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鮮明な視界で覗きやすく小型な等倍プリズムサイト、Vector Optics Calypos 1x30SFP SCOC-25のレビュー

記事作成日:2020年3月14日

Vector Optics製のプリズムサイト、『MODEL SCOC-25 Calypos 1x30SFP』をつぼみトレードカンパニー様よりお借りしたので、レビューしていきます。

まずは内容物の紹介から。
プリズムサイト、バトラーキャップ、クリーニングクロス、工具、取扱説明書、保証書が同梱されています。
取扱説明書は製品についての簡単な機能説明しか載っておらず、かなり簡素な物になっています。

尚、こちらの商品にはつぼみアームズ様の方で90日間の無条件返品保証が付いています。
保証の詳細に関してはつぼみアームズ様のブログをご参照ください。
https://tsubomi-arms.com/blog/914-2/

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こちらは2万円台前半で購入可能な製品で、ドットサイトのようなサイズ感でありながらスコープのようなレンズが付いている製品になります。
以前記事にした3倍プリズムサイトである『Vector Optics Calypos 3x32SFP』の等倍モデルと思って頂ければ良いと思います。

付属のバトラーキャップは非常にシンプルな物。
接眼側と対物側の両方に取り付けると写真左のような感じになります。

当レビューでは以後バトラーキャップは外した状態で行います。
という訳で、Vector Optics Calypos 1x30mm本体はこんな感じ。

一見ドットサイトのようなサイズ感の形状をしていますが、中身は円形レンズと三角錐を用いた光学サイトである「プリズムサイト」です。
プリズムサイトという製品自体はTrijicon ACOGやELCAN Specter DRが有名ですね。

対物レンズ側はシンプルな感じで外径は32.95mmでした。

バトラーキャップも付属しますし、被弾対策にはポリカーボネートプレートを挟み込むのが良いでしょう。

対物レンズ側にエレベーテーションダイヤルとウィンテージダイヤルが付いています。
ダイヤルのキャップは紛失防止用のワイヤーで本体に固定されています。

ダイヤルはマイナスドライバーやコインなどを使って回す事が出来ます。
1クリックで1/2MOAレティクルが動き、最大で120MOA動かす事が可能です。
ダイヤルはカチカチとクリック感のある物でした。

イルミネーション用電池ボックス兼輝度調節ノブはBushnell TRS-25のような感じで斜め45度の位置に置かれています。
対応バッテリーはCR2032、輝度は11段階で調節する事が可能です。

マウントは20mmレールに対応し、側面のノブを回す仕様です。
2箇所に突起がある形状なので、レールとの相性問題が発生する事があります。
ピカティニーレールへの取り付けは問題ありません
でしたが、ウィーバーレールの方は未検証。
また、VSR10のような溝の間隔が特殊なレールへの取り付けも未検証です。

尚、ノブには緩み防止用のスプリングワッシャーが入っています。

ディオプター(視度調節ノブ)はこんな感じで滑り止めが付いています。
等倍プリズムサイトを好んで使う方が多い理由の1つとして、この視度調節ノブの存在が挙げられると思います。

同じ等倍の光学サイトでも、ドットサイトは視力に応じた調節を行う事が出来ませんが、プリズムサイトやスコープでは基本的に視度調節ノブが付いています。
このノブを使ってピントを合わせる事によって、ある程度の補正が出来るのです。(あまりに乱視が強すぎたり、視力が悪かったりする場合は限界があります)

レンズとレティクルについて

Vector Optics Calypos 1x30mmの対物レンズ側と接眼レンズ側はこんな感じ。
共にマルチコートが施されており、対物レンズ側から覗くと大小様々な、沢山のレンズが存在する事が分かります。
接眼レンズ側のコーティングはどことなく同社製のショートスコープ、Foresterの物に似ている気がします。

尚、残念ながらプリズムを確認する事は出来ませんでした。(たまにプリズムが確認出来る製品があるので…)

レティクルは十字、サークル、ドットが組み合わさった物。
かなり大きめのレティクルで、視認性が高いのが良いですね。
また、中央のドットはかなり小さいので、遠くのターゲットを狙う際にターゲットがレティクルで隠れてしまう問題が起きにくそうです。

また上の写真で分かる通りプリズムサイトはドットサイトと違ってスコープと同じようにレティクルがレンズ上に描かれている為、電池が無い状態でも使用する事が可能です。

尚、このレティクルは『Etched VEP-ROD』という名前みたいです。

イルミネーションを点灯させるとこんな感じ。
屋内だと11段階中4〜5段階位で丁度よい明るさで見る事が出来ました。

レティクルの左下側が少し薄いのが気になりますが…。

視野に関しては等倍プリズムサイトらしい広い視野があります。
そして、15cm近いアイレリーフがあり、アイボックスも十分な広さがあるのでこれならドットサイト感覚で使う事も出来ます。

