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東京マルイ P320 FULL SIZE GRIP MODULE:M ガスブローバックハンドガンのレビュー

記事作成日:2025年10月10日

遂に発売となった東京マルイ製ガスブローバックハンドガン、P320をレビューしていきます。
東京マルイ P320は2020年に開発が発表された製品で、かなり大きな期待を持たれていた製品ですが発売までかなり時間が掛かりましたね。
色々事情はあったようですが…。

アメリカの政府機関(軍・警察など)が採用した事で有名になったSIG SAUER P320シリーズですが、かなりの数のバリエーションが存在し、2014年の初期モデルから現在まで、毎年のように新しい製品(新モデル・バリエーションなど)が出ているシリーズでもあります。
エアソフトガンでも様々なメーカーからP320は発売されていますが、東京マルイがモデルアップしているオプティクスレディでは無いスライドとフルサイズグリップを搭載した、P320を発売している他社メーカーは無いと思います。(コンバージョンキットの組み合わせ次第では再現出来るようですが)

今回は東京マルイ P320と一緒に32連マガジンも一緒に購入しているので、32連マガジンについてもレビューしていきます。

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P320の箱はビニール袋に包まれており、『RE-TAC SEAL』というシールが貼られています。
パッケージの汚れを理由に返品される事が少なくはないらしく、それを防ぐための物かと思われます。
再剥離可能との事なので、開封チェック用では無さそうです。

パッケージはマットな肌触りの質感の良い表面になっており、中央に東京マルイのロゴとP320 Modular Semi-Automatic Pistol FULL SIZE GRIP MODULE:Mと書かれている、シンプルですが高級感のあるデザインのパッケージになっています。

箱を開けると『INNOVATION BY ENGINEERING.』とFCU(ファイア・コントロール・ユニット)の紹介が行われます。
FCUの開発に関しての気合の入り方が分かります。

内容物について

内容物はP320本体、マガジン、クリーニングロッド、BB弾、空打ちストッパー、安全キャップ、説明書類です。
基本的にはおなじみな感じですが、説明書類が多いです。

説明書にあたる書類は全部で3つ存在しており、まず基本的な操作方法やクリーニング方法が記載されている冊子、FCUの分解について紹介されている紙、パーツリストと修理について説明されている冊子です。

また、フルカラーのカタログも同梱されています。
開発に関する拘りポイントが記載されており、東京マルイが本製品に込める意気込みが伝わってきます。

P320本体の外観レビュー

という訳で、P320本体の外観を見ていきます。
マガジンについては後半で紹介します。

重本体の重量(マガジン無し)は444gでした。

スライド前側とマズルはこんな感じ。
全体的にエッジがパキッとしており、削り出しフレームっぽさが出ていると思います。
見た感じ、スライド側に極端に気になるようなパーティングラインは無く、エッジの所が金型の繋ぎ目になるように作られているようで、うまく誤魔化せてると思います。

フロントセレーション部とP320のロゴはこんな感じ。
フロントセレーションは少し丸みを帯びた窪みになっています。
また、SIG SAUERなどのメーカー名の表記は無く、P320と入っているだけです。
まあ、メーカー名が入っていないのは仕方がないでしょうね。

シャーシ前側はこんな感じ。
5スロットの長いピカティニーレールが付いており、ライトやレーザーサイトなどの各種光学機器を取り付ける事が出来るようになっています。
また、レールがマズルの所まで伸びているのがP320 FULL SIZEの特徴の1つだと思います。

尚、シャーシ側はど真ん中にパーティングラインが入っているので、ちょっと目立ちます。
特にレール〜トリガーガードの辺りが気になりますね。

スライド上面はこんな感じ。
同社のG17 Gen5 MOSと開発が前後している影響なのか、それとも大型のエンジンを搭載する為にあえてこうしたのかは知らないですが、光学サイト用のマウントは付いていません。(P320=オプティクスレディという訳では無いので、個人的にはそんなに気にならないですが…)

エジェクションポートはこんな感じで、9mmx19と使用弾が記載されています。
また、エキストラクターは金属製(亜鉛合金と思われる)でパーツになっています。

フロントサイト、リアサイトにはホワイトドットが入っており、狙いやすいアイアンサイトとなっています。

スライドロックレバーはこんな感じ。
ここのエッジも綺麗ですね。

反対側にはシリアルNOと『NEWINGTON, NH, US』『TOKYO MARUI MADE IN JAPAN』『ASGK』などの刻印が入っています。
詳しくは後述しますが、シリアルNOはちゃんとFCU側に印刷されている物が、フレームに開いている窓から見えるギミックを再現しています。

