King Arms MDT LSS ガスボルトアクションライフルの調整をしていきます(初速アップ、安定化)
記事作成日:2018年6月7日
開封レビュー、分解レビューと行ってきたKing Arms製ガスボルトアクションライフル、MDT LSSの調整をしていきます。
今回の目的は0.20gで70m/s台と低すぎる初速を上げるのと、バラツキの激しい初速の安定化です。
そもそもリキッドチャージ式のガスボルトアクションは、構造上初速の安定化には限界があると思いますが、まあ出来る限りでなんとかしてみようと…。
まずはマガジンの注入バルブを国内仕様のものに交換します。
これをやっておかないと動作検証も進められないので…。
今までのレビュー記事で紹介した通り、MDT LSSの注入バルブはWE互換です。
写真左の左側がKingArms純正、右がWE ライフル/ハンドガン用マガジン対応 注入バルブ【日本仕様】です。
若干Oリングのサイズに違いがあったものの、基本的には全く同じ形状なので、ポン付けOKでした。
WE 注入バルブ 日本仕様 ライフル/ハンドガン用マガジン対応 (WE専用)
続いて、チャンバーパッキンを交換しました。
純正のチャンバーパキンは硬すぎて国内用の銃にはあまり向かない仕様だと思ったので、今回はPDI製のVSR/GBB用 Wホールドチャンバーパッキンに交換する事にしました。
いつもならメイプルリーフのチャンバーパッキンを使う所なのですが、毎回同じパッキンだと面白みがないというのと、業販向けらしい製品を安く手に入れられたので使う事にしました。
チャンバーパッキンの脇に付いている突起を少し切って短くするだけで取り付け可能です。
しかし、そのままだとチャンバーを閉じた際に少しパッキンが緩い気がしたので、シールテープを巻きました。
続いて、大幅に絞られているノズルを拡張しました。
左側が箱出し状態、右が加工後(穴の直径は3.5mm)です。
初速を見ながら少しずつ穴を広げていったのですが、3.2mmから3.5mmに広げた途端に急激に初速が上がってしまいました。
その為、バレルカットで初速調整をしようと思い、切っていったのですが中々落ちず…。
バレル長が315mmになった所で「丁度2個目のOリングの所まで切ったし、これ以上短くしたくない」と思い、バレルカットによる初速調整はここで中断。
尚、マズルのテーパーはとりあえず普通な感じにしてます。
ちなみに、この状態での初速は0.20gで97〜98m/s程度でした。
一応ギリギリ規定内ではあるものの、安全マージンもクソも無い初速なのでこれでは安心して使えません。
更に初速を下げるために行ったのは、ハンマースプリングのカットです。
1.5巻ほどカットするだけで一気に初速が下がりました。
尚、マガジンを温めた状態だと初速は70m/s後半まで落ちます。
これは箱出し時点でも同様の現象が起きていたので、この銃の仕様なのでしょう。暫く撃っていると初速は上がっていきます。
しかし、動作検証で暫く撃ってた時に『ガスの残量によって初速が結構上下する』という事に気づきました。
- ガスを満タンに入れると初速が大幅に下る
- 暫く撃ってガスが減ってくると初速が上がってくる
- 更に撃ってガスの残量が減ってくると初速が下がる
ガス残量が減ってくると初速が下がるのはガスガンなので当然の話なのですが、満タンにすると初速が低く出てしまうというのは割と面倒な問題です。
毎回ガスを注入する時に腹八分目位で抑えれるなら良いのですが、正直面倒くさいのでなんとかします。
改善するにはマガジン側を弄っていきます。
分解レビューでも紹介した通りこの銃のマガジンには2つのガスタンクが設けられています。
片方は注入バルブが設置されている長いタンク。
もう片方は何もない、短いタンクです。
恐らく、ガスを満タンに入れてしまうと気化室が無くなり、ちゃんとガスが気化出来なくなってしまうのだと思います。
そういえば、GHKのマガジンでも昔同じような問題に悩まされたような記憶が…。
という訳で、短い方のタンクにスポンジを入れました。
スポンジというか、水槽の底に敷くマットみたいな奴なんですがね…。(昔、ペットショップで買ってきた奴)
このスポンジを適度な大きさに切ってタンクの中に詰め込みます。
これで大幅にガス容量は減りますが、無理にガスを入れようとしない限りこのスポンジの分だけ気化室が確保出来るでしょう。
この状態で初速を測ってみた所、ガスを満タンに入れた状態でも大幅に初速が安定しました。
ガスの充填にかかる時間は半分くらいになっちゃいましたけど…。
しかし、この加工を行った事でまた初速が跳ね上がってしまったので再度ハンマースプリングのカットで調整しました。
今度は1巻だとあまり初速が落ちず、2巻ほどカット(写真左)したのですが、今度はリターンスプリングのテンションとのバランスが取れなくなり、バルブがうまく叩けなくなったので、リターンスプリングも1.5巻切りました。(写真右)
結果、初速は0.20gで93m/s程度に抑えられるようになりました。
こちらは何度か計測した上での最大初速です。
基本的に90m/s〜91m/s辺りで、1/5程度の確率で88m/sや93m/sなどの低かったり高かったりする初速が計測されます。
電動ガンやエアーコッキングガンの初速と比べるとバラツキはありますが、ガスガンとしては安定している方では無いでしょうか…。
箱出しの時のように20m/sとか30m/s下がるような問題も起きなくなりましたし、当初の目的は達成出来たかなと。
あと、ちょっとした変化なのですが、ボルトを戻す時の動きがスムーズになりました。
というか、軽くなりました。
このタイプの銃はボルトハンドルを戻す時(ボルトハンドルを回転させる動きを行う時)にハンマースプリングを圧縮する仕様なので、ハンマースプリングが柔らかくなった事によってボルトハンドルの動きもスムーズになったようです。
これで一段落…と思ってたらまだ問題がありました。
どうやら、特定の動作をさせたあとに銃を撃つと初速がガクンと下がってしまうのです。
場合によっては20m/sを下回る事も…。(もしかして箱出し状態で初速がガクンと下がる問題はこれも原因の1つだったり…?)
その動作というのは『銃口を上に向けてからゆっくり水平に戻して撃つ』という動作です。
原因はこの黒い筒みたいなパーツ。
分解レビューの際に紹介し忘れていた(この記事を書いていて気づいた)のですが、このパーツの存在意義がイマイチ分からず、とりあえず組まれていたからそのままにしていたのですが、これがボルト内でガタガタ動くせいで、ハンマーの動きを阻害していました。
外したら解決。
特に不具合も起きていません…。
ところでいままで『ハンマー』ってずっと言ってきてますが、言い方は『ハンマー』で合ってるんですかね…。
『ストライカー』とかの方が正しいような気がしてきました。
実銃だと『コッキングインジケーター』だと思うのですが、コイツがバルブノッカーを直接叩いている以上、何かインジケーターって言い方に違和感がありますし…。
まあ、そんな細かい事は置いといて、一旦King Arms MDT LSSのカスタムは以上になります。
まだやりたい事色々あるんですが、一旦これで長距離撃ってから考えます。
もしかしたらその前に着手するかもしれません。単純に注文した材料が届いてないだけなので…。
具体的には、
- ノズルの延長 or パイノズル化
- マガジンのガタツキを減らす
- HOPの直押しパーツの加工
辺りですかね。
とりあえず、延長ノズルかパイノズルは早急に試したい事です。
これによりBB弾の保持位置が安定して初速のブレが更に抑えれる可能性がありますので。
それ以外はオマケみたいな感覚です。
オマケ 動作検証している間にハンマーが結構凹みました
動作検証でかれこれ200発程度は撃っている最中に気がついたのですが、ハンマーがかなり凹んでいました。
初速や動作には今の所影響は出ていないものの、果たしてこのままでいいものか…。
上の写真の赤矢印がハンマーで、材質はダイカスト。
一方、青矢印のバルブノッカーの材質はスチールです。
ダイカストでスチールを叩いてる訳ですから、そりゃ凹みますよね…。
一応社外製でスチール製の強化パーツが出ているのでそれに変えるか悩みどころ…。
とりあえずもう暫く使ってみてから考えます。