹介していきます。
尚、全てホワイトホットで撮影しています。
屋外で撮るとこんな感じ。
流石に高解像度なセンサーはすごいですね、ほぼ白黒写真みたいな感じで映ります。
草木に囲まれている公園の通路はこんな感じ。
葉っぱもしっかり認識出来ます。
月も雲も綺麗に映ります。
そういえばPCを撮るとどんな感じなんだろうと思って撮ってみました。
尚、PCを起動した直後に撮影しているのであんまり熱くはない状態です。
RH25で撮影した1枚目はサイドパネルを付けた状態、2枚目がサイドパネルを外した状態です。
やっぱりサーマルビジョンを使う上で熱を透過するかしないか、そして熱の反射に関しては、かなり気をつけないといけないですね。
UIと設定項目について
続いて、UIと設定項目について紹介します。
RH25はかなり多機能な製品なのでメニューの項目数がかなり多い上にアイコンでしか表されていないのでパッと見で分かりづらいです。
覚えないといけないですね。
ダイレクトエイム/クリップONモード
ディスプレイ全体に写っている状態がダイレクトエイムという手持ちで使ったり単体でマウントして使う時に使用するモードで、クリップオンモードはスコープと併用して使う時のモードになります。
モードを切り替えるとこのように表示サイズが変更されます。
デジタルズーム
RH25は1倍〜4倍の倍率切り替え機能が付いていますが、全て工学ズームではなくデジタルズームですし、1倍、2倍、4倍の3段階からしか選べません。
尚、倍率の変更はこのメニュー上から行える他、倍率切り替えメニューを選んだ状態でメニューを閉じると電源ボタンでズームイン、カメラボタンでズームアウトが出来るようになります。
イメージポラリティ設定(色の設定)
RH25にはいくつかの色表示モードがあり、デフォルトはホワイトホット(温かい所が白色)ですが、ブラックホット(温かい所が黒色)になるモードやレッドホット(基本はホワイトホットで特に温かい所が赤色になる)やカラー(温かい所が暖色、冷たい所が寒色)の4種類があります。
サーマルイメージャー側の輝度・コントラスト設定とディスプレイの輝度設定
サーマルイメージャー側の輝度とコントラスト設定、ディスプレイの輝度設定が行なえます。
全て0〜9の10段階で調整が可能です。
サーマルイメージャーの輝度設定はカメラで言うと露出補正に近い気がします。
コントラスト設定はその名の通りですねで、
ディスプレイの輝度設定は単純にディスプレイの明るさを調整します。
眩しい時はこれを調整すれば良いと思います。
ファイル管理
RH25には標準で撮影・録画機能が付いており、撮影・録画したデータは本体内ストレージに保存されます。
設定メニューからこのストレージに保存してある写真や動画を閲覧・削除する事が出来ます。
レティクル表示機能
RH25は単体で照準器として使えるようにレティクルを表示させる機能があります。
レティクルの形状はデジタル光学機器ならではで様々な種類が存在し、設定項目も多く1階層深くなっていますし後述するゼロイン調整の事も含めると最大で4階層に及びます。
レティクルの形状選択と透明度、色設定
レティクル形状ははシンプルな小さな十字がデフォルトですが、そもそもレティクルを表示させるには透明度の設定を先に行う必要があります。
単にレティクルの形状を選んだだけだとレティクルが映らないんですよね。
なので、まずはレティクルの透明度を0から6に上げてから調整した方が良いです。
レティクル形状は全部で7種類あります。
小さな十字以外のレティクル形状はこんな感じ。
色かぶりの所の色が反転するような機能は無さそうなので、ホワイトホットで温かい所と白いレティクルが被ると見えなくなります。
また、レティクルの色も変更する事が可能で、白、緑、赤、黒の4色から選ぶ事が出来ます。
状況にもよりますが緑色が一番色の被りが無くて見やすい気がします。
結構目につく色なので半透明にしても良いかも知れないですね。
レッドホットやカラーモード以外であれば赤色でも良いかも知れません。
校正距離設定
