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G.A.W.新作チャンバーパッキン、マルチフィット保持ぴったんを使ってみた

記事作成日:2020年5月25日

G.A.W.新商品『マルチフィット保持ぴったん 0.25g~用』を
GAW x M-Factory M-chamber for ZShot RTW
を組み込んだSYSTEMA PTWとSilverback SRSに組み込んでみました。

という訳で、まずはマルチフィット保持ぴったんの紹介から。

こちらは宮川ゴム工業所にて専用の金型から作られている、東京マルイ系電動ガン用チャンバーパッキン互換のチャンバーパッキンで、2020年5月現在販売に向けて準備中の状態のパッキンになります。
材質はニトリルで硬度は60度となっています。

今回はその量産サンプル品を頂いたので、紹介していきます。

こんな感じで外観は至って普通の電動ガン用のチャンバーパッキンです。
硬度が60度と、使い勝手の良い硬さだと思います。

そもそもチャンバーパッキン選びには人それぞれ色々な考え方があり、一概に「これが良い、これが悪い」という物は無いと思っています。
もちろん、どんだけHOPを掛けても弾詰まりするだけの奴、撃ってると千切れてしまう奴、直ぐボロボロになる奴など色々問題を抱えている物もありますが…。

パッキン選びの判断材料として、ゴムの材質に硬度、口の大きさ、厚み、パッキン全体の外径、HOPの突起の形状などなど、色々と考える要素は多いです。
独特な仕様をしていると、相性問題も起きやすかったりしますしね。

そんな中、東京マルイ形状のパッキンは1つの基準として最も無難だと思うので、私自身マルイパッキンを使って調整を始める事が多いですし、完成後もマルイパッキンを使い続ける事があります。
最近だとSIG AIR MCXとかマルイパッキンですね。

東京マルイ純正のチャンバーパッキンと比較するとこんな感じ。
並んでる左側が保持ぴったん、右側がマルイです。
尚、手元に新品のマルイパッキンが無かったので、Mチャンバーに入れていた物を拝借している為、少し消耗しているのとパッキンの全長が違っていますが、気にしないで下さい…。

パッキンの口の角度や長さ、厚みなどはほぼ同じですが、ほんの僅かに保持ぴったんの方が肉薄である事が分かります。

これは内径がタイトなMチャンバーでも組み込みやすくしている為のようです。
これにより、従来では出来なかった参式滑空銃身のようなバレルの外径が若干太い製品と組み合わせる事が出来るようになったそうです。

一方、スタンダード電動ガンのチャンバーに組み込む場合は相性によっては少しスカスカになってしまう可能性があるので、その場合はバレルにテープを巻いてクリアランスを調節する必要があります。

微調整程度ならセロファンテープで良いと思います。
少し盛るならシールテープ、もっと盛るならアルミテープみたいな感じで、私は使い分けをしています。

この保持ぴったん最大の特徴はHOPの突起の形状にあります。
パッキンを裏返してみると、一見東京マルイ製品と同じような感じの形状をしているように見えるのですが、よく見ると若干突起の大きさが、保持ぴったんの方が大きい事が分かります。

サイズ感や突起の位置形状としては、宮川ゴム マルイ純正タイプの突起をそのまま大きくしたような感じですね。

これにより弱いHOP量の状態でも突起をしっかり突出させる事が出来る上に、BB弾の保持位置をノズルに近づけ、保持位置のブレを抑える効果が期待できます。

理屈としては宮川ゴムの2点長掛けタイプを入れる事で、BB弾の保持位置が安定するのと同じ感じのような気がします。
下記比較の通り、宮川ゴム 2点長掛けとほぼ同じ位置から突起が始まっています。

これらのパッキンを並べるとこんな感じになります。
黄色線が保持ぴったんの弾の保持位置、赤色四角が突起の大きさと位置を表しています。
マルイ純正系は黄色い線と赤色四角の間に若干隙間がありますが、保持ぴったんと2点長掛けはそれがありません。

