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DE Airsoft Maxim Defense PDX AEGを使って調整の解説。最低限の調整を行っていきます。

記事作成日:2023年8月24日

お金を掛けたカスタム・調整も良いですが、なるべくお金を掛けずに必要最低限の調整を行っていきます。
ベストな選択ではなくベターな感じで行きます。

という訳で、今回は先日分解したDE Airsoft Maxim Defense PDX AEGを使って「どういう所を気にして調整するか」「どういう風に調整するか」に焦点を当てて記事を書いていきます。

下準備

とりあえず下準備として塗られているグリスや付着している汚れを落としておきます。

付着している汚れや消耗に伴う傷などは調整における判断材料にもなるので、汚れを落として傷などを確認しやすくすると共に、グリスは好みな物に塗り直したいのでとりあえず内部パーツは一通り綺麗にしておきます。

例えばガッツリ削れて(消耗して)いたり、クラックが入っているような状態のパーツは確実に交換した方が良いですし、変な所が削れていていればパーツの寸法がおかしいのか、組み立てがおかしいのかを先に確認した方が良いです。

パーツの寸法がおかしいなら加工してどうこう出来るレベルなのか、それとも交換が必要な物なのかを判断する必要があります。

各部品の状態について

という訳で、各部のパーツを見ていきます。
尚、確認するのは内部パーツのみですが、外装もチェックしておいた方が良い場合もあります。

例えばレシーバーが歪んでいる、グリップの角度がおかしい、バレルが曲がっているなどそういうのですね。
当記事では内部パーツに焦点を当てて説明していきます。

シムについて

昔の海外製電動ガンと言えばシムなんてあって無いような状態だったり、そもそも入ってなかったり、必要以上に入っていてギアが正常に動かないレベルだったりと酷い物が多かったのですが、最近の電動ガンはそんな事は無く普通に問題の無いレベルに調整が行われている事が多いです。

以前2万円以下で購入できるS&TやCYMAなどの安価な製品をバラしましたがシム調整の具合は箱出し状態として考えると悪くはなかったです。

ただし、入っているシム自体の品質はあまり良くない場合が多く、写真の通りバリがあったり歪んでいたりしている事も少なくはないです。

左がバリ有り、右が歪み有り

シムにバリや歪みがあるとギアのシャフトや軸受を傷つけてしまう可能性があります。
また、歪みに関しては調整が非常にやりづらくなります。
他にも軸受の穴が楕円形に開いている事もありますね。

純正のシムを全部確認するのは面倒ですし、適切な調整具合にするには枚数が足りてなかったり厚みの種類が足りていなかったりするので、基本的に自分はシムを全部交換しちゃう事が多いです。
普段使っているシムはYOKOMO ZC-S30 スペーサーシムです。

外形3.0mm、厚み0.13mm、0.25mm、0.5mmの物が各20枚ずつ入っていて380円(小売店だと200円台で買える事もある)上に品質も安定しているので使い勝手の良いサイズのシムだと思います。
外形も狭く、ボールベアリングと組み合わせても問題の無いサイズになっています。

軸受(ベアリング)について

軸受は低価格帯の製品に関しては今も昔も品質というか安定性についてはあまり変わっていない印象ですが、5万円程度で売られているような製品であればかなり安定していて純正軸受のままでも問題は無いなと思える事が多いです。

ただし、メーカーによってはメカボックスのサイズに合っておらず接着もされていない為にスカスカな軸受が組まれていたり、軸の穴が歪んでいたりズレていたり、異様に柔らかい素材で出来ているせいで使っているうちにシャフトとの摩擦で穴が広がってしまったりと問題があるケースが多いので確認は必要です。

また、軸受の種類は色々あるので、セッティングに応じて適切な物が組み込まれているのかどうかも考える必要があります。
これに関しては以前記事にしている『軸受の選定について』をご参照下さい。

DE Airsoftのメカボックスには8mm軸受が採用されており、セクターギアとスパーギアが粉末焼結系のオイルレスベアリング、ベベルギアがボールベアリングという構成になっています。

これは横方向への負荷が強いセクターギアとスパーギアが強度が高く潤滑性の高い物を使い、回転数が高く横方向への負荷があまり大きくないベベルギアに回転方向の抵抗を減らす事が出来る物を使っている、合理的なレイアウトだと思います。

