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衝撃的な綺麗さを誇る国産第1世代ナイトビジョン、FUJINON PS-910のレビュー

記事作成日:2025年3月27日

友人が購入したFUJINON PS-910を借りたのでレビューしていきます。
中古で購入した物で、表面は塗装ハゲがあったりしますがレンズなどは結構綺麗な状態の物になります。

本製品はカメラレンズや双眼鏡の他にPVS14のレンズも作っている(PVS14のレンズはOEMでCarson社に提供)FUJINONが作るパッシブ型ナイトビジョンで、光電子増倍管の世代としては第1世代であるものの、非常に綺麗な像を映す事が出来るのが特徴の製品になります。

尚、FUJINONは2010年に富士フィルムに吸収合併され、現在はブランドのみ残っている状態ですが本製品は株式会社フジノン時代の製品になると思われます(本製品、情報が少なくて具体的にいつ頃に製造されている製品なのかよく分からない)。

手持ち用ナイトビジョンなので、ヘッドマウントに固定する為のネジ穴などは無く、ハウジングにビデオカメラのようなバンドが付いています。

対物レンズ側にはラバー製のピンホールカバーが付いており、紐で本体に固定されています。

対物レンズ側はこんな感じで、かなり特徴的なデザインになっています。
この黒い部分がフォーカス調節ダイヤルになっています。

ハウジング上部にはマイナスネジと電源ボタンが付いています。
マイナスネジを回す事で蓋が外れ、バッテリーボックスにアクセスする事が出来ます。

電池は単三電池を2本使用します。
かなりシンプルな造りをしており、電源スイッチはタクトスイッチです。

ハウジング底部にはJAPANと入っているので日本製ですね。
ただ、増倍管まで国内で作られているのかどうか(増倍管自体をFUJINONが作っているのか)は不明です。

接眼レンズ側はこんな感じで、ラバーで出来たアイカップが付いています。
対物レンズと似たデザインのディオプターが付いており、接眼レンズは非常に小さな物が付いています。

尚、アイレリーフは1cm未満でアイカップにピッタリ顔をくっつけて見ないと覗く事は出来ません。
その為、眼鏡をかけている状態だとこのナイトビジョンをちゃんと覗く事が出来ないです。

対物レンズと接眼レンズはそれぞれこんな感じ。
対物レンズは現行のナイトビジョン用対物レンズのコーティングと良く似た鮮やかな青色〜紫色のコーティングが施されており、接眼レンズ側にも同様の色味のコーティングが施されています。
非常に綺麗なレンズですね。

重量は560g(電池入り)とそれなりにずっしりしています。

サイズ感じはこんな感じで、PVS14と比べるとかなり大型である事が分かると思います。

というわけで、FUJINON PS-910がどのように見えるのか、確認していきます。

まずは屋内での見え方について。
真夜中にカーテンを閉めて光が完全に入らない状態にして撮影しています。

屋内でIRライトON/OFF状態で撮影してみました。(PS910自体にIRライトは付いていないので、別途用意したライトを使用)
肉眼だと遠くの物はうっすら、近くの物はあまり視認できない程度の明るさですが、2m先のパッチパネルはちゃんと視認出来ています。
また、蓄光パッチが光っている事も確認出来ますね。
IRライトを点灯させると全体がくっきり見えるようになる事が分かりますが、全体的に歪みがある事も分かります。

IRライトOFF
IRライトON

ちなみにIRライトを点灯させた時に増倍管に映り込むシェーディングみたいな影は増倍管に付いている出っ張りの影です。
ブラックスポット・ブライトスポットも気になるような物は無く、かなり綺麗な状態の増倍管のようです。

続いて、IRレーザーを使ってみた所、ものすごく眩しく光り輝いていました。
また、明るい光は暫く残像として残るようで、動かすと線が残ります。
現行の増倍管で搭載されているABC(自動輝度制御機能)は付いておらず、明るい光もそのまま増幅されている事が分かります。

続いて、夜中の外で確認してみます。

まずはよくNVを覗くのに使っている公園。
街灯があるので街灯の下はそれなりに明るいですが、肉眼だとほぼ見えない暗がりの道もしっかり見る事が出来ますし、なにより第1世代ナイトビジョンでありがちなレンズの歪みや解像度の低さを殆ど感じられず、2.5世代のナイトビジョン並によく見えている気がします。

なんとなくですがFOMで言うと1000以上(何なら1500近く)はあるんじゃないかと思える位には明るく、綺麗な像です。
そして、この距離で覗く分には歪みは全然気にならないですね。

また、不思議な程視野角が広く、視野角に関してはPVS14純正状態(FOV40°)よりも断然広いです。

続いて、もっと明るい街灯がある場所に移動して眺めてみました。
ハローやグレアは発生していますが、これもかなり控えめな感じがします。
本当によく見えており、特にグレアの少なさはレンズの優秀さを感じさせます。

というわけで、FUJINON PS-910のレビューは以上になります。