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流行りのコンパクト系マグニファイア、American Defense FLIK3のレビュー

記事作成日:2020年11月26日

つぼみトレードカンパニー様より、American Defense製のマグニファイア、『FLIK3 3X マグニファイア + スイングマウント』をお借りしたのでレビューしていきます。

FLIK3のパッケージはとてもオシャレです。

側面には製品の情報、スペックが記載されています。

こちらの製品は小型な3倍マグニファイアとスイングマウントのセットになっている製品で、簡単なスペックは下記の通り

倍率:3倍
アイレリーフ:66.0mm
ひとみ径:5.5mm
対物レンズ径:20mm
視野角:7.28度(91.44m先で12.7mの視野)
視度調節範囲:-2.5〜+2度
重量:200g
大きさ:長さ75mm、幅48mm、高さ51mm

アメリカンディフェンス 3X マグニファイア + スイングマウントhttps://tsubomi-arms.net/shopdetail/000000000161

販売価格が54200円と、比較的値段の高めなマグニファイアになりますが、マグニファイアの価格相場としては中の上程度の値段のようです。
参考価格として、EoTech G33が9万円程度、VORTEX VMX-3Tが3万円程度、VORTEX MICRO 3Xが5万円程度といった感じです。

箱を開けるとこんな感じで色々入ってます。
ドットサイトを抑える為のクッションに『FLIK』と書かれているのがこれまたオシャレですね。

という訳で、内容物はこんな感じ。
マグニファイア本体とライザープレート2種、ライザープレート用ネジ2種(4本)、ネジロック剤、説明書類、クリーニングクロスが入っています。

ライザーを取り付けたりする為の工具は付属していないようなので、別途用意する必要があります(詳しくは後述)。

という訳で、FLIK3はこんな形のマグニファイアです。
外装は全面がラバーでコーティングされており、独特な質感になっています。

反対側はこんな感じ。
この通り、とにかく装飾が凄いです。
デザイン性重視って感じなんでしょうか…。

20mmレールへの取り付けが可能なスイングマウントも付属します。
ウィーバーレール・ピカティニーレールの両対応です。

スイングマウントはこんな感じで、ロックする為のレバーやボタンなどは無く、力を加えるとスイングされます。
ヒンジ部分はかなりガッチリしており、一切のガタツキがありません。

マグニファイア側面にはAmerican Defenseのロゴと『AMERICAN DEFENSE MFG』と書かれています。

対物レンズ側はこんな感じで少し奥まった所にレンズが付いています。
結構縁が太く、レンズ自体は小さく感じます。
冒頭で紹介したカタログスペックでも書いている通り、対物レンズ径は20mmです。

ドットサイトと組み合わせた際に、ドットの位置を調整する為の『ドットセンタリングスクリュー』は工具不要で指で摘んで回す事が可能です。

これを回す事で写真のようにドットの位置を動かす事が可能になります(ゼロイン調整ではありません)。
どんなマグニファイアにも付いている機能ではあるのですが、工具無しで弄れるのは何かと便利です。

視度調節ノブはこんな感じ。

付属のスイングマウントは基部がアルミ、ヒンジ部分がスチール、QDレバー周りはチタンで出来ています。
軽さを維持しつつも、強度が必要な場所はしっかり硬く作られているのが良いですね。

QDレバーの締め付け具合の調節はレバーを押し込みながらマイナスネジを回す事で行います。
この辺りはよく見かける操作方法ですね。

FLIK3のレンズコーティングとレンズ内側のプリズム、視界について

レンズは対物・接眼共にマルチコートが施されています。

そして、このマグニファイアのサイズを実現する為に一般的なレンズだけではなく、プリズムも用いられています。

対物レンズから奥を覗き込むと、プリズムの構造をちょっとだけ確認する事が出来ます。

どうやら対物レンズ側にプリズムが備わっているようですね。

視界はこんな感じです。
かなりクリアな視界で、自然な色味ですね。

FLIK3とホロサイトの組み合わせとアイレリーフやパララックスについて

マグニファイアはドットサイトと組み合わせて運用する物なので、とりあえず無難所なEoTechホロサイト(EoTech 552)を取り付けてみました。

アイレリーフはカタログスペックで66.0mmとなっていますが、実際もそれくらいな感じでした。
限界まで離すと70mm程度はありますが、ちょっとケラれやすくなります。
長いアイレリーフという訳では無く、マグニファイアとしては無難な感じ。
アイボックスに関してもそこまで広くはなく、少しズレると直ぐにケラれてしまう感じですね。

