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ドットサイト比較 Vector Optics Maverick GEN3 SCRD-38 VS HOLOSUN HS403A

記事作成日:2020年5月13日

つぼみトレードカンパニー様からのご依頼で、以前お借りしてレビュー記事にした『Vector Optics MAVERICK 1×22 MIL SCRD-38』と、昔個人的に購入した『HOLOSUN HS403A』の比較を行います。

私がHS403Aを購入した当時(2017年頃)だと、Vector Opticsと言えば安かろう悪かろうなメーカーでノーブランド品にブランド名が付いただけのような製品が多かったのですが、ここ数年の間でVector Opticsは爆発的な成長を遂げ、今では実用レベルの実銃用光学機器メーカーに進化していった印象があります。

特にドットサイトの成長が凄いですね。
未だにちょっと微妙な製品も多々ありますが、Maverickシリーズに関しては気合を入れて開発しているのか、かなりのバリエーションが存在し、どんどん性能が上がっています。

GEN1:最初期モデル。レビューしてます。値段相応(7980円)のドットサイト。ぶっちゃけ、クオリティは低い。GEN1とは呼ばれず、ただのMaverick。
GEN1.5(?):GEN1の形状のままレンズの透明度が向上、輝度の選択肢が広く、視認できない位に暗い状態から眩しすぎるくらいまで明るくする事が出来る。(友人が買ったが、かなり良さげ)
GEN2:Aimpoint Micro T2風なデザインになり、エレベーテーション・ウィンテージノブが直接回せる仕様になっている。全体的にレティクルの輝度が上がっている。
GEN3:GEN2以上にレンズの透明度が向上、レティクルの輝度が更に向上。

といった感じで、細かいアップデートも含めると僅か3年の間に4種類もの製品が出ているのです…。
メジャーアップデートだと1年に1機種って感じですね。

という訳で、そんなMaverickシリーズの最新作であるSCRD-38とHOLOSUNの低価格帯ドットサイトであるHS403Aを紹介します。
蛇足ながら、HOLOSUNも昔はVector Opticsみたいな感じでしょぼいT1レプとかCompMレプみたいなドットサイトを作ってたメーカーだったりします。
今はそういった製品がごっそりカタログ落ちしてますが、4年だか5年位前はまだ残ってた記憶があります。

と、そんな昔話はここまでにしておいて、SCRD-38とHS403Aを比較してきます。
尚、比較写真は左側がSCRD-38、右側がHS403Aとなっています。

付属品の違い

個人的には付属品の量って全然気にならないんですが、意外と気にする人多いらしいんですよね…。
SCRD-38は本体、レンズカバー、ローマウント、キルフラッシュ、工具、クリーニングクロスが付属。
HS403Aは本体、レンズカバー、ローマウント、工具、クリーニングクロス、説明書が付属します。

SCRD-38にはキルフラッシュが付属するものの、説明書が付属しません。

サイズ感、重さなどの比較

まず、SCRD-38もHS403AもT1タイプと言われていますが、SCRD-38の方が大きいです。
SCRD-38の方がデカイですね。

上から見ると長さの違いがよく分かる気がします。

また、付属のハイマウントの高さが共にLower 1/3 cowitnessなので、レンズの位置は同じなのですが、高さも異なっています。
SCRD-38の方がフレームが分厚い感じ。

SCRD-38の方が大きいという事もあり、重量で差が生まれています。
バッテリー込みの重量でSCRD-38が184g、HS403Aが121gとなっています。

銃に取り付けた場合の見た目について

最も一番シェア数が多い?と思われる形状の銃であるM4系を使って、銃に取り付けた際の見た目を比較してみます。

MBUSとセットでドットサイト単品を取り付けた状態だと、こんな感じでSCRD-38の方は凹み4つ分ほどレールが余るのに対し、HS403Aでは凹み7つ分ほど余ります。

