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InfiRay RH25 Pfalcon640+を屋外で覗いてみた感想

記事作成日:2023年9月12日

先日購入して開封レビュー記事を書いたInfiRay製サーマルイメージャRH25 Pfalcon640+(Model PFN640+)を修善寺 虹の郷 広域ファスガン夜戦で覗いてみたので記事にします。

チームごとのMTG中の様子

RH25 Pfalcon640+に関する話しだけではなく、サーマルイメージャー共通の仕様と見え方についても触れながらまとめてみました。

InfiRay RH25 Pfalcon640+

尚、ファスガンのレギュレーション上サーマルイメージャーの使用は禁止(パワーバランス調整の為)されていますが、自分は撮影カメラマンとして入っていたので、撮影に使用していました。

また、記事中の写真は全てRH25 Pfalcon640+の撮影機能を用いて撮っている物をそのまま使っています。
その為、撮影用に準備して撮っている訳ではなく、ファスガンのゲーム中に撮影した物なので静止画でも多少の手ブレが存在しますので、ご了承ください。

拡大機能について

RH25 Pfalcon640+には2倍、4倍のデジタルズームが付いています。
このズーム機能は倍率を選択してその倍率に拡大する仕様上、細かな倍率を指定する事は出来ません。

倍率切り替えのUI。
ボタンを押すたびに1倍、2倍、4倍が切り替わる。

50m程先でしゃがんでいる人を撮影してみました。

撮影地点から被写体までの距離は約50m
1倍だとこれくらいのサイズで見えます

拡大機能を使って2倍、4倍にするとこんな感じ。
2倍くらいまではまあまあ拡大されてるな?という感じはするのですが4倍になると単純に解像度が下がるだけで正直微妙です。

倍率切り替え自体、

  1. メニューボタンを押してメニューを開く
  2. 電源ボタンを3回押し、カーソルを3つ動かしてメニューボタンを押して倍率切り替えメニューに入る
  3. 電源ボタンを押す度に倍率が切り替わるので、任意の倍率に設定
  4. メニューボタンを長押しして倍率切り替えメニューを閉じる
  5. メニューボタンを長押ししてメニュー表示を閉じる

という5段階にも及ぶ操作が必要になるので瞬時に切り替えて使うような事はまず出来ません。
メニューが出っぱなしで邪魔なのを無視する場合でも3段階の操作が必要になり、例えば1倍から2倍に切り替えるだけでも5秒ほど掛かります。

操作性の悪さとデジタルズームという仕様上、遠くの物が綺麗に見える訳では無いという仕様から、あえて使う必要は無い機能だと感じました。

被写界深度とフォーカス距離について

基本的に撮影中は20m程度の距離に合わせてフォーカス調整を行っていたのですが、この調整であれば割りと近くも遠くもしっかり視認出来たので便利でした。

尚、RH25 Pfalcon640+のフォーカスは対物レンズを回して調整します。
サーマルイメージャーのフォーカスは固定の製品が多い中、可変フォーカスが付いているだけマシですね。

こちらは10m近い距離にいる人と、140m先にいる人を同時に写した様子です。
手前の2人は少しぼやけていますが、奥に居る5人の人も視認する事が出来ています。

被写界深度に関しては固定だと思いますが、絞りをつける事で被写界深度を深くする事が出来るという情報もあります。(これに関しては未検証)

尚、設定したフォーカスでドンピシャな距離で撮影すると、それなりに距離が離れていてもこれくらいクッキリ映ります。

近くの被写体にピントを合わせて撮影するとこんな感じ。
共に5m以下の距離で撮影しています。

装備だけではなく服のシワまでクッキリ映る
振っている手がぼやけているのはシャッタースピードの問題

縦方向に並んでいる複数人を撮影するとこんな感じ。
手前の人はクッキリ写っていますが、奥の人がぼやけている事が分かります。

基本的には使用する際の距離を事前に想定しておきフォーカス調整を行うのが良いでしょう。

長距離の人を見た時の様子

100m程先の2階に居る人(頭だけを出している)を映すとこんな感じ。
静止画だと人かどうかの視認は出来ませんが、これがフラフラ動いていたり、たまに引っ込んだりするので間違いなく人の顔である事が分かります。

続いて、140m程先の丘に居る2人を撮影した様子です。
下半身は草木で隠れているので見えませんが、顔、胴体、腕などが認識出来る他、銃を構えていたら銃を構えているという事を認識する事が出来ます。

ほぼ同じ距離ですが、今度は全身が見えている状態になります。
これは丘の上から谷の方にある人を覗いています。
全身写っていればプレキャリやチェストリグの有無、ヘルメットを被っているか、リュックを背負っているかなど、装備の具合すら認識可能です。

もっともRH25 Pfalcon640+のカタログスペック上の対人認識距離が590mもあるのでこれくらいの距離の人がしっかり視認出来るというのは当たり前でしょうけど…。

隠れている人の認識について

サーマルイメージャーの索敵能力のすごい所は温度差を映像化するという仕様上、温度差の異なる物に隠れていると分かるという事です。

例えば、草木に隠れている場合は草木の隙間があれば見えます。
ナイトビジョンでは2色表示という都合上、草木の色味に同化して認識し辛い状況でもしっかり認識する事が出来ます。

例えばこの写真、右側に1人立ってる人が見えると思いますが、左側にも白い熱源がある事が分かります。
これが木に隠れている人です。
静止画だと人として認識出来ませんが、熱源がモゾモゾ動くので人である事が分かります。

