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ASG/DE Airsoft SAKO TRG M10の分解レビュー

記事作成日:2023年8月8日

先日、ミリタリーショップ H.T.G.様よりお送り頂き開封レビューを行ったASG/DE Airsoft SAKO TRG M10 エアーコッキング ボルトアクションライフルを分解していきます。

尚、今回分解を行うのは販売用の製品ではなく貸出用のプロトタイプで、各パーツの消耗具合から察するに恐らく結構使われています。
また、製品版と多少違いがある可能性もあるとの事で、いつもの分解レビューのような製品版かつほぼ新品状態の分解では無い事をご了承下さい。

もっとも、プロトタイプと言ってもここまで出来上がっていたら製品にある仕様変更は細かな箇所のブラッシュアップ程度で、内部に関しては基本的に同じだとは思いますが…。

ASG/DE Airsoft SAKO TRG M10は説明書とは別紙で分解図(パーツリスト)が付属するので、基本的にこの図面を見ながら外せそうなパーツを外していきます。
また、内部構造は東京マルイ M40A5とよく似ているのでM40A5の構造や分解方法も分かっているとスムーズな分解が行えると思います。

また、今回分解するのはあくまで調整・カスタマイズに必要になる箇所になります。
例えばストックのような調整のしようが無い箇所に関しては分解しません。

ボルト・シリンダーの取り外し

という訳で、まずはシリンダーを取り外します。
こちらの外し方は説明書にも写真つきで記載されています。

まず、ボルトロックレバーに付いているイモネジを外します。
SAKO TRG M10ではこのボルトロックレバーがスプリングガイドを固定するパーツになっています。

ボルトロックレバーを完全に取り外す事で、ボルト・シリンダーを抜く事が出来ます。

SAKO TRG M10のシリンダーはスチールで出来ており外形が22.15mmと細身です。

ノズルは段差の付いていないシンプルな棒状ですが、先端に段差が付いており若干ノズルが延長されているような見え方になっています。
とは言え、これでもちょっとノズル長足りてないのですが…。

ボルトの下部と左側にはスリットが空いており、下側はシアー用、左側面はボルトロックレバーを通す為のスリットになります。

底部の穴
左側面の穴

ボルト・シリンダーの分解

まずは先程取り外したボルトハンドルを分解していきます。

シリンダーヘッドには2個凹みが付いているので、ここにカニ目レンチを差し込んで回して外します。
これでピストン、ピストンスプリング、スプリングガイドを取り外す事が出来ます。

シリンダーヘッドはこんな感じでただのテーパーではなく大きな丸い凹みが付いています。
エアーの圧縮を高める効果があるとされていますが、その効果を得るには実際硬いピストンスプリングと組み合わせる必要があるので日本国内用のセッティングでは使い所が難しいシリンダーヘッドです。
凹みの周囲に黒い跡が付いていますが、これはピストンヘッドに付いている吸気穴の跡です。

ピストンはアルミ製の後方吸気タイプ。
Oリングは結構肉厚で、ピストンヘッドにはダンパーが付いています。

シアーに引っかかるフランジの角度は45度。

この写真を見て分かる通り、ピストンのアルマイトがガッツリ剥げて表面がザラザラになる程度には消耗しています。
写真では見やすいように汚れを拭き取っていますが、最初はグリスと鉄粉が混ってザラザラになったグリスが付着していました。

尚、ピストンの形状は同社製のMAGPUL Pro 700によく似ていますが、微妙に仕様・形状が異なっているようです。
どういう意図で仕様を変えたのか分からないので個体差の影響もあったりするのかも知れませんが、Pro700に付いていたスラストベアリングは無くなっており、シアーが引っかかるフランジの厚みも変更されています。

Double Eagle MAGPUL Pro 700のピストンにはスラストベアリングが付いており、フランジの厚みも薄い

ただ、基本的に東京マルイ M40A5と同寸法なのでピストンの交換は可能だと思います。(多少の調整は必要かも知れませんが…)
自分はMAGPUL Pro 700の時にAction Army製のピストンに交換しました。

