トレポン新作、SYSTEMA PTW INFINITYキットがようやく届きました(開封レビュー)
記事作成日:2021年9月15日
2021年2月24日に予約したSYSTEMA PTW INFINITYキットですが、ようやく届いたのでレビューします。
INFINITYのロゴが印刷されたオシャレなパッケージの中に、パーツが収まっています。
尚、当記事はSYSTEMA PTW INFINITYキット自体のレビュー(内容物の紹介と分解)のみで、調整や組み込みなどは追って別の記事で行ないます。
全部を1記事に収めようとすると、とんでもないボリュームになってしまうので…。
SYSTEMA PTW INFINITYキットの内容物は下記。
説明書などが入っているCD(PDF形式で保存)、ダミーモーター、L字レンチ2本、モーターピン、セレクター連結ギアカバーと固定ネジ、セレクターレバー周りのパーツ、インナーバレルASSY、シリンダーASSY、メカボックスです。
説明書がCDに入ってるのはSYSTEMA製品の伝統ですが、INFINITYもその伝統(?)に従いCDにデータが入ってます。
日本語、英語のPDFが入っており、日本語だけ印刷した所20ページありました。
中には組み込み手順と加工方法(INIFINITYの組み込みにはレシーバーに加工が必要)、操作説明、パーツリストなどなど色々な情報が含まれているので、事前によく読んでおいた方が良いと思います。
ただCD読めない人はどうすれば良いんですかね…?
まあ、購入店とかにお願いしたらデータ貰えそうな気もしますが…。
という訳で、INIFINITYキットについて紹介していきます。
ダミーモーターについて
INFINITYキットには「ダミーモーター」というパーツが付属します。
SYSTEMA PTWにおいて、グリップはモーターにネジ止めされる仕様になっている為、グリップ内モーターでは無くなったINFINITYではPTW用のグリップを取り付ける事が出来なくなります。
その為、モーターの変わりにこちらのダミーモーターをレシーバーに取り付ける事で、グリップの固定を可能にしている訳です。
レシーバーに固定される側と、グリップを固定するネジ穴側はそれぞれこんな感じ。
尚、レシーバーを実グリップがハマるように加工を施し、純正オプションパーツやIRON Airsoftから出ているリアルサイズ グリップベースを取り付ける事で、実グリップを無加工で取り付ける事が可能になります。
自分は最初このダミーモーターを使って組み立てますが、追々実グリップ取り付け加工を施そうと思っています。
INIFINITY 専用 ショートバレルアセンブリ(150mm)について
INIFINITYキットに付属しているインナーバレルは以前、『ショートインナーバレル(150mm)&シリンダーユニットセット』という名前で販売されていた、いわゆる流速シリンダーキットに付属するのと全く同じと思われる、短いバレル長のインナーバレルASSYが付属しています。
SYSTEMAおなじみの段付きテーパー加工が施されており、結構深めのテーパーになっています。
また、チャンバーのシリンダーヘッドに接する側には溝が設けられており、ここにシリンダーヘッド側の突起がハマる仕様になっています。(詳しくはシリンダーヘッド紹介時に記載)
この仕様の為、そのままではチャンバーのみ従来品と交換という事が出来ません。
従来モデル用のチャンバーを使う場合、シリンダーヘッド側を弄る必要があります。(こちらについても詳しくは後述)
そんなインナーバレルASSYを分解していきます。
まずはHOP調節用のイモネジを限界まで緩めた状態で、バレルロックキーを抜きます。
これでインナーバレルASSYをバラバラにする事が出来ます。
パーツ構成的には従来品と違いは無いですね。
尚、パッキンベースがチャンバーから抜けなかったので、ここはこのままです…。
無理に外そうとすると精度に影響を及ぼしてしまうので、よほどの事が無い限りこの部品は外す必要無いと思います。
インナーバレル長さは150mm、テーパーの深さが10mmなので、実際の滑空距離は140mm程度になります。
かなり短いですねぇ…。
