アップデートされたL-SHINE LS650 PLUSデジタルナイトビジョン(2.5世代相当)のレビュー
記事作成日:2024年2月22日
つぼみトレードカンパニー様からのご依頼で、L-SHINE製のデジタルナイトビジョン、LS650 PLUSをレビューしていきます。
こちらの製品は以前レビューしたL-SHINE LS650の上位モデルとなる製品で、主な変更点は下記の通り。
- UIが改良
- IRイルミネーターの輝度調整が3段階から6段階に
- 動画の録画サイズがHD(1280x720px 30FPS)フルHD(1920x1080px 30FPS)に
- 静止画の画像解像度が2592x1944pxから6560x4920pxに
- 最大の撮影可能距離が91.44mから350mに
- 使用可能なSDカードの最大容量が32GBから128GBに
- WiFiによるアプリ連携対応
- IPX4の防水対応
外観自体は変わっていません。
尚、当製品は技適の有無について確認する事が出来ず、今現在技適を通っていない可能性がある為、WiFiの使用に関しては当記事では紹介しません。(アメリカ・EU圏のFCC、CEマークは取得している)
※WiFiは機能を有効にしない限り、電波の発信はありません。
付属品の紹介
内容物はこんな感じで、LS650 PLUS本体とソフトケース、ビデオケーブル、USBケーブル、取扱説明書(日本語/英語)になります。
説明書は製品の操作方法と設定方法などが日本語と写真付きで解説されています。
ケーブル類はこんな感じで、コンポジット端子が付いているケーブルと、USBケーブルが付いています。
コンポジット端子を対応機器に繋ぐ事で、外部モニターに出力したりレコーダーに録画したり出来ますね。
また、USBケーブルはPCにつなぐ事でUSBカメラとして認識させる事が出来ます。
ソフトケースはこんな感じで、L-SHINEのロゴが付いている物で、小物を入れる事が出来る小さなポケットが付いています。
予備の電池やSDカードなどを入れておくと良いでしょう。
尚、LS650 PLUS本体を入れる所には乾燥剤も付いています。
LS650 PLUS本体の外観レビュー
L-SHINE LS650 PLUS本体はこんな感じの製品で、単眼鏡タイプのデジタルナイトビジョンになります。
ハンディカムのような感じで使えるようにハンドストラップも付いています。
全体的にラバーコーティングが施されており、グリップ力は高めです。
非常に大きなサイズの製品で、重量も765gもあるので手持ちするか三脚などに取り付ける前提の製品と思われます。
PVS14タイプの単眼ナイトビジョン2個分の長さがあります。
レンズも巨大ですね。
尚、本体に付いているハンドストラップは取り外す事が出来ます。
当記事ではストラップを外した状態で撮影しています。
対物レンズのレンズカバーには同社のロゴが入っており、中央にはピンホールが空いています。
明るい所でIRモードの撮影する際はこのカバーを付けた状態にすると良いでしょう。
キャップを外すと大きな対物レンズが確認出来ます。
レンズは薄い青色のコーティングが施されています。
対物レンズ側を回す事でフォーカスを調節する事が出来ます。
対物レンズの横にはIRイルミネーターが付いています。
非常に大型なイルミネーターで、波長は850nm。後述しますが輝度もかなり高いです。
本体側面には20mmレールが付いています。
IRイルミネーターを追加したり、20mmレール同士を連結させるアダプターを取り付ける事でガンマウントさせる事も出来そうです。
反対側はグリップした際に指を引っ掛ける凹凸が付いています。
本体底部には三脚に取り付ける為の1/4インチネジ穴が空いており、各種ケーブルを取り付けるコネクタ、SDカードスロット、撮影モード(静止画/動画)の切り替えスイッチが付いています。
本体上部にはスイッチが付いています。
上から順に、電源ボタン、倍率変更ボタン、IRイルミネーター・画面輝度の変更ボタン、録画ボタンです。
全てのボタンは少し深めに押す必要があり、カチカチとしたクリック感があります。
接眼レンズ側はこんな感じでアイカップが付いています。
こちらは回す事で視度調節が出来ます。
尚、アイレリーフはかなり短くアイカップにピッタリ目をくっつけた状態じゃないと正しく見る事が出来ません。
眼鏡をかけた状態でも一応覗けますが、眼鏡の形状によってはかなり覗きにくくなると思います。
接眼レンズの脇には同社のロゴが入っている蓋が付いており、ここが電池収納スペースになっています。
電池はアルカリ単三電池を4本使用します。
電源を入れるとNo Card!と表示され、消えませんでした。
撮影する予定が無い場合でもSDカードは入れておいた方が良さそうです。
今回は16GBのmicro SDカードを入れました。
画面表示について
続いて、画面表示について紹介します。
