エボログ

VFC FN FNC GBBR(JP Version)の分解レビュー(パーツの消耗具合もチェック)

記事作成日:2024年5月20日

先日レビューを行ったVFC製ガスブローバックライフル、FN FNCのJP Versionを分解していきます。
尚、動作チェックで動かした他、先日ファスガンに行った際に相当数撃った状態なので、パーツの消耗・摩耗なども含めて確認していこうと思います。

という訳で、まずはテイクダウンしつつフラッシュハイダーやハンドガードを外しておきます。
この辺りの分解までは開封レビューで行っていますし、ややこしくもないので割愛します。

尚、塗られているグリスや付着している汚れは撮影前にある程度拭いています。

アッパーレシーバーからボルトASSYの分離

続いてボルトを外していきます。
まず、ボルトハンドルを目一杯引きます。
この際、リコイルスプリングガイド部がアッパーレシーバーに圧入されているような状態になっているので、ボルトハンドルを引いても外れない事があります。

勢いよく引くと勢いよくリコイルスプリングガイドが飛び出す事があるので気をつける必要があります。

ボルトを目一杯引いた状態でダストカバーを持ち上げるとボルトハンドルを取り外すスペースを確保できるようになるので、引っ張れば抜けます。

ボルトハンドルを取り外したらアッパーレシーバーとボルトASSYを分離させる事ができます。

最初ボルトとリコイルスプリングは一体になっており、普通に引き抜く事は出来ません。
リコイルスプリングガイド側を90度回転させた状態で引っ張ると抜けます。

リコイルスプリングガイド側の細部について

VFC FN FNCのリコイルスプリングは非常に長いリコイルスプリングガイドが付いているのが特徴です。
スプリングの構成は柔らかくて長いメインスプリングとダンパーの役割を兼ねていると思われる固くてみ次回スプリングの2つ。
リコイルスプリングガイドの後ろ側にはボルトの稼働量を減らす為のスペーサーが付いています。

リコイルスプリングガイドを分解していくのですが、まずこれを見て下さい。
このスプリングガイドにはリコイルスプリングガイドを抑える為にロールピンが打ち込まれているのですが、このロールピンの太さが約1mmと非常に細く、衝撃で完全に変形してしまっています。

ロールピンの長さが十分な状態で両サイドからリコイルスプリングを抑える構造になっていればまだ多少はマシだったのかも知れませんが、ロールピンが片側からしか飛び出していないので、片側のみでリコイルスプリングを抑えている状態になっています。

中々無茶苦茶な構造ですし、なにも対策せずに使い続けていればそのうちピンは完全に吹き飛ぶんじゃないですかね…。
もっとも、このピンの役目はボルトとリコイルスプリングを一体化させる引っ掛かりというのが大きいと思うので、吹き飛んでも動作に影響は無いのかも知れませんが…。

そんな訳で、リコイルスプリング周りの分解に進みます。

リコイルスプリング周りのパーツを外すにはリコイルスプリングガイドを固定しているネジを外すだけです。
鬼のようなネジロック剤が塗布されており、結構硬いので加熱後、しっかり抑えながら回す必要があります。

リコイルスプリングガイド側に付いているスペーサーはこんな感じ。
樹脂製のスペーサーで、このスペーサーによってボルトの後退量に制限が加えられています。

このパーツを外す事でボルトの後退量を増やす事ができそうですが、単にパーツを外すだけだとリコイルスプリングガイドにくっついているスチール製のプレートとボルトのスチール補強部分が正面衝突してしまい、衝撃が逃げる余地が無いので、どんな影響を及ぼすか分からないです。

もしボルトのストローク量をいじるなら、ダンパーをどうするか、どのようにボルト側の突起を逃がすかは最低限考えないといけないと思います。

ボルト側の細部と内部部品について

続いてボルトを見ていきます。
ボルトの前側にはマットな銀色で塗装された、アルミ製のガスピストンを模したパーツが付いています。
このパーツは中が空洞になっており、長いリコイルスプリングガイドを逃がせる構造になっています。