ドットサイトの大きさは見た目だけではなく、レールの占有率に影響を及ぼします。

例えば、この状態でマグニファイアを配置する場合、SCRD-38の方はかなり窮屈な感じになり、ドットサイトの接眼レンズとマグニファイアの対物レンズがぶつかるギリギリの位置になります。
組み合わせるマグニファイアによってはMBUSを外さないと取り付けられない可能性もありますね。
一方、HS403Aは比較的ゆとりを持ってマグニファイアを取り付ける事が出来ます。

各部の操作性、使い勝手的な比較

マウントベース

SCRD-38にはQDマウントが付属しており、スムーズな着脱が可能ですが、HS403Aはトルクスドライバーが必要です。

ドットサイトを銃に取り付けたままならあまり気にならないのですが、頻繁に着脱する場合、毎回トルクスドライバーを使ってマウントを外すのは少々手間です。
その分、SCRD-38はワンタッチで着脱可能なので、非常に楽です。

エレベーテーションノブ・ウィンテージノブ

SCRD-38もHS403Aも、エレベーテーションノブとウィンテージノブにはキャップが付いており、ゼロイン調節時にキャップを外す必要があります。

SCRD-38には何かに引っ掛けたりして不意に緩まないようにする為か、前後がカバーで覆われており、少々回し辛いです。
最初のうちは写真右のようにノブの先端の突起を摘んで回して、ある程度回したら側面を掴んで回す必要があります。

HS403Aはカバーが無いのでそのままキャップを摘んで回す事が出来ます。

私は頻繁にドットサイトを付け替えますし、銃のセッティングをコロコロ替えるので、頻繁にゼロイン調整をやってます。
その為、キャップの外しやすさというのは結構重要だと感じるんですよね…。

また、SCRD-38もHS403Aキャップの上面がマイナスドライバーの変わりになっており、外したキャップを裏返してゼロインを調整する仕様になっています。
もちろん、別途マイナスドライバーを用意して回す事も可能です。

この際、SCRD-38はダイヤル側に回転方向が書いており、キャップを被せた時にどっち方向に回せば良いか?の印が隠れてしまいます。
一方HS403Aはキャップ側に回転方向が書いてあるので、回転方向が分からなくなる事がありません。

もっとも、普通は反時計回りでUP(R)なので、そういう風に覚えておけば困る事は無いんですが…。

バッテリーの交換方法について

SCRD-38は本体側面に電池ケースが配置されているので、側面のキャップをコインドライバーやマイナスドライバーで回す事で電池の交換が可能です。
一方、HS403Aは本体底部に電池を収納する仕様になっており、電池交換の度にマウントベースを外す必要があるのです。
これ、結構面倒くさいです。

出先で硬貨を持っていないケースって殆ど無いと思うんですが、トルクスドライバーを忘れてたら詰みです。

輝度調節について

SCRD-38は側面の電池ケースが輝度調節ダイヤルを兼ねており、11段階の調節が可能になっています。
HS403Aは本体上部に+と-のボタンがあり、クリックする事で輝度を調整します。輝度は10段階+NV2段階の12段階です。

SCRD-38は現在の輝度が分かりやすいので、「これくらい明るい時は輝度いくつに設定すれば良いか?」を理解しておく事で直ぐに目的の明るさに調整する事が出来ますが、HS403Aは現在の輝度が分からないので実際に覗きながらボタンをポチポチ押して調整する必要があります。

これを手間と思うか、当たり前の事と思うかは人それぞれだと思いますが、一応違いとして紹介しておきます。

対応しているレンズガード

光学サイトをサバイバルゲームで使う際の必需品であるレンズガードですが、共にAimpoint micro T1サイズの対物レンズ外径なので、T1対応のレンズガードを使う事が出来ます。
例えばGuns Modify製のT1ドットサイト用レンズプロテクターを装着した状態がこちら。

ドットサイトの形状が独特だとこういうレンズカバーを付ける事が出来ませんからね…。
尚、付属品の比較でも紹介した通り、SCRD-38にはキルフラッシュが付属するので、キルフラッシュをレンズガードとして使う事も可能です。

レンズ性能や視界について

続いて、レンズ性能や視界について見ていきます。

レンズのコーティングについて

SCRD-38の対物レンズはマルチコートが施されたレンズの奥にルビーコートが施されたレンズが配置されています。
HS403Aはルビーコートが施されたレンズのみです。