軸受とメカボックスの穴のサイズが適切なのかどうかについては外側から軸受を指で押すなどして簡単に抜けるか抜けないかで判断すれば良いです。
指で押して抜けるような軸受は接着するか適切なサイズの物に交換した方が良いです。

というのも、スカスカの軸受を使っているとギアの回転によって軸受も空転してしまい、その結果メカボックスを削って軸受の穴が広がってしまう可能性がある為です。

また、軸受がしっかり置くまで刺さっているかどうか、そしてフランジの厚みについても確認が必要です。
軸受の挿入が甘いと固定も不安定になりますし、フランジが厚すぎたり薄すぎたり、軸によってフランジの厚みがバラバラだとギアの歯が軸受に接触してしまったりシム調整がややこしくなる事があるので、軸受の差し込み量は基本的に均一の方が良いです。

とは言え、DE Airsoftのメカボックスのように異なる種類の軸受を組み合わせていると全く同じにはならない事が多いので、そこはどの程度のズレを許容するかによると思います。

このように斜めに見て明らかに軸受の一部が飛び出していたり、凹んでいたりするのはNGって感覚で良い気がします。

メカボックス本体について

続いて、メカボックス本体も見ていきます。
最近は使い物にならないレベルのメカボックスというのもあまり見かけないですが、たまに変な事になっている個体があります。

まず、結構多いのはメカボックスの左右でズレが生じている個体です。
これはメカボックスを閉じた状態で上下左右に動かすとカタカタ動いてしまう個体です。

ネジを締め込む事で最終的にガッチリするようになる場合があるのですが、場合によってはネジを締め込む事によってギアの軸のセンターが出なくなってしまい、ギアノイズの原因になったり、最悪の場合ギアや軸受を破損させる原因になる事もあるので、流用する場合は注意が必要です。

この状態でメカボックスを動かした時にカタカタしなければOK

もう1つはメカボックスが歪んでいる(反っている)個体です。
たいていの純正メカボックスはダイカストで作られているので金型から抜く時や冷却時に歪む事があります。

若干の歪み程度であればネジを締め込む事で解決しますが、常時メカボックスに負荷が掛かっている状態になってしまうので、メカボックスが割れやすくなったりピストンが真っ直ぐ動かなかったりと動作に影響を及ぼす可能性があります。

これの確認方法はメカボックスを閉じた状態(ネジは閉めない)で左右のメカボックスがピッタリくっついているかどうかを見れば分かります。

稀にメカボックス全体が同じ方向に歪んでおり、それのせいでメカボックスがピッタリくっつくものの、メカボックスが反っているというケースもあるので、このチェックだけではなく一度メカボックス全体を俯瞰して見ると良いです。

また、最近の海外製電動ガンは標準でメカボックスの割れ防止加工が施されている事が多いです。
これは昔からよく行われている手法で、シリンダーヘッド側の角を丸く削る事で応力を分散させるという物です。

適切なサイズかつ綺麗に削らないと効果が無いどころか逆に割れやすくなるとさえ言われる加工ですが、最近は金型時点で整形でこの凹みが作られているケースが殆だと思うのでとりあえず何もせず放置する事が多いです。
ただ、バリができやすい部分でもあるので、気になるようなバリがあったら削った方が良いと思います。

ぶっちゃけ余程高負荷なセッティングにしたり、めちゃくちゃ空打ちをしない限りそうそう割れる物でも無いので、やってもやらなくても…な感じです。

実際自分も重量級ピストンか、めちゃくちゃ硬いスプリングを使ったセッティング以外でメカボックスを割った事は無いです。

ギアについて

ギアはセッティングを大きく変えない限り交換する必要は無いパーツだと思っています。
ただ、海外製のギアは結構個体差が激しく、4000円位する価格帯のカスタムパーツでも使い物にならないレベルの物があったりします。

多いのはシャフトが歪んでいたり、シャフトが斜めに入ってしまっている状態です。
シャフトが歪んでいるとギアの歯の回転がおかしい事になり、ギアノイズが激しくなるのと最悪ギアを破損させます。
軸受やメカボックスも削れてしまう可能性があり、悪影響の範囲がかなり広いです。