この手の製品はだいたいスチールで作られたヘビーウェイトガスピストンとかが発売されるのですが、本製品の場合構造上パイプのような形状にする必要があるのでそんなに重くはできないのでは?と思っています。
もし重くするならリコイルスプリングガイド側も変えないといけないでしょうね。

ボルト側はこんな感じで、ロッキングラグとかエキストラクターの構造が凹凸で再現されています。
見えない所ですが、しっかり作り込まれていますね。

また、結構動かしているのですが塗装が剥がれたりしている箇所はアッパーレシーバーと接触する部分のみで、変な傷跡などは確認出来ませんでした。

ボルト後部のハンマーとボルトがぶつかる部分はスチール製のパーツで補強されています。

続いて、ボルト側のパーツを分解していきます。

まず、スチール製の補強パーツを外します。
このパーツを固定しているネジはローディングノズルのリターンスプリングを固定しているネジも兼ねているので、回す際はローディングノズルを押さえつけながら回した方が良いです。

続いて、ボルト側面に付いているマイナスネジを外します。
これはローディングノズルのストッパーを固定しているネジなので、このネジを外した状態でローディングノズルを引っ張るとボルトとローディングノズルを分離させる事ができます。

ストッパーはスチールでできており、ボルトの形状に沿った形になっています。

ローディングノズルはこんな感じ。
ピストン部分は吸気穴付きの物になります。

ボルト側面に付いている2本のピンを抜く事でリターンスプリングとフローティングバルブを外す事ができます。

フローティングバルブ周りはこんな感じで、VFCおなじみの回転防止構造を持ったフローティングの他に謎のパーツが存在しています。

1箇所に突起が付いている樹脂製のパイプで、この突起はローディングノズル内の溝にハマる物と思われます。

このパイプは設置されている場所や構造的にピストン側に流れるガスの流量を抑える為の物のような気がします。
もしかしたら高圧ガスを使用した際にボルトの後退速度を上げすぎないようにする為の、流量調節用パーツなのかも知れません。

フローティングバルブはこんな感じ。
VFC製ガスガンでたまに見かけるイモネジ付きのNPAS仕様ではありません。
フローティングバルブスプリングは少し固めで短いです。

後からの初速調節が出来ない仕様なので、カスタムする場合はちょっと手間が掛かりますね。
もっとも、自分でイモネジを追加する事でNPAS化する事もできるとは思いますが…。

フロント側の分解とチャンバーの取り外し

続いて、アウターバレルやフロントサイト、ガスピストンカバーなどのフロント側のパーツを外していきます。

まず、スリングスイベルを外し、その後ハンドガードを固定する為のクリップを外します。
またフロントサイトの前側に付いている熱収縮チューブも外しました。
この熱収縮チューブは恐らくハンドガードを固定する為のクリップからアウターバレルを保護する為の物のような気がします。

工場出荷時点でアウターバレルに傷が付かないようにする為に付いているのでは?と思いました。

続いて、グレネードサイトを外します。
側面に付いているロールピンを抜くだけで分解できます。

あと、写真に取り忘れているのですが、アウターバレル上部のピンもこのタイミングで抜いています。

続いて、フロントサイトの前側に付いているイモネジを外し、次にフロントサイトを取り外します。
フロントサイトには緩み止めと思われるOリングが付いているのですが、外す際にちぎれました。

次にフロントサイトが付いていた穴の奥にイモネジが隠されているので、これを外します。
これでフロントサイトとガスピストンカバーを外す事ができます。

アウターバレルの前側と後ろ側は素材が異なっている事は開封レビュー時点でも紹介していましたが、このつなぎ目は目立たないようにフロントサイトによって隠されていました。

そして、そのつなぎ目がこちら。
接着剤のような物が付着しており、表面がベトベトしています。
恐らく嫌気性接着剤と思われる物で、外側にはみ出している事から相当な量が塗布されている物と思われます。