また、シリアルNOはユニークな物になっているようです。(FCUの側面には個体ごとに異なったユニークNo.をレーザーで刻印と紹介されている)

トリガーガードはこんな感じ。
トリガーガード前側には横方向のセレーションが付いており、下側の膨らみも相まって指を引っ掛ける事で安定した射撃が出来るようになっています。
トリガーはP320らしい、かなり細身なデザインの物が付いています。

トリガーフィーリングはかなり良く、正直以前ラスベガスのシューティングレンジで撃った実銃のP320よりも撃ちやすいです。
ハンマーダウンまでの間に程よい遊びがあり、ハンマーダウン直前に少し重くなり、ハンマーダウン後の遊びが少ないトリガーとなっています。

トリガー引き始め
ハンマーダウン直前
トリガーを引ききった状態

重ねるとこんな感じ。
トリガーを引き始めたタイミングからハンマーダウン直前までの遊びの長さと、ハンマーダウン直前からトリガーを引ききった状態のストロークの短さが分かると思います。

トリガーの動きを動画で撮ってみました。
カチンというハンマーダウンの音がある分、こっちの方が伝わりやすいかも。

マガジンキャッチ部はこんな感じ。
SIG PRO風の三角形のマガジンキャッチがP320では採用されています。
普通に押しやすいです。

スライドストップとセーフティレバーはそれぞれアンビ仕様になっています。
スライドストップのガード形状が左右で違いますが、操作性はほぼ同じなので右手で握っても、左手で握っても同じような操作性なのが本製品の特徴です。

セーフティレバーを動かすとこんな感じ。
尚、セーフティレバーはハンマーの状態に関わらず操作する事が出来ます。

セーフティ:OFF
セーフティ:ON

スライド後部はこんな感じ。
ビーバーテールの局面から繋がるように、スライドの後部が配置されています。
最近のハンマーレス銃らしい一体感が良いですね。
また、少しスライドから飛び出している「スライドリアキャップ」やグリップ側の「シアハウジング」は別パーツになっており、東京マルイの拘りを感じるポイントとなっています。

グリップはこんな感じで、SIG SAUERの刻印は入っていないもののP320らしい特徴的なテクスチャは再現されています。

スライドもそうですが、刻印再現は社外メーカーに期待しましょう…。
大人の事情で東京マルイは刻印再現無理ですし。

グリップ底部、マグウェル部はこんな感じ。
マグウェルのコの字状の窪みが特徴ですね。
また、グリップ底部の後ろ側にはランヤードリングが付いており、グリップサイズを示す『M』という文字が記載されています。

P320はグリップパネルによるグリップサイズの変更ではなく、シャーシをごっそり交換してグリップのサイズを変更する製品なので、このような印字がされています。
FCUを活かした仕様ですね。

そのうちサードパーティのメーカーからSサイズとかLサイズとかも出るんでしょうか。
リアル刻印も含めて、今後の社外製品に期待です。

スライド後退状態について

ホールドオープン状態にするとこんな感じで、バレルが大きく上を向くショートリコイルが再現されている事が分かります。
東京マルイのショートリコイル再現、最近の銃はよりリアルになってきている気がします。

また、ホールドオープン状態にする事でHOP調節ダイヤルにアクセスする事が出来ます。
ダイヤルの操作性はG17 Gen5 MOSを始め、M45A1などの最近の同社製GBBハンドガン系と同じです。

ちなみに、後ろ側はローディングノズルとFCUが少し見えます。

マガジンについて

続いて、マガジンを見ていきます。
東京マルイ P320用マガジンは付属の26連マガジンと33連マガジンの2種類が存在します。(実銃だとそれぞれ、17連マガジンと21連マガジン)

この2つのマガジンの外観上の違いはマガジンバンパーの大きさとダミーの残弾確認穴の数です。
マガジン側面には『9mm』と使用弾薬の記載があり、反対側には残弾確認を行う為の穴を模した窪みと数字が入っています。
33連マガジン(実銃は21連マガジン)の方はしっかり21発目の所に開いている穴が再現されています。

リップ側の形状は共に同じです。
リップ形状は左右どちら側にもBB弾が流れ込む、中央に突起がある形状です。
最近の同社製GBBマガジンはこの形状のリップが採用されている事が多いですね。

