
ギアやモーターなど駆動系パーツの選定や調整で気をつけているポイント【E&C 329E COLT M653内部カスタム】
記事作成日:2022年8月4日
開封レビューと分解レビューを行ったE&C 329E COLT M653の内部を弄っていくのですが、いつも通りの内容だと対した変化が生まれないので、ちょっと深堀りした記事を小分けして投稿していく形にしてみようと思います。
という訳で、当記事では『ギアやモーターなど駆動系の選定や調整で気をつけているポイント』という事で、駆動系調整に重点を置いて紹介していきます。
主に個人的にいつも考えているパーツの選び方、組み込み時に気をつけている点を紹介していきます。
尚、当記事の内容は今回やろうとしている構成を実現する為の物なので、カスタム内容によってはパーツ選びにおいて大きく考え方を変える場合もあります。
ただ、調整方法に関してはどのようなカスタムであっても、大きな違いは無いと思います。
また、精密射撃に特化するようなカスタムに関しても少し考え方が変わってくるのでその点ご了承下さい。(精度に関する話しは少し記事中でも触れます)
あと、個人的な話しなので別にこれが正解という訳でも無いので、そちらもご了承下さい…。
全体のざっくりしたカスタム内容について
まずカスタムをする上で全体をどういう構成にするかを、ざっくりでも良いので考える必要があります。
どんな物事でも設計が無いと何も出来ず、行きあたりばったりでうまくいく事は少ないです。
基本的に自分はエアガンを買う前に「こんな感じのにしよう」と非常にざっくりした事を考えており、分解時に「このパーツを買い足さないといな、このパーツはこれが使えるな」という事を考えながら分解しています。
また、カスタム前に必要になるパーツを一通り購入し、カスタムは用意したパーツを組み立てていくだけという作業になります。
特殊な構造の製品だと分解しながら「こういう構造なら、こういう事も出来るのか」みたいな事を思いついて、やってみる事もありますが、基本的には元々やりたかった事を実現する事が多いです。
今回の構成のコンセプトは『ロングバレル版 次世代MP5A5』で、要点は下記
- バレル長はなるべく純正サイズのまま(363mm)
- シリンダー容量は極力少なくし、加速シリンダーを活かす
- 強いHOPを掛けた時でもしっかりBB弾を押し出せる重いピストンと、程よい硬さのピストンスプリング
- 低回転ハイトルクモーターを使ってサイクルはあまり速くならないようにしつつ、オーバーランも少なめに
- モーターの回転数の少なさを補う為に16:1のギアを組み込んで、発射サイクルを調整
- HOPパッキンは在庫処分として、さっさと消費したい奴を適当に
こんな感じで考えています。
メカボックスが使えるかどうかのチェック
まず一番最初に行なうべき事はメカボックスが使えるかどうかのチェックです。
箱出し状態で大きなトラブルが起ききていないのにメカボックスを交換する場合、割とお金が掛かる上にむしろ調子が悪くなってしまう可能性も少なくはないので、自分は基本的に純正メカボックスを使います。
同じ規格のようでメーカーごとに微妙に寸法が違っているのが、スタンダード電動ガンのメカボックスです。
特にVer2メカボックスだけで何種類あるやら…。
しかし、その純正メカボックスも精度が悪く、歪んでいたり左右のメカボックスがズレたりしている場合も少なくはないので、まずはメカボックスが問題無く使えるかどうかのチェックを行なう必要はあると思っています。
チェック方法は簡単です。
メカボックスをネジを使わずに閉じた状態で上下左右にほぼズレが無く、綺麗にピッタリ閉じる事が出来ればOKです。

物によってはメカボックスの左右が綺麗に閉じる事が出来ずカタカタ動いてしまったり、メカボックスが歪んでいてきっちり閉じる事が出来ない場合があるので、その場合は修正出来るか検討したり、どうにもならなさそうであれば社外製品を使う事になります。
とは言え、社外メカボックスを買っても精度が悪い場合は全然あるのでカスタムパーツを過信せず、チェックは必要ですが…。
尚、専用メカボックスだとどうしようも無いので気をつけながら組む…しか無いですね…。
メカボックスやパーツの洗浄について
電動ガンの駆動系を弄る際にまず行なうのは純正パーツの洗浄(付着したグリスや汚れの除去)です。
今回はメカボックスのみの流用になるので洗浄するのはメカボックスのみなのですが、ギアやピストンなども使う場合は全部まとめて同タイミングで洗浄するのが良いと思います。

基本的にはブレーキクリーナーとウエス(キムタオルをよく使ってます)を使えば解決します。
E&C 329E COLT M653の純正パーツもブレーキクリーナーでグリスや汚れは除去できたのですが、物凄いねばっこいグリスがべっとり付着しているようなメカボックスだとブレーキクリーナーでは中々落ちず、水と中性洗剤を入れた超音波洗浄機を使う事もあります。


メカボックスの加工について
洗浄後、メカボックスの加工が必要な場合は加工を行います。
主に行なうべき加工はバリ取り(主にエッジ部やエジェクターピンの痕)と配線を通すスペースが異様に狭い場合はそれの拡張です。
精密な加工が出来る機材を持っていれば軸受の加工も出来たりしますが、正直手作業でやるのは問題が起こりやすいのでやめたほうが良いと思います。
また、メカボックス前側の割れ防止に赤矢印部に窪みを作る加工も昔からよく行われていますし自分もたまにやりますが、それは好みでやれば良いと思います。
今回は特に負荷の掛かるセッティングにもしないつもりなので、加工無しで進めます。