LS650 PLUSには1.5インチのTFTディスプレイが付いています。(ディスプレイの解像度は不明)
電源を入れると最初L-SHINEのロゴが表示され、1秒程度で起動します。
画面左上の00062/26851というのが撮影可能枚数で、右上は省電力モードの表示とバッテリー残量が表示されています。
画面下側には現在の日付、左下にデジタルズームの倍率、中央下部にIRレベル/カラーモード、右下は画面の輝度が表示されています。
尚、バッテリー残量はざっくりした感じの表示になり、残量が限界まで下がると赤色で表示されます。
倍率やIRレベル、画面輝度は数値で表示されているので分かりやすいです。
設定について
画面の輝度調整ボタンを長押しする事で設定メニューを表示させる事が出来ます。
ここでは、
- 写真解像度
- 録画解像度
- 日付設定
- タイムラプス設定
- USB接続設定
- 言語設定
- 連写設定
- 緯度経度設定
- WiFi設定
- 省電力モード設定
- SDカードのフォーマット
- バージョン情報の確認
が行なえます。
尚、ソフトウェアバージョンは「LSH650BEN210720A」でした。
画像解像度と録画解像度はそれぞれこんな感じ。
尚、静止画であれば最大で6560x4920pxで保存する事も出来ますが、引き伸ばされたような画像になっているだけで別に綺麗に撮影出来る訳ではありませんでした。
2592x1944pxで問題無いと思います。
尚、言語設定は英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、 ポーランド語、日本語に対応しています。
日本語を選択しても全てのUIが日本語表示になる訳では無く、一部の文字が何故かチェコ語になります。
撮影した様子
という訳で、撮影してみました。
撮影すると左下にL-SHINEのロゴと撮影日時、設定した緯度経度が表示されます(特に設定していないので、デフォルトの日付のままです)
屋内での撮影(カラーモード/IRモード)
こちらはカラーモードでの撮影。
4m位の距離から撮影していますが、6倍率もあるのでかなり大きく表示されます。
色は浅めでコントラストもそんなに高くは無いです。
デジタルズームは単純にこの像を引き伸ばしただけなので、汚くなります。
電気を付けた屋内ですがIRモードでも撮影してみました。
IR0(無灯火)とIR1の状態でそれぞれこんな感じになります。
屋外での撮影(IRモードのみ)
先日、ファスガンゲームに参加した時にも撮影してきました。
街頭や建物の明かりが点っている状態の屋外で撮影するとこんな感じ。(左がスマホの写真、右がLS650 PLUS IR0の状態で撮影した物)
以前レビューしたLS650だと暗い所ではノイズが出ていたものが、LS650 PLUSではノイズが無く単純に暗い所は暗くなっている感じでした。
ノイズによるチラツキが無いので、疲れにくくはなっていますが、暗いですね…。
IRイルミネーターについて
続いて、真っ暗な所での撮影を紹介していくのですが、その前にIRイルミネーターの輝度について紹介します。
LS650 PLUSのIRイルミネーターは非常に明るく、肉眼でも光源を目視する事が可能で赤く光っています。
スマホのカメラにはピンク色に光って見えます。
この時点でIRイルミネーターの爆光さ加減が分かると思いますが、本当にすごい明るさで恐らく直視するとナイトビジョンに影響を及ぼす可能性があるので、夜戦の様子を撮影する事が出来ませんでした。
IRイルミネーターを点灯させたLS650 PLUSを横から撮影するとこんな感じで、IRイルミネーター部が真っ白になっています。
真っ暗闇をIRイルミネーターを点灯させて撮影
という訳で、ここから奥の暗闇を撮影してみます。
スマホだと手前の明るい所はしっかり映っていますが、遠くの暗闇は全く見えません。
LS650 PLUSだとこんな感じで、本当に真っ暗な所だとカラーモードやIR0の状態では何も映りません。
また、6倍率という倍率が付いている為、手前の明るい所は画角に入っていません。
LS650 PLUSのIRイルミネーターを点灯させるとこんな感じで、線路や信号機、柵などが確認出来るようになります。
中央に映っている信号機までの距離は約70mです。
左上から順に、IR1、IR2、IR3、IR4、IR5、IR6となっています。(IR1〜IR6に付いているリンクはオリジナルの画像)
尚、デジタルではなく光電子増倍管を用いる第2.5世代のナイトビジョン(中華WP管 FOM1600)と第3世代(OMNI7)のナイトビジョンだとそれぞれこんな感じで見えます。(共にIRイルミネーター無し)
1倍と6倍なので見え方が全然違っていますが、2.5世代ではノイズで潰れてしまって遠くの信号機が視認出来ませんが、第3世代では遠くの信号機も視認出来ます。
LS650のIRイルミネーターを点灯させるとこれくらい明るくなります。