この辺りは動画を見ていただけると分かりやすいかと思います。

マウントをスイングさせるとこんな感じになります。

FLIK3使用時とスイング時を斜め前方向から撮ってみました。

スイングマウントの動きはこんな感じです。
そこまで強い力は不要ですが、かといってユルユルという訳でもない程よい抵抗があり、スイング時「カチッ」と音が鳴ります。

スイングマウントの機能とライザープレートについて

FLIK3付属のスイングマウントにはちょっと色々な機能が備わっているので、ライザープレートの装着と併せて紹介します。

まず、マグニファイアを固定しているネジを外すには1/8インチの六角レンチが必要です。
アメリカの製品なのでインチ規格なのは仕方がないでしょうね…。

2本のネジを外すと、スイングマウントとマグニファイアを分離させる事が出来ます。

マグニファイア側のネジ穴に関しては直接ねじ切りがされているのではなく、ヘリサート(コイルインサート)で補強されているような感じでした。

という訳で、こちらにライザープレートを取り付けていきます。
FLIK3に付属するライザープレートは4mm厚と8mm厚の2種類。
今回は4mmのライザープレートを付けてみます。

尚、ライザープレート無しの状態がAbsolute、4mmのライザープレートがlow co-witness、8mmのライザープレートがlower 1/3 co-witnessに該当するようです。

組み合わせるドットサイトの高さに応じて交換する感じですね。
ちなみに2枚のライザーを組み合わせて使う事も不可能では無いですが、ネジの長さが足りないので普通には取り付ける事が出来ません。
というか、多分メーカー非推奨かと…。

という訳で、4mm厚のライザープレートを取り付けるとこんな感じになります。

一旦ライザープレートに関してはこんな所で、スイングマウントの機能について紹介します。

FLIK3のスイングマウントはマグニファイアの前後位置を調節する事が可能です。
写真左側は標準の位置、右側はマグニファイアを接眼側に動かした状態です。

これが出来るの、凄く良いと思うんですよね。
アイレリーフの短いマグニファイアは取り付ける位置がかなりシビアになりがちで、場合によってはストックを短くしておかないといけなかったり、アイアンサイトの取り付けを諦めないといけなくなったりなど、色々妥協しないといけない場面に遭遇するのですが、この機能のお陰でかなり緩和されると思います。

特にFLIK3のような短いマグニファイアだとどうしてもマウントの位置と接眼レンズの位置が近くなってしまう為、銃側のセッティング(リアサイトの大きさ、ストックの長さなど)によっては覗き辛い位置にしか置けないという事も少なくはありません。

更に、マグニファイア側の向きを変更する事で、スイング出来る方向を右方向から左方向に切り替える事も可能です。

マグニファイアのスイング方向は好みがある所ですからね。
例えば左利きの人は左側にスイングさせた方がスイングさせた時に視界の妨げにならなかったりするので、向きを選べるのは良いですね。

ちなみに、取り付け方として間違っているので当たり前なんですが、上下を逆にするとネジ穴の位置が合わないです。

まあ、この状態だとマグニファイアを取り付ける事も出来ないですからね…。

EoTechホロサイト以外のドットサイトと組み合わせてみた

先程、EoTech 552と組み合わせて紹介しましたが、他の製品とも組み合わせてみます。

まず、HOLOSUN HE530C-GR
こちらは普通にライザープレート無しの状態で丁度良い高さになっていました。

レンズが赤っぽいのはHE530C-GRの仕様です。
環境光の色温度によっては赤っぽく見えてしまうのです。

小さいマグニファイアとでっかいドットサイトの組み合わせ、悪くはない気がしました。
ただ、HOLOSUNのツルッとしたデザインに対して、FLIK3のゴテゴテしたデザインの組み合わせがちょっと微妙な感じもします。