軸受の選定について
軸受はかなり好みが分かれるパーツだと思います。
軸受のサイズは主に6mm、7mm、8mm、9mmの4種類で、東京マルイは6mm、海外製電動ガンが7mmか8mm、9mm軸受は社外製カスタムパーツでたまに見かけます。
軸受のサイズはメカボックスに合わせて選ぶ必要があるので、深く悩む必要は無いです。
尚、メカボックスの穴拡張はそれ相応の工具が無いと無理と思った方が良いです。
手作業でやる事も不可能では無いですが精度が出てるかどうか不安でしか無いですし、最低でも6箇所、4枚ギア仕様だと8箇所を均等に加工しないといけないですからね…。
悩むとしたら材質で、全ての軸受にはメリット・デメリットが存在するので何を取るか次第だと思います。
軸受の種類はざっくり下記の通りです。
樹脂軸受
東京マルイ製品や一昔前の安価な海外製電動ガンは基本的に樹脂軸受が採用されています。
基本的な材質はPOMですが、そうじゃない製品も少なからず存在します。
メタル軸受けに比べると強度は劣りますが、そこまで回転数が高く無く、負荷も掛からないセッティングで使うなら十分な強度があり、潤滑性が高く摩擦抵抗もそれなりに少ないのが特徴です。
玉軸受(ボールベアリング)
カスタムパーツとして昔から王道な軸受で、海外製電動ガンでよく採用されている軸受でもあります。
メカボックスに接触する面とギアのシャフトに接触する面の間に金属玉が入っており、それぞれ別に動く軸受ですのため、摩擦抵抗がほぼ無いと言って良いほどスムーズにギアを回す事が出来るようになります。
逆に言えば結構雑な組み方をしてもスムーズに回ってくれるので、問題が起きている事に気づきにくいタイプの軸受でもあります。
※そんな状態で動かしていたら軸受に無茶な負荷が掛かって最悪破損する事になる。
また、ボールを支える面の強度やボール自体の強度、更には精度など要求される技術レベルが高く、正直純正軸受はもちろん、カスタムパーツであっても信頼出来るメーカーの物以外はあまり使いたくない軸受です。
自分もボールベアリングの破損は経験しているので、今では殆ど使わなくなりました。
また、横方向の負荷にかなり弱いので、シム調整をギチギチにやってしまうと破損しやすくなったり、直径の大きなシムだとシムが軸受の外側に干渉し、ボールベアリングのメリットが損なわれてしまうので、シム調整時に特に注意が必要になります。
オイルレス軸受
主に粉末焼結で作られている軸受で、メーカーによっては著しく強度が劣る製品が存在します。
信頼できるメーカーに絞って選ぶなら全然アリなのですが、色々なパーツを試したい場合はボールベアリングと同様に冒険になると思います。
過去に数回ゲームで使っただけ(1000〜2000発程度の射撃)で異音が発生、見てみたら軸受の穴が削れて楕円形に広がっていたという事がありました。
潤滑性が高くボールベアリングほどでは無いですが高回転なギアに対応しています。
尚、『オイルレス軸受』という名前ではあるものの成分によっては摩擦で摩耗してしまうので、オイルは塗布しておいた方が良いと思います。
金属削り出し軸受
ステンレスやスチールを削り出して作られている軸受で、CNC削り出し軸受という商品名になっている場合もあります。
強度が非常に高く、表面がなめらかなので摩擦抵抗も少ないですが、摩擦熱によってギアの軸や軸受自体が膨張したり、焼付きを起こしてしまう可能性があるので、高付加・高回転に対応しているオイルを塗布するのは必須な軸受です。
最近は軸受の内側にグリス溜まりの溝が掘られている場合もあります。
E&C 329E COLT M653で使用する軸受について
今回のカスタムで使用する軸受は『ORGA AIRSOFT 高精度メタル軸受け 従来電動ガン用 8mm』で、ステンレス(SUS420)を削り出して作られている軸受です。

ORGA SUS420 8mm 高精度 軸受け 従来電動ガン用 ORGA-SB8
この軸受は個人的にも結構気に入っており、カスタムする際によく使っています。
ラインナップとして6mm(次世代用)、7mm、8mmの3種類が存在します。
なめらかな表面で滑りが良いですし、ギアとの相性問題もギア側の問題(整形不良)以外経験した事が無いですし、軸受の高さも程よいのが気に入っているポイントです。
軸受をメカボックスに取り付けた時に赤矢印の飛び出し具合が必要以上出ていない事も重要になるのですが、この飛び出し具合が良いんですよねぇ…。


金属製の軸受はメカボックスにしっかりハマり、外れない事が重要です。
例えば軸受がスカスカで簡単に外れてしまうような状態だとギアの回転に合わせて軸受自体が回転してしまい、メカボックスを削ってしまう可能性があります。
自分が海外製電動ガンをあまり使わずに即分解する理由の1つがこれで、軸受がスカスカな状態で組まれていると箱出し状態で使い続けた結果、メカボックスが削れて駄目になるという事が起こり得ます。
当たり前ですが、ギアのシャフト、軸受、メカボックスと比較すると一番削れやすいのはメカボックスです。
メカボックスを守り、ギアの回転をスムーズにさせる為に入っている軸受が、メカボックスを破壊してしまうのは元も子もありません。
また、軸受を固定する前に使用する予定のギアとの相性チェックはしておいた方が良いでしょう。
全てのシャフトに問題無く軸受を挿す事ができ、大きなガタツキも無ければOKです。

