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COYOTE AIRSOFT KRISS Vector(クリスベクター)を弄っていきます(気密・初速向上、プリコック化)

記事作成日:2017年8月9日

COYOTE AIRSOFT KRISS Vector(クリスベクター)ですが、ファーストインプレッション(開封レビュー)分解レビューといつも通りの手順で記事をアップしてきたので、今回はカスタムネタ記事になります。

うまく行ってれば1日で終わってたはずなんですが、結構気密向上に苦労し、調整にかれこれ4日程かかってしまいました…。
作業時間としては仕事終わって帰ってから寝るまでの2〜3時間しか使えませんし…。

という訳で、バラバラにしたCOYOTE AIRSOFT KRISS Vector(クリスベクター)を弄りながら組み立てていきます。

コヨーテベクターのトリガーをショートストロークに

まずは電子トリガー搭載銃で必ずやる事。
「トリガーのショートストローク化」から。

分解レビューでも紹介した通り、COYOTE AIRSOFT KRISS Vector(クリスベクター)のトリガースイッチの構造は非常にシンプルなので、ショートストローク化の調整が比較的やりやすいです。

今回私がやった方法は、スイッチを押す部分にナットを2個貼り付けて嵩増しし、スイッチを早いタイミングで押させるようにしました。
しかし、このままだとセーフティが効かなくなってしまうので、それようにトリガー中腹(セーフティーレバーと干渉する部分)にワッシャーを1枚貼り付け、セーフ状態ではトリガーが微動だにしないようなタイトさになるように調整しました。
尚、いつも通りロックタイトの瞬間接着剤とアルテコを使って固めています。

組み立てて動かすとこんな感じになります。
箱出し状態だとかなりのストローク量があったのですが、チョン引き出来る位にショートストロークになりました。
ギリギリ詰めようと思えばもっと短く出来ますが、あまり短くし過ぎると誤爆が多くなったりして使い勝手が悪くなるのと、セレクターをセーフに入れていても衝撃等で動作してしまう可能性があるので、ある程度ゆとりのあるストローク量にしています。
ゆとりがあると言っても、普通の電動ガンとかより全然短いですが…。

コヨーテベクターのピストン、ギア周りの調整

続いてピストン周りの調整。

まず、COYOTE AIRSOFT KRISS Vector(クリスベクター)のインナーバレルは約132mmと割と短めです。
東京マルイの電動ガンで言うと、MP5K PDWのインナーバレルより少し短い位の長さになります。
その為、重要なのはエアーの量より空気圧になります。
流速チューンと同じ原理ですが、高い圧力で一気に弾を加速させるのです。
硬いスプリングを使うのは趣味じゃないので、私がよくやっているのは加速シリンダーに重量級ピストンです。

今回もその方式で調整していきます。
錘は東京マルイのスタンダード電動ガンに付属する錘の中に鉛を埋め込んだ物を使います。

ピストンは適当に転がっていた樹脂ピストン。
最後の3枚が金属歯になっているタイプです。
また、ピストンヘッドはZC製のステンレスタイプ、OリングはGAWのFRUS-Oリングを使用します。

尚、当初純正ピストンを使おうと思っていたのですが、ピストンヘッドが外れ無さそうだったので、別のピストンを使う事にしました。

ピストンの用意ができたら次はギアです。
箱出しで既にシム調整がされていたのですが、1から調整していきます。

そして、ギアを組み立てていくうちに気づいたのが、タペットプレート用の溝の縁がセクターギアのセクターチップと干渉している事。

干渉と言っても少しかすってる程度なので動作への影響はあまり無いと思いますが、気持ちが悪いのでフライスで該当箇所を削ってしまいました。
たまにしか登場しないフライスですが、こういう加工をする時は役に立ちます。

とりあえずこれでシリンダーやシリンダーヘッド、チャンバー等を組み立てていきます。
いきなりいろんな箇所に手を出してしまうと、問題が起きた時に訳が分からなくなる(何が原因なのかが分からなくなる)ので、シリンダーやチャンバー、バレル等は純正のままです。

次にモーターを取り付けて動かしてみた所新たな問題が発覚しました。
それがモーターホルダーとモーターのサイズが合っておらず、モーターが暴れてしまっているという事です。

この通り、通電する度にモーターがグワングワン動きます。
多少のガタツキならいざしらず、ここまでグラグラだと心臓に悪いですし、ノイズも増えるので直します。

直し方は非常にシンプル。
モーターに熱収縮チューブを巻くだけです。
モーター全体に巻いてしまうと抵抗が強くなりすぎてモーター位置の調節がやり辛くなるので、ピニオンギア側とエンドベル側に別けて取り付けました。

これにより、モーターのガタツキは無くなりました。

とりあえず、動作が確認出来たので、もうちょっと弄っていきます。

コヨーテベクターのインナーバレルとチャンバーパッキンを交換、バレル長に合わせてシリンダー容量の調整

次はバレルとチャンバーパッキンです。

インナーバレルはKM規格のMP5K用(110mm) TNインナーバレル、チャンバーパッキンはメイプルリーフの60度(黄色)です。
バレルに関しては、コヨーテベクターの純正インナーバレルより2cm程度短いですが、これで良いのです。

