2.5世代〜第3世代NVG比較 GSCI PVS-14C(Echo+)、BNVD1431(中国2.5世代白管)、AN/PVS-14A2(OMNI7)、AN/PVS-14 (WP18un FOM1000-1500)を比べてみた
記事作成日:2021年3月10日
先日、GSCI PVS-14C Echo+の緑管(Green Phosphor)、白管(White Phosphor)のレビューを行いましたが、他にも色々なNVGと比較出来るタイミングがあったので、比較してみました。
という訳で、今回比較するのは下記5機種
- GSCI PVS-14C-EC-ELITE(Green Phosphor Echo+, Autogated + Manual Gain – FOM 2000+)
- GSCI PVS-14C-ECW-ELITE(White Phosphor Echo+, Autogated + Manual Gain – FOM 2000+)
- BNVD1431(中国2.5世代白管)
- AN/PVS-14A2 OMNI7
- AN/PVS-14 WP18un(FOM1000-1500)
前回の比較から加わったのはBNVD1431と白管のAN/PVS14の2台ですね。
出来れば2.5世代の緑管があると、GSCI PVS14C-EC-ELITEとの比較が出来そうだったのですが今回は揃わなかったので、緑管の比較としては微妙かも知れません。
ただ、BNVD1431に入っている光増幅管が2.5世代の白管なのでGSCI PVS-14C-ECW-ELITEとの2.5世代白管比較は出来そうな気がします。
共に光電面にマルチアルカリを採用しているので、特性も似ている気がします。
また、第三世代白管との比較として、FOM1000-1500の白管を組み込んだAN/PVS-14との比べています。
という訳で早速見ていきましょう。
尚、撮影環境は深夜、満月に近い状態で比較的明るい状態で撮影しています。
NVG側のゲインは全て最大状態、カメラの設定はマニュアルで固定させています。
IRライト消灯時、点灯時の比較
という訳で、まずはIRライト無しの状態とライトを点灯させた状態での比較です。
NVGに付いているIR補助光ではなく、別途850nmのIRライトを点灯させています。
また、NVGのフォーカスは肉眼で撮影前に調整し、撮影時にはカメラ側のマニュアルフォーカスでピントを合わせています。
GSCI PVS-14C-EC-ELITE
まずはECHO+の緑管が入っている、GSCI PVS-14C-EC-ELITEから。
IRライト無しの状態だとこんな感じ。
ノイズは少なめですが、全体的に少しぼんやりした感じです。
ただし、ノイズが非常に少ない為、ぼやっとしているものの、動きの認識はしやすい気がします。
例えば物の形をしっかり視認する事は難しいですが、「何かある」「何かが動いた」といった情報は得られる程度の解像度はあると思います。
IRライトを点灯させるとこんな感じで、若干解像度が上がったような感じになり、元々暗くてぼやっとしていて認識し辛かった木の枝の先の方まで視認出来るようになりました。
IRライトの効果は偉大ですね。
GSCI PVS-14C-ECW-ELITE
続いて、ECHO+の白管が入っている、GSCI PVS-14C-ECW-ELITEです。
緑管に比べるとほんの僅かに暗い感じがしましたが、これは色の問題かも知れません。
解像度やノイズの量に関してはGSCI PVS-14C-EC-ELITEと同レベルな感じで、色が違っているだけかも知れません。
それにしても、このECHO+はノイズが少ないですね。
IRライトを点灯させると、照らしている部分がかなり明るくなり、GSCI PVS-14C-EC-ELITEの時よりもIRライトの有無での差が大きい気がしました。
また、これはPVS-14C-EC-ELITE、PVS-14C-ECW-ELITE共にそうなのですが、像の周囲(フチの方)のボヤケ具合が少し大きい感じがしました。
これに関しては当記事後半で詳しく紹介しています。
BNVD1431(中国2.5世代白管)
次はBNVD1431です。
これは増幅管の選択肢が色々あるのですが、今回は中国2.5世代白管を搭載したモデルを見ていきます。
尚、このBNVD1431に入っている中国製2.5世代白管は、Photonis ECHOと同じマルチアルカリ光電面を採用しているので、NVGとしての世代はもちろん特性もよく似た管と言えると思います。
もちろん、同じ物を使ってるから同スペックという訳では無いですが…。
という訳で、まずはIRライト無しの状態。
全体的に明るい感じがしますが、全体的な像のボヤケ具合はPVS-14C-ECW-ELITEよりも大きい印象があります。
コントラストが低めと言えば良いんでしょうか、全体的に像がふわっとしてる感じです。
また、ノイズはそれなりに出ています。
比較するとこんな感じで、BNVD1431の方が明るめですがふわっとした感じ(エッジがクッキリしていない)になっているのが分かると思います。
続いて、IRライトを点灯させた状態。
IRライトの照射によって確かに明るくはなっているのですが、少し大人しめな感じ。
もしかしたら850nmという波長をBNVD1431ではあまり拾ってくれないのかも知れないです。
また、IRライトを点灯させても全体的にふわっとした感じは変わらず、PVS-14C-ECW-ELITEではIRライトを使えば奥の方の木もクッキリ見えるようになったのですが、まだぼんやりした感じになっています。
比較するとこんな感じです。
同じ、マルチアルカリ光電面を採用している増幅管でも、結構差が出る事が分かりました。
やはりメーカーごとの特性みたいな物の影響は大きいですね。