嫌気性接着剤は金属と触れ合った状態で空気から遮断されると硬化が始まり、最終的にはプラスチックのような状態になる接着剤です。
これがアウターバレルのつなぎ目に塗布されている事から、アウターバレルの分解は相当骨が折れる事が分かります。

基本的に嫌気系接着剤は高温に加熱して溶かす事ができるので、バーナーで炙るなどを行って外すのですが、本製品の問題はスチールとアルミをくっつけているという事です。
加熱しすぎるとアルミ部分を歪めてしまい、最悪復元不可能な状態になるでしょう。

少なくとも手作業でやるべき作業では無いと思ったので、アウターバレルを分離させる事は一旦諦めました。
どうしてもバレルを弄りたいならちゃんと準備をしつつ、最悪アウターバレルを別途購入する事を考えた方が良いと思います。
むしろ、アウターバレルを注文できるなら注文しちゃった方が楽でしょうね…。

【追記】
やっぱりどうしてもアウターバレルを分離させたかったので、バラしました。
中に入っているOリングにダメージを与えないようにヒートガンで加熱→少し回してみるを繰り返した所、エクステンション部(スチール製部品)の表面温度が100度を超えた辺りでヌルっと回るようになった感じです。

アウターバレルの分解は諦めましたが、本製品はアウターバレルを外さないとチャンバーを取り外す事ができません。
なので、基部から外す事にしました。

アウターバレルの基部は丈夫からイモネジで固定されています。
バレル基部上部に付いている小さなイモネジを外した後でモンキーレンチなどを使って回せば外せます。(めっちゃ硬いですが…)

アウターバレルを外したらチャンバーを取り外す事ができます。

続いて、アッパーレシーバー側に残っている給弾ルートとHOPアジャスターを外す為にアッパーレシーバー前側に付いているネジ付きピン(HOP調節ダイヤルの動きを制限する為の物)を外し、HOP調節ダイヤルを外します。
これで給弾ルートとHOPアジャスターを取り外す事ができます。

給弾ルートは樹脂製、HOPアジャスターはスチール製でHOPパッキンを直押しする仕様です。
正直この仕様は好きじゃないんですが、構造的にもうどうしようも無いですね…。

クッションゴムの追加や材質の変更は現実的では無いと思うので、HOPパッキンを交換する場合はHOPパッキン側の形状や硬度で調整するのが良いと思います。

HOPパッキンとインナーバレルについて

続いてチャンバーを分解します。
チャンバーは側面の2本のネジを外す事で分離させる事ができます。

このチャンバー、何故か両サイドに切れ込みが入っている形状をしています。
片側を設計した後で左右反転をさせたような見た目をしています。

インナーバレルは黒塗りされたアルミ製でバレル長は360mm。
HOP窓は広めのHOP窓と、チャンバー固定用スリット2本仕様です。

インナーバレルのスリットが特徴的なので、社外製のインナーバレルに交換する場合は注意が必要です。
一般的な東京マルイ GBB用のインナーバレルは無加工で取り付ける事はできません。

HOPパッキンは最近のVFC製品でよく使われている青色の面押しパッキンです。
まあ、これに関してはあんまりいう事は無いです。

そんなに悪くはなく、それなりに使い勝手の良いHOPパッキンですがHOPの掛かり具合がかなりシビアになりやすいので、個人的にはあんまり好きじゃないですね…。

ロアレシーバー側の分解について

続いてロアレシーバー側を見ていきます。
まず、気になった点ですが、レシーバー後部に傷が付いている事です。
これはリコイルスプリングガイドを固定する為のネジが押し付けられて付いた物で、ネジ頭の形状に凹んでいます。

無負荷時には触れていない筈なのですが、リコイルの衝撃で叩きつけられているのでしょう。

パット見で確認できる不自然な傷はこれくらいですね。

という訳で、ストックを外します。
ストックを折りたたんだ状態で確認できるネジを外します。
このネジにはネジロック剤などは塗布されていないようですが、かなり硬かったです。

続いて、グリップを取り外します。
グリップを外すとトリガーガードも一緒に脱落します。
尚、グリップを固定しているネジは六角ボルトで、奥まった所に設置されているのでソケットドライバー(サイズは10mm)が必要です。