圧入でガッチリ固定されたらそれでも良いですが、少しゆるい(指で強く押したら回る程度でも)状態だと、自分はまずロックタイト 638 はめあい接着剤を使い、軸受を取り付ける穴の内側に塗布します。


その後、軸受を差し込み、ギアを使って圧入します。(ピンポンチとかは軸受を歪めてしまう可能性があるのでギアで押し込む派です)
その後、はみ出たロックタイト 638を、軸の穴に付着しないように拭き取ります。


この接着剤は金属接合部で空気が遮断されると硬化し始めるので、金属同士の接着以外で使う事は出来ないので注意が必要です。
また、アルマイトが掛かっている場合でも硬化が不完全になる場合があるので、注意が必要です。
ロックタイト 638が使えない場合は多用途接着剤や瞬間接着剤を使う事もあります。
その後、接着剤が完全に硬化し終わるまで放置するのですが、その時に軸受がズレないようにギアのシャフトにOリングを取り付け、組み込みます。
Oリングは1mm程度の太さの物を、セクターギア下面に1つ、スパーギアの上面に1つ、ベベルギアの下面に1つです。


最近は軸受を固定させる為の治具も販売されたりしていますが、自分は昔からこの方法を取っていたので、今でもこの方法です。
この状態でメカボックスを閉じ、ネジを締め込みます。
締め込むネジは最低限、写真赤矢印の3箇所で大丈夫です。

この状態で1日放置します。
私はだいたい軸受の固定が完了するまでの間にバレル・チャンバー周りやピストン周りなどの他の作業を進めています。
ギアの選定について
ギアは色々な種類があるので選定するのも大変なハズですが、意外とパターンさえ決まれば選択肢は結構少ないです。
尚、パーツの組み合わせによってはそもそも組む事が出来なかったり、組めたとしてもギアノイズが消せなかったりなどよく考えないと色々な問題が起きたりするので、そこを気をつけて…というか気にしながらパーツを選ぶ必要があります。
一番重要なのはギア比です。
ギア比は燃費や発射サイクルに直結するのでそこをまず決めるべきでしょう。
ギア比について
まずはギア比を決めるのですが、ギア比の種類は規格品だと12:1、13:1、16:1、18:1、32:1、100:200、100:300と7種類ある他、特殊なギア比を持っている製品も存在します。
ギア比はざっくり下記の通りになります。
- 12:1(スーパーウルトラハイスピード):超高速回転、超低トルク。13:1よりもサイクルを上げたい時に使う。
- 13:1(スーパーハイスピード):高速回転、低トルク。ハイサイクルカスタムでは王道。
- 16:1(ハイスピード):ちょっと高速回転、ちょっと低トルク。ちょっとだけサイクル上げたい時にお勧め。
- 18:1(ハイトルク):普通の回転速度(東京マルイ含め、多くの純正ギアがこのギア比)。
- 32:1(スーパーハイトルク):低速回転、高トルク。ピストンを次世代電動ガン用と同じ形状の、ハーフティースにする必要あり。
- 100:200(ヘリカルギア):18:1よりも少し遅い位の回転速度とちょっと高トルク。
- 100:300(ヘリカルギア):32:1程度の回転速度と高トルク。32:1と違ってフルティースのピストンが使える。
例外な物として、DSGという物があります。
DSGはセクターギアに付いている、ピストンのラックギアに噛み合う葉が2箇所に付いており、セクターギア1回転で2回ピストンを後退させる事が出来る仕様のギアです。


歴史はだいぶ古く、製品化される前は蝶葉ギアと呼ばれ昔は東京マルイ純正などの柔らかめのセクターギアをニコイチで切って貼ってして作っている人がいましたが、普通に製品化されて以降そんな人は見かけなくなりました。
DSG含め基本的には実現したい発射サイクルや、レスポンスを元にどういうギアを組むかを考えれば良いと思います。
基準となるギア比は18:1になるので、特に拘りが無いならこのギア比を選べば良いです。
例として挙げるなら、DSGやハイサイクルギアとハイスピードモーターを組み合わせてハイサイクルカスタムを組むのも良いですし、ハイトルクギアとハイトルクモーターを組み合わせて硬いスプリングを容易に引ける仕様にするのも良いでしょう。
また、ハイサイクルギアとハイトルクモーターを組み合わせて、トルクの少なさをモーターで補う事も出来ます。
やりたい事に合わせて選べば良いです。
ギアの材質(製法)について
ギアの材質…というより製法はだいたい下記の通りです。
- ダイカスト(アルミが多い?):柔らかい、脆い。高負荷には耐えれないですが、ギアクラッシュによる他パーツへの影響を減らせます。
- 粉末焼結(スチールが多い?):そこそこ硬いですが、衝撃が加わると砕けます。逆にギアクラッシュによる他パーツへの影響を減らせます。
- 削り出し(スチールが多い?):ダントツで固くまず壊れないです。カスタムパーツは殆どこれです。ただし、ギアクラッシュ時に軸受、メカボックス、ピストンを壊す可能性があります。
負荷の掛かる部品なので、基本的に硬い材質の物が多いですが、硬すぎるとそれはそれで問題が起きる場合もあります。
このように、全てにおいて長所短所があるので完全に好みが分かれるでしょう。
自分はギアクラッシュを起こしても他のパーツへ影響を与えにくいので、少し脆い粉末焼結ギアが好きですが、選択肢が少ないので削り出しを使う事が多いです。
たまにこういう安いギアを使っている理由はそういう理由です。
このギアは海外製電動ガンの純正パーツとして入っている場合も多いので、カスタム時の純正パーツ流用が多いですが、敢えて使う場合もあります。

