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T1マウントベース互換の等倍プリズムサイト、Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01のレビュー

記事作成日:2023年8月30日

つぼみトレードカンパニー様より『Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01』をお送り頂いたのでレビューしていきます。

こちらは最近色々なメーカーから発売され、選択肢が増えてきている等倍固定スコープこと等倍プリズムサイトというカテゴリーに属する製品で、ドットサイトとは異なりレンズが入っている為視力の影響を受けにくいというのと、ドットサイトよりも広い視野角を提供出来たり、バッテリーが無い状態でもレティクルを表示できるという利点がある製品になります。

また、一般的なスコープよりもコンパクトな筐体サイズなのでドットサイトと同じような感じで使う事が出来るという利点があります。
※特徴というか癖もあるので厳密にはドットサイトと同じ使い方は出来ませんが、一般的にはドットサイトの上位互換みたいな感じで紹介されている事が多い印象があります。

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という訳で、当記事ではそんなVector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01のレビューを行っていきます。

ちなみに、同社製のプリズムサイトとしては過去に『Vector Optics Calypos 1x30SFP SCOC-25』という製品があり以前レビューもしましたが、それの後継機種というよりかは別個体と思って良いと思います。
構造的な話しですが、構造的にSCOC-25よりもSCPS-M01の方が新しい設計になっておりより今風の等倍プリズムサイトな感じになっています。

内容物について

内容物はサイト本体とライザープレート、ライザープレート用のネジ、調整工具、クリーニングクロス、説明書や保証書などの書類となっています。

高さ調整用のライザープレートが付属するのは良いですね。
尚、プレート無しだと1.41インチ、プレートを付けると1.57インチの高さになります。

調整工具はHOLOSUN製品に付属する物とよく似たデザインで、エレベーテーション・ウィンテージダイヤルを回す為のマイナスドライバーとマウントベースの着脱を行う為のトルクスドライバーがセットになっています。

Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01の外観紹介

という訳で、Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01本体を見ていきます。
このような外観の製品でサイズ感としてはコンパクトマグニファイアを位のサイズになっています。
レンズの構造も恐らく同じような感じで、コンパクトマグニファイアにレティクルが付いているような感じです。

対物レンズ側はこんな感じでハウジングに対してかなり小さい対物レンズが組み込まれているのが分かります。
対物レンズ径は16mmです。

ハウジング左側面にはVectorOpticsのロゴが入っており、上部にはエレベーテーションダイヤルと輝度調整ボタン、右側にはウィンテージダイヤルと電池ボックスが付いています。

VectorOpticsのロゴが入っている
輝度調整ボタンとエレベーテーションダイヤル
電池ボックスとウィンテージダイヤル

電池ボックスは飛び出し量が少なめなので視界の邪魔になりにくいデザインになっています。
電池はCR2032を使用しますが電池は付属しないので別途用意する必要があります。

背が低い電池ボックス
電池はCR2032を使用

エレベーテーションダイヤル・ウィンテージダイヤルはマイナスドライバーを使って回す事が可能で、付属の工具を使って回す事も出来ます。
1クリックの稼働量は不明(カタログスペックに記載が無い)ですが、最大40MOA動かす事が出来ます。

実際にまわして確認してみた所ダイヤル1回転で15クリック、4.5回転させる事が出来たのでざっくり1クリック約0.59MOAの動くという事になりそうです。

接眼レンズ側はこんな感じ。
ドットサイトのような見た目の製品ではありますが、基本的な設計はスコープと同じなので視度調節が行なえます。

視度調節ノブが付いている
限界まで回すとこんな感じで伸びる

マウントベースについて

マウントベースは2本のトルクスネジを使って20mmレールに締め込んで固定する仕様になります。
尚、ピカティニーレール対応製品なので特殊な規格のレールの場合は取り付ける事が出来ない可能性があるので注意が必要です。

マウントベースは4本のネジで固定されており、外すとなんだか見慣れた形状の規格になっている事が分かります。

そう、T1マウント互換なんです。
プリズムサイトってマウントベースの規格が特殊だったり規格品だったとしても実物用のお高いマウントベースしか選択肢が無いなど、高さの調整が難しい事が多々ああるのですが、T1マウントベースに対応しているならかなり選択肢が広がりますね。

DMAG LA SIGHT MOUNT 1.57インチを取り付けた様子
サイズ感も問題なし

尚、付属のライザープレートはこんな感じ。
ライザープレート固定用のネジにはネジロック剤が塗布されています。

取り付けるとこんな感じ。
これで1.41インチの高さを1.57インチにする事が出来ます。

レンズと覗いた時の様子について

対物レンズ、接眼レンズは共にグリーンマルチコートが施されています。

尚、対物レンズ側をちょっと角度を変えて見てみるとプリズムを確認する事が出来ます。
まあ、これが無ければプリズムサイトでは無いので、入ってるのは当たり前ですが…。

覗いた時の様子はこんな感じ。
アイレリーフは110mm程度でアイボックスも広めですがあくまで覗きやすいショートスコープの1倍よりもちょっと大きいかな?程度の感じです。