大きく形が異なるマガジンバンパーはこんな感じ。
26連マガジンの方は丸みを帯びたバンパーで、33連マガジンの方は角ばっています。
また、本来SIGのロゴが入っている箇所には丸いシボだけが残っています。

26連マガジン
33連マガジン

26連マガジンと33連マガジンをグリップに差し込んだ状態はこんな感じ。

26連マガジン
33連マガジン

続いて、空のマガジンの重量とガスを満タンにした状態の重量を測っていきます。
尚、ガスはHFC134Aを使用しています。

まず、26連マガジン。
241gのマガジンにガスを満タンに入れると257gになるので、ガス容量は16gである事が分かります。

続いて、33連マガジン。
288gのマガジンにガスを満タンに入れると312gになるので、ガス容量は24gである事が分かります。

26連マガジンよりも33連マガジンの方がガス容量が多いですね。

箱出し状態の作動性について

という訳で、箱出し状態の作動性を見ていきます。
検証に使用しているガスはHFC134Aです。

まずは常温(室温26度)状態での動作から。
安心感のあるキビキビした動作をしており、リコイルもしっかりあります。
トリガーフィーリングのお陰で連射もやりやすく、ダブルタップの安定性が高い印象に感じます。

マガジン温度を下げた際の作動性についても見ていきます。
東京マルイ G17 Gen5 MOSでも行った極端な低温状態での動作検証を行いました。

強設定の冷蔵庫の中に暫く放置し、キンキンに冷やしたP320とマガジン(表面温度4度)を使用しています。
流石にマガジン温度4度の状態ではスムーズな動作は出来ませんが、こんな状態でも生ガスを吹かずに一応スライドが動いているという事が凄いです。
ブローバックエンジンの効率に関してはG17 Gen5 MOS並と言えると思います。

尚、マガジン温度が10度程度あれば連射可能なレベルで動作をしてくれます。
この感じなら冬場でも快適に…とは言えませんが、それなりにちゃんと動いてくれそうな気がします。
メインでガンガン使わなければ普通に使えると思います。

また寒い時期にシューティングレンジなどで検証してみたい所です。

尚、マガジン温度30度程度の状態でのリコイルの感じを東京マルイ G17 Gen5 MOSと比較してみました。

P320のスライドの動作スピードはG17 Gen5 MOSよりも若干遅い印象がありますが、正直僅差です。
そして、リコイルは明らかにP320の方が重いです。
G17 Gen5 MOSのスライドにHOLOSUN HS507COMPを付けた状態でも、P320の方がリコイルが重たく、ガツガツ来るリコイルを体感出来ます。

箱出し状態での初速について

続いて、初速計測を行っていきます。
検証に使用したガスはHFC134A、BB弾は東京マルイ 0.20g 樹脂弾です。

まずはマガジン温度が低い状態から。
安定して動作する10度ちょい(13.5度)の状態での初速は62.7m/sでした。
少しもっさりした動きにはなりますが、ちゃんとスライドストップが掛かるまでスライドは動きますし、ダブルタップにも付いてきてくれるので、本製品の作動性の高さを感じます。

続いて、24.1度での検証。
初速は72.7m/sで、ハンドガンの銃口初速としては十分な初速が出ていると思います。
また、この温度になるとキビキビと動いてくれます。

続いて、33.6度での検証。
初速は82.3m/sと10m/s近く上昇、発射音が激しくなり、リコイルもかなりガツガツとした重いリコイルが伝わってきます。

更にマガジン温度を上げて44.3度の状態での検証。
初速は88.4m/sまで上がり、リコイルは33度の時よりも更に強くなり、発射音もかなり大きくなります。

更に温度を上げて51.8度の状態にしてみました。
この温度だとハンマーがバルブを叩けるか叩け無いかのギリギリのラインのようで、バルブが叩けず初速が大幅に下がる事がありましたが、何度か試した結果最大初速として89.7m/sを記録しました。
恐らくマガジン温度50度前後が最大初速を出せる温度のようです。

尚、マガジン温度49度で止めた状態で8発撃った様子はこんな感じ。
高温時の初速はギリギリ90m/sを超えない程度の初速のようです。
これなら夏場でも安心して使えますね。