ギアの歯について
ギアの歯はギア選びにおいて結構重要な要素です。
特に材質がスチールのような硬い材質の場合は慣らしてどうこうする事がやり辛いので、最初から良い設計の歯になっている方が良いですからね。
まず、セクターギアとベベルギアに関しては歯がしっかり面取りされている事が重要です。
別に必須では無いですが、角が面取りされているだけでギア同士の噛み合わせがよくなり、ギアノイズも減ります。


また、セクターギアにネジが付いている製品はこのネジが緩んでいないか(緩まないか)をしっかりチェックした方が良いです。
ネジが緩んでいると動作中にネジが飛び出してきて、タペットプレートと衝突してしまう可能性があります。

ベベルギアに関しては逆転防止ラッチが噛み合う歯の枚数と、ピニオンギアと接触する歯の高さと角度が重要です。
まず、逆転防止ラッチの歯の枚数は古い製品だと2枚、最近の多くの製品は4枚か5枚、カスタムパーツとして売られている物は6枚か8枚の製品が多いです。(物によってはそれ以上の枚数のラッチの製品も存在)
また、次世代電動ガンタイプのスパーギアと接触する歯を逆転防止ラッチでも使えるようにしている為、10枚歯となっているので、ギアのバックラッシュを減らす為に、次世代電動ガンタイプのベベルギアを使う事もあります。


ピニオンギアと接触する歯の高さや角度に関しては現物を見ないと何も分からないのが問題です。
「買ったけど駄目だった」という事も多々あり、その場合はピニオンギア側で調整する必要があります。
相性がどうにもならない場合も少なくはなく、その場合はベベルギアだけ交換したりもします。


ベベルギアとピニオンギアの相性に関する話しは、モーターの選定について紹介する時にまとめます。
他にもギアの圧入がしっかり行われているか、シャフトの歪みが無いかなど、チェックする箇所はありますが、ギアの圧入に関してはある程度使ってみないと分からないですし、シャフトの歪みは僅かな歪みだと目視チェックし辛い部分もあるので、組み込んでから違和感を感じる事が多いです。
E&C 329E COLT M653で使用するギアについて
今回の構成は当初から16:1のギアを組もうと思っていました。
昔買ったものの、使ってなかったギアの在庫処分としてちょうど良いのがあったので、そちらを選択。
FightingBro製のもので、スチールの削り出しのギアです。