バレルのHOP窓はこのように少し広めになっており、エッジは綺麗に整えられています。
この形状、メイプルリーフのチャンバーパッキンと結構相性が良いんですよ…。

メイプルリーフのチャンバーパッキンはこのようにHOPの突起が三角形になっている面白い構造をしています。
マルイ等のパッキンに比べると結構硬め。今回は0.25g弾を使用する想定なのでこの硬さにしましたが、0.20g想定なら1段階硬度の低いの(50度、緑色)が良いと思います。

私はメイプルリーフのチャンバーパッキンのガスガン用の物はよく使うのですが、電動ガン用の物は滅多に使いません。
何故かと言うと、正直普通の電動ガンに組むと非常にイマイチな弾道と命中精度だからです。
ただし、コヨーテベクターのようにHOPアジャスタークッションが無く、樹脂や鉄等の硬い材質の物でチャンバーパッキンを直接押すような構造のHOPだと割と良い性能を出してくれるんです。

このインナーバレルとチャンバーパッキンを組み立てます。
尚、KM規格のインナーバレルにはブレ止め用Oリングを付けるための溝が2箇所に彫られているので、適当なサイズのOリングを入れておきます。

アウターバレルとインナーバレルの僅かな隙間によるガタツキを抑えてくれるので、命中精度の向上が期待できます。

インナーバレルを短くしたので、シリンダーも交換します。
というか、箱出し状態で既にシリンダー容量がバレル長に合って無かったですし…。(132mmのインナーバレルにM4サイズの加速シリンダーはエアー量過多)

エアー量が過多になっている理由は分解レビューの方でも述べている通り、恐らくエア漏れする事を前提とした設計なのだと思われます。
今回はそこら辺の気密を調整するのでなるべく適切なエアー量にしたいと思い、シリンダーを交換する事にしました。

今回はLayLax製の加速シリンダー Type F(推奨バレル200〜110mm)になります。

まあ、MP5KとかG3SASとかああいったサイズの銃に最適な加速シリンダーです。

このシリンダーを組んで動かしていきます。

とりあえず問題なく動きましたし、弾も出ます。
しかし、このままだとエア漏れが多く、初速がかなり低い状態(0.20gで40m/sとか)でした。

コヨーテベクターのシリンダーヘッド、ノズル、チャンバー周りの気密を向上させるように調整

ここからが一番時間が掛かった気密を高める調整になります。
正直、この銃は変はシリンダヘッドからチャンバーに至るまでの間があまりに特殊な構造で且つエア漏れを起こしやすい構造なので気密を保つのが非常に難しいのです。

とりあえず簡単な方法から順に試していきました。
まずはシールテープ+シリコンオイルでの気密UP。

結果、駄目です。
あんまり変わりません。

ただし、どういう理由でエア漏れが起きているのかが分かりました。
という訳で、しらみつぶしにエア漏れ箇所を塞いでいく事にします。

まず、独自仕様のノズル。
ここのエア漏れが一番酷いです。

まず、ノズルの外径とチャンバーの内径が合っていません。
チャンバーとノズルの隙間が1mm程空いており、ノズルが動く度にガタツキが発生し、エアーが漏れていました。
なので、ノズルにOリングを取り付けられるように溝を掘り、Oリングでガタ防止し、気密を高めました。

更に、チャンバーの内側にバリや凸凹(成形不良?)があったのでそれをヤスリで削り、Oリングを付けた状態でスムーズに動くように調整しました。

続いて、ノズルが前進しきった状態でチャンバーパッキンとノズルが密着していなかったので、ノズルを更に前に押し出すように加工しました。

また、この加工のせいでノズル上部の穴の位置とピストンヘッドの穴の位置がズレてしまうので、この穴を少し楕円形に拡張してなるべくエアーが綺麗に流れるようにしました。(写真撮り忘れ)

次にこのノズルにエアーを送るためのL字型のシリンダーヘッドの調整をしていきます。
コヨーテベクターのシリンダーヘッドは2つのパーツで構成されており、L字型のシリンダーヘッドと、ノズルとのつなぎ目にあるパーツになります。
このつなぎ目にあるパーツが非常に重要な役割を担っており、このパーツとノズルの気密が取れていないと盛大にエアーが漏れます。

純正はスプリングテンションによって気密を保とうとしていたようなのですが、その程度のテンションでは全然駄目でした。
Oリングを3つ重ねてゴムのテンションによって気密を保つように変更してみました。

チャンバーやピストンヘッド等を取り付ける際、指で押さえつけておかないといけない位にガチガチな感じにしました。
これでピストンヘッド〜ノズルまでの間の気密はかなり高まりました。

ちなみにこの方法以外にもスプリングレートを上げてみたり、スプリングとOリングの組み合わせだったり、Oリングだけで気密を取ってみたりと色々なパターンを試しましたが、上記で紹介したOリング3つ重ね+つなぎ目のパーツが一番気密が高かったです。

続いて、タペットプレートの可動範囲やノズル閉鎖のタイミングについてです。

コヨーテベクターは純正でセクターチップが付いています。
これのせいでノズルの開放時間が長すぎて、ノズルの閉鎖が遅れるという問題が起きていました。
当然、エア漏れが起きます。

なので、セクターチップは外しました。

更に、確実にノズルを閉鎖させる為にタペットプレートのリターンスプリングに、アジャスターの代わりとしてOリングを2つ取り付けました。

上記の事を行った結果、気密かなり高まり、初速も高初速の状態で安定するようになりました。
尚、ピストンスプリングは純正のままです。

純正でも十分硬かった(東京マルイ純正より少しかたい位、市販品だとM90とかそこら辺の硬さだと思います)ので、特に変える理由が無いですからね。
HOPはアジャスタークッション無しの直押しなのでチャンバーの抵抗は大きいですし、バレル長も短くピストンも重いので、プチ流速チューンみたいになる感じでしょうか。

コヨーテベクターのセクターギアをプリコック仕様の物に交換

メカボックスを組み上げて何度か動作チェックを行い、動作に問題が無い事を確認したら最後にセクターギアをプリコック仕様の物に交換します。

コヨーテベクターというか、ARESの電動ガンで使用されているギアセットは色んなメーカーから出ているので入手し易いです。
APSだったりBigDragonだったりZCだったりのギアセットがそれです。ASG EVO3にも同じギアセットが使われてますね。
今回はZCのギアセットを買ってきました。

こちらのセクターギアの穴にネオジウム磁石を埋め込みます。
左がプリコック仕様にしたギア、右がコヨーテベクター純正ギアになります。

プリコック仕様の場合、どこにネオジウム磁石を埋め込めばいいかは過去に私が色々なパターンでデータを取ったのでそちらを参考にして下さい。
まあ、結局はモーターやスプリングレート、使用するバッテリーとの兼ね合いがあるので、純正ギアでの停止位置を確認した上で適切な場所に磁石を埋め込むのが良いと思います。

尚、ネオジウム磁石を埋め込む時に磁石の極性に注意して下さい。
間違った方向で埋め込むとカットオフの検知がされなくなります。

また、このタイプのギア以外のギアを使う場合はギアの材質にも注意が必要です。
磁気の伝導率と言うんでしょうか?ネオジウム磁石をギアに埋め込んだ際、ギア全体が強い磁気を帯びてしまうと検知エラーになります。
特に焼入れ加工がされた金属ギアとかだとエラーが起きやすい印象がありました。

尚、EFCSでは一定時間の間にカットオフが検知されなかったり検知エラーが発生した場合は動作を停止する仕組みになっているので、コヨーテベクターでも同じだと思います。

このギアは意外と個体差が少ないので、ギアは交換するだけで良いです。

完成したメカボックスを組み立てていく

あと今更ですが、セレクターレバー検知用のギアを組み立てる際はギアの向きに注意して下さい。
セレクターレバーをセミに入れた状態で、検知ギアに描かれている横棒を基盤と平行になるようにして組むと良いです(というか、その為の横棒な気がします)

配線は最初から銀ケーブルで、通電効率は十分良いと思うのでそのまま。
モーターコネクタもとりあえずそのままですが、熱収縮チューブは外しました。

熱収縮チューブがあるとモーターホルダーに配線を付けたり外したりするのが面倒だったので…。
また、コネクタもこのタイミングでタミヤミニコネクタからXT30に交換しています。

後は外装を組み立てていくだけなのですが、なんとアウターバレルを取り付けると初速が10m/sも下がってしまいました。
どうやらアウターバレルを締め込むとインナーバレルが曲がってしまうようです…。
こちらはアウターバレルの精度が悪く、斜めに付いてしまっているだけだったので、少し削ってやると真っ直ぐ付くようになりました。

マズルから見るとこんな感じ。
インナーバレルが短いので、マズルからインナーバレルは見えません(覗き込む角度や光の加減によっては見えますが…)

初速は0.20gで90m/s前後。誤差はプラマイ3m/s程度あるのでド安定とは言い難いですが許容範囲内かなと…。
HOPの量を変えると96m/sまで上がりますが、強くしすぎると弾づまりを起こします。

一体何gが適正重量なのか…。
0.25gが飛ばせたら良いのですが…。

とりあえず初速自体は割と安定しているようなので、次のサバゲーに持っていこうと思います。
予備マガジンも買ったし…。

ちなみに、プリコック化させた事によって常時ピストンが後退状態(スプリングが圧縮された状態)で保持され、スプリングやピストンの劣化が激しくなるという問題がありますが、高電圧バッテリーを繋いでオーバーランさせる事でプリコックを解除させる事が出来ます。
私は昔からずっとこの方法を使っています。
コヨーテベクターは7.4Vのバッテリーを使用する事を想定しているので、11.1Vでオーバーランさせる事が出来ます。
現在は純正モーターなので2点バーストで撃てばこの通り、最後の1発がオーバーランして3点バーストになり、プリコックを解除させれます。
※追々ハイトルクモーターを入れる事を想定しているので、現状少しゆとりのある設定になっています。