僅かな差ではあるものの、これが結構大きな影響を及ぼしたりするのです…。

Mチャンバーに組み込んでいきます

まずはMチャンバーに取り付けて試してみる事にしました。
まあ、Mチャンバー用に設計しているパッキンですし、1つはMチャンバーで試すのは当然でしょう。

ピストンやバレルなどの仕様が気になる方は以前のカスタム記事をご参照下さい。
ざっくり言うと、バレルはKM企画 TNバレル407mm、チャンバーはMチャンバー、ノズルにねりねり堂製 パイノズル化アタッチメントを組み込んでいます。
シリンダーはフルシリンダー、ピストンスプリングはG.A.W. Anti Shrink Spring for ZShot RTW 81%に5mmのスペーサーを追加といった感じになっています。

まずはそのままパッキンを取り付けるのですが、このままでは長すぎるので、カットし、Mチャンバーのバレルクリップがしっかり固定出来る長さにします。
※Mチャンバーのバレルクリップは通常と前後を逆にして取り付けるので、パッキンを加工する必要があります。

後は元に戻すだけ。
マルイパッキンよりも外径が狭いという事もあって、比較的入れやすかったです。
尚、HOPクッションは東京マルイ純正の虫ゴムからほぼ同じ外径のシリコンチューブに変更しました。

HOPの突起はこんな感じで、HOPの突起が全く出ていない状態から弾詰まりするレベルでHOPが飛び出した状態まで幅広く調整する事が可能です。
これなら0.25gとは言わず0.20gでも問題なく使えますね。
使えるというだけで、ノズル長が適切かどうかは二の次になりますが…。

この状態で各種HOP量で弾の保持位置の確認を行いました。
実際、長距離を撃つまでどのHOP量が適切かが分からず、弾の保持位置調節も勘になってしまいますが、「弾棒」があればだいたい分かります。
クリアランスチェック用の必須アイテムですね。

結果、BB弾がパッキン突起の真下に来るような状態になっていた(BB弾の位置が前すぎる)ので、保持位置を調整する必要が出てきました。
なので一旦ノズルを分解し、中に入っているパイノズル化アタッチメントを少し削り、BB弾が後ろ側(ノズル側)で保持されるように調整しました。

何度か微調整を行った結果、ノズルより少しだけ奥まった位置にパイノズルの先端が来るような感じがちょうど良いという結論に至りました。
これでも純正のノズルよりもBB弾の保持位置は若干前の方になっています。
ほんのコンマ数ミリの差ですが、これが結構大きい(と思ってます)。

Silverback SRSに組み込んでいきます

もう1つパッキンがあるので、何に組み込もうか悩んでいたのですが、Silverback SRSにする事にしました。

こちらの銃は現在、東京マルイ純正パッキンを使っており、色々調整・検証中の状態です。
まだマルイパッキン状態でのデータが取り切れていないんですが、まあ良いかなと。

まず、私のSRSは純正オプションパーツのドラム式HOPチャンバーを組み込んでおり、インナーバレルはKM企画 TNバレル 534mmを使っています。

尚、大前提としてSRSのチャンバーは対応パッキンの寸法がおかしくて、パッキン形状自体は通常電動ガン互換と言えるのですが、めちゃくちゃ分厚いパッキンを入れる事を前提としているようで、かなり嵩増しする必要があります。

マルイのパッキンを入れた時もシールテープを2重位巻いてちょど良い状態でしたが、もとも外径の狭い保持ぴったんを入れた場合、厚さ0.08mmのアルミテープを3重に巻いて丁度よい状態になりました。

ボコッと大きな段差が生じていますが、これで丁度なんですよ…。
尚、HOPクッションは今まで通り極太シリコンチューブを使っています。

シリコンチューブを極太にしている理由ですが、この銃は0.28g以上の重量弾を飛ばす仕様にしており、HOPの突起をなるべく稼ぐ為です。
この銃は30mチャレンジでしか使う気の無い重ですし、0.28g〜0.43g位の弾がしっかり飛ばせれば良いのです。
なので、こんな感じでHOP 0の状態でもコブがガッツリ出ます。

このHOP量だと0.25gだとめちゃくちゃ浮きますし、0.28gでも少し浮き気味になるでしょう。

そして、やはりSRSでもノズル長の調整が必要でした。
今までさんざん削りまくってきたノズルですが、保持ぴったんに合わせる為に追加で約0.4mm短くしました。

これで丁度よい弾の保持位置になりました。
なんか弄る度にノズルを削っていっている気がします。
箱出し状態から3mm位はノズル長を短くしているんじゃないでしょうかね…。

