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ARCTURUS(アークタウラス) PP-19-01 Vityazの分解レビュー

記事作成日:2022年4月8日

先日開封レビュー記事を書き、その後シューティングレンジで撃ってきたARCTURUS製電動ガン、PP-19-01 Vityazを分解していきます。

私の分解レビューは基本的に内部パーツの取り外しを優先的にやっていくのですが、AK系はだいたい外装パーツを外さないと内部パーツにアクセスする事が出来ず、ARCTURUS PP-19-01 Vityazも例に漏れず同じような仕様なので、外装パーツを外していかないと内部パーツにアクセスする事が出来ません。

外装パーツの分解

という訳で、まずはハンドガードから外していきます。
上部ハンドガードは普通にロックを外せば外れるので良いのですが、下部ハンドガードはロックレバーが噛み込んでたりして物凄く外しづらく、割と苦労しました。

上部ハンドガードはこれ以上分解不能。
実銃への転用防止用の為か、ガスチューブ部に切れ込みが入っています。

下部ハンドガードはレシーバー側に引っかかる突起が少し薄いものの概ね一般的な形状なので、無加工もしくは小加工で社外製品に交換する事が出来そうな印象があります。

ハンドガードは追々変えようと思っているので、その時に加工の有無や加工方法について紹介しようと思っています。

続いて、トップカバーを開けてダミーボルトとスプリングガイドなどのパーツを外します。

続いて、フロントサイト周りのパーツとフロントサイト基部パーツを外しました。
この辺りはピンを抜くだけで外す事が出来ます。

尚、フロントサイト周りに関しては分解に必須なパーツでは無いので、付けたままでも内部パーツを外す事は可能ですが、外しておくとフロントサイト基部を完全にアウターバレルと分離させる事が出来るので楽です。

続いて、アウターバレルを抜く為に上部からアウターバレルを抑えているイモネジを緩めてピンを抜きました。
このピンは前側から小さなイモネジによって抜けないようになっているので、イモネジを先に緩める必要があるので注意が必要です。

これでアウターバレルを抜く事が出来ます。
尚、この時点ではまだチャンバーがレシーバー側に固定されているので変な方向に力を掛けないように気をつける必要があります。

続いて、マグウェル内側からチャンバーを抑えている樹脂パーツを外します。
このパーツ、設計がおかしいのか接着剤で調整された痕跡がありました。

続いて、チャンバー左右のネジを外しました。
これでチャンバーをレシーバーから外す事が出来るようになります。

続いて、ストックとグリップを外しました。
ストックも内部パーツを外す為に外さないといけないパーツでは無いですが、ぶらぶらして色々と邪魔なので外しておきました。

次にセレクターレバーのネジを外してセレクターレバーをレシーバーから抜きます。
尚、ネジ頭はドライバーなどで回す事が出来ないので、ラジオペンチやプライヤーなどで掴んで回す必要があります。
尚、調整中に気づいたのですがこちらは六角ネジにキャップが付いているだけなので、そのキャップを外す事が出来たら六角レンチで外す事が出来ます。
ただ、六角穴にハマっているだけなので振動を与える以外で外す方法が無さそうな気がします。

大体のAKはセレクターレバーを外せばメカボックスがフリーになって外す事が出来るのですが、この製品はレシーバーが短いという事もあり折りたたみストックのロック解除ボタンがメカボックスを貫通しているので、これも外す必要がありました。
ロック解除ボタン側面に付いているイモネジを緩めればボタンを外す事が出来ます。

赤矢印の所にイモネジが付いている
外せばメカボックスがフリーになる

というわけで、これでバレルもメカボックスも外す事が出来たので、内部パーツの紹介をしていきます。

バレル・チャンバー周りの紹介

ARCTURUS PP-19-01 Vityazに入っているバレル・チャンバーは全体的に真っ黒です。

とりあえず構造は普通のチャンバーで、HOPを最小にした状態でバレルクリップを外せばチャンバーとバレルを分離させる事が出来ます。
特徴的なドラム式HOPダイヤル以外はよくあるAK用のチャンバーと大きな差は無い気がしますが、完全互換かは不明です。

HOPダイヤルを外すとこんな感じで、ダイヤルを回す事でHOPアジャスターを直接押し下げる仕様となっています。
このアジャスターは垂直にまっすぐ下がるので斜めに掛かったり歪む心配が無いのが良い構造だと思います。

HOPパッキンは結構硬めで硬度70位あるように感じました。
材質はニトリルゴムのような気がします。
HOPパッキンの突起はPDI Wホールドみたいな感じの2点掛け仕様、HOPクッションはHOPパッキンと同じ材質、硬度の物のようです。

真っ黒なインナーバレルは長さ250mmでHOP窓は程よく面取りされている悪くない形の物ですが、内径はかなりタイトらしくピンゲージを入れて確認した所少なくとも6.03mm以下の内径のようでした。

また、このインナーバレルは鉄製です。
しっかり磁石がくっつきます。

鉄のインナーバレルって久しぶりに見た気がします。
元々インナーバレルに使われる材質としてはアルミや真鍮が一般的でしたし、カスタムバレル系だと腐食耐性の高いステンレスが今は一般的ですからね…。
鉄のバレルがあった時代って、それこそ20年くらい前とかじゃないでしょうか…。

このインナーバレルは一応表面に酸化防止コーティングのような物が施されているようで、比較的錆びにくくなっているとは思いますが、どの程度持つかは不明。

メカボックスの紹介

ARCTURUS PP-19-01 VityazのメカボックスはVer3亜種系のFET搭載マイクロスイッチメカボックスです。
色々とオリジナルな要素が盛り込まれているのと、メカボックス後ろ側が普通のVer3よりも若干短くなっている専用品となっています。

また、セレクターレバーを固定するネジ穴にスチールのインサートが埋め込まれていたり、シリンダー周りが肉厚になっているなど強化されているポイントも見受けられます。

かなり特徴的なメカボックスなので軽く外側から見える特徴を紹介していきます。
と、その前にセレクターレバー周りのパーツが邪魔なので外しておきました。

マイクロスイッチトリガーについて

まずマイクロスイッチはこんな感じでメカボックス外側にむき出しになっており、2本の信号線がつながっています。

マイクロスイッチから飛び出しているスイッチ部の突起がメカボックス外側まで飛び出しており、トリガーを引くと専用部品がこのスイッチを押します。

スイッチが押されていない状態
トリガーを引いてスイッチを押した状態

このスイッチはメカボックスを分解せずに取り外す事が可能となっています。
尚、マイクロスイッチ本体はメカボックスにハマっているだけで特に固定はされていません。

普通トリガーのスイッチってメカボックスの内側に固定されているので、メカボックスを分解する必要があるので、こういうのはかなり珍しい構造のように思えます。

マイクロスイッチトリガーはKW7-0の端子を切った物が組み込まれていました。
スペックは16A 250V AC OR 125V ACとなっています。
簡単に蓋を開けれたので、中身も写真で撮っておきました。

調べてみると家電やゲームコントローラーなどにも使われているマイクロスイッチのようなので、訳わからないノーブランド品に比べると信頼性は高そうな印象です。

逆転防止ラッチ解除レバーについて

逆転防止ラッチ解除はこんな感じで、メカボックス左側面にネジ止めされています。
トリガー根本から逆転防止ラッチの所までアームが伸びています。

このレバー先端のボタン部を押すとこんな感じで、アームが下がり逆転防止ラッチを動かします。

通常時
逆転防止を解除した状態

尚、このアームは押されていない状態でも逆転防止ラッチと若干接触しているようで、たまに逆転防止ラッチが掛からなかった原因はここにあるような気がしました。

QDスプリングガイドについて

最近のメカボックスらしくしっかりQDスプリングガイド仕様になっています。
QDスプリングガイドにアクセスするにはスプリングガイドを抑えているこの蓋を外す必要があり、パット見特殊な工具を必要とするように思えますが、中央の穴が2.5mmの六角レンチに対応しているので、普通のドライバーでも外す事が出来ます。

その後、QDスプリングガイドを押しながら90度回せばメカボックスからピストンスプリングを外す事が出来ます。
QDスプリングにはスラストベアリングが付いており、ピストンスプリングは等ピッチで結構長めの物が入っていました。

ピストンスプリングにはオレンジ色の塗料が付着しており、恐らく工場の素材管理をする上でスプリングレートによって色分けされているものと思われます。

メカボックス内部の分解をすすめる為に、残ってるパーツを外していきます。

メカボックスからモーターホルダーを外してモーターを取り外します。

ARCTURUS PP-19-01 Vityazに搭載されているモーターはANB23Tというネオジウムボンド磁石を用いたモーターのようです。
ピニオンギアはエッジの鋭いタイプ。

ネオジム磁石なので当たり前ですが磁力はそれなりに高いですが、SHS 守護神 ハイトルクやAIP HT-40000などのトルク重視カスタムモーターと比べると非力な方で、どちらかと言うとEagle Force Hummer1100のような控えめな物に似ている印象があります。
とは言え、中華ガンによく入っているショボいモーターと比べるとだいぶ良いモーターだと思います。

メカボックス上部の背骨とメカボックス外側のネジを外し、メカボックスを開きます。
Ver3メカボックスはこのネジの本数が少ないのが良いですね。

メカボックス内部はかなり綺麗な部類で、グリスも適度な粘度の物が適量塗られている印象があります。
シムもしっかり調整されている訳では無さそうなものの、ギアやメカボックスと擦れない程度には適量挿入されています。

メカボックス内部のパーツ類を外して詳細を見ていきます。

まずトリガーはマイクロスイッチを押すためのパーツ以外は一般的なAK用と同じ形状のように思えます。

タペットプレートとノズルはこんな感じ。
まあ、普通ですね。

タペットプレートは普通のVer3互換形状のようです。
L時部分に補強が入っている高強度タイプですが角度が90度では無い為、ノズルが上向きに固定されてしまう状態になっています。

タペットプレートって新品でもこういうのがよくあるので本当困りますよねぇ…。
熱して曲げて正しい角度に出来ないなら、交換してしまった方が良いですね。

ノズルはLayLaxのシーリングノズルみたいな形状をしており、先端形状は前方吸気対応、内側にOリングが付いています。
材質はPOMのようです。

ノズル長は19.8mmと一般的なAK用ノズルに近い長さとなっています。

シリンダー・ピストン周りはこんな感じ。
加速量が多めの加速シリンダーが採用されているようです。

シリンダーヘッドは樹脂製、シリンダーはステンレス製です。
加速シリンダーの横長の加速穴が特徴的な位で後は無難な仕様です。

ピストンは全金属歯でラックギアの引き始めの2枚目が完全に削り取られているタイプ、ピストンヘッドは樹脂製で後方吸気タイプでした。

尚、ピストンヘッドのOリングはシリンダーに対して物凄くタイトな物が入っており、かなりの抵抗がありました。
パーツ構成的に見ると割といい初速と作動性になりそうなのに全然いい感じじゃない所を見ると、このピストンの抵抗が色々問題を起こしているような気がします。

特にこの銃のセッティングはシリンダーの加速穴を生かしてピストンを高速で前進させる必要があるので、Oリングのサイズはかなり重要になります。

ピストン内部にはスラストベアリングが入っており、若干の重量UPになっていました。
ピストン重量は27g。

尚、メカボックスのシリンダー周りは割れ防止加工が施されている他、肉厚になっており普通のVer3メカボックスよりも強度が上げられている事が分かります。
専用メカボックスは割れたらかなり困るのですが、この仕様ならそうそう割れる事は無さそうです。

ギアは18:1でARES、E&Lなど色々なメーカーでの採用されていてZCやSHS名義でも単品販売されているものですが、セクターギアが2枚削られている、14枚歯仕様になっているのが特徴です。

これはメカボックスの後ろ側が短くなっている事によるもので、通常の16枚歯だとピストンとメカボックスが衝突してしまう為です。

セクカ2枚の14枚仕様の純正セクターギア
一般的な16枚セクターギアだとピストンを引き切る前にメカボックスとぶつかる

もしギアを交換する場合、セクターカットを忘れないように注意する必要がありますね。

軸受は全て8mm軸受で、ベベルギアがボールベアリング、スパーギアとセクターギアはオイルレスベアリングとなっています。
全ての軸受がしっかり圧入されており、簡単には外れ無さそうな感じでした。

カットオフレバーはこんな感じ。
マイクロスイッチメカボックスではありますが、カットオフレバーは一般的なVer3用の物のようです。

セレクタープレートは独特な形状をしています。

尚、最後になりますが箱出し状態で逆転防止ラッチが掛からない事があった問題について調べてみた所、やはり逆転防止ラッチを解除させる機構に問題がありました。

まず、無負荷状態で既に逆転防止ラッチ解除レバーが逆転防止ラッチを押しており、ベベルギアと接触するかしないかギリギリの状態の位置に来ていました。
ベベルギアにも滑ったような痕が残っている事から、これが原因のように思えます。

また、この逆転防止ラッチ解除レバーには別の問題があり、スパーギアとも擦れていました。
これは歯の先端が少し擦れているだけで、逆転防止ラッチ解除レバー側が削れていたので動作時には気づかなかったのですが、これも問題ですね。
下手したらスパーギアの破損にも繋がる構造的な問題ですね。

これらの問題は削ったりして寸法を調節すれば解決すると思うので、調整時に行おうと思っています。


という訳でARCTURUS(アークタウラス) PP-19-01 Vityazの分解レビューは以上になります。

とりあえず全体的なパーツの品質自体は悪くないものの、多少の雑さを見受けられました。
特にピストンヘッドのOリングのサイズはかなりのロスを発生させていると思われますし、ユニークで面白いなと思っていた逆転防止ラッチ解除機構は色々問題だらけのようです。

また、メカボックスに関しては独特な仕様故に社外メカボックスに載せ替えたり、電子トリガーを入れたりといった事が出来そうに無いので、その辺りを弄ろうと思っている場合は注意が必要でしょう。

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