ギアの表裏はこんな感じでした。
至って普通のギアを買ったつもり…なんですが、ベベルギアの裏面がだいぶ癖強いですね…。


最近はこういう感じで肉抜きされたギアが増えてきている気がします。(セクターギアとかベベルギアが穴だらけになってたりする物もある)
モーターの選定について
続いて、モーターを選びます。
モーターは基本的に規格品で、480型とか言われていますがそれが正式な型番かどうかは分からないです。
シャフトの長さのバリエーションがあり、ショート、ミドル、ロングの3種類です。
基本的にメカボックスやグリップ、レシーバーなど電動ガン本体の影響を受けるので、使える規格のモーターを選ぶのが一般的です。
尚、ショートサイズは選択肢が少なくミドルサイズは更に少ないので、ロングサイズのシャフトを切って作る場合もあります。
特殊な製品として、東京マルイ FA-MASに入っているEG560モーターやARESやLCT、KingArmsなどのメーカーから発売されている薄型モーターなどがありますが、これらは特殊サイズなので当記事では特に触れません。
また、一応規格品のブラシレスモーターも存在しますが、こちらも当記事では特に触れません。
モーターのトルクとサイクルについて
モーターを選ぶので一番気にするべきはトルクとサイクルです。
基本的に価格と比例する形でトルクやサイクルは上がっていくので、お財布との相談でもあります。
各社から色々なトルクをやサイクルの製品が発売されていますし、純正モーターでも何の問題も無い場合も少なくはないので、わざわざ交換しなくても良いと判断する事もあります。
尚、モーターのトルクやサイクルに関しては、自分は価格に合わせてだいたい4種類に分類しています。
トルクもサイクルも無い物
安価な中華製電動ガンでよく見受けられるモーターです。
使っていると直ぐにコイルが切れてしまったり、シャフトの軸ブレが激しかったりと粗悪な品質な物も多いですが、案外11.1Vで回すと問題無く使えるレベルの物も少なくはないです。
また、11.1Vで回してもそこまでサイクルが上がらないので、当たり個体であれば案外悪くはないモーターだったりします。
中華製モーターの王道とされる、通称『机モーター』でもこのパターンで、11.1Vで回すと案外使えたりします。
とは言えあのモーターはハズレを引くとコイルが切れたり、コミュテーターが割れたりと、自壊する事ありますがね…。
東京マルイEG1000並のトルクとサイクルがあるもの
2000円〜3000円程度の価格帯で販売されているモーターで、11.1Vなどの高電圧系バッテリーを使わなくとも無難に使えるモーターです。
基本的にフェライト磁石が使われており磁力は控えめですが、高負荷なセッティングにならない限りはこれ買っておけばコストパフォーマンス良く弄れます。
ただ、面白みが無いのでカスタムした感が乏しいのも事実で、あんまり自分は使いません。
1万円未満で買えるハイトルク系・ハイスピード系モーター
5000円〜1万円の間で販売されており、ネオジウム磁石が使われている製品が多いです。
自分がよく使うのはこれくらいの価格帯の製品で、大抵の高負荷なセッティングはこれ位のモーターで全然問題無く動かす事が出来ます。
ハイトルク系を使うか、ハイスピード系を使うかは好みというかやりたい事によると思います。
ハイサイクルな物を作りたくて回転数が欲しいならハイスピード系が良いですが、それ以外ならハイトルクが良いと思います。
尚、最近は少し値段高め(4万円程度?)の海外製電動ガンの純正モーターとしてこのレベルのモーターが採用されている事も少なくはないです。
1万円を超えるハイトルク系・ハイスピード系モーター
このレベルのモーターを必須とするケースは殆ど無いと思いますが、拘りがある人が使っている印象があります。
ネオジウム磁石を採用している製品も多いですが、ネオジウム磁石よりも耐熱性に優れているサマリウムコバルト磁石を採用しているモーターも多いです。
電子トリガーのアクティブブレーキをガンガン使ったり、フルオートで長時間ぶん回す場合、モーターがかなり発熱するのでサマリウムコバルト磁石を使ったモーターを選んだ方が良い場合があります。
ピニオンギアについて
モーターを構成する要素の1つとして気にするべきはピニオンギアです。
これは性能に直結する物では無いですが、形状によってはベベルギアと相性問題が起きる事があります。
ピニオンギアの種類について
まず、ピニオンギアにはO型と呼ばれる物とD型と呼ばれる物があります。
O型はシャフトに圧入されている仕様、D型はシャフトの先端が削られておりイモネジによって抜けないように固定されているという違いがあります。


正直個人的にはO型でもD型でもどちらでも良いと思っていますが、O型の場合はしっかり圧入されていないとギアが空転してしまいます。
逆にD型はギアが空転する可能性が無く、非常に高い負荷が掛かっても問題は起きないので、高負荷なセッティングをするならD型がお勧めです。
ただし、D型はイモネジが緩んでしまう可能性があるのでネジロックは必須ですし、精度の悪いシャフトに精度の悪いD型ピニオンギアを組み込むとギアのセンターがズレてギアノイズの原因になったり最悪の場合ギアの歯やモーター自体を破損させてしまう可能性があるので、注意が必要です。
また、特殊形状としてLONEXからヘリカルピニオンギアというのも存在しています。
こちらはベベルギアが専用品になるのと、この製品を組み込む場合はスパーギアやセクターギアなどの他のギアが平歯である必要があります。

こういう特殊な物は好みで選べば良いと思います。
ピニオンギアとベベルギアの相性について
ピニオンギアとベベルギアの相性問題は電動ガンのパーツの中で一番起きやすいと個人的に思っています。
正直気にせず使っている人も多いですし、自分も多少のギア鳴りであれば妥協する事もありますが、良くはないので出来れば相性が良くなるように交換した方が良いと思っています。
ピニオンギアとベベルギアの相性をチェックするには歯の角度や深さが一致しているかが重要になります。
これのチェックはピニオンギアとベベルギアをこのようにくっつけてみると分かります。


上記は噛み合わせが悪い例で、ピニオンギアの歯の角度がベベルギアに合っていませんし、歯の幅も合っていないです。
もっとも、この時点のチェックでは「相性悪いかも?」位にしか分からないので、最終的には全部組み立ててギアを回してみないと分からないです。
ただ、この時点のチェックで相性が悪そうであればピニオンギアの交換か、ベベルギアの交換を視野に入れておいた方が良いでしょう。
尚、慣れてくるとベベルギアとピニオンギアを見ただけで「あ、これ良くない組み合わせだ」と分かる事もあるので、自分はなるべく店頭でギアを選んでいます。
通販を使う場合は既に使った事があるギアを選ぶ時か、冒険したい時だけですね。
その他、モーターの仕様について
個人的にはそこまで重要視していませんが、モーターを構成するパーツには大きく分けて下記のような物が存在します。
- ブラシ(ブラシホルダー)
- エンドベル
- ローター+シャフト
- ケース
- タワー
- ピニオンギア
これらの仕様についても少し意識する場合があります。
ブラシ(ブラシホルダー)について
ブラシはローター後部に付いているコミュテーターと呼ばれる接点と接触し、モーターを動かす為の電気を流す部品です。
ブラシモーターにおいてブラシは消耗品で、使っていればいずれすり減っていきます。
電動ガンのモーターに使われているブラシの種類は概ね2種類で、カーボンブラシとシルバーブラシです。
カーボンブラシは一般的なブラシで、安価ですが消耗が速く、粗悪なものだと通電効率が著しく悪い場合があります。
シルバーブラシは銀が混ざっており、高い通電効率と消耗速度が遅いというメリットがありますが、ちゃんと組めていないとコミュテーターを削ってしまい、最悪モーターを使い物にならなくしてしまいます。