という感じでMチャンバーもSRSも、私は弾の保持位置を後ろに下げる加工を行っていますが、これは共にマルイパッキンに合わせて弾の保持位置を調整していた為です。

ノズル長の調整などをやっていない場合は恐らく特に何もする必要が無いか、やるとしても若干保持位置を前にする作業する事になると思います。
この辺りは自分の銃の状態に合わせて、適切な対応をするべきでしょう。

実際に撃って具合を確かめてみます

こういう製品は撃ってみないと何も分からない…という事で、シューティング苺屋さんにて撃ってみました。

ターゲットまでの距離は約30m、ターゲットはハリボーの缶(写真左の赤矢印の所に置いてある)
だいたい人の顔と同じ程度の大きさで、サイズ感を分かりやすくする為にタバコの箱を置いてます(写真右)

まずはMチャンバーを組み込んだトレポンです。
使用弾はプレシジョンマックス 0.28g バイオBB弾で、適正HOPでの初速は79m/s前後(0.874J前後)でした。
尚、HOPの量はダイヤルを40%位回した状態で丁度良い具合でした。
かなり少ないHOP量で0.28gを飛ばす事が出来るようになっている感じです。

射撃体勢はシッティング。
銃は特にレストはせず、両手で普通に構えて撃っています。

こんな感じの結果になりました。
前半はセミオート、後半はフルオートで撃っています。

特に大きな問題は感じられない弾道でした。
多少手ブレや銃の傾きが原因で弾が逸れる事はありますが、これは射手の問題ですし…。

続いて、Silverback SRSを試します。

使用弾はG.A.W. マッチグレードBB弾 0.43gで、フラットな弾道にする事は出来ず、射角を付けた山なり弾道になっています。
初速は62m/s前後(0.826J前後)でした。
HOPはダイヤルの数値が1の状態で一番飛距離とグルーピングのバランスが取れていたので、そこで計測を行っています。

射撃体勢はシッティング。
銃にバイポッドを取り付け、台の上に置いて射撃を行っています。

結果はこんな感じになりました。
ちょっと他の射撃の銃声や着弾音が混ざってて分かりづらいかもですが、こちらも割と安定している飛びだと思います。

東京マルイのスタンダード電動ガンや次世代電動ガンもそうですが、箱出し状態で適切なノズル長になっているとは限らず、結構ノズルとパッキンの間のクリアランスがあったりするのです。

このクリアランスを埋める方法は大きく3つあり、1つがパイノズルやでんでんむしなどの弾の保持位置を前側に変更する事が出来るノズルを使ったり、ノズルの中にパイプを詰めてノズル長を伸ばしたり、予め長めのノズルを買ってきて削って長さを調整するなどの、BB弾の保持位置を前側にズラす方法があります。

2つ目が、宮川ゴム 2点長掛けを始め、メイプルリーフ、魔HOPなどの弾の保持位置を後ろにズラせるパッキンを使うという方法もあるでしょう。
またスリックパッキン+面の押しゴムでも同様の効果を得られる事もあります。

3つ目は最近ではあまりメジャーでは無い気がするので、ちょっと異色系ではありますが、参式滑空銃身やかっぱバレルのような弾の保持位置を上方向にズラす事が出来る製品も似た効果を生む事があります。

今回紹介しているマルチフィット保持ぴったんは上記の2つ目に当たる製品だと思われます。
弾の保持位置を後ろにズラして、クリアランスを抑えるタイプという事ですね。

長掛けパッキン程では無いですが、HOPの突起が大きくなっている事によって、重量弾を飛ばしやすくするだけではなく弾の保持位置も後ろにズレるので、「保持ぴったん」の名前の通りクリアランスを減らす効果もあるでしょう。

こういう細かい調整によってグルーピングは良くなっていく物だと思っているので、精密射撃をやる人だけではなく、普通にサバゲー用の銃としても使い勝手がよくなっていくので、オススメというかやった方が良い調整だと思います。
普通にバリケードとかブッシュの隙間を抜いて狙えるの、楽しいですし。

ただし、基本的にテンプレ通りには行かず、個体毎の微調整が必要なので面倒くさい作業ではありますが…。