劇的に長い訳では無いですが、普通に覗きやすいレンズだと思います。

レティクルは中央のドットが非常に小さいサークルレティクルで、イルミネーションを点灯させるとレティクル全体が光りますが、個体差による物なのか自分の個体はレティクルの上の突起だけが光っていませんでした。

パララックスと歪み検証

いつものパララックス検証と歪みの具合を見ていきます。
2.5m先のディスプレイを覗いています。

見る感じ若干の歪みがあるのとこの距離で見ると中央付近のマス目が肉眼の状態よりも小さく見えるのでフチの方が等倍?中央が0.8〜0.9倍位?の倍率のように感じられます。
この歪みや倍率については覗き込む距離によって若干見え方が代わりますし、倍率が付いているというより視野角の問題のような気がします。
また、完全に同じ位置を中央に捉えている訳では無さそうで、これはゼロイン調整をする事で位置ズレの方向や具合が変わってきます。

このズレは近距離では難しいですが遠距離であれば両目照準をしても違和感が無い程度の物なので、あまり気にしなくて良いとは思います。

尚、視点を遠くに移動させると視野が三角形の形でケラれていきます。
これはプリズムサイト共通の特徴ですね。

という訳で、視点を上下左右に動かしてパララックスを見ていきます。
見る感じ基準となる中央の円からレティクルの中央がはみ出すような事は無いので問題は無さそうですが、ケラれている部分の外側から光が漏れている事からチューブ内の乱反射が起きているかレンズ設計が甘い可能性がありそうです。

まあ、こんなに歪ませて覗くような事は普通では無いのであまり気にする必要は無いと思いますが…。

銃に取り付けた際の見え方について

という訳で、Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01を銃に取り付けてみます。
まずはよくあるAR15系のレシーバーから。

だいたいレシーバーの真ん中付近であればちょうど良く覗く事が出来ましたが、もしストックを長めに伸ばして覗きたい場合はリアサイトの手前位に取り付けた方が良いと思います。

覗くとこんな感じですが、フロントサイトを立てると視界に映り込みます。
アイアンサイトを付ける場合はフリップアップタイプの物を使った方が良いですね。

見た目的にAK系にも相性が良い気がしたので、AK12に取り付けてみました。

覗くとこんな感じで、AR15系よりもアイアンサイトの位置が低いもののフロントサイトが視野に入ってきます。
やはり等倍プリズムサイトを使う場合はアインサイトは無いか倒せるタイプの方が良いですね。

フロントサイトががっつり映り込む

マグニファイアとの組み合わせについて

よく等倍プリズムサイトとマグニファイアを組み合わせたいという意見があるらしいのですが、これに関しては結構相性問題があります。

Primary Arms SLx 3X マイクロマグニファイアと組み合わせた様子

単体で使う為に設計されたレンズ同士を組み合わせる、言ってしまえばスコープにスコープを組み合わせているような状態なのでうまく覗けないのは当たり前なのですが、稀に組み合わせる事が出来る製品もあるので割と混同されがちです。

例えばPrimary Armsは同社製の等倍プリズムサイトと同社製のマグニファイアを組み合わせて使う事が出来る事をメーカー側で紹介していたりします。

Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01はどうなのかと言うと、マグニファイアと組み合わせた場合レティクルがぼやけてしまってサイトとしては使えませんでした。
尚、一応他のマグニファイアでも組み合わせ検証をしてみましたが、手持ちのマグニファイアではどれも同様にレティクルがぼやける結果となりました。

マグニファイア越しで覗くとレティクルがぼやけてしまってサイトとしては使えない

SCPS-M01側の視度調節ノブを回して調整する事でレティクルを見えるようにする事は出来ますが、それをすると今度はSCPS-M01単体で使う時にレティクルがぼやけてしまって今度は単体で使えなくなります。

これは以前、PrimaryArms 1X Compact Prism Scopeを使ってマグニファイアと組み合わせた検証をした時も同じ結果になりましたので、やはりマグニファイアと組み合わせが出来るプリズムサイトには限りがあるのだと思われます。


という訳で、T1マウントベース互換の等倍プリズムサイト、Vector Optics Paragon 1×16 MICRO SCPS-M01のレビューは以上になります。

等倍プリズムサイトで3万円を切る価格帯の製品はかなり少ないので、等倍プリズムサイトに興味があるけど5万も6万も出すのはキツイという人にはおすすめ出来る製品になると思います。

普通に5万、6万するプリズムサイトと比較してしまうと色々な所で不満点が出てしまいますが、この価格帯の製品である事を考えるとまあ仕方がないかなと思えるレベルの物だと思います。

また、T1マウントベース互換であるというのも当製品の大きな特徴でしょう。
マウントベースの自由度が高いというのは普通にそれだけで強みだと思います。

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