また、ブラシの形状も2種類存在し、スタンドアップ型とレイダウン型です。
スタンドアップ型は縦長でトルクの高さが特徴で、レイダウン型は横長で高速な回転を実現出来ます。


ちなみに電動ガン用モーターの殆どはレイダウン型のブラシを採用しており、スタンドアップ型のブラシを採用しているモーターはかなり種類が少ないです。
このブラシ形状によってブラシホルダーの形状が変わります。
尚、ブラシの先端の形状は普通はコミュテーターの形状に合わせて丸まっているのですが、たまにコの字状の物も存在(中華モーターによく組まれている)したりしています。
コの字状になっている意味は今でもよく分からないですし、たまにスタンドアップ型のブラシがレイダウン型のモーターに組まれていたりするので、割と雑なのかも知れません。


こういう差もあるため、モーターを使う際に『慣らし』という作業をやった方が良いです。
これはコミュテーターに接触するブラシの面を整える作業で、基本的には無負荷状態でモーターを回転させ、ブラシを削ります。
これにより通電効率が上がりモーター本来の性能が活かせるようになる外、接触不良によるスパークが減るなどモーターの寿命も長くする事が出来ます。
モーターの慣らしは普通にバッテリーを繋いだり、9V電池を使ったりというのが多いと思います。
また、安定化電源があるとちょっと便利です。


尚、慣らし中はモーターに扇風機などで風を当て続けて熱々にならないようにする必要があります。
せっかくモーターを長持ちさせる為にやっているのに、熱によってモーターが駄目になったら元も子もないですからね…。
エンドベルについて
エンドベルはモーターの一番後ろの部分を指します。
材質は樹脂が一般的で、放熱性の高さを売りにしている物はアルミで出来ておりヒートシンクが付いていたりもします。


エンドベルで気をつけないといけない点はグリップの底蓋とちゃんと組み合わせる事が出来るかどうか?です。
基本的に大きさに大きな違いは無いハズなのですが、極稀にうまくはまらないケースもあるので、そこは注意が必要です。
このように問題無く奥まで差し込む事が出来ればOKです。
尚、ガタツキがある場合はモーターが振動して異音につながるので、テープを貼るなどして調整した方が良い場合もあります。

ローター、シャフトについて
続いて、モーターの心臓部であるローターとシャフトについてです。
ローターとシャフトは完全に固定されており分解する事が出来ません。(厳密には不可能では無いですが…)
「コイルが巻かれている場所」と言うと分かりやすいと思います。
モーターのコイルは太さや巻数によってモーターの回転速度やトルクに影響を及ぼしますし、ローター側でアライメントが取られている製品は軸ブレが少なく、綺麗に回るなどのメリットがあります。
正直、全てにおいて個人ではどうにもならないので、モーター側のスペックを信用するしか無い要素だと思います。
こだわっている人はコイル手巻とかやったりしているようですが、万人に別にお勧め出来る事では無いですし、私自身そこまでやる気はありません。
アライメント取りなんてそれ相応の機材が無いと無理だと思いますしね…。
ケース
ローターを覆っている、いわゆるモーターのガワの部分です。
モーターの磁石はこのモーターケースに張り付いています。
モーターによってはこのようにケースに穴が空いており、ケース内に熱がこもりにくくしつつ、ローターの回転によって生まれた空気の流れを使って冷却性を高めている物も存在します。

タワーについて
モータータワーはロングシャフトのモーターと、一部のミドルサイズモーターに付いているシャフトを覆っているパーツです。

この部分の内側には軸受が付いており、樹脂だったりメタルだったりボールベアリングだったりと、メカボックスの軸受と同様に色々な種類があります。
性能に大きく直結する部分ではありませんが、ハイサイクル系のカスタムの場合、シャフトの回転による摩擦熱で軸受が溶ける可能性があるのでメタルかボールベアリングが採用されている物をお勧めします。
ただ、ボールベアリングの場合は使っている最中に破損する可能性もあるので、それはそれで要注意だったりします。
まあ、基本的に軸ブレさえ起きていなければ負荷の掛かるパーツでも無いので破損はしないと思いますが、自分は過去に1度、ここのボールベアリングを破損させた事があります。(単純にハズレベアリングだった可能性が高いですが…)
ピニオンギアについて
モーターの回転をメカボックス内に伝える為の重要な役割を持っているパーツです。
細かい点は先程紹介した通りなので、割愛します。
E&C 329E COLT M653で使用するモーターについて
今回はAOLS製のハイトルクモーター、『AOLS AEGモータースーパーハイトルクロングタイプD』を買ってきました。

ネオジウム磁石を採用し、ブラシはレイダウン型、ピニオンギアはD型、ケースに放熱用の穴が空いているタイプのモーターになります。
それなりにモーターのトルクが欲しかったのですが、回転数はあんまり高くない方が良かったので、このモーターを選択しました。
メカボックスにギアを組み立てていきます
という訳で、軸受もしっかりくっついたE&C 329E COLT M653のメカボックスにギアを組み立てていきます。