歪みは普通にギアを手にとって見るだけで分かるレベルの物もありますが、より確実に確認するには回転する物(フライスやドリルなど)のチャックに噛ませて回す事です。
軸のセンターが出ているのに歯がブレている場合、軸と歯がズレているという事になります。

シャフトをチャックにかませる
シャフトがまっすぐになっている事を確認して回す

基本的に歪みチェックは全部のギアで行った方が良いと思います。
他にはシャフトの圧入が甘い個体だったり、ギアの歯にバリがある個体も気をつける必要があるので、歪みの確認ついでにギア全体を眺めてチェックした方が良いと思います。

また、海外製電動ガンのセクターギアにはセクターチップが付いている機種が多いのですが、正直このセクターチップは通常悪影響しか無いので基本的に自分は外します。
セクターチップはノズルの後退時間が長くなる事により給弾不良を改善する事が出来るのですが、それよりもタペットプレートが必要以上に引かれてしまう事による破損、ノズル前進タイミングが遅れる事による初速低下や初速の不安定さの原因になる事があります。

なので、自分は基本的にセクターチップを外します。
付けていて問題が起きる事は多々ありますが、外す事で問題が起きるケースはほとんど経験した事が無いです。

このような樹脂製セクターチップなら簡単に外す事が出来るのですが、たまに見かける金属製のセクターチップが圧入されているタイプのセクターギアは簡単に外す事が出来ない場合が多く、その場合ギアセット一式を交換する事すら視野に入る位には自分はセクターチップが嫌いです。

そもそも給弾不良を改善するならノズルやチャンバー(給弾ルート)側でやった方が良いですし、弾上がりの悪いBB弾を使っている可能性もあるので、それならBB弾を変えれば良いと思ってます。

ベベルギアはラッチの枚数にだけ気をつけていれば良いと思います。
基本は4枚ラッチですが、古い製品では2枚ラッチの製品があります。
負荷を低減させるには4枚ラッチ以上の機種が良いです。

正直ラッチの枚数は多ければ多い方が良いですが、多すぎるせいで逆転防止ラッチの掛かりが甘くなってしまい、結局逆回転してしまう構造のベベルギアも存在するので、ガッツリ逆転防止させたければ次世代タイプにした方が良いと思います。

また、これは調整時に気をつければ良い話しですが、ピニオンギアと接触する歯の高さや角度も確認しておきましょう。
物によってはピニオンギアとの相性が悪く、どう調整してもギアノイズが消えないという事もあります。

タペットプレートについて

タペットプレートは基本的には樹脂製ですが、メーカーによって強度が結構違います。
硬すぎるとこれも折れやすいので軽く曲げてみてちゃんとしなるか、そして元通りになるかを確認しておいた方が良いです。

また、形状についても注意が必要です。
まず確認するのはノズルを引っ掛ける部分のL時になっている所がちゃんと90度になっているかどうかです。
この部分の角度が狂っているとノズルが傾いて付いてしまう為、給弾不良や二重給弾、気密漏れの原因につながる他、最悪シリンダーヘッドやノズルを破損させてしまいます。

また、セクターギアとぶつかる部分の所にも歪みが無いかを確認した方が良いです。
ここが反っているとタペットプレートを真っ直ぐ引く事が出来ず羽が折れやすくなりますし、歪みがあるとセクターギアと干渉してタペットプレートに変な負荷が掛かる事があります。

尚、タペットプレートの中に気泡が出来ており強度が低くなっているという個体もありますが、正直これは外側から確認する事が出来ないので、諦めましょう…。
折れてから初めて分かる事です。

ピストンについて

まず大前提としてピストンをメカボックスに組み込んだ時にスムーズに動くかどうか、そして必要以上のガタツキが無いかどうかを確認します。
メカボックスを閉じた時にピストンが圧迫され、ピストンがスムーズに動かないような状態だとピストンやギアへの負荷が増え壊れる原因になります。

逆にスムーズに動くもののガタガタな場合はピストンが消耗したりピストンヘッドがシリンダーに擦れて良くなかったりします。

また、電動ガンのピストンはざっくり「樹脂ピストン」と「アルミピストン」に分けられます。
イレギュラーな物として重量を稼ぐ為にスチールや真鍮で出来たピストンもありますが…。