マルチコートが施されたレンズを配置する事で、フレアやゴーストの原因となる乱反射を抑え、余分な波長の光を通さない事で透過率を高める事が出来る上に、ルビーコートのレンズを汚れなどから保護する事が出来ます。
いわゆる合理的な保護レンズみたいな感じですね。

接眼レンズは共にマルチコートが施されていますが、SCRD-38の方が大分色が濃いですね。
コーティングの色の濃さによる影響があるのかは正直分からないので、単に色に違いがあるという事だけ紹介します。

覗いた時の見え方について

SCRD-38のレンズ径は22mm、HS403Aは20mmとカタログスペック上はSCRD-38の方が大きなレンズが搭載されているのですが、これにはちょっとしたトラップがあります。

この写真を見て頂けると分かると思うのですが、レンズが小さいハズのHS403Aの方が明らかに視野が広いです。

これはSCRD-38の構造が原因です。
Maverickシリーズは昔からこの構造なのですが、発光モジュールが筒状のパーツに固定されており、この筒が傾く事によってレティクルの位置を動かし、ゼロイン調整を実現しています。
そして、この筒の直径がレンズよりも小さいのです。

その為、レンズはSCRD-38の方が大きいのに視野が狭いという事が起こります。

レンズの透明度とレティクルの見え方について

レンズの透明度はSCRD-38の方が確実に高く、ほぼ無色透明と言っても過言ではないレベルにクリアです。
HS403Aも比較的透明度が高い部類ではあるものの、青みがかっているのに気づけるレベルの青さは残っています。

レティクルの大きさはSCRD-38が3MOAでHS403Aが2MOAと、1MOAの差がありますが、僅か1MOA差なので大きな見た目の違いはほぼ無いと言っても良いでしょう。
ただ、若干SCRD-38の方が楕円かな…?といった感じで、レティクルの美しさはHS403Aの方に軍配が上がります。

レティクルの輝度について

冒頭に書いた、各世代ごとの違いでも少し触れましたが、Maverickシリーズは世代が新しくなる度にどんどん輝度が上がっていっている感じです。

そして、最新モデルであるSCRD-38は再低輝度の状態でも明るい屋内で十分視認可能な明るさを持っており、最大輝度にすると眩しいくらいにギラギラ光ります。

一方HS403AはNV2段階、可視光10段階という仕様上、全く視認できない明るさから眩しい位の明るさまで幅広く調整する事が可能になっています。
ただ、HS403Aだと最大輝度にしてもSCRD-38の最大輝度よりかは暗いです。

蛇足ながら、HOLOSUNのNVモードは明るすぎる気がするんですがね…。
NVに残像が残らないように注意しましょう。


という訳で、Vector Optics Maverick GEN3 SCRD-38とHOLOSUN HS403Aの比較はこんな感じです。

SCRD-38が9,980円でHS403Aが18,800円と、2倍近い価格差のドットサイトを比べてみたのですが、いかがでしょうか?
長所・短所がそれぞれありますが、比較対象として使えるレベルにはまともに戦えるレベルの製品だと個人的には感じました。

HS403AとSCRD-38を比較した場合の長所・短所を比較すると、ざっくりこんな感じになると思います。

HS403Aに対するSCRD-38の長所

  • 1万円を切る安さ
  • レンズの透明度が非常に高い
  • 輝度が高く、視認性の良いレティクル
  • 電池の交換が楽
  • ラバーカバーによる本体の保護、ノブの脱落防止
  • キルフラッシュが付けられる

HS403Aに対するSCRD-38の短所

  • micro T1系としてはサイズが少し大きめ
  • 視野が少し狭い

SCRD-38は1万円を切る価格帯の製品としては、十分すぎる性能だと思います。
もちろん、ブランドや形状の好き嫌いは人それぞれ持っていると思いますが、純粋なドットサイトの性能としては十分な物があると思います

初代のMaverickは全体的にダメダメだったんですが、3年でここまで進化したか〜と。
それでいて、初代から2000円位しか値段の変化が無いのに驚きです。

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