メカボックスにギアを組み込む作業として一番最初に行なうのは「シム調整」です。
シム調整について
シム調整で使うシムは自分は2種類の物を持っており、0.05mm刻みに0.3mmまで分別した物と、YOKOMOの直径3mmのシムセット(0.13mm、0.25mm、0.5mm)を使っています。


基本的にはYOKOMOのスペーサーシム(ZC-S30)を使っています。
シム調整の方法についてはよく聞かれるのですが、特に理屈とかは無くて基本的に勘で行っているので、作業手順以外の説明が出来ないんですよね…。
まずは何もシムを入れずに全部のギアをメカボックスに入れ、まずはメカボックスとギアが擦れていないかを確認します。
もしメカボックスとギアが擦れている場合は擦れているギアがギリギリ擦れない程度にシムを入れていきます。

また、同時にギア同士のクリアランスを確認します。
赤矢印部分の面同士が接触していないか、接触している場合は何ミリシムを入れれば接触しなくなるかを確認します。


「メカボックスとギアが擦れていない」「ギア同士が擦れていない」の2点が分かる事により、最低限入れないといけないシムの量が分かります。
ギアとメカボックス、ギア同士の擦れが無ければメカボックスを閉じた状態でシャフトを細い棒で押します。
シャフトを棒で押した際のギアの動きであと何ミリシムを入れる事が出来るか?が分かります。

ギアを押す順番はセクターギア、ベベルギア、スパーギアの順番です。(ギア同士の重なり順通り)
後はシムを入れていくだけです。
どっちの面にどの程度入れるかは特に感覚の要素が多く、この後紹介する問題が起きなければOKという認識です。

唯一気をつけるとしたら、ベベルギアの位置ですね。
これはピニオンギアとのかみ合わせに直結するので、ベベルギアと相性が良さそうな位置に合わせています。
その後メカボックスを閉じ、ネジを3箇所締め込んでから指でギアを回してスムーズに回転するかを確認します。

この際、気をつけないといけないのはギアをゆっくり回す事です。
これによりかみ合わせや僅かな干渉を確認する事が出来ます。
シム調整後、ギアを指でゆっくり回す事で歯の編み合わせや変な所を擦っていないかを確認できます。 pic.twitter.com/kPW3HoL8Yi
— エボログの中の人@3Dプリント楽しい (@Evolutor_web) July 26, 2022
例えば「毎回このタイミングでちょっとギアが重くなる」とか「一定の周期で擦れた音がする」とかそういう細かいチェックをするにはゆっくり回す必要があります。
ギアの面同士、ギアとメカボックスが擦れているようならシムの再調整をします。
もしギアの歯が噛み込んでいたり擦れているような感触があった場合、自分は研磨剤をギアの歯に塗布して軽く回しています。
雑ですが楽ですし、確実にバリが取れます。
絶対に軸受には付着させてはいけないので、そこは気をつける必要があります。

ヘリカルギアはよく歯の噛み合わせが悪い場合があるので、度々こういう対応をしている。
ギアのかみ合わせに問題が無ければ、今度はタペットプレートやシリンダーヘッド、ノズルなどを組み立ててセクターギアとタペットプレートの干渉具合をチェックします。


もしセクターギアがタペットプレートに干渉して、タペットプレートの動きを阻害している(タペットプレートを動かした時に抵抗がある)場合は、セクターギアをもっと下げる(タペットプレートから離す)必要があります。
もしタペットプレートがセクターギアにがっつり干渉してしまっている場合、セクターギアが動く度にノズルも動いてしまったり、ノズルの閉鎖が不安定になったりしますし、最悪の場合セクターギアが破損します。
そうならない為にも、セクターギアとタペットプレートの干渉はチェックする必要があります。
という訳で、最終的にはこのようなシムの構成になりました。
全てYOKOMOのシムセットを使っており、テープに書いている上の数値がギアの裏面、下の数値がギアの表面に入れているシムです。

入れたシムの量をメモをしておくと、この後他のパーツを組み立てる際にギアを外し、シムがポロッ落ちて「このシムどこのだっけ?」となるのを防げます。
グリスアップ
シム調整が済んだらグリスアップです。
自分が電動ガンのギアや軸受に使っているグリスやオイル類は基本的に「LS ベルハンマー」「G.A.W. G グリース」「G.A.W. G ルーブ」の3種類です。

使い分けは明確には決めておらず、「今回はベルハンマー使おう」「今回はGグリース使おう」みたいな感じで気分です。
ただし、Gグリースをギアに使う場合で軸受がボールベアリングの場合、軸受にはGルーブを使っています(ただのメタル軸受け系なら軸受にもGグリース)。
ベルハンマーを使う時はギアも軸受も全部ベルハンマーです。
今回はベルハンマーを使います。
適当にシュッと軸受とギアの歯に吹きかけるだけです。
めちゃくちゃ楽。

余分なグリスやオイルは動作テスト中に吹き飛ぶので、ぶっちゃけめちゃくちゃな量さえ塗らなければ、あんまり気にしなくて良いと思います。
動作テストについて
グリスを塗った状態でメカボックスを組み立て、モーターを繋いで動かしていくのですが、今回は純正グリップに不満があったので交換する事にしました。
私はモーターの底蓋のネジがタップネジになっている製品が大嫌いです。
調整時に何度も開け閉めする箇所なのに、何でタップネジなんだと…。(本来そんな頻繁な開け閉めは想定してないんでしょうけど…)