個人的には電動ガンで樹脂ピストン以外の選択肢はまず無いと思っています。
アルミピストンはメカボックスを削る原因になりますし、使っていると結局アルマイトが剥がれてしまい樹脂ピストンよりも抵抗が増えてしまいます。

強度的にアルミピストンじゃないと耐える事が出来ないセッティングはダンパーを噛まさずにピストンによって直接リコイルユニットを動かしている一部のBOLT製電動ガン位だと思います。

なので、メーカー純正ピストンがアルミだった場合、基本的に自分は樹脂製に交換しちゃいます。

また、ラックギアの歯が全部付いているか、1枚削られているかも結構重要です。
この歯を削る処理はピストンのバウンド対策と呼ばれ、ピストン前進時にピストンがバウンドしている所にセクターギアの歯が回ってきた時にピストンのラックギアの2枚目にぶつかってピストンクラッシュを起こしてしまうのを防ぐ為の処理です。

基本的にこの加工はやっておいた方が良いと思います。
2枚目の歯が無くてもピストン引き始めは殆ピストンに負荷が掛からないので、問題にはならないです。

また、シリンダーヘッドに付いているゴムの柔らかさやAOE調整によってピストンの停止位置が変わる場合は削るラックギアの量が変わります。
今回の調整では少しAOE調整を行ったので3枚目も削りました。

尚、ラックギアが樹脂場合、金属歯のサイズも注意が必要です。
例えば金属歯が1枚だけの機種はプリコックや非常に硬いスプリングと組み合わせる仕様には向いていません。
その場合はせめて3〜4枚は金属歯になっている物を選んだ方が良いです。

DE Airsoft Maxim Defense PDXのラックギアは3枚が金属歯になっている物だったので、このまま使用します。

ちなみに、ラックギア全部が金属になっている製品は強度の高いセクターギアと組み合わせないとセクターギアが削れて寿命が縮む原因になります。
例えば東京マルイのセクターギアと全金属歯のピストンを組み合わせると、セクターギアの歯がモリモリ削れます。

あと、金属歯を接着するかどうかも賛否が分かれる所ではあると思いますが、個人的には金属歯をピストンに取り付け、ピストンヘッドを取り付けた際にガタつきが無いなら接着は不要だと思っています。

まあ、不安であれば接着しても良いですが接着する場合は金属歯を樹脂歯側に押し付けるような形で接着するべきです。

また、金属歯を取り付けた際に前側のL時になっている部分がピストンから飛び出していないかも重要です。
もし飛び出してしまっているとピストンヘッドと干渉して、ピストンヘッドが傾いた状態で固定されてしまい気密漏れやシリンダー、ピストンヘッド自体破損など色々な問題が起きます。

後はピストンの後ろ側、スプリングが入り込む所の口の部分にテーパーが付いているかどうかも要確認です。
ここのテーパーは無くても問題は無いですが、あった方がスプリングとの抵抗を減らせるのでとりあえず付けておいた方が良いですし、バリが出ている場合はバリを削った方が良いです。
この加工はカッターナイフを使えば良いと思います。

シリンダーについて

シリンダーにも沢山種類がありますが、とりあえず加速穴のサイズさえ気をつけていれば何でも良いと思っています。
もちろん歪んでいないという事も重要ですし、バリがある場合はバリを削って整えるなどは必要です。

真鍮、アルミ、ステンレスで比較しましたが別に初速に変化はありませんでしたし、物凄い高圧になるセッティングや鬼のようなハイサイクルカスタムをしない限りホーニングシリンダーのような放熱性能の高いシリンダーを選ぶ必要も無いと思います。

なので、大体純正シリンダーを流用するか、セッティングに応じて適当なシリンダー容量の物を選ぶ事がほとんどです。

また、シリンダーは規格品のようで微妙に長さが違っている場合があります。
これはメカボックス側に問題がある場合もあるのですが、このようにメカボックスとシリンダーの間に隙間が生じてしまい、シリンダーが動いてしまうというケースがあります。

前側はピッタリくっついている
後ろ側にわずかに隙間が開いている

上記写真位の隙間であれば個人的には許容範囲内なのですが、酷い個体は1mm近く長さが足りていないシリンダーが組み込まれている事もあります。
感覚的に0.5mmの隙間があれば確実にアウトです。