こうやって索敵をする事で「あの木の裏に敵が居る」と情報共有を行う事が出来ます。

50m位離れた所を移動する4人を撮影した様子です。
茂みによって体の半分以上が隠れていますが、草木と人間では熱量が異なるので、クッキリ見えますね。

茂みで伏せて隠れている人を後ろから撮影した様子です。
体が少しでも出ていたらこういう風に見えます。

また、草木の隙間が透過するわけですからスノコのような隙間の開いている物の奥にある熱源もしっかり視認出来ます。

熱源の残りと反射について

サーマルイメージャーを使う上で気をつけないといけないのは熱ある程度の時間残り、反射するという事です。

まず伏せている人が起き上がると伏せていた所が温まっているので熱(左側)が見えます。
全体を写せていないのでテキストでの表示になりますが、遠くから見ると残った熱源がパッと見伏せている人に見えます。

左側に熱が残っている

また、鉄板や窓ガラスはかなり熱を反射します。
例えば、人の後ろに窓ガラスがあると、後ろの窓ガラスに映り込みます。

こういう風に明らかに手前の熱願が見えている状態だったら反射かどうかの把握が容易なのですが、死角に居る人の熱願が映り込むと熱源なのか反射なのかを判断する必要が出てきます。

こんな感じで中央に人の右脇にももう1人写って見えますが、この脇に映っている1人はガラスの反射で映った人です。
更に右側の街灯の下にも人らしい熱源が見えるのですが、これも反対側の建物に隠れている人が反射して写っている 人です。

反射する熱源を撃っても何の意味も無いので、よく反射する物が多い場所で使う場合は熱源なのか反射なのかを判断する事も必要になってきます。

より高温な熱源があった場合の人見え方について

サーマルイメージャーは画面内に写っている熱の温度差を元に色付けをして表示するという製品の都合上、体温よりも高い温度の物が置いてあるとそこが強調表示されます。

例えば人だけを写していると人の顔や手が一番暑いので、ホワイトホットの設定だと白色に表示されるのですが、視界内にそれよりも高温な物(温食を加熱している袋)が入り込むとさっきまで白色で表示されていた顔や手がグレーになり、高温な物が白色で表示されます。

人肌が一番高温なので、白色で表示されている
高温な物が映り込むと見た目が変わる

人よりも熱い物として挙げられるのは、日光で温められた鉄や稼働中の発電機、照明などでしょうか。
あくまで熱を可視化するデバイスなので、それが人なのか物なのかは覗いている人自身が判断する必要があります。

ナイトビジョンで見える物とサーマルイメージャーで見える物の差

ナイトビジョンとサーマルイメージャーはかなり用途が異なります。
正直ナイトビジョンもサーマルイメージャーも、両方とも持っていた方が行動力と索敵力が上がります。

InfiRay RH25 Pfalcon640+(サーマルイメージャー)とPVS14(ナイトビジョン)

例えば、このような逆光の状況(光源の方を見ている状況)でないとビジョンを見ると背景が明るすぎて人を視認し辛いです。
一方、サーマルイメージャーであればひかりの影響を受けないので、人数の確認まで行えます。

ナイトビジョンだと建物や街灯の照明によってとても眩しい
 サーマルイメージャーだと人がしっかり映る

尚、ナイトビジョンとサーマルイメージャーで表示範囲が異なっているのはFOVの差です。
今回撮影に使ったナイトビジョンはPVS14の純正レンズでFOVは40°、RH25 Pfalcon640+のFOVが横17.5°、縦14°なのでRH25 Pfalcon640+の方が見える範囲が狭いのが理由です。

また、ナイトビジョンでも暗すぎて見づらいような状況でもサーマルイメージャーは明るさの影響を受けないので、しっかり視認出来ます。

こう見るとナイトビジョンよりサーマルイメージャーの方が良いのでは?と思うかも知れませんが、サーマルイメージャーはあくまで熱源を見ているだけなので、「そこが道なのか」という事や「障害物があるか」が認識し辛いです。
RH25 Pfalcon640+はセンサーの解像度が高い事もあり、材質の違いや段差の区別はある程度出来ますが、奥行きがほとんど分からないので、歩くのには適さないです。
また、視野角が狭いので物体との距離感が掴みづらく、そういう点でも歩くのには適していないという感じでした。

ナイトビジョンを付けていれば余裕で歩ける上に走る事も全然出来るような状況でも、サーマルイメージャーを覗きながらだと一歩一歩確認しながら歩く事になります。

実際に有視界距離が2mも無いような状態でサーマルイメージャーだけを使って合計1キロ程歩いてみましたが、道を踏み外したり階段を降りる時に踏み外したり、飛び出している木にぶつかったりと結構危なかったです。

それと、これは当たり前の事でナイトビジョンも同じですがサーマルイメージャーの画面が明るいので覗くと暗順応が消え去ります。
ナイトビジョンはアンバーフィルターのような暗順応の低下を抑えるレンズフィルターを取り付けてマシにする事は出来ますが、サーマルイメージャーに関してはディスプレイの輝度を下げるしか方法が無く、輝度を下げると単純に見えにくくなります。

そういう点から夜戦においては行動するのに使うのはナイトビジョン、索敵用にサーマルイメージャーといった使い分けが良いですね。

ちなみに、ナイトビジョンと違ってサーマルイメージャーは昼でも使えるので、これはメリットになると思います。
結局、熱を見てるだけなので昼も夜も同じ見え方になります。


という訳で、InfiRay RH25 Pfalcon640+を屋外で覗いてみた感想は以上になります。

他にも色々とネタを撮ってきたので、後日記事にしようと思っています。

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