銃ごとの校正距離設定を保存したり呼び出したりする機能も付いており、A、B、Cと3つの設定を保存する事が出来ます。
まあ、レティクル周りの設定の保存機能と思って良いと思います。
ゼロイン設定
ウエポンサイトとして使う事も出来るのでデバイス単体でのゼロイン設定も可能です。
ゼロイン距離は100m、200m、300mの3種類から選ぶ事が可能で、着弾点を何センチ動かすかという操作を行います。
正直、この機能を使ってゼロイン調整やりたくない位には操作が面倒くさいです…。
その他設定メニュー
最後に設定メニューについての話しです。
設定メニューはそれ単体でメニューの階層が1階層下がります。
基本的にON/OFFの設定しか無くシンプルな設定です。
WiFi設定やビデオ出力、キャリブレーション(オートかマニュアルか)、GPS設定、内蔵ストレージフォーマット、ファクトリーリセット、ステータスバーの表示/非表示設定、バージョン情報確認などのメニューがあります。
電源OFFについて
最後に電源を切る操作について説明します。
電源を切るには電源ボタンを長押しするのですが、これが行えるのはメニューが表示されていない状態のみです。
なので、メニューが表示されている状態でいくら電源ボタンを長押ししても電源は消えません。
そして、電源OFFに出来る状態で電源ボタンを長押しするとこのようなメニューが表示され、チェックマークが選択されている状態でメニューボタンを押す事で電源OFFになります。
撮影・録画機能とデータの取り出し方について
先程から出てきていますが、RH25には撮影機能と録画機能が付いています。
撮影ボタンを単押しすると写真が撮れ、長押しすると録画が始まります。
ステータスは画面左端にアイコンが表示されるので、それで確認する事が出来ます。
本体内部に保存された画像や動画を抜き出すには付属のケーブルを使ってPCにUSB接続するだけです。
そうすると外部ストレージ(リムーバブルディスク)として認識され、フォルダの中身を確認する事が出来ます。
専用ソフトとかそういうのは不要なので、癖もなく簡単ですね。
尚、容量を見ると全体で61.8GBもあるのでかなり大容量な内蔵ストレージが付いている事が分かります。
サイズ感について
RH25のサイズはPVS14のような単眼ナイトビジョンとほぼ同じです。
ただ、接眼レンズはだいぶ小さいです。
対物レンズ側も小さいですが接眼レンズは更に小さいですね。
という訳で、InfiRay製サーマルイメージャRH25 Pfalcon640+(Model PFN640+)のレビュー記事(ファーストインプレッション)は以上になります。
これから使う機会も増えてくると思いますし、気軽に撮影・録画が行える製品でもあるので色々試していけたらと思っています。
昔やった事があるので自分の中では結論が出ているのですが、脳内フュージョン(片目に単眼ナイトビジョン、もう片目をサーマルビジョンにして頭の中で映像を合成、クリップオンサーマルのAN/PAS-29 COTIみたいな事を再現する事)をやったり、実際にクリップオンモードを使ってみた使用感のレポート、サーマルビジョンに映る物を過信し過ぎると困るという事を伝えられたらと思っています。
いかんせん高い買い物なので色々調べたり、いろんな人から話しを聞いたり、現物見せてもらったりしていたので、その時に得た知識を元に記事を書いていこうと思っています。
PVS14を買った時もそうですが、やっぱり高い買い物をした分はしっかり遊ばないと…。
追記
2階建てマウントを作っている時に気づいた事なのですが、どうやらRH25 Pfalcon640+の対物レンズはマウントに大してセンターが出ておらず、接眼レンズのセンターともズレている事が分かりました。
接眼レンズはマウントに大してセンターが出ているのですが、対物レンズは右側に2mmほどズレて配置されています。
これによる影響は今のところ起きていない気がしますが、排莢と干渉しないようにする為の昔のスコープと同じで数百メートルレベルの長距離かつ広範囲の距離に大して同じゼロイン設定での射撃を行う場合、何かしらの影響が出てきそうな印象があります。