シリンダーヘッドについて

これも色々な種類が存在しますが、特別な理由が無い限りシリンダーヘッドは樹脂製がベストです。
アルミやステンレスなどで出来ているシリンダーヘッドはメカボックスとの相性によっては最悪メカボックスを破壊してしまいます。

そういうトラブルを起こさない為にも樹脂ヘッドを使った方が良いですが、メーカーによっては純正の樹脂シリンダーヘッドが粗悪品でよくない場合もあります。
例えば材質が脆く砕けやすい樹脂が採用されていたり、ノズルが歪んでいるなどですね。

後はバリや歪みがひどすぎて気密が取れないなどもありますが、今回はそのような問題は無さそうだったので純正の樹脂ヘッドをそのまま使います。

また、シリンダーの材質に関わらず確認しておいた方が良いのはダンパー用のゴムパッキンが劣化していないかとちゃんと接着されているかですね。
軽く爪で引っ張ってやっても剥がれない程度にくっついていたら大丈夫ですが、稀にゴムや接着剤が劣化してボロボロと砕けたりパッキンが剥がれてしまう事があります。

多少凹んでいる程度は特に問題にはならないです。

ピストンヘッドについて

ピストンヘッドにも様々な種類がありますが、自分は後方吸気タイプの樹脂ヘッドであれば何でも良いと思います。
自分はよくDCI Gunsの側面吸気ピストンヘッドを使う事がありますが、あれは何となく使いたいから使っているだけで同性能の物は後方吸気ピストンヘッドでも組めると思います。

後方吸気タイプの場合、ピストンヘッドの前側に穴が開いているのですがこの穴の大きさと数に関してはセッティングによって相性が良い・悪いがあるのでこの当たりはセッティングに応じてというか好みに応じて変えれば良いと思います。

今回はこちらも純正ピストンヘッドをそのまま使います。

ピストンやピストンスプリングガイドのスラストベアリングについて

最近の海外製電動ガンにはピストンやピストンスプリングガイドにスラストベアリングが組み込まれている事が多いです。

スプリングは圧縮される時に回転するのでスラストベアリングはスプリングの圧縮を効率よく行う為には必要なパーツではありますが、ピストンとスプリングガイドの両方にスラストベアリングが組み込まれているとスプリングがクルクル回ってしまいバネ鳴りの原因になったり圧縮されたピストンが伸びる時の力が逃げてしまう事があるので、スラストベアリングは片側だけの方が良いと思います。

DE Airsoft Maxim Defense PDXの純正パーツにも両方にスラストベアリングが搭載されていたので、ピストンヘッド側のスラストベアリングをオミットしました。

ただし、ピストン重量はそこまで大きくは変えたくなかったので、スラストベアリングの前後を追加、接着剤で貼り付けて固定させました。
雑な処理ですが基本的にスラストベアリングって余りまくる物なので、これが一番コスパが良いんですよね。

という訳で、内部パーツの選定に関する話しは概ねこんな所なので、パーツを組み立てていきます。

ピストンの組み立てについて

まずはピストンを組み立てていきます。
今回AOE調整を行うのですが、そこまでしっかり調整をする予定は無いのでとりあえず1.5mmのワッシャーを取り付けました。

ピストンヘッドはタップネジで頼りないのでネジロック剤を併用します。
ロックタイト222は低強度の物ですが樹脂と鉄を接着出来るので、よくピストンヘッドを固定するのに使っています。

尚、AOE(Angle Of Engagement)調整というのはピストンのラックギアに適切な角度でセクターギアの歯を当てる為の調整で、主にピストンの停止位置の調整の事を指します。

基本的に多くの電動ガンはAOEが最適な状態で組み込まれていません。
もっとも、AOEが全然適切じゃない状態でも何十年も動かし続けて問題が起きていない製品とかザラにあるので別に必須な調整では無いと思うんですが、気持ち的にやりたいので基本的にやってます。