続いて、HOLOSUN HS403Aです。
こちらは4mmライザープレートの状態で丁度良い高さになりました。

王道なマイクロT1型ドットサイトとの組み合わせ例ですが、FLIK3の主張が凄いですね…。
やっぱり組み合わせる光学サイトを選ぶマグニファイアな印象があります。

最後に、VORTEX RAZOR AMG UH-1です。
こちらもライザー無しで丁度良い高さになりました。

こういう感じのごっつさとは相性が良いかもしれませんね。

まあ、FLIK3と一番相性が良いのって同社製のドットサイトである『SPEK』だと思いますが…。

他のマグニファイアと比較してみます

FLIK3はとても小型なマグニファイアです。
サイズ感の比較として、いくつかのマグニファイアと比較してみます。

まず、実物マグニファイアの中では恐らく国内で最もユーザーが多い?と思われるノーベルアームズ製の3倍マグニファイアから。

スリムさはノーベルアームズ製3倍マグニファイアの方が上ですが、FLIK3はかなり短いのが分かると思います。

続いて、ごっつい系マグニファイアであるサイトマーク製の3倍マグニファイア『XT-3 Tactical Magnifier』です。

この2つのマグニファイアは共にハウジングがラバーで覆われているという共通点があります。

最後に非常に似ているコンセプトの製品であるVORTEX MICRO 3X マグニファイアとの比較。

サイズ感はほぼ同じですが、外側の装飾のせいでFLIK3の方がごっつい感じが強いです。

VORTEX MICRO 3XとAmerican Defense FLIK3の比較

これはレビューする前から薄々感じていた事なんですが、FLIK3の中身って実はVortex Micro 3Xマグニファイアと同じなんじゃないか?という疑惑…。
というのも、事前情報の時点で色々似ている所が多いのです。
という訳で、せっかく両方の現物が手元にあるんですから比較していきます。

以後、写真に写っている左側がVORTEX MICRO 3Xマグニファイア、右側がAmerican Defense FLIK3となっています。

まずは対物レンズ側から。
レンズを抑えるパーツしかりレンズのコーティングの感じしかり、似過ぎでは…?

接眼レンズ側はこんな感じ。
視度調節ノブの滑り止めのデザインが違う位で後は瓜二つ。

違いが出てきたのは対物レンズ側から覗き込んだ時に見える特徴的な模様です。
非常に良く似ているのですが、ちょっとだけ違ってますね。(内側の上面を覗いてます)

しかし、下側に関しては模様は同じ感じ。

側面に関してもよく似ていますが、こちらにはVortexには無い(暗くて見えない可能性もあります)部品が確認出来ました。

この通り、全体的にとても良く似ています。
ただ、Vortexの方が明らかに内側が薄暗いですね。

レンズの色味に関しても差が生まれています。
Vortexは若干黄ばんだような色味で少し暗いのですが、American Defenseの方はかなり自然な色味(強いていうなら若干赤っぽい)になっており、明るいです。

左がVortex、右がAmericanDefence

見比べてみると、明らかなレンズ性能の違いを感じました。
ただ、アイレリーフやアイボックスに関しては全く同じ感じです。

これは仮説の域を出ない話ですが、VORTEX MICRO 3XマグニファイアもAmerican Defense FLIK3も共に中国製ですし、中国工場でこういう小型なマグニファイアを作る事が出来る工場が現れ、そこのOEMではないか?と考えられます。

そして、レンズ性能違いでグレードを選択出来る方式にしているのだとしたら、同じような設計で性能が異なるという現象にも納得がいくと思います。
こういうスタイルは決して珍しい話では無いですからね。

かなりざっくりした感想になりますが、VORTEXのMICRO 3Xマグニファイアよりも少し高いだけ光学性能も少し高い…と思って頂けると分かりやすいかと思われます。

American Defense FLIK3の総評

FLIK3について完結にまとめてみます。

  • 好みが別れたり、銃やドットサイトとの組み合わせで問題が起きやすそうな特徴的なデザイン
  • 覗きやすさは無難。アイレリーフ・アイボックス共に広くも無く狭くもない。
  • 視界も無難。広くも狭くもない。
  • レンズは非常にクリア。歪みもなく、綺麗な視界。
  • ドットセンタリングスクリューが工具不要なのが便利。
  • スイングマウントの操作が気持ち良い。不安もストレスも無い。
  • マグニファイアの前後位置を調整出来る機能が本当に素晴らしい。

といった感じです。

マグニファイアの性能としてはかなり無難な所を攻めていると思うので、この感じなら、他社製品からの乗り換えも問題は無いでしょう。
むしろスイングマウントの調整が出来る分、他のマグニファイアよりも優れているとも言えるかもしれません。

アメリカンディフェンス 3X マグニファイア + スイングマウントhttps://tsubomi-arms.net/shopdetail/000000000161