今回使うのはG&P製のスタンダード電動ガン用A1グリップです。


E&C製のグリップよりも固く、質感も悪くは無いです。
なによりグリップのネジ受けに真鍮インサートが入っており、ミリネジになっています。

このグリップをメカボックスに取り付けるのですが、まずグリップとメカボックスの相性を確認した方が良いです。
グリップをメカボックスに取り付けた際にグリップとメカボックスの間に隙間が出来ていると、グリップのネジの締め込み具合によってグリップの角度が少しズレたりしてあまり良くないので、ここを埋めます。

自分は厚みが薄いワッシャーを使って調整する事が多いのですが、今回は1mm近い隙間が存在していたので1mmのプラ板を切ってスペーサーを作り、グリップに接着しました。


続いて、グリップにモーターを取り付けた状態でメカボックスに差し込みます。
この状態でベベルギアとピニオンギアの当たり具合をチェック、問題無く歯が噛み合っている事を確認します。


もしピニオンギアが必要以上に奥に来てしまっているようなら、底蓋のネジを緩めますし、全然歯が当たっていないようなら底蓋のネジを締め込みます。
これらのチェックが出来たら電装系の用意です。
ただ、まだ本来のスイッチは使わず、このような動作テスト用の外付けスイッチを用いて動かします。

このスイッチはVer6メカボックスのトリガースイッチを改造して作った物で、ギア単体の動作チェックを行なう時によく使っています。
この動作テスト用スイッチは操作しやすい大きさで押している間だけオン、離せばオフになる仕様であれば何でも良いです。
配線を通し、メカボックスを組み立て、グリップとモーターを付けてバッテリーを繋ぎます。
後は外付けスイッチを動かせばモーターが回ります。


動かしてみた所、ピニオンギアとベベルギアの当たりがどうやっても改善出来ず非常に煩かったので、ピニオンギアを交換する事にしました。
交換するピニオンギアはZC製の粉末焼結D型ピニオンギアです。
削り出しに比べると強度は落ちますが今の所壊れた事は無いですし、何かと相性問題が起きにくい形状のギアなので複数個予備を持っています。


特にこのメーカーの製品はロットによって仕様が変わりますからね…。
次買った同製品が同じ仕様かどうかは分からないので…。
既存のイモネジを外してZC製のピニオンギアに交換します。
D型なのでギアを外すのは楽ですね。


最後にイモネジを締め込む時にネジロック剤を使うのですが、ピニオンギアを交換したくなった時の事を考えてロックタイト425というそこまで強度の高くはないネジロックを使います。

ピニオンギア交換後、もう一度組み立てを行い動作チェックを行うのですが、ついでに逆転防止ラッチも取り付けておきました。
逆転防止ラッチは純正のままで、逆転防止ラッチスプリングをアングス 折れんバイを選択しました。

逆転防止ラッチにも強化パーツは存在しますが、そこまで必要性を感じないので、あまり使った事が無いです。
折れんバイは使える限りほぼ毎回使っている逆転防止ラッチスプリングで、線形が細く柔らかく、逆転防止ラッチへの負荷が少ないのが特徴です。


折れにくいスプリングというのが特徴とされていますが、逆転防止ラッチの駆動音を減らしたり逆転防止ラッチの負荷を減らす為にこのスプリングを選んでいます。
逆転防止ラッチの組み込みに関しては、パーツの相性によっては簡単に外れてしまうので固定したくなる場合があります。
その場合に便利なのはAirtech Studios製の『Gearbox Installation Tool Anti-reversal and Trigger locking Clip』ですが、ネオジウム磁石でもだいたい同じ事が出来ます。


E&C 329E COLT M653のメカボックスと逆転防止ラッチは相性が良く、弾ける事なく固定する事が出来たのでとくにこのような対応をせずに組み立てる事が出来ました。

動作検証用の外付けトリガーはなにかと便利です。
— エボログの中の人@3Dプリント楽しい (@Evolutor_web) July 26, 2022
最初はこのトリガーを使って諸々確認を行います。 pic.twitter.com/y33vv8Yp72
モーターの回転音が容易に聞き取れる程度の動作音に収まっていればだいたいOKです。
特に甲高い音が鳴っていないかどうかが重要で、もしギャー!!みたいな背筋に響くような音が鳴ってたら相性チェックや調整やり直しです。
もっとも、これまでの手順を踏んで作業していればピニオンギアとベベルギアの相性以外で問題が起きる事は無いですが…。
まとめ
という訳で、ギアやモーターなど駆動系の選定や調整で気をつけているポイントを紹介してみました。
駆動系部品はメリット・デメリットが結構激しく、カスタム内容によってパーツ選びの基準が少し変わってくる物です。
後は「このパーツが好き」みたいな好みの要素にも引っ張られるので、まずは自分の好きな形を固めるのが良いと思います。
好きなパーツの形さえ決まっていれば、後はどんなカスタムをするにもだいたい同じ感覚で調整する事が出来ます。
慣れれば駆動系のカスタムは割とあっさり終わると思います。
シム調整なんて、よほど癖の強いパーツ構成じゃない限り、やり方を確立してしまえば数分で終わっちゃう作業ですからね…。