今回は1.5mmのワッシャーを1枚入れただけなのでそんなに適切な状態にはなっていませんが、純正状態よりかはちょっとマシ程度にはなります。

ちなみに適切な位置はこれくらいですね。
ラックギアの加工はこのAOEにしても問題無い程度には削っています。

続いてOリングを取り付けていきます。
Oリングも純正で適切なサイズであればそのままでも良いのですが、純正シリンダーと組み合わせてみた所ちょっと大きめなサイズのようだったので、これは交換する事にしました。
Oリングのサイズに関しては調整ではどうにもならないです。

ソコソコ引っかかりが強い

ピストンヘッドのOリングの適正サイズというのは人によって感覚が結構違っている印象がありますが、自分は『ピストンをシリンダーに取り付けた時にスムーズに落下する事』、『ノズルを塞いだ時に気密が取れている事』『ノズルを塞いだ時にスムーズにピストンが引き抜ける事』という3点を確認しています。

尚、前方吸気の場合は無負荷状態でスムーズには動かない程度の若干タイトめの方が良いと思っています。

こういう微調整を行う為にOリングは10個位用意しておくと良いです。
自分はG.A.W. FRUS Oリングを常に10個はストックしています。
ぱっと見同じに見えますが、コンマ数ミリ単位でちょっと大きさが違うんですよね。

という訳で、ピストンの重量は26gになりました。
純正構成で22gだったので、+4gですね。

ピストン重量に関しては加速シリンダーを組むなら25g前後、30g手前位が最近の好みです。
昔は40gとかやってた事もありましたが、25g前後でも加速シリンダーを活かすには十分な重さがありますし、メカボックスの耐久性を考えるとこれくらいの重量が丁度良い印象です。

逆にフルシリンダーだともうちょっと軽くても良いかも知れません。

まあ、これに関してはセッティングによって変える必要がありますが、主に何を使ってエアーを圧縮するかを考えれば良いと思います。

例えばめちゃくちゃ硬いスプリングを使っていればピストンの重さなんてほとんど初速に影響しなくなりますし、逆に柔らかいスプリングを使い、加速シリンダーによって圧力を高めたい場合はピストン重量を重くする事で初速が上がります。

という訳で、これで吸気系の調整は完了です。

ちなみに加速シリンダーの穴の取付方向ですが、人によっては下側に向ける事もあるようです。
砂埃を巻き込みにくいというメリットがあるらしいですが、実際の所どうなんでしょうね(普段そんなに埃っぽい所で遊ばないので分からない…)。
自分は基本的に吸気穴の向きは右側にしています。

尚、吸気穴が2個や4個あるケースもありますが、吸気穴の向きに関してはそんなに気にしなくて良いんじゃないかと思っています。
ただし、メカボックスやレシーバーと吸気穴がピッタリくっついている状態だと加速シリンダーの効果が損なわれてしまうので、そこは注意が必要です。

ギアの組み込みとシム調整について

シム調整は普段感覚でやってるのであんまり理屈っぽく説明出来ないんですが、とりあえず『メカボックスとギア』『ギアの面同士』が擦らないように調整していけばだいたい何とかなります。

ただし、「どの程度シムを詰める事が出来るのか」は事前に確認した方が良く、その方法はまずシム無しの状態でギアを入れ、どの程度遊びがあるかをチェックします。
ギアを手前側に寄せた時と反対側に寄せた時のシャフトの動きを確認します。
この時に動くシャフトの量が入れる事が出来るシムの量です。

シム無しでギアを取り付ける
ギアを手前に寄せた時
ギアを奥に寄せた時

また、シム調整をする上でよく確認しないといけないギアはセクターギアとスパーギアです。

まずセクターギアについてですが、物理スイッチの場合は『カットオフレバーとの噛み合わせ』、電子トリガーの場合は『スイッチやセンサーの接触/検知具合』を確認しないといけないのはもちろん、意外と忘れがちなのはタペットプレートとセクターギアが必要以上に離れていないか、接触していないかの確認です。

セクターギアとタペットプレートが離れすぎているとタペットプレートの羽の部分が歪みやすくなりますし、逆にセクターギアとタペットプレートがくっついているというかセクターギアによってタペットプレートが押し上げられるような状態だとタペットプレートが折れやすくなります。

また、セクターギアを回してタペットプレートが正常に動くかどうかも確認した方が良いです。
たまにタペットプレートの寸法がおかしくて、タペットプレートが限界以上に引かれてしまう事があります。