ただし、目を離しすぎるとこんな感じにプリズムの形にケラれていってしまいます。
カメラを必要以上に離した状態で、カメラの位置を変えずにレティクルにピントを合わせた状態(写真左)、レンズにピントを合わせた状態(写真右)で撮影しています。

面白いですね。
円形のレンズを用いているスコープだと周囲が均等にケラレるのですが、プリズムサイトはプリズム(三角錐)を用いているので、このような形でケラレるんですね。

動画の方がイメージを掴みやすいと思ったので撮ってみました。(前後、上下左右への視点移動を行っています)

もっとも、プリズムサイトが全てこのような形にケラれる訳では無いので、レンズ構成とか設計的な部分の違いだと思われます。
恐らくレティクルの左下が薄く見えるのもレンズやプリズムの配置による問題のような気がします。

レンズの歪みとパララックスについて

という訳で、いつものパララックス検証をやっていきます。
網目を見る限り、レンズの歪みは特に無さそうです。

この状態で視点を上下左右に動かすのですが、先述の通りプリズムの形にケラれてしまい、すごく不思議な感じになりました…。

ちょっと気になったのは視点を上下に動かした時です。
十字の左右部分をよく見た頂けると分かりやすいと思うのですが、この時にレティクルが変形するんですよね…。

恐らくこれも設計の問題のような感じ…。
もっとも、「だから何だよ」的な感じではあります。
こんなに大げさに視点を動かさなければ気にならない問題ですので。

屋外で見てみました

という訳で、屋外で覗いてみました。
場所は近所の河川敷で夕方ごろに撮影しています。

写真左は20m程度先の杭を見ています。写真右は250m程度先を見ています。
レティクルは11段階中10段階目で丁度良かったです。

そして、近距離も遠距離もしっかり視認する事が可能です。
私は乱視持ちなので裸眼で20m先の看板の文字を読むなんて不可能なんですが、このプリズムサイト越しなら問題なくよむ事が出来ました。

続いて、逆光の状態でも撮影してみました。
ドットサイトよりも逆光の状態での視認性が高いのも、プリズムサイトやスコープの長所の1つだと思います。

もっとも、両目照準をしている場合はサイトを覗いていない方の目がめっちゃ眩しいんですがね…。

銃に取り付けた時の相性について

銃に取り付ける場合、等倍のサイト故の注意が必要です。
Calypos 1x30mmの前側にアイアンサイトが付いている場合、このように視野内に入ってきて結構気になります。
この通り、レティクルの真下にぼやけたフロントサイトが配置されるのです。

ライトやレーザーモジュールなども同様ですね。
配置や高さによっては視界内に映り込んでしまう可能性があります。

また、マウントの高さがAbsoluteなので、AR15系の銃に取り付けた場合はこのようにアイアンサイトと完全に被ってしまいます。

その為、アイアンサイトが付いていない銃か、折りたたみ式のアイアンサイトになっている銃、もしくは20mmレールの位置が高く、サイトとレティクルが被らない銃に取り付ける事をオススメします。

Calypos 1x30mmは小型なドットサイトのようなサイズ感なので、こんな感じでSMG系との相性は良いと思います。

Vector Optics Calypos 1x30mmの総評

Calypos 1x30mmはプリズムサイトの入門機種として、もしくはコストパフォーマンスを重視する層に向けてオススメ出来る製品だと思われます。

以前『PrimaryArms 1X Compact Prism Scope』という違うメーカーのプリズムサイトをレビューしましたが、この製品に比べると外装の質感、レンズコーティングやレンズ・プリズム、レティクルの設計など色々な部分においてCalyposの方が劣っています。
しかし、Calyposは比較的購入しやすい価格帯で且つ実用レベルの性能を担保出来ているというのが大きな利点だと思います。

視野の広さに関してはほぼ同じですし、レティクルも大きく視認性が高いです。
アイボックスに関してはCalyposの方が少し狭い感じですね。

プリズムサイトの利点としては以前にも何度か紹介していますが、『ドットサイト以上の視界を確保出来る』、『視力の補正(厳密には視度の調整)がある程度出来る』という事が挙げられます。

見た目はドットサイトみたいな形をしていますが、構造的にはスコープですからね。
接眼レンズに映った像を見るので、ドットサイトのようにチューブ内が視界に入る事は無いです。

視力の補正に関しては、裸眼で像やレティクルにピントが合わずぼやけてしまうような状態でも接眼レンズ側の視度調節ノブを使う事で、ピントをあわせる事が出来ます。

写真左のようにボヤケて見えてしまう状況でも、写真右のノブを回して調節が出来る

もちろん、万能という訳では無く限界はありますがね…。
あまりに乱視が酷かったりそもそも補正できないレベルの視力だとどうにもならないので、注意が必要です。

個人的にVector Opticsはこういう製品をバンバン出してくれているのがとてもありがたいメーカーだと思います。
プリズムサイトで安くても実用性を担保している製品って案外少ないですからね…。(ノーブランドのプリズムサイトは結構酷い個体が多い印象)

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