という訳で一旦、ここまでがいわゆる「2.5世代」と呼ばれているナイトビジョンでの比較になります。
これ以降は第3世代と呼ばれているナイトビジョンとなり、光増幅管にヒ化ガリウムを採用している製品になります。
AN/PVS-14A2 OMNI7
まずはIR無し状態。
明るさは十分にありますが、ノイズが割と出ており全体的にチラついて見えます。
また、奥の方の木の枝を見ると少しぼんやりしているように見えますが、これはノイズが被っている影響が大きいようで、肉眼だとそこまでぼんやりしている感じはしませんでした。
同じ緑管という事で、GSCI PVS-14C-EC-ELITEと比較してみます。
若干AN/PVS-14A2 OMNI7の方がクッキリしていると思います(木の幹、芝生の鮮明さとか)が、劇的に違うかと言うとそうでも無い感じ。
ただ、ノイズの量に関してはGSCI PVS-14C-EC-ELITEの方がノイズは少ないです。
IRライトを点灯させるとこんな感じで、枝の細かい所までしっかりと認識出来るようになり、ノイズも無くなりました。
かなりパキッとした感じの像になっています。
AN/PVS-14 WP18un(FOM1000-1500)
最後に、AN/PVS-14に第3世代の白管を入れている製品との比較です。
IR無しの状態では緑管と同様に全体的にノイズが目立ちますが、緑管よりも全体的にクッキリした感じがします。
今回比較してきたNVGの中で一番視認性が高いかも知れません。
同じ白感という事で、GSCI PVS-14C-ECW-ELITEと比較してみます。
拡大すると分かりやすいと思いますが、GSCI PVS-14C-ECW-ELITEは本当にノイズが少ないです。
ただ、像が暗いのが残念な所。
ただ、IRライトを点灯させるとこんな感じで、確かに明るくなるものの劇的な変化はありません。
BNVD1431で起きたのと同じような現象のような気がします。
フラッシュライトで照らされた時の見え方について
続いて、フラッシュライトで照らされた時にどう見えるかを見ていきます。
使用しているライトはこちら。
SUREFIRE XH35で、LOW(300ルーメン)にしています。
いくら赤外線の波長が少ないLEDとは言え、流石にNVGの対物レンズに直撃させるのは怖いので、足元に向けて照射しています。
尚、このような感じで10m位の距離から光を当てています。
GSCI PVS-14C-EC-ELITE
ハロー、グレア共にかなり巨大で全体的に潰れているような状態になりました。
光源は十分視認出来ますが、光源周囲の色が完全につぶれてしまっています。
これは増幅管の性能ではなくレンズ性能の影響を強く受けるので、その点に注意して見ていこうと思います。
GSCI PVS-14C-ECW-ELITE
GSCI PVS-14C-EC-ELITEに比べるとハローは控えめな感じで光源も比較的分かりやすい感じですが全体的にフレア・ハローが大きく広がっています。
BNVD1431(中国2.5世代白管)
こちらも巨大なグレアが出ていますが、色の潰れ具合は少し控えめな感じがします。
地面の芝生も色が潰れていませんし、視界の左側に木の幹が写り込んでいるのですが、ギリギリそこも認識出来ています。
AN/PVS-14A2 OMNI7
これまでに比較してきた製品と比べるとハローもグレアも大人しめで、光源も分かりやすいです。
また、像もあまり潰れていないです。
AN/PVS-14 WP18un(FOM1000-1500)
こちらも上の緑管と同様にハロー、グレア共に大人しめ。
若干AN/PVS-14A2 OMNI7よりもハローが小さめなので視認性が高い気もします。
検証して少し気になったGSCI PVS-14Cのフチの歪みについて
以前のレビュー時点から像に歪みがある事自体は気になっていたのですが、ちょっとそこに関して詳しく調べてみました。
よく見てみるといわゆる「魚眼レンズ」とは少し違う見た目だったので気にはなっていたんですよね。
尚、この歪みは今回集めたNVGの中でGSCI製品でのみ確認でき、PVS-14C-EC-ELITEもPVS-14C-ECW-ELITEも同様の歪みがありました。
左が歪みの無い状態の像(AN/PVS-14A2 OMNI7)、右がGSCI PVS-14C-EC-ELITEです。
共に同じ距離で撮影しており、被写体の頭から足まで収まっています。
これで気づいたのは、GSCI製品は若干の倍率が付いているという事です。(人が少し大きく見えます)
そして、歪みに関してはどちらかと言うと「潰れ」である事が分かりました。
周囲のみ像が圧縮されているような感じの見え方になっています。
足元も同様です。
中央はピントが合っているので、全体的にボヤケているという訳では無い事が分かります。
という訳で、こんな感じで色々と比較をしてみました。
フレア・グレアの検証でも感じましたが、GSCI製品はレンズ性能が少し低めで、一方ノイズの少なさが特徴的な製品なのかも知れません。
また、IRライトにより明るさを確保してあげた時に解像度が大きく上がるのも特徴と言えるでしょう。
BNVD1431(中国2.5世代白管)に関してはGSCI製品よりもレンズ性能が高めですがノイズが多めで少し解像度も低い印象です。
この2製品に関しては、こういった差があるなと感じました。
また、覗きやすさや視野の広さに関しては今回比較した製品の中では基本的にどれも似たような感じで、強いていうならGSCI GSCI PVS-14Cには少し倍率が付いているという事もあってか、若干視野が狭く感じられました。
ただし、今回の検証のように定点に固定して、見比べたりしない限りは気づけ無い程度の差なので、倍率や視野の狭さに関してはそこまで大きなデメリットとは言えないという印象です。