また、逆転防止ラッチを解除するギミックが付いている製品の場合、セクターギアが逆回転した時にちゃんとタペットプレートも動くかどうかも確認した方が良いです。
この時にタペットプレートが引かれず、単に衝突するだけだとタペットプレートを変形させてしまいます。

次はベベルギアです。
ベベルギアの取り付け位置によってはどれだけモーター位置を調整してもギアノイズが消えません。

ベベルギアにシムを足して行ってピニオンギアとベベルギアが程よく接触する程度の位置に調整していきます。

掛かり具合が浅すぎる例
掛かり具合が深すぎる例

最終的な調整はモータ位置で行えば良いと思いますが、ある程度はベベルギアの位置で決めてあげる必要があります。

セクターギアとベベルギアの位置が決まったらその間にスパーギアを取り付けると良いです。

最後にギア同士のクリアランスが程よく開いているかどうかを確認します。
ギア同士が接触してしまっているとギアノイズが発生しますし、逆に離れすぎていると歯の噛み合わせが浅くなって歯の消耗が激しくなります。

そんな事を考えながら調整していく感じですね。
慣れてくると細かなチェックは省いてもだいたいうまく行くようになります。

後はメカボックスを閉じてギア周辺のネジを締め込み、ギアがスムーズに回るかどうかを確認します。

ギアを指で回してどの程度の抵抗があるかを確認するのが良いですが、感覚的に抵抗具合が分からない場合はこのようにエアダスターを使うとより分かりやすいです。
エアダスター程度の風圧でクルクル回るなら問題無いと思って良いでしょう。

最後に逆転防止ラッチを取り付けます。
ちなみに、逆転防止ラッチのスプリングは個体によってやたらと折れやすい事がありますが、微妙な太さや硬さの差なのでぱっと見で折れやすいスプリングかどうかを判断するのは難しいです。
不安であれば『アングス 折れんバイ』に交換するなど、折れにくい事が保証されている製品に交換するのが良いでしょう。

自分も折れんバイはよく使います。

ちなみに、逆転防止ラッチも個体によってはスムーズに動かなかったりガタガタでベベルギアやスパーギアと接触してしまうような個体もあるので、ギアやメカボックスとの相性チェックは必要です。

バレル・チャンバー周りの組み立て

続いてバレル・チャンバー周りの組み立てについて紹介します。
まず、インナーバレルに関しては基本的に歪みとバリだけ気をつけておけばだいたい何でも良いです。
致命的に汚れている場合は洗浄したり磨いたりすれば改善しますし、バリに関しては目の細かいヤスリやカッターナイフなどを使って除去出来ます。

加工でどうにもならないのは歪みくらいだと思います。

また、よくあるのはHOP窓の所のバリですね。
この部分の切削は汚い個体だと0.1mm程度のバリが出ていてBB弾を傷つけてしまったり、単純に抵抗になってHOPの回転が不均一になる事があります。

今回はHOPパッキンも変えずにそのままチャンバーに組み込みます。
尚、チャンバーの内径とHOPパッキンの外形がピッタリでちょっと圧入する程度の抵抗が掛かっている状態であれば問題無いです。
もしスカスカであればインナーバレルにテープを巻くなどしてサイズを調整すれば良いと思います。

そして、一通り組み立てた後でHOPアジャスターを下げた状態でHOPの突起を確認、ちゃんとHOPパッキンが引っ込んだり飛び出したりして、ズレていない事もチェックします。

続いて、ノズル長さの調整です。
正直、これは先にやっても良い内容です。

この状態で弾棒を使ってノズル長さを確認します。

更にチャンバーをメカボックスに押し付けるとノズルが下がってしまうような状態だったので、ノズルの先端を細くします。

ある程度削ったらチャンバーを差し込んでもノズルが動かなくなったので、再度弾棒を使って停弾位置をチェックしてみましたがまだ全然ノズル長が足りていなかったので、パイノズル化加工を施しました。
適当に切ったプラ板を貼り付けるだけです。