尚、イルミネーターが明るくなりすぎて増倍管のオートゲートが動作し、イルミネーターで照らされている所以外の所が少し暗くなっています。
倍率変更について
倍率を上げるとこんな感じ。
画像にも入れていますが、左上から順に1倍、2倍、3倍、4倍、5倍です。
手ぶれ補正的が無く、手持ちだとかなり扱いづらい為、基本的に1倍でのみ使った方が良い気がします。
画質も低下するので、倍率を上げるにしてもせいぜい2倍が良い気がします。
130m程度遠くの暗い所を撮影
続いて、遠くの物も覗いてみました。
被写体は約130m先の丸っこくモサモサした木で、肉眼だと何も見えませんが2.5世代と3世代のナイトビジョンだとこんな感じで見えます。
赤矢印の部分をLS650 PLUSで見ていきます。
IRイルミネーター無し(IR0)、IR1、IR6でそれぞれこんな感じになりました。
IR0では何も映らず、IR1でギリギリシルエットが認識出来るかな?程度の明るさになり、IR6だともうちょっとハッキリ見えるようになります。
それでも結構暗いですが…。
尚、IR6の状態だとこれくらい明るく照らされていました。
この距離で見ると分かりやすいですが、LEPみたいな感じの指向性のある光のようです。
280m程度遠くの暗い所を撮影
更に遠くの280m先の建物を見た時の様子も紹介します。
2.5世代、3世代共に建物の近くの明かり、建物の輪郭、建物の前に生えている木などが確認出来ますが、LS650では建物近くの明かりだけが見えて空と地上の境目も潰れてしまって真っ暗です。
尚、IRイルミネーターはIR6の状態にしている為、手前の草木が光って見えます。
この距離の物を見るのはかなり厳しそうですね。
動画での撮影
最後に、ファスガンの参加者を動画で撮影してみました。
このような感じで、建物の前でルール説明とデバイスの設定を行っている状態になります。
これくらい明るい所であればIR0の状態でも撮影する事が出来たので、動画はこれだけです。
ゲーム中の様子はIRイルミネーターを点灯させないと暗くて撮影出来なかったです。
また、常に「キーン」という音が入っているのはマイクの仕様でしょうね。(呼吸音がめちゃくちゃ入ってるのはご了承ください)
電池の持ち具合について
最後に電池の持ち具合についても紹介します。
LS650 PLUSは4本の単3アルカリ乾電池を4本も使いますが、デジタルビデオカメラという製品故、バッテリーライフはかなり短いです。(乾電池式のデジカメを思い出します)
更に、IRイルミネーターの使用もバッテリーライフに大きな影響を及ぼします。
この日は非常に寒かった(気温3度程度)という事もあり、かなり速い速度でバッテリーが無くなりました。
電源を投入していた合計時間でいうと15分程度で、イルミネーターの点灯に写真、動画の撮影を行っていましたが、これだけの使用時間でバッテリー切れになりました。
長時間使うつもりなら、予備電池は大量に持ち歩いた方が良さそうです。
撮影した画像について
LS650からSDカードを取り外し、PCに繋ぐとこんな感じで撮影した画像や動画を確認する事が出来ます。
ファイル名は連番になっており、画像と動画は混ざって1つのディレクトリに入っており、ファイル形式は画像がJPEG、動画はMOVです。
動画は撮影時間によって代わりますが、写真はだいたい1枚1.4MB程度でした。
LS650の用途について
色々と検証してみて具体的にどういったシチュエーションで使えるのか?について、個人的な意見を述べると基本的には『夜行性動物の観察』になると思います。
後はナイトビジョンを所有していない人のみが参加するナイトゲームでの使用とかも出来ると思いますが、6倍率という倍率を考えると相当に広大なフィールドじゃないと有効では無いでしょう。
IRイルミネーターが爆光かつIRイルミネーターが無いと暗い所を見る事がほとんど出来ないので、ナイトビジョンを持っている人が居ると使いづらいです。
爆光イルミネーターによって位置バレするのはもちろん、増倍管にダメージを与える可能性があります。
一方、夜行性の動物を見るなら、6倍という非常に高い倍率を活かして被写体に接近しなくても見る事が出来るので、警戒されて逃げられたりしなくて済むでしょう。
試した限り、100mくらいの距離であればIRイルミネーターを点灯させれば良い感じに観察する事が出来そうだったので、それくらいの距離から動物を見るのが良い気がします。
また、タイムラプス撮影や録画機能がある為、三脚に取り付けた状態で定点カメラとして撮影する事も出来ます。
もっとも、動物によっては人間にとっては不可視光である波長の光を捉える事が出来る種類も居るので、もしかしたら動物からは光が見えているのかも知れませんが…。
という訳で、L-SHINE LS650 PLUS デジタルナイトビジョンのレビューは以上になります。
この手の製品は昔から存在しますが全体的に結構用途が限られてしまうので、基本的に注意が必要になりそうです。