燃費について

続いて、26連マガジンと33連マガジンを使って何発連続で射撃が出来るのか、初速の低下がどうなるのかを検証していきます。

検証環境と条件は下記の通り

  • 室温は26度
  • ガスはHFC134A、BB弾は東京マルイ 0.20g 樹脂弾
  • マガジン温度は常温状態からスタート
  • 弾込めには東京マルイ BBオートローダーを使用、毎回フルロードさせる
  • 1発1秒程度の速度で撃っていく

途中でマガジンを温めたりはしていませんが、弾込め時に暫く手でマガジンを握るのと時間を置く事でガス圧が回復するので、完全な連続射撃状態の燃費ではありませんが、初速の低下具合も見ていきたいのでそこはご了承ください。

まずは26連マガジンから。
最初のうちは初速74m/s程度で安定、10発撃った事には2m/s程度低下し、1マガジン(26発)打ち切った頃には68.9ms/まで下がりました。
90発目位からスライドの後退不良による給弾不良も起き始め、100発目では50m/s台まで落ち、110発目頃から毎回スライドを手動で動かさないと給弾されなくなり、113発目で完全にガスが0になりました。

続いて、33連マガジンです。
こちらも最初の撃ちは73m/s台で安定し、1マガジン(33発)撃ち切る頃には69.2m/sまで低下しました。
100発を超えても作動性はほとんど低下せず、150発目位でようやく動作が不安定になってくる感じでした。
最終的に177発の射撃が可能で、33連マガジンのガス容量の大きさを体感出来る結果になりました。

軽く分解とFCUの取り外し

という訳で、説明書に記載のある範囲での分解を行っていきます。
詳細な分解レビューは後日、別記事にて紹介しようと思います。

まず、マガジンを抜いた状態でスライドを引き、スライドロックレバーを回転させ、スライドとシャーシを分離させます。
東京マルイ P320は実銃と同様にマガジンを抜かないとスライドロックレバーを回せないギミックが再現されています。

スライド側とシャーシ側の内側はこんな感じ。
スライドに関しては肉薄になっているエジェクションポート周りに金属製のインナーフレームが付いているようです。(スライドストップの削れ防止も兼ねてるパーツだと思われます)
シャーシ側はFCUで埋まってます。

バレルとリコイルスプリングはこんな感じ。
リコイルスプリングに関しては分厚いゴムダンパーが付いており、ブローバックの衝撃を緩和出来るようになっています。

シャーシ側のハンマー部分はこんな感じ。
実銃のP320はストライカー式の製品で、ハンマーはありませんが本製品は放出バルブを叩く為のハンマーが設けられています。
ただ、ハンマーらしい形状にはなっておらず、FCUに収まっている状態でも違和感の無いデザインになっているのが、東京マルイ P320の特徴だと思います。

FCU(ファイア・コントロール・ユニット)を取り外すにはスライドロックレバーを外し、トリガーを下から押し上げます。
これでFCUを分離させる事が出来ます。
ワンタッチで取り外せるのは良いですね。

東京マルイ P320のFCUはこんな感じで、実銃のFCUの形をよく再現出来ていると思います。
エアソフトガンの仕様と実銃の仕様は全然違うのに、よく再現したなと思えるレベル。
東京マルイの気合の入り方を感じますね。

尚、外観レビューの際に触れましたが、本製品のシリアルNOは実銃と同様にFCU側に入っており、フレームに開いている窓から見える仕様になっているという所も再現されています。
しかもこのシリアルNO、ちゃんとユニークな物になってるんですよね。

リアルなFCUを活かして、P320のバリエーション展開だけではなくカービンとか特殊なモデルのキットが社外から出る事を期待しています。
今まで発売されていたP320のコンバージョンキットは単にFCUの載せ替えだけじゃ済まない物が多いので…。(これはメーカーごとに微妙な仕様の違い、寸法差がある事も影響してますが)


という訳で、東京マルイ P320 FULL SIZEの開封レビューは以上になります。
また後日分解レビュー記事も投稿する予定です。

P320は『外観の再現性やFCUにこだわりつつも、アンダーハンマー方式を採用するなど作動メカニズムにもこだわった1丁となっています。』と東京マルイ自身が語る通り、かなり気合の入ったモデルになっていると思います。

こういう細かい所の拘りを感じるのは次世代MP5以来かなと思います。
G17 Gen5 MOSもかなり気合が入っている製品だと思いますが、拘りのベクトルとしてはG17 Gen5 MOSよりかは次世代MP5の方が近いかなと思います。

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