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対物レンズが薄くなったPVS-14/BNVD1431/G14用中華新型レンズを購入したので各種レンズと比較していきます

記事作成日:2023年12月11日

新型中華レンズの対物・接眼セットを購入しました。

こちらの製品は対物レンズ側が非常に薄くなっているのが特徴です。
接眼レンズ側の形状は以前の物と同じような見た目で、パッと見で区別する事が出来ません。

という訳で、先日中華白管を組み込んだ単眼ナイトビジョン、G14を使って比較していく事にします。
比較対象は左から順に『Carsonレンズ』『旧中華レンズ』『中華軽量レンズ』『新型中華レンズ』です。

中華レンズって何か分かりやすい固有名詞無いんですかね…。
AlibabaとかAliexpressの販売ページを見ても対応機種の表記しか無い上に、同じ形の別製品もあったりするので明確に「このレンズはこれ」と断言する事が出来ない気がします。

当記事で紹介している「旧中華レンズ」とか「軽量レンズ」とかも別に正式な名前では無く、一般的?にそう呼称されているだけだと思います。
自分も実際の所よく分かっていません…。

尚、新型中華レンズは1100nmまでの波長に調整されているそうで、一般的なIRレーザー/IRライトの800nm〜900nmよりもより高い波長の光も綺麗に見る事が出来る感じですね。

外観の比較

対物レンズ側の外観はそれぞれこんな感じ。
Carsonレンズと旧中華レンズは似たようなデザインで、中華軽量レンズはセレーションが特徴的な形になっています。
今回購入した新型中華レンズはだいぶ形が違っていますね。

また、OリングはCarsonレンズと旧中華レンズがNBRっぽい感じ、軽量レンズはシリコン、新型中華レンズはウレタンっぽい感じです。
まあ、これにもロット差とかありそうですが…。

高さはこんな感じで、Carson>旧中華>中華軽量>新型中華の順番に高さが低くなっています。

接眼レンズはこんな感じ。
全て視度調節ノブを回し、接眼レンズを飛び出させた状態にしています。
こちらはCarsonレンズにのみ視度の目盛りが付いており、旧中華レンズは目盛り無し。(目盛り付きの旧中華レンズもある)
中華軽量レンズと新型中華レンズの外装は同じでノブの凹凸がかなり大型になっているのが特徴です。

高さは旧中華レンズが一番低く、それ以外はほぼ同じ感じでした。

対物レンズのコーティング比較

という訳で、レンズコーティングを見ていきます。
まずは対物レンズから。
尚、レンズコーティングが分かりやすいように黒い布を敷いてその上で撮影しています。

Carsonレンズ

表裏両方とも濃い青色〜紫色のコーティングが施されています。
レンズは奥まった所に設置されています。

旧中華レンズ

青色のコーティングが施されていますが、Carsonレンズと比べると薄く、水色っぽい感じのコーティングになっており、内側からは緑色っぽいコーティングも確認する事が出来ます。
また、レンズはCarsonレンズと同様に少し奥まった所に設置されています。

中華軽量レンズ

旧中華レンズとCarsonレンズの間位の青みがありますが、色は薄め。
また、レンズが外径が一回り小さくなっており、レンズは結構手前の方に設置されています。

新型中華レンズ

明らかにレンズコーティングが異なっており、黄色っぽいコーティングが施されています。
また、内側に青いコーティングが施されたガラス板(保護レンズのような物に見える)に青いコーティングが施されています。
レンズは奥まった所に設置されている為、今回紹介している対物レンズの中では一番レンズ枚数が少ないのではと思われます。

接眼レンズのコーティング比較

続いて、接眼レンズ側のコーティングを見ていきます。

Carsonレンズ

オレンジ〜紫色の、暖色系のコーティングが施されています。
結構傷があるのは元からです(中古で購入した物なので…)

旧中華レンズ

こちらはよくスコープとかでもよく見るグリーンマルチコートが施されており、緑〜黄緑色系の反射が確認できます。
尚、中華接眼レンズは全体的にCarsonレンズよりも一回り小さいです。

中華軽量レンズ

コーティング自体は旧中華レンズと同じ感じですが、ノブのデザインがだいぶ違っています。
結構大型なノブでゴツゴツしています。

新型中華レンズ

ぱっと見中華軽量レンズと同じですが、手にとって見るとかなり軽くなっています。(重量については後述)
外装の見た目は全く同じですが、レンズを固定しているナットや基部の形状が若干違っています。