エアソフトガンの分解・組み立てにおいてソケットドライバーを必要とするケースはかなり少ないので、持っていない人も居ると思います。

グリップを外すとトリガー用のリターンスプリングが確認できますが、一旦このスプリングは外さないでおきます。(後で外した方が楽)

ロアレシーバーのパーツを外していくにはまずセレクターレバーを外します。
セレクターレバーをセーフとフルオートの間位の位置にする事で、セレクターレバーの抜け防止をしているパーツの窪みとセレクターレバーの突起を合わせ、抜く事が出来ます。

セレクターレバーを外したらセレクターレバーをの抜け防止をしているパーツを外す事が出来ます。
このパーツはどうやら3点バースト機構も兼ねており、かなり特徴的な構造をしています。

3つ程度程度のシアーやスプリングが組み合わさった、複雑な構造をしており、シアーやスプリングを固定しているピンは抜け防止の為か頭が潰されています。
無理に分解しても再度組み立てる事ができるか分からないので、このパーツは分解しない事にします。

続いて、ハンマーを外します。
ハンマーピンを抜いたらハンマースプリングのテンションを気にしながら抜いていきます。
この際、変な風に力を掛けると3点バーストのシアーに引っかかる銀色のパーツが脱落してしまう可能性があります。

ハンマー周りのパーツはこんな感じ。
ハンマースプリングとスプリングガイドは単に引っかかっているだけなので簡単に外れます。

組立時に気づいた事なのですが、どうやらこのハンマースプリングは単体で外せるようになっているようです。
組立時はハンマーを組み立てた後でハンマースプリングを取り付けると組み立てやすいです。

ハンマーに付いている銀色のシアーは3点バーストの機構に引っかかるもの、反対側はディスコネクターに引っかかる物になります。

ハンマースプリングを抑えるパーツはスプリングによって抜け防止がされています。
特に外す必要は無さそうなのと、結構硬かったので外しませんでした。
尚、このスプリングはセレクターレバーの抜け防止も兼ねています。

トリガーはトリガーピンを抜いたら外れます。
トリガーピンが差し込まれる部分はチューブが付いており、シアー周りが一体化しています。
この構造は分解・組み立てがやりやすいので有り難いですね。

シアー周りはこんな感じ。

チューブを外すとトリガーとシアーを分離させる事が出来ます。

尚、トリガーを外すとトリガーのリターンスプリングが外れます。

次にマガジンキャッチボタンを外します。
マガジンキャッチボタンはイモネジで固定されているので、これを外します。

次にバルブノッカー周りのパーツを固定しているピンを抜きます。
ピンはスプリングで固定されており、ピンを抜くとシアーやバルブノッカーなどが外れます。

これ、ピンを抜いたら全部外れるとは思っていなくて記録を取ってなかったんですよね…。
どうやってくっついていたのか、正確な情報が無いので戻す時に苦労しそうです…。

次にバルブノッカー部を固定している2本のネジを外して、バルブノッカー周りのパーツを外します。


という訳で、VFC FN FNC GBBR(JP Version)の分解レビューは以上になります。

箱出し状態での作動性や初速は文句無しでいい感じだったので、調整箇所は構造的に気になった所だけになりそうです。
また、部品の消耗具合もほとんど見受けられず、塗装はがれなども「使ってれば削れるよね」と思える箇所だけだったので、そういう点でも調整箇所は少ないと思います。

とりあえずボルト周りはそれなりに手を加えようと思っていますが、トリガーやハンマー周りに関しては特に弄る必要は無いでしょうね。
むしろ3点バーストの機構とかバルブノッカー周りとか、複雑な構造になっている箇所も多いので、弄らない方が良い気がしています。

あと、アウターバレルの分解をどうするかは要検討です。
一旦アウターバレル単品の注文ができるかどうかは確認しようと思っていますが…。

VFC FN FNC ガスガン (JP version) VF2J-LFNC-BK01Amazonで購入する