ピストンスプリングは長さ162mm、外形13.1mm、内径10.4mmの柔らかめな物が入っています。
スプリングの末端は平らに処理されており、雑なスプリングカットなどは行われておらずちゃんと日本向けの柔らかいスプリングが用意されている事が分かります。

スプリングガイドはこんな感じで一本物のアルミの棒。
こちらもピストンと同様に表面が削れてザラザラになっていました。

こうなってしまうのはシリンダーに付いている穴のバリが原因だと思われます。
外側は比較的綺麗なのですが、シリンダーの内側を指でなぞってみると結構ザラザラしていたので、使う前に分解して面取してあげた方が良いと思います。

続いて、ボルトハンドル側を分解していきます。

SAKO TRG M10のボルト部にはコッキングインジケーターが付いているのですが、このインジケーターは東京マルイ M40A5と同様にピストンと連動して動く事から少し複雑な構造になっています。

まず、ボルトハンドル後ろのネジを外します。
これでコッキングインジケーターを引っ込ませる為のスプリングが抜け、コッキングインジケーターが飛び出します。
その後、ボルトハンドル下側のネジを外し、コッキングインジケーターを取り外します。

これでボルトハンドルを外す事が出来ます。
尚、ボルトハンドル用のプランジャーは真鍮製の物が2つ付いています。
ボルトハンドルがスチールなので、真鍮のプランジャーが結構削れていますね。

最後にピストンと連動してコッキングインジケーターを動かす為の棒を外します。
ピストンが後退するとこの棒が押されてコッキングインジケーターが動く感じですね。
尚、この棒はコッキングインジケーターを外した時点で抜き取る事が出来ます。

ちなみにM40A5タイプのこの構造はカスタム時にピストンに詰め物をしたりするとコッキング出来なくなってしまう事があるので、注意が必要です。
基本的に詰め物をした分、シャフトを短くする必要があります。

レシーバー周りの外装パーツの分解

続いて、フレーム側を分解していきます。
SAKO TRG M10は本体内部のパーツにアクセスする為に必要な外装の分解量がかなり多いです。

構造の元ネタになっていると思われる東京マルイ M40A5でも結構手間が掛かるで、これに関しては仕方がないのだと思います…。
特段難しい訳では無いのですが、単純に外す必要があるパーツ量とネジの数が多くて時間が掛かります。

という訳で、まずはHOP調整ダイヤルの所のカバーを外します。
ここは樹脂パーツにタップネジがねじ込まれているので、組立時に作られたネジ山を損傷させないように気をつける必要があります。

続いて、ハンドガードを固定しているネジを2本とナットを外します。
これでハンドガードを取り外す事が出来るようになります。

ちなみにハンドガードが外しづらい場合はトップレールとハンドガードが干渉している可能性があるので、トップレールを外すか少しネジを緩めて上げるとハンドガードが外しやすくなると思います。

という訳でこれで給弾ルート、HOPダイヤル基部などを視認する事が出来るようになります。

ただし、給弾ルートのパーツがマグウェル部と干渉してしまっているので、このままでは分解をする事が出来ませんでした。

その為、まずはロアレシーバーとアッパーレシーバーを分離させます。

ロアレシーバー底部に付いているネジを外すのですが、外す必要があるネジはマグウェル前側に2本、マグウェル内側中央付近に1本、セーフティーレバー、トリガー、そしてトリガーガード後ろ側(写真赤矢印部)です。
写真赤矢印部のネジはレシーバーの内側から取り出す事が出来無さそうでした。

これらのネジを外したらレシーバーを上下に分離させる事が出来ます。
当初、グリップを先に外さないとだめかなぁ…と思っていたのですがグリップはロアレシーバーに付けたままでも分解させる事が出来ました。

アッパーレシーバー側とトリガー周りはこんな感じ。
トリガーASSYはトリガーもセーフティーレバーも外してある状態なので、あっさりしていますね。
尚、トリガー側の分解は後述します。