プラ板の厚みはあまりに太くし過ぎない限りは初速への影響は殆無いので、2mm位あれば良いと思います。
細すぎると接着面が少なくなり強度が下がってしまいます。

という訳でこのノズルを組み立てて、再度弾棒チェック。
これでもまだ微妙に足りてなかったです。

正直ここまでやってちゃんとしたサイズにならないなら、HOPパッキンかノズル自体を交換した方が良いですね…。
まあ、今回はこのまま組みますが…。

可動部品のグリスアップと組み立て

各部のパーツのセットアップが出来たらグリスアップと組み立てを行います。

自分はG.A.W. Gグリースを普段から使っているので、今回もこのグリスを使いますが正直何でも良いと思ってます。

東京マルイのようなピストン用とギア用で分けるような使い方をするグリスでも全然良いと思いますし、数十グラムで1000円を超えるような高級グリスでも良いと思います。

ピストンヘッドとシリンダーヘッド、シリンダーに塗るグリス量はこれくらい。
多いとグリスが飛び散ったり抵抗になってスムーズに動かなくなったりと、良い事は一切無いので基本的に薄く塗り伸ばすのが良いです。

ピストンヘッドの内側にグリスを薄く塗りつつ、Oリングを取り付けた外側にもグリスを塗ります。

シリンダーヘッドにも薄くグリスを塗っておきます。
これは潤滑というよりOリングの保護(ゴムを長持ちさせるには油分が必要)という目的なので、別にシリコーンスプレーでも大丈夫です。
最後に、余ったグースをシリンダーの内側に塗り伸ばします。

続いて、ごく少量のグリースをノズルに塗布します。

ピストンのギアや側面のレール部分、ピストン内側にもグリースを塗布、薄く塗り伸ばします。

メカボックス側にもグリスを塗布。
塗る箇所は軸受、ピストンのレール部分です。
尚、軸受はボールベアリングにはより粘度の低いグリースを塗布した方が良いと思っています。
自分はボールベアリングにはG.A.W. Gルーブを使用しています。

後はパーツを付けていきます。
セレクタープレートを取り付け、基板を取り付けます。

オーバーホールじゃなくて新規組み込みならこの時点で一度セレクタープレートの動作テストをした方が良いですが、今回は単なるオーバーホールなので動作テストは省きます。

続いて、ギアにグリースを塗って取り付けていきます。
ギアに塗るグリースも少量で大丈夫です。
少なすぎるのも良くないですが、電子トリガー搭載機だと余分なグリースが基板に付着して基板を破損させてしまう可能性があるので、特に少ない方が良いです。

ギアを取り付けたら吸気系パーツ、トリガーなどを取り付けてメカボックスを組み上げます。

モーターのピニオンギアにもグリスを塗布して取り付け、一旦この状態で動作テストというかピニオンギアの位置調整を行います。
尚、メカボックスにグリップを取り付けた際とロアレシーバーにメカボックスを入れ、そこにグリップを取り付けるのではグリップの取り付け位置が微妙に変わる事が多いので、最終的なピニオンギアの調整はロアレシーバーも取り付けた状態で行った方が良いです。

最後にコネクタ交換です。
DE Airsoft Maxim Defense PDXの純正コネクタはディーンズコネクタなので、これをXT30に変えます。

コネクタは先に交換しちゃう人も少なくはないと思いますが、基本的に自分は最後にコネクタ交換を行います。
コネクタ交換後にも再度動作テストを行います。

尚、コネクタ交換ついでに配線の長さ調整も行い、ストックを取り付けた際にコネクタがギリギリ飛び出すような長さにしました。

調整後の初速と発射サイクルについて

最後に初速と発射サイクルを計測します。
検証に使用したBB弾は東京マルイ 0.20g 樹脂弾、バッテリーはDCI Guns 7.4V 1000mAh 25-50Cを使用しました。

結果、最大初速は93m/s台で安定、発射サイクルは秒間13.7発でした。
初速は箱出し状態よりもだいぶ安定して少し高くなりましたし、発射サイクルに関しては1発程増えています。

今回、ほとんどパーツ交換していませんが、調整だけでもだいぶ良くなります。
発射サイクルはバッテリーの性能の影響もありますが、セミオートの初速の安定性は間違いなく調整によって良くなっています。

という訳で、DE Airsoft Maxim Defense PDX AEGの調整は一旦完了です。
とりあえずモーターを変えたりHOPパッキンを変えたりとかもやっていきたいので、それは追々別の記事で書いていこうと思っています。

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