レンズの重量比較

続いて対物レンズと接眼レンズの重さを比べていきます。

Carsonレンズ

対物レンズが59g、接眼レンズも59gでした。
初めて知ったんですが同じ重量なんですね。

旧中華レンズ

対物レンズが53g、接眼レンズが67gと対物レンズはCarsonレンズより少し軽く、接眼レンズが少し重いようです。

中華軽量レンズ

「軽量レンズ」と呼ばれているだけあって、対物レンズが44g、接眼レンズが51gとCarsonレンズや旧中華レンズよりも軽くなっています。
Carsonレンズと比較すると対物レンズが15g、接眼レンズが8g軽くなっています。

新型中華レンズ

こちらは対物レンズが33g、接眼レンズが43gと共に中華軽量レンズよりも更に軽くなっています。
超軽量レンズとでも言ったほうが良い気がする軽さで、Carsonレンズと比較すると対物レンズが26g、接眼レンズが16gも軽くなっています。

G14にレンズを取り付けていきます

という訳で、これらのレンズをG14に取り付けて見ていきます。
このG14には先日記事にしたFOM1600程度の中華白管が組み込まれています。

尚、レンズの交換をやりやすくするように、ポッド内側に組み込む対物レンズ固定用のナットは外しています。

Carsonレンズ

Carsonレンズを取り付けるとこんな感じになります。

旧中華レンズ

旧中華レンズを取り付けるとこんな感じ。
見た目がCarsonレンズに似ているので、パッと見Carsonレンズっぽい感じではありますが樹脂の質感に安っぽさを感じます。

中華軽量レンズ

対物レンズ・接眼レンズ共にデザインが独特なので、個人的に旧中華レンズよりも見た目が好きです。
ただし、対物レンズが薄い分、バトラーキャップを取り付けたりするのが難しいので、注意が必要なのと、Carsonレンズ用のレンズガードとかも取り付ける事が出来ない物があるので、互換性は低めな印象です。

新型中華レンズ

対物レンズがメチャクチャ薄くなったので、かなり違和感のある見た目になっています。
Carsonレンズを操作する感覚で対物レンズを掴もうとすると空を掴んでしまいます。
また、他のレンズと違って対物レンズのコーティングが明らかに異なっていますね。

屋内で覗いた比較

まずは屋内で覗いた比較をしていきます。
解像度、FOV、歪みを確認する為に約1m先のパッチパネルを見ています。
部屋の明るさは間接照明で軽く明るくしている状態(真っ暗闇だとほぼ何も映らず比較にならない為)

尚、カメラの設定は肉眼での見え方になるべく近づける為にマニュアルで設定しています。

  • ISO:1250
  • レンズ:24mm単焦点
  • 絞り:F4.5
  • シャッタースピード:1/30
  • ホワイトバランス:5500K

Carsonレンズ

コントラストが高く、パキッとした感じの見た目です。
色は若干緑寄りの薄水色みたいな感じで、視野も程よくレンズの端の方まで広く気になるような歪みもありません。

アイボックスは広めかつ変な角度から覗き込んでも像が大きく歪む事はありません。
ヘッドマウントに装着して歩いても違和感の無い像を見る事が出来ます。

旧中華レンズ

視野はCarsonレンズと比べると少し狭く、レンズ端の方では歪みも確認出来ます。
また、全体的にぼんやりとした感じでピントを合わせても若干合っていないような感じの見え方になっています。
また、ぼんやりとモヤみたいなのが掛かっているようにも感じますが、視界を動かすとモヤごと動く事からフレア的な物のような気がします。

尚、Carsonレンズよりも色味が青っぽくなっているのは接眼レンズのコーティングの差だと思われます。
肉眼で見てもこれくらいの違いが出ます。

アイボックスに関しては非常に狭く、少しでも位置がずれるとケラレと歪みが発生します。
特にアイレリーフの短さが致命的で、恐らくNorotos Rhinoマウント系のような目の近くまで接眼レンズを寄せる事が出来るマウントじゃないとちゃんとちゃんと覗けないです。
少なくとも自分が持っているGSCI HM-714LP-SR-D』ではギリギリ覗けるか覗けないかみたいな感じの状態でした。
また、歪みは非常に大きく、ヘッドマウントして動くと歪みがかなり気になります。(これはGSCI HM-714LP-SR-Dでちゃんと覗けていないからという可能性もありそうですが…)

中華軽量レンズ

視野や歪みは旧中華レンズと同じような感じですが、解像度は若干上がっている気がします。
モヤみたいな物も若干見えますが、だいぶマシになっています。

接眼レンズの性能はかなり向上し、旧中華レンズに比べるとアイボックスは広くなっておりケラレにくくはなっています。
ただし、変な角度から覗いた時の歪みはそれなりに大きく、適切な距離で覗けていない時の歪みも割とあります。

三脚に固定しながら覗いている分にはそこまで気にならないのですが、ヘルメットに取り付けて歩いたりしていると気になる程度の歪みです。

新型中華レンズ

視野がCarsonレンズ並に広くなっていますね。
歪みもだいぶ控えめになっていますが、Carsonレンズには及ばない印象があります。
ただし、視点を動かしても殆気にならない程度の歪みなので、Carsonレンズと比較しなければ「普通に良いレンズじゃん」と感じると思います。
また、解像度は他の中華レンズと比べてもダントツに良く、モヤみたいな物も無くなっています。
特に中心解像度はかなり高く、Carson並にパキッとしている印象があります。

上記の通り普通に覗いている分には歪みは少ないのですが、接眼レンズの性能自体は軽量レンズの頃とほぼ同じ感じで、適切ではない距離・角度から覗き込むと歪みます。

その為、ヘルメットに取り付けて歩いたりしていると気になる程度の歪みはあります。

屋外の暗がりで覗いた時の比較

続いて、屋外での見え方比較です。
カメラの設定は屋内での撮影と同じで、被写体として3mほど先に三脚に引っ掛けたハードケースを写しています。(フォーカスもハードケースに合わせています)

Carsonレンズ

解像度の高さは申し分無い感じで、広い範囲でピントが合っているような印象があります。(遠くの木とかもはっきり見える)

旧中華レンズ

霧がかった…というのは言い過ぎかも知れませんが、モヤが気になります。
遠くの方にある光源の影響だと思いますが、これにより解像度がだいぶ落ちているような印象があります。
全体的にぼんやりしているので、どこにピントを合わせればベストなのかが分かりにくいのと、ピントが合う範囲が極端に狭い(F値を小さくした時のようにピンポイントでしかピントが合わない)です。

中華軽量レンズ

モヤの影響は旧中華レンズよりかは控えめですが、それでも全体的にモヤッとしています。
全然実用レベルではありますが、もうちょと綺麗な像が欲しいなと感じる解像度で、フォーカスが合う範囲が狭く、ピンポイントでしかピントを合わせる事が出来ません。

新型中華レンズ

モヤみたいな物がなくなり、全体的にパキッとした解像度の高い像になっています。
色味以外はCarsonレンズに近い印象があり、広い範囲でピントを合わせる事が出来、近い距離にピントを合わせた状態であっても遠くの方の物もぼやけず見る事が出来ている感じがありました。

光源の方向を向いてフレアやグレアの具合を比較

肉眼と同じような感じで撮影するのが難しかったので、再現は諦めましたが光源(街灯)がある方を覗いた時に発生するフレアやグレアを比較していきます。

Carsonレンズ

グレアは控えめですがフレアが映り込みます。
とは言え、光源の下の方もそれなりに見る事が出来るので、見づらいだけで大きな問題は無いような気がします。

旧中華レンズ

グレアが非常に激しく、光源からレーザーのような線が伸びていますし、レンズ全体に及ぶフレアが確認出来ます。
全体的にモヤが掛かったように見え像も一部潰れて見えます(写真左側の草とか)
尚、肉眼だともっと激しいですが、カメラで撮ると多少マシに感じます。

中華軽量レンズ

中華レンズと比べるとマシになりましたが、グレアによる白飛びは結構大きめな印象があります。
また、若干ピントが合っていないのは対物レンズの調整が甘かった事による物です。(元々全体的にぼんやりしている感じの見え方なので、ピントを合わせるのが難しい)

新型中華レンズ

中華軽量レンズとCarsonレンズの間位の見え方のように感じました。
視点を動かした際の違和感とかもかなり抑えられているのですが、カメラで撮った写真上では分かりづらいですね…。


という訳で、接眼レンズが薄くなったPVS-14/BNVD1431/G14用中華新型レンズのレビューは以上になります。

とりあえず、G14ではこのレンズを使っていくつもりです。
また新しいレンズが出てきたら試してみたい所です。

また、先日AN/PVS-14A(Carsonレンズ+OMNI7増倍管)とこちらの記事で紹介した新型中華レンズを組み込んだG14の比較を撮影してきたので、後日そちらも記事にする予定です。