HOPダイヤルの分解、チャンバーの取り外し

アウターバレルを外すにはまず給弾ルートやHOPダイヤル周りのパーツを外していく必要があります。

まず、HOPアームとHOPダイヤルを連動させる為のパーツを外します。
このパーツはピンを2本抜くだけです。

尚、黒色のピンには緩み止めのスリットが入っているので、抜く方向には気をつけましょう。

続いて、ロアレシーバーを外したら給弾ルートに付いている4本のネジを外し、HOPダイヤルを固定している4本のネジも外し、HOPダイヤルを取り外します。
その後HOPダイヤルを固定している基部パーツを外します。

給弾ルートに付いている4本のネジを外す
OPダイヤルを固定している4本のネジを外す
HOPダイヤルの基部パーツを外す

これで給弾ルートとHOPアームを動かすパーツ(エレベーションロッド)を取り外す事が出来るようになります。
尚、レベーションロッドはHOPアームに引っかかってるだけなので、スライドさせれば抜けます。

給弾ルートのパーツはこんな感じ。

これらのパーツを外した後、アウターバレルを固定しているナットに引っ掛けレンチを引っ掛け、回します。
結構硬く締め込まれているようで、初動が重いので気合を入れて回します。

ここまで分解してようやくチャンバーを外す事が出来る段階になりました。
まず、アウターバレル先端のパーツを外し、インナーバレルを押してバレル・チャンバーをアウターバレルから押し出します。

インナーバレルに付いている2個のスペーサーは接着剤で固定されているようで外せませんでした。
まあ、無理矢理外そうと思えば外せるでしょうけど…。

チャンバーはこんな感じで基本的にはM40A5の物にそっくりです。

正直チャンバーを取り出すまでの分解は初見では結構試行錯誤でした。
何度か分解・組み立てを行って見つけた最適解がこれです。

チャンバーASSYの分解

チャンバーを分解するにあたって、まずはHOPアームを外します。
SAKO TRG M10のHOPアームにはHOPアジャスターの左右の角度を変える事が出来る機能が付いており、少し複雑な構造になっています。

また、HOPアジャスターは2点押し仕様になっておりダイカスト製。
左右の角度を弄るギミックと一体型になっているのでHOPアジャスターの形状を変更するのは困難です。

その変わりと言って良いのか分かりませんが、材質がダイカストになっておりMAGPUL Pro 700よりも強度は上がっているように思えます。
ネジもミリネジになっていますね。

角度調整用のネジ
HOPアジャスターの脇に棒が付いており、ここが押されて角度が変わる
結構硬めのスプリンが組み込まれている

HOPアジャスターの角度を変更するとこんな感じになります。

右に傾けた状態
左に傾けた状態

HOPチャンバーに付いているOリングとネジを外し、チャンバーを真っ二つにします。
これでインナーバレルやHOPパッキン、BBストッパーなどを取り外す事が出来るようになります。

組み込まれているHOPパッキンはMAGPUL Pro 700と同様に宮川ゴムっぽいシリコン製の2点長掛けです。

結構汚れていますが突起はまだ綺麗ですね。
硬度は50度位のような柔らかさです。

インナーバレルのマズル側は深めのテーパー処理が施されています。
チャンバー側のHOP窓は若干ハの字状に開いているタイプでした。

バレル長は610mmとかなり長いです。
東京マルイ製品の中で最長のバレル長を誇るH&K PSG-1が590mmなので、それより20mmも長いバレルが組み込まれています。

ちなみに東京マルイ M40A5のバレル長は280mm、VSR10 プロスナイパー/リアルショックが430mmなので610mmという長さが異様な事が分かると思います。

蛇足ながらめちゃくちゃでかいライフルとしておなじみのSnow Wolf Barrett M82A1が670mm、SOCOMGEAR CHEYTAC M200のバレル長が640mmなのでそれよりかは短いです。