尚、チャンバー周りで気になったのは、HOPパッキンの長さ。
少し短く、片側に寄ってました。
もちろん、固定もされていないので左右に動いちゃいますし回転もします。
HOPアジャスター自体もインナーバレル側に対してルーズで、ガタつきがあります。
ここは要調整箇所ですね…。
INIFINITY 専用 シリンダーユニットアセンブリ(M130)について
続いて、シリンダーです。
こちらもインナーバレルASSYと同様に『ショートインナーバレル(150mm)&シリンダーユニットセット』という名前で販売されていた、流速キットに付属するシリンダーと同じ構成だと思われます。
違いはシリンダーの印が青色から金色になっているのと、サンギアを逃がす為の溝が大きくなっているという点位だと思います。
これはサンギアの大きさが従来品よりも大きくなっている事による加工になります。
つまり、INIFINITYでは従来品のシリンダーでは同様の加工を施さない限り使えません。
従来品(写真下側)と比較するとこんな感じ。
サンギアの外形がセクターギアと同じになっている為、セクターギアが通る穴と同じ大きさにまで拡張されている事が分かります。
シリンダーヘッドには4本のピンが埋め込まれており、これがチャンバー側の溝に収まる仕様になっています。
このピンのせいで溝の付いていない従来品のチャンバーが使えないという訳です。
ちなみに、このピンはラジオペンチなどで引っ張れば簡単に抜けるので、普通に抜いちゃえば良いと思います…。(分解時に解説)
という訳で、こちらのシリンダーASSYを分解していきます。
まず、シリンダーヘッドを外し、シリンダーヘッドとピストンを分離させます。
パッキン周りには粘度高めの茶色いグリスが塗布されていました。
シリンダーヘッドを分解して、チェック。
とりあえず内側のOリングもちゃんと入ってますし、熱さずに外せる程度の硬さでしたが、ノズルにもしっかりネジロック剤が塗布されていました。
尚、シリンダーヘッドに刺さっている4本のピンはラジオペンチで引っ張れば簡単に抜く事が出来ます。
もちろん、抜いた状態でも問題なく使えるので、互換性を考えて抜いちゃうのが良い気がしますね…。
PTW INIFINITYはセクターギアがDSG(9枚歯)になっている為、INIFINITYキットに付属するピストンのラックギアは9枚歯仕様になっています。
また、INIFINITYキットの初期流通分ではピストンのラックギアが茶色く変色し、茶色い粉末が付着している事から各方面から「錆びてるじゃん」と言われてました。
SYSTEMA曰く製造上の仕様という公式見解でしたが、それがどうでしょう。
全体がマットな黒色で染まっており、メチャクチャ綺麗になってます。
同一製品とは思えない代わり映えです。
一旦ピストンヘッドを分解します。
最近のSYSTEMA純正ピストンヘッドは昔みたいにエグい量のネジロック剤が塗布されておらず、簡単にピストンヘッドが外れてしまう個体が多い印象があります。
そのまま使ってるとピストンヘッドが外れてクラッシュしてしまう可能性があり、注意が必要です。
この個体も少し力を掛けただけで簡単に回ってしまいました。
ネジの先端にだけネジロック剤と思われる白い粉が付着していただけでした。
ピストンスプリングはM130。
SYSTEMA純正のM90スプリングですらかなり硬くてセッティングによっては扱いに困るのに、更に硬いスプリングが入っています。
正直こんな硬さ要らないんじゃない…?とも思うんですがねぇ…。
このスプリングも交換予定です。
最後にスプリングガイドを外しました。
こちらは従来品と特に違いは無いです。
INFINITYメカボックスについて
最後に、INFINITYメカボックスの紹介です。
INFINITYメカボックスはこの中に今までギアボックスの外に置かれていたモーターやFETなどの部品が全部収まっているという、衝撃のメカボックスです。
また、今までは選択式だったセレクターレバーの方式が、アンビセレクター仕様一択になっています。
バッテリーコネクタは最初からXT30になっています。
以前からXT30を使っている私としてはありがたいですし、個体差が非常に激しく相性問題による接触不良が起きやすいミニディーンズからXT30に切り替えたのは良い判断だと思います。
バッテリーコネクタとINFINITYギアボックスの間にはこのようなヒューズケースが付いています。
SYSTEMA PTWには今まで35Aのヒューズが搭載されていましたが、INFINITYでは25Aになっていました。
尚、このヒューズケースは単に基板にヒューズが付いているだけではなく、トランジスタっぽいなにかが付いていました。
何をやっているパーツなのか不明ですが、このヒューズケースからギアボックス側に伸びている線は+-の2本だけなので、この基板内で処理は完結していると思われます。
このヒューズケースごと外して使うとどうなるんでしょうね…(めっちゃ気になりますが、流石に試したくは無い)
続いて、メカボックス本体を見ていきます。
この小さな箱の中にモーターも制御用の基板も入ってるんですよねぇ…。
セレクターレバーの動きはこんな感じです。
今までセレクターレバーのクリック感を出す為のパーツはメカボックス内側に配置されていた物が、外側になっています。
また、この辺りの構造の変化に伴いセレクターレバーは外側からのネジ止めになっているので、従来品との互換性はありません。
付属のセレクターレバーはこんな感じ。
アンビセレクター側を抑える為のパーツも形状が大きく変わってますね。
上下はそれぞれこんな感じ。
下部に関してはギアとモーターがチラ見してます。
本当にメカボックスに収まるギリギリの寸法になっている感じですね。
メカボックスの前後にはロアレシーバーにネジ固定する為の穴が設けられているのですが、従来品と同様に左右に分かれているタイプなので、ネジを強く締め込むと割れてしまう問題が残されています。
組み込み時の締め込みトルクには気をつける必要がありますね。
また、ここの面取りが若干浅く、付属の皿ネジだとほんの僅かにネジ頭が飛び出します。
この部分(赤矢印)がボルトリリースボタンと干渉して、ボルトリリースボタンの検知スイッチがしっかり押せず、動作に支障をきたす可能性があるとの事なので、少し深めに面取りした方が良いそうです。
という訳でメカボックスを分解していきます。
まずはメカボックスからセレクター連結ギアを外します。
こちらはスチールプレスで作られているギアで、個体によって曲げの角度がおかしかったり、ギアの歯にバリがあったりする事があるらしいのですが、自分の個体は特に問題無さそうでした。
つづいて、セレクターレバーに連動して動くラックギア(金色のパーツ)とプランジャーを外します。
このセレクターラックには磁石が埋め込まれており、これの位置によってセレクターレバーの位置を検知しているようです。
プランジャーは小型な上に、プランジャースプリングが割と固めなので外す時には注意が必要です。
最近磁気検知流行ってますね。
実際マイクロスイッチなどよりも小型で壊れにくく、消費電力も少ないらしいので優秀なセンサーのようです。
外したセレクターラックとプランジャーはこんな感じ。
続いて、メカボックスを分解します。
今まではメカボックスを開ける前に基板を外すんですが、INIFINITYでは基板を外すのは最後です。
まず、モーターの周囲に付いている4本のネジを外します。(要T6トルクスドライバー)
この4本のネジは左下のみ短いので、組立時に注意が必要です。
尚、基板まで外す予定が無いなら左下のネジは外す必要がありません。
写真右のように長いネジ3本だけ抜けば良いです。
続いて、反対側のネジ2本を抜きます。
これもT6のトルクスドライバーが必要になります。
これでメカボックスが真っ二つになります。
メカボックスの中身はこんな感じ。
元々ベベルギアが入っていた所には小型のブラシレスモーターが、プラネタリーギアとモーターの間には「カウンターギア」という新たなギアが組み込まれています。
尚、軸受は簡単に外れますが、プラネタリーギアの軸受のみシャフトが圧入されているのか噛み込んでいるのか、外す事が出来ませんでした。
パーツリスト上では別パーツになっているんですが、そういえば昔のトレポンでもプラネタリーギアシャフトって軸受に圧入でしたね。
軸受はメカボックス右側にのみ付いており、モーターがボールベアリング、カウンターギアとプラネタリーギアが削り出しベアリングでした。
全て6mmで厚みが非常に薄い物が組み込まれています。
軸受を外した後、カウンターギアとプラネタリーギアを外しました。
尚、カウンターギアとプラネタリーギアは基本的にスムーズに回りますが一部分でかみ合わせの悪い歯があるようで、稀に引っかかる感触がありました。
暫く使ってれば慣れてくるとは思いますが…。
続いて、サンギアベアリングとベアリングプレートを外します。
尚、ベアリングプレートはINIFINITY用の物が売られているのでもしかしたら専用品なのかも知れませんが、パット見同じにも見えます。
続いて、セクターギアを外します。
INFINITYのセクターギアは9枚歯のDSGになっています。
形状はSiegetek Concepts Cyclone DSG for PTWとよく似ており、検知用の磁石は4枚目の所に埋まっています。
セクターギアの検知方式が光検知から磁気検知に変わっているので互換性はありません。
Siegetek Concepts Cyclone DSG for PTWとの大きな違いとしては光検知から磁気検知になった事によって穴が磁石になっている以外に、Siegetek Concepts製には付いていたギアの歯の面取りがINFINITYではありません。
ピストン側もサンギア側も、左右の面取りがされていません。
まあ、従来のSYSTEMAのセクターギア(SSG)も面取りはされてないんで、その設計のままDSGにしたってだけな気はします。
トリガーは従来品と同形状のようです。
トリガースプリングも従来品と同じですね。
ギアボックスを見ていて気になったのは、エジェクタピンの痕がバリになって、ギアに干渉する可能性があるという事。
指でなぞった際に若干引っかかる程度には窪みの周囲が飛び出しているので、ヤスリで慣らしてやった方が良い気がしました。
続いてモーターをバラします。
モーターは外しても特に調整出来る事は無いのですが、こちらも個体によって内側の磁石の位置がズレている個体があるそうなので、確認がてら外しました。
モーターのギア部分は磁力によってくっついているだけなので、プライヤーなどで掴んで引っ張れば外せます。
ギアを傷つけないように、樹脂プライヤーを使うのがオススメ。
見た感じ、磁石は綺麗に並んでいたので、特に問題は無さそうです。
コイルはこんな感じ。
中央にはワンウェイベアリング(一方方向にしか回転しないベアリング)が搭載されており、逆転防止として使われています。
G.A.W. SYSTEMA 逆転防止モーターヘッドでもワンウェイベアリングが採用されていますが、スペースの少ない所に逆転防止を実装するには都合が良い部品なのだと思われます。
最後に基板を外します。
まず、スイッチ基板を抜きます。
スイッチ基板は7本のピンでメイン基板に刺さっているだけです。
スイッチ類は従来品と同じレイアウトですが、セクターギア検知用のセンサーが無くなっています。
また、プログラミングカードを接続するコネクタがここに付いています。
ピンが7本とやたら多いのはそれが理由なのかも知れませんね。
続いてメイン基板を外します。
メイン基板を覆っている蓋のネジ2本を外します(要T3トルクスドライバー)
また、戻していたモーター部左下の短いネジを外します。
尚、蓋には絶縁テープが貼られており、その中央にはしっかりKUMI刻印が入っています。
今回のKUMI刻印は隠された場所に入っているようです。
これで基板を外す事が出来ます。
初期の頃に比べると色々変わってますね。
たぬき?っぽい印字は何なんでしょう…。
どこかのロゴでしょうか…。
あと、トリガー基板にも入っていましたが、ЯUマーク入りなので部品の品質は安心出来そうです。
という訳で、SYSTEMA PTW INFINITYキットのファーストインプレッション、開封レビューは以上になります。
とりあえず一通りバラバラにしたので、この次は調整しながらギアボックスやシリンダーなどを組み立てていきます。
実際にトレポンへの取り付け作業はその後になると思います。