アッパーレシーバー側の分解

続いてアッパーレシーバーを分解していきます。
まずマウントベースを外します。

このマウントは30MOAの射角付きマウントベースという事もあり、ネジの長さに違いがあります。
一番前側のネジが短くそれ以外のネジは同じ長さです。

続いて、トリガーASSYをレシーバーから取り外します。
前後に付いているネジを外すだけです。

トリガーASSYを外したらレシーバー内側に付いているボルト用のスリーブ?インナーシャーシ?を外す事が出来ます。
このパーツはファイバー樹脂で出来ており、ボルトのガタツキを抑制し動きをスムーズにさせる為の物になります。

トリガーASSYの分解

SAKO TRG M10トリガーASSYはこんな感じでセーフティーレバーやトリガーを外す事が出来るのでかなりあっさりした見た目をしています。
また、トリガーの基部パーツは刺さっているだけなのでこれも外す事が出来ます。

シアーは相変わらず45度シアー用のピストンに90度シアーの組み合わせ
MAGPUL Pro700もこの仕様だったのですが、なんでこの組み合わせにしているんでしょうか…。
その影響もあってかシアーが変な風に削れています。

という訳で、トリガーASSYを分解していきます。
まずは外側に付いているレバーを外します。
やっぱりこのレバー、どこのパーツとも連動していないですね。

続いて反対側に付いているカバーを外します。
このカバーを外す事でセーフティーレバーにアクセスする事が出来ます。

SAKO TRG M10のセーフティーレバーはトリガーを引けなくする物とボルトハンドル自体をロックする物の2段階になっているのですが、その制御を行うパーツがここに収まっています。
また、プランジャーが付いているのでボールを無くさないように気をつける必要があります。

続いてトリガーボックスを固定しているネジを外し、真っ二つにします。

トリガーASSY内部はこんな感じ。
かなり独特な形状をしているのでほぼ非互換のような気がします。

シアー、トリガー、トリガーの位置調整用パーツはこんな感じ。

グリップ・ストックの分解

最後にロアレシーバーからグリップを分離させ、軽く分解を行ってみます。

まずグリップパネルの後ろ側を外す事で内側に六角レンチを3本収納出来ます。
この機能は開封レビューで紹介し忘れていたので、ここで紹介しておきます。

グリップパネルは底部のネジを外す
シャーシに付いている穴に六角レンチを差し込む事が出来るようになっている

グリップをレシーバーから分離させるにはグリップの上下に付いているネジを緩めます。(完全に外さなくても良いです)

これらのネジを緩めた状態でグリップを後ろにスライドさせると引き抜く事が出来ます。
この構造、グリップの前後位置も微調整出来る仕様になっているっぽいです。

グリップとレシーバーのつなぎ目はこんな感じになっています。

レシーバー側
グリップ側

ちなみにグリップをレシーバーから取り外した後、グリップ下部のネジと後ろに付いている小さなネジを外す事でグリップパネルの前側も外す事が出来るようになります。

尚、ストックはヒンジ部に付いているネジを外していく事で、グリップと分離させる事が出来ます。
とりあえずグリップ周りの分解はここまでで、ストック側の分解は行いません。


という訳で、これでASG/DE Airsoft SAKO TRG M10の分解レビューは以上になります。

東京マルイ M40A5がベースになっている事からやはり分解は結構手間が掛かりましたし、多くのパーツが専用品になってしまっているのでパーツの交換はあまり出来そうに無いですね。

各パーツの品質は悪くはないものの、手直ししたい箇所はちらほらありますし、特にシリンダーのバリは長く使っているとどんどんピストンが削れて言ってしまう原因にもなるので、修正した方が良い気がします。

もし調整やカスタムを行うのだとしたら各部のバリ取りやすり合わせ調整、MAGPUL Pro 700を弄った時のようにピストンの交換などは行いたい所ですが、今回はこのまま組み立てて返送する事になるので